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陸上防衛作戦部隊論(第十九回):広域師団と方面隊の任務区分について

2015-07-11 21:49:04 | 防衛・安全保障
■師団と方面隊
広域師団と方面隊とのに任務区分ですが、方面隊は基本的に統合任務部隊指揮と防衛基盤及び戦闘基盤の維持に重点を置くこととなります。

もちろん、戦闘支援部隊にあって、移動可能な部隊や後方支援部隊の戦闘支援部隊等は有事の際、統合任務部隊を編成し、起動する場合は想定されるのですが、この場合は統合任務部隊が事態当該地域管区方面総監を統合任務部隊司令官として任務に当たる事となり、この指揮下に就くという事になるでしょう。

師団と方面隊は、師団が戦闘部隊の最大単位として、航空機動と装甲機動という二つの旅団を駆使し広い正面戦闘を担うのに対し、方面隊は師団の側面への脅威へ複数の師団を指揮する全般戦闘、更に師団が戦闘を継続できるよう、補給路を維持し後方を警戒、車両重整備や負傷者後送に燃料弾薬などの供給と戦闘支援を最大限担う基盤を構築します。

総監部、全般防空、戦域情報管理、警務全般、補給処、全般輸送、建設施設、予備役訓練、共通教育、陸曹教育、駐屯地業務、基地通信、これらは第一線部隊の機動運用には適合するものでは無く、また廠舎を必要とするものが多い為、機動運用する場合にはそもそも移動できません。

重整備施設などを機動可能とするならば有事の際に第一線付近に車両改修や損耗車両の復帰を支援できる点で有用な施策ですが、民間の自動車整備が移動式ではなく施設を有しているように機材全てを輸送可能とした場合、その輸送基盤だけでも看過できない負担となりましょう、防衛基盤と機動運用部隊の区分はこのため。

この種の施設を、かなりの部分で機動展開可能としている組織は無く、米軍でも本土に施設を有しています。また、補給処の燃料支処や弾薬支処等は、やはり移動できるものではありません。米軍も事前集積船等に搭載し機動運用する事例はありますが、本土防衛を主眼とする陸上自衛隊には、事前集積船を多数配備し運用する選択肢はありません。

方面総監部は、幕僚副長、政策補佐官、総務部総務課、同地域連絡調整課、同会計課、人事部人事課、同募集課、同厚生課、同援護業務課、情報部情報課、同資料課、防衛部防衛課、同訓練課、装備部後方運用課、同装備課、同需品課、同施設課、医務官、監察官、法務官、方面総監部付隊、以上を以て編成されています。

更に方面隊直轄部隊として後送しますのは既存の編成とあわせ、方面混成団、施設団、高射特科群、方面通信群、方面情報隊、方面後方支援隊、方面特科隊、方面航空隊、方面会計隊、方面衛生隊、補給処、方面音楽隊、方面指揮所訓練支援隊が方面隊隷下部隊として配備されています。

次回以降にここに提示しました方面隊直轄部隊の位置づけやその編成案について掲載する事とします。基本的に戦闘部隊は後方策源地等を防護する、若しくは戦闘支援部隊という位置づけではありますが、この方面隊の任務は広域師団と装甲機動旅団や航空機動旅団においても代わるものでは無いでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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