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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ロシア海軍Il-38哨戒機二機が日本海を飛行、航空自衛隊が緊急発進し対処

2010-12-06 22:23:03 | 防衛・安全保障

◆G空域を周回飛行、日米共同統合演習を偵察か

 日米共同統合演習は半ばを過ぎた頃ですが、周辺国からも反応があったようです、ロシアが偵察に哨戒機を接近させました。

Img_6640  統合幕僚監部によれば本日十二月六日、日本海にロシア海軍のIl-38哨戒機二機が出現、日本海での周回飛行を繰り返しました。結果、我が国防空識別圏内に侵入したことから航空自衛隊は戦闘機等を緊急発進させ対応したとのことです。なお、今回は領空侵犯などの事案へ発展はしていません。

Img_1183  日本海ではちょうと日米共同統合演習における弾道ミサイル防衛訓練の一環として海上自衛隊のミサイル護衛艦みょうこう、アメリカ海軍のミサイル巡洋艦シャイローが訓練を終えてほか一隻とともに本日午前中に京都府の舞鶴基地へ入港しました。また小松基地でも日米の訓練が実施されているようです。

Img_9289  ロシア海軍のIl-38哨戒機は、沿海州から津軽海峡方面へ飛行し、青森沖で一旦大陸方面へ転進、しかし再度男鹿半島方面へ接近するとそのまま東北、信越、北陸の日本海沿岸に沿って飛行、再度転進して能登半島方面に向かう経路をとり、その後真北に転進、幾度か日本海上空で進路を変更したのち大陸に戻りました。

Img_9152  今回Il-38哨戒機が飛行しました経路、この空域を見ますと日本海上にある航空自衛隊最大の訓練空域、G空域とかなりの部分で一致します。G空域は航空自衛隊の戦技競技会が行われる空域としても知られており、小松沖を中心に隠岐島から新潟沖までの広大な空域が訓練空域に指定されています。

Img_8660  小松基地には第六航空団のF-15二個飛行隊に加えてアメリカ空軍三沢基地よりF-16戦闘機12機が現在展開中で、本日6日は緊急発進訓練や航空作戦での協同訓練を実施、小松での訓練は11日まで行われるとのことで、折木良一統幕長と第13空軍のハーバートカーライル空軍中将が本日訓練を視察したとのことです。

Img_3835  今回の日米共同統合演習は南西諸島の島嶼部防衛を主眼とした演習であると繰り返し説明されているためどうしてもそちらに目が行きがちですが、弾道ミサイル防衛における協同対処や航空優勢確保を主眼とした訓練は日本海でも実施されている、ということをロシア機の接近で明示することともなりました。

Img_8523  付け加えるのならば、今回中国軍による偵察飛行などは行われていないのですが、それは中国軍の長距離哨戒能力の欠如を示すものでもあり、他方でロシア軍はその能力を有している、という意味でもあります。北方からの圧力は過去の概念、と受け取られがちではありますが現時点で日米共同統合演習の空域に接近した航空機は中国でも北朝鮮でもなくロシア軍機のみ、という事も忘れてはならないでしょう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (8)
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