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ウクライナへ米軍余剰のAH-1S/AH-1W攻撃ヘリコプター供与可能ならば冬季戦闘は一気にウクライナ優位へ

2022-12-04 07:01:01 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍地対空ミサイルが枯渇しているならばヘリコプターの活躍の場が生まれます、21世紀の戦争であるにもかかわらず両軍ともに殆ど空軍を活用できていない戦闘を正に転換させうる。

 F-16戦闘機がウクライナへ供与される可能性について前に幾度か紹介しました、HARM対レーダーミサイルによるロシア軍防空制圧任務としてロシアのミサイル狩りを行うとか、クラスター爆弾を、非人道的といわれてもウクライナ国内で用いるので問題は限られる、ロシア軍戦車部隊に対して投入するなど、仮に実現した場合には戦況を変えうるものです。

 しかし、いくつかの視点で難しい問題があります。それはアメリカのバイデン大統領がロシア本土を攻撃できる長距離打撃力は供与しない、としていて、HIMARSから発射するATACMSロケット弾さえ供与していないのです、F-16の戦闘行動半径はATACMSよりも長く、クリミアでもロストフさえ十分その戦闘行動半径に収めています、そしてもう一つ。

 F-16戦闘機は戦闘機そのものの操縦技術よりもシステムの運用技術に高い水準が求められます、故に地上シミュレータの重要性が高い世代の戦闘機となっている、映画の"アイアンイーグル"のように高校生が簡単に飛行機としてとばすことは出来ても、戦闘機としてシステムを使いこなすことは出来ません。しかし、航空機の供与となると別の機種が思い浮ぶ。

 AH-1W攻撃ヘリコプターやAH-1S対戦車ヘリコプター、AH-1Wは海兵隊がここ数年間で新型のAH-1Zに置き換えている機体であり、一部は改修されているものがありますが一部は用途廃止となった機体が存在する。AH-1S対戦車ヘリコプターは陸軍州兵でも退役し、森林保護局が山林火災監視用に使うなど余剰があり、これらは供与できるかもしれない。

 冬の到来で戦車が堅い地形を縦横無尽に活動できるために戦車には有利だ、こういう視点がありますが、冬は周りの気温が下がり戦車のエンジン排熱がひときわ目立つために赤外線センサーを搭載した対戦車ヘリコプターには絶好の狩り場、ロシアのように低空飛行すると撃墜されるでしょうが、NATOや自衛隊のように低く匍匐飛行すれば撃墜は困難だ。

 いままでなぜ供与しなかったのか、と訝る方もいるでしょう。しかし、緒戦の状況で供与したとしても短期間で地対空ミサイルに撃墜されていた可能性が高いのです。一方現在、ロシア軍は地対空ミサイルをかなり撃ち尽くしている、ここでアメリカが対戦車ヘリコプターをウクライナ軍へ訓練教育し供与した場合、冬季の戦場はロシアに不利となります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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