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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成23年度防衛予算成立 主要装備の調達数(航空機・艦艇)

2010-12-25 15:12:30 | 北大路機関特別企画

◆防衛予算2011

平成23年度防衛予算が成立しました。予算は一種の法律ですが、概算要求を軸としています。本日は主要装備品に焦点を絞ってみてゆきましょう。

Img_8779  防衛予算の分析について、数回に分けて掲載する予定で、本日、主要装備の調達について航空機と艦艇を提示、明日は火砲やミサイル、装甲車両等の調達状況を紹介する事とします。研究開発や米軍関連その他の部分については、来週以降に掲載予定としています。例によって恐らく、ではあるのですが。

Img_9_933  今年度予算の特色は概算要求の時点で非常に自生的で抑制的な予算要求が行われているのですが、今回はそのなかから更に削減されており、特に陸上自衛隊関連の装備縮減が大きく、艦艇の要求や航空機の要求は概算要求の時点から抑制的でした。延命改修が中心なのですが、こうした予算はあまり長続きしません。

Img_1_0051  航空機、陸上自衛隊について。UH-60JA多用途ヘリは要求3機に対して2機61億円、前年度比マイナス1機。CH-47JA輸送ヘリは要求通り1機60億円、前年度と同じ。戦闘ヘリコプターAH-64Dは1機が認められ53億円、前年度比+1機。新練習ヘリコプターTH-480Bは要求通り28機64億円、前年度比+27機。観測ヘリコプターOH-1は調達が見送られました。

Img_05_33  観測ヘリコプターの調達が終了したのですが、一挙に練習ヘリコプターを更新しますのでこの関係で現状の練習ヘリコプターOH-6を観測ヘリコプターに戻して対処するのか、もしくは来年度以降新観測ヘリコプターの取得開始かOH-1の生産再開を検討するのか。

Img_13726  AH-64D戦闘ヘリコプターの調達再開は注目ですが、中期防を見た限りでは数機程度の生産に終わるようです。こちらもAH-1Sの後継機をどうするのかという問題になっていまして、富士重工が生産ラインを整備した途端に生産終了を一方的に迫った事での損害賠償を避けることが目的の調達です。

Img_18990  ところで、UH-Xはどうなるのでしょうか、航空自衛隊の次期救難ヘリでは無く陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター、UH-1Jの後継のはなしです。調達数を見る限りUH-60に一本化する方針でもないようですし、一括発注を行ったUH-1Jの次の機体は、開発中のようですが、こちらもそろそろ期限が迫っています。

Img_5_989  航空機、海上自衛隊はP-1哨戒機3機が544億円で調達、前年度比+2機。哨戒ヘリコプターSH-60Kは4機要求が3機に縮減され179億円。掃海輸送ヘリコプターMCH-101は調達再開で要求通り2機が122億円。初等練習機T-5は要求通り5機が12億円、前年度比+1機。練習ヘリコプターTH-135は要求通り2機が12億円、前年度比+1機。加えて延命改修にP-3Cが1機6億円、延命改修でSH-60Jが2機6億円。

Img_5_110   P-1哨戒機は年間取得数がもう少し多く見積もられていたはずなのですが生産数を縮減した事でライン維持費等が重なり価格は3機で544億円に達しています。またSH-60Kの生産数も縮小されたため、結局航空機の延命改修を行う必要に見舞われました、消耗部分を更新して寿命を延長するのです。

Img_2626_1  航空機の耐用飛行時間は明示されているので延命改修を行わなければ飛ぶ事も法的に許されない訳です。US-2救難飛行艇ですが、こちらの取得はどうなるのでしょうかね。生産は予備部品を生産する下請けの維持との密接な関係にありますので、このあたりは重要な点です。

Img_8_900  航空機、航空自衛隊はF-15近代化改修が要求通り8機が112億円。F-15自衛能力向上が要求通り2機が47億円。F-2支援戦闘機の空対空能力向上は3機の改修と改修用新レーダー36基が要求通り102億円。F-2支援戦闘機へのJDAM運用能力付与が12機分21億円で承認。

Img_7_346  次期輸送機C-2の生産が開始され2機が374億円で要求通り。新救難ヘリコプターUH-X、UH-60Jの改良型なのですがこの調達が開始され3機123億円が全額承認。CH-47JA輸送ヘリ、E-767の能力向上、E-2Cの性能改善は要求されませんでした。こちらは完了したのでしょうか。

Img_6_6091  航空自衛隊の航空機については能力向上が基本で新規調達は余り行われていないところが特色です。練習機、戦闘機、支援戦闘機ともに取得は無し、航空自衛隊全体で新規取得航空機は5機ですから、これでは防衛産業の特に下請けで部品を生産する企業が廃業か撤退、というのも納得です。

Img_0_193  キンダ化改修が軸に置かれているのが今年の予算の特色でしょうか、もしくは難題の先を栗を強いられた、とも。C-2輸送機の量産は開始され、2機が374億円、これももう少し調達数を増強しなければ、と思うのですが、加えてUH-XとしてのUH-60改良型生産が開始されます。

Img_8723  しかし、C-2にしてもP-1にしても一定数を量産しなければ量産効果は出無い訳で、加えて航空機には寿命があり現用機の代替はいずれ必要になります。先送り先送りにしていますとF-4後継機は勿論、F-15後継機、T-4後継機、E-2C後継機と一挙に取得する事にもなりそうですが予算は大丈夫なのでしょうか。

Img_6_945  海上自衛隊の艦船では、潜水艦1隻が546億円で要求通り、掃海艇1隻が159億円で要求通り取得。護衛艦の新造は無し。はつゆき型護衛艦の艦齢延長が1隻7億円、あさぎり型護衛艦の艦齢延長改修1隻と改修部品3隻で87億円が要求通り。とわだ型補給艦の艦齢延長が1隻12億円。

Img_5_725  むらさめ型の短SAMシステム機能向上は終了で、エアクッション艇延命措置の用品1式が1億円で要求です。あさぎり型ですが、三隻分の予備部品を今年度調達して、この予備部品を持って来年度に三隻の延命改修を行う、という事になるようです。延命ですので能力向上などは行われません。

Img_7_001  海上自衛隊の護衛艦建造は認められませんでした、これにより旧式化した、はつゆき型護衛艦の代替艦を建造できない事で延命改修が行われ、あさぎり型の延命改修も行われます。本来は平成23年度護衛艦として、はつゆき型の後継に中型の護衛艦の大量建造が開始される事となっていました。

Img_6_2833  それならば、はるな、や、はつゆき、の除籍をもう少し待って、来年除籍予定の、ひえい、とともに、はるな型2隻を練習艦に充当して練習艦隊の汎用護衛艦を現役に復帰させても良かったと思うのですが。潜水艦は要求通り1隻の建造が認められ、掃海艇はFRP船体の採用により耐用年数が増大した事で1隻のみの建造となりました。

HARUNA

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コメント (6)
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