■週報:世界の防衛,最新10論点
今回は陸軍関係の最新情報10論点を。軽装備部隊の印象が強い空挺部隊や軽歩兵部隊の重装備化は現代の新しい潮流となるのかもしれません。

アメリカの第101空挺師団はJLTV統合軽戦術車輛による105mm野砲機動試験を実施しました。JLTV統合軽戦術車輛はアメリカ陸軍がハンヴィー高機動車の後継として軽歩兵旅団戦闘団へ配備している軽装甲車両で、重機関銃や砲弾などの簡易爆発物に対する高い防護力と、従来の耐爆車輛を超える高い機動力を有している新世代の軽量装甲車両です。

M-119A3-105mm榴弾砲は通常榴弾で射程15km、射程延伸弾により19kmの打撃力を発揮する榴弾砲でありA3型はデジタル標定装置を追加採用した最新型です。アメリカは2001年から2021年まで続いたテロとの戦いを背景に軽歩兵部隊を重視していましたが、中国ロシアとの摩擦を背景に緊急展開能力に秀でた歩兵旅団戦闘団の重装備化を進めています。

軽歩兵旅団戦闘団には、しかしM-119A3-105mm榴弾砲ではなく155mm装輪自走砲の装備が計画され、スウェーデン製アーチャー自走榴弾砲や日本の19式装輪自走榴弾砲を含め比較検討が為されています。このため、JLTV統合軽戦術車輛による105mm野砲機動は空挺部隊に限定されるのか、普遍的に行われるのかについても大きな関心事と云えましょう。
■ロシア,SDM-1の装輪戦車化
16式機動戦闘車とは別物のような強力な装輪先頭車両が誕生するのやもしれません。

ロシアのロステック社は125mm滑腔砲搭載の装輪戦車開発を発表しました。これは空挺部隊用に開発したSDM-1スプルート対戦車自走砲を原型とし、SDM-1は装軌式車体を有する軽戦車としての特性を有していますが、これを装輪車体へ搭載することで強力な装輪戦車として転用するとのこと。装輪化により、最高速度70km/hから大幅に強化されます。

SDM-1スプルート対戦車自走砲派生型装輪戦車は基本的に輸出用とのこと。AMX-10RCや16式機動戦闘車など現在各国が運用する戦車駆逐車や装甲機動砲主砲は105mmであり、世界では例外的にイタリアのチェンタウロ2が120mm砲を搭載しているに過ぎません、125mm戦車砲によりSDM-1スプルート対戦車自走砲は優位に立つ事を展望しています。

105mm砲により正面装甲を貫徹できる第二世代戦車は年々少なくなっており、新型弾薬によっても装輪機動砲の耐えられる反動では、第三世代戦車の標準装備となっています複合装甲の貫徹は難しく、今回提示された2M46戦車砲を搭載するSDM-1スプルートの砲塔を採用する装輪戦車は、主力戦車に打撃力で対抗できる新潮流の一つと云えましょう。
■ロシア軍戦車を海外派遣
国家の意志を強く示すのは歴史的経緯からも戦車の威力なのでしょうか。

ロシア連邦軍はアフガニスタン情勢をにらみタジキスタンへT-72戦車大隊を派遣します。タジキスタンはアフガニスタンと国境を接しており、今回派遣されるのは近代化改修型のT-72-B3M主力戦車、旧ソ連構成国であり友邦であるタジキスタンにはロシア軍部隊が常駐していますが、戦車部隊は重視されておらず、配備は2021年末までに30両を派遣します。

ロシア軍のタジキスタン駐留部隊は第201軍事基地駐留部隊という、その強化は8月にもBMP-2装甲戦闘車能力向上型17両を派遣しており、またASVK-M/Kord-M対物狙撃銃も大量配備され、国境地域での警戒監視に充てているとされています。現在ロシア軍が国外に派遣する部隊としては最大規模とされ、アフガニスタン情勢悪化の波及を警戒している。
■ドイツ,巨大なHX-3の自走砲化
19式装輪自走榴弾砲を一挙に陳腐化させるような装軌式自走榴弾砲を凌駕する火砲の登場です。

ドイツのラインメタル社はMAN社製HX-3重多目的トラックを用いた新型装輪自走砲を開発しました。この装輪自走砲は試作車には52口径155mm榴弾砲を搭載していますが将来的には60口径155mm榴弾砲を搭載し、通常榴弾でも80kmの長射程を実現するとしています。現在世界の標準新世代火砲は52口径であり、60口径は画期的な火砲となります。

HX-3重多目的トラックは、陸上自衛隊の19式装輪自走榴弾砲と同じMAN社製ですが、新型自走砲に採用されるものはHX-10×10の10輪型トラックとなり一回り大型です。火砲は完全自動装填装置を採用した砲塔をそのまま搭載、従来はPzH-2000自走榴弾砲のように装軌車体の方が重量の大きな火砲に適しているとされていましたが、発想は一転する。

新型装輪自走砲は戦車輸送車にも採用のHX-3重多目的トラックを用いており、PzH-2000と同等の52口径155mm榴弾砲を採用していますが、40発の砲弾を搭載してなお5tの搭載余裕があり、開発中のL-60/60口径榴弾砲を搭載予定です。既に70kmに達する超射程砲弾はありますが、全て誘導砲弾であり、本砲は通常榴弾にて80km射程を期すようです。
■チェコ軍CV-90導入を検討
CV-90というのは日本の89式装甲戦闘車よりも高価な車両なのですが東欧ではこのくらい必要なのか。

チェコ軍が進めるBMP-2装甲戦闘車後継計画に8月、BAE社によりCV-90Mk4装甲戦闘車が提示されたとのこと。CV-90はスウェーデンが開発した傑作装甲戦闘車、各型がスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、エストニア、スイス、オランダ、と欧州で広く採用されており欧州における標準装甲戦闘車としての地位を固めています。

今回提案されたCV-90Mk4装甲戦闘車はコングルベルク社製30mm遠隔操作砲塔を搭載したもので、40mm機関砲を搭載した原型よりは火力が抑えられているものの砲塔操作が自動化された。従来のCV-90へ外部視察装置や車体状況把握システム自己診断装置へAI人工知能を採用し、整備負担や周辺状況把握を自動化させ、乗員の負担を低減させたとのこと。
■豪州,戦車と無人機を連携
日本も10式戦車もこの種の技術強化を進めなければ最早正式化から11年が過ぎているのです。

オーストラリア陸軍はM-1エイブラムス戦車部隊をアメリカのMQ-4Cトリトン無人機と連動させる評価試験と実証実験を9月23日から30日まで実施しています。参考までに、オーストラリア海軍はMQ-4Cトリトン無人機6機の導入を計画しています。この契約は既に2018年6月に成約しており、地上管制システムを加えて14億ドルで整備されます。

オーストラリア軍はレオパルド1戦車の後継として2007年にM-1エイブラムス戦車を導入しましたが、旧式化が始まった事を受け、オーストラリア軍では2022年9月末日までに近代化改修が行われており、この際にMQ-4Cトリトン無人機とのデータリンク能力整備が決定しており、ノースロップグラマン社とのあいだで1583万ドルを投じて進展中です。

M-1エイブラムス戦車部隊とMQ-4Cトリトン無人機の協同は、高高度を飛行する無人偵察機により戦車の脅威となる目標に関する情報収集や戦車同士の部隊間データリンク支援など、戦車部隊の高度な運用が可能となります。一方で近年、地対空ミサイル長射程化が進んでおり、この種の無人偵察機が将来戦場においてどの程度生存性を持つかは未知数です。
■トルコ製ParsIV最新型発表
特殊部隊用というよりは長距離スカウト任務用ということなのかもしれない。

トルコのFNSS社は特殊部隊用ParsIV-NG-WAV装輪装甲車の試作車を発表しました。特殊部隊用装甲車と云えば武骨な小型で空輸性の高いものを創造するものですがParsIV-NG-WAVは八輪式の装輪装甲車で、車体前部に2名用操縦室を有し、後部に最大10名規模の兵員を輸送する多目的区画を有し、モジュラー構造を採用している装甲車です。

ParsIV-NG-WAVは、単独での長距離偵察を担う装甲車両で、空輸により落下傘投下する種類の特殊戦車輛ではありませんが、各国特殊部隊の運用する四輪駆動車派生の特殊戦車両とは比較にならない戦闘能力を有しています。Pars装甲車はシリーズ化されており、6輪型が既にマレーシアなどにも輸出、歩兵輸送車両や指揮通信車として運用されています。
■米軍,ノラB52-M21評価試験
軽歩兵旅団戦闘団ではありますが重量級から軽量級まで装輪自走砲をアメリカはひと通り調査しているようですね。

セルビア軍はアメリカ陸軍将来火砲選定へノラB52-M21を参加させ射撃試験を完了させました。アメリカ陸軍では歩兵旅団戦闘団へ配備する新型自走榴弾砲を必要としており、従来はC-130輸送機への搭載能力を必須としていましたが、今後想定される第一線砲兵戦闘を考慮した場合、充分と言い難く、世界各国の自走榴弾砲を参考として選定しています。

ノラB52-M21は28tの装輪自走榴弾砲で52口径155mm砲を装備し自動装填装置により毎分最大12発を射撃、特殊装薬BBを用いた場合の最大射程は58kmに達するとのことです。このほか日本製19式装輪自走榴弾砲、韓国製K-9,スウェーデン製アーチャー、フランス製カエサル、南アフリカ製G-6,スロバキア製ダナ自走榴弾砲等が選定に参加しています。
■マレーシアのMD-530G
この規模の軽武装ヘリコプターと云うのは従来型の戦闘についてどの程度対応するかも関心事だ。

マレーシア陸軍向けに製造が進むMD-530G軽攻撃ヘリコプターは完成しMDヘリコプター社によりPDI納入前検査を受けているとのこと。マレーシア陸軍は2016年にMD-530Gを6機7640万ドルで導入する契約を締結しています。MD-530GはMD-500シリーズの軽攻撃型で12.7mm機銃ポッドやヘルファイア対戦車ミサイル等を搭載します。

MD-530G軽攻撃ヘリコプターはフランス製SA-316アルーエットⅢ観測ヘリコプターの後継機という位置づけです。マレーシア軍は先行し2005年にアグスタウェストランドAW-109を導入していますが、今回はアメリカ製航空機となりました。一方、マレーシア軍はAH-64Eアパッチガーディアンなど、専用の攻撃ヘリコプター導入計画が進んでいます。
■MCL多連装徘徊式弾薬発射器
無人機の多数同時運用は研究こそ進んでいるのですがアメリカでは具体的装備が中々出てこないように思う。

アメリカ海兵隊はUビジョン社よりMCL多連装徘徊式弾薬発射装置導入を発表しました。MCL多連装徘徊式弾薬発射装置は120OPF発射装置を搭載し、LAV-MCLとして海兵隊が運用するLAV軽装甲車に搭載、120OPF発射装置は各種8基までの徘徊式弾薬を搭載、車体そのものはLAV軽装甲車としての防御力を有しM-240軽機関銃も搭載しています。

LAV-MCL から運用される徘徊式弾薬は対人及び小型目標対処用のHero-30と装甲目標への対処能力を有するHero-120及び長距離打撃を担うHero-400等を搭載する事としており、75km圏内の目標へ対応するとのこと。戦闘地域や競合地域上空で敵車輛や敵部隊の動向を上空から徘徊する事で監視し、高付加価値目標を発見次第、体当たり攻撃を行います。

近年新しい装備体系を構築している徘徊式弾薬ですが、アメリカ陸軍では固定翼航空機を空軍に移管する空軍創設時代のキーウェスト合意があり、スイッチブレード無人機等一部例外を除き、その装備化はもちろん、陸軍として固定翼無人機配備への遅れが在りました。この分野に一歩を果たしたのが海兵隊だ、という部分に深いものがあるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は陸軍関係の最新情報10論点を。軽装備部隊の印象が強い空挺部隊や軽歩兵部隊の重装備化は現代の新しい潮流となるのかもしれません。

アメリカの第101空挺師団はJLTV統合軽戦術車輛による105mm野砲機動試験を実施しました。JLTV統合軽戦術車輛はアメリカ陸軍がハンヴィー高機動車の後継として軽歩兵旅団戦闘団へ配備している軽装甲車両で、重機関銃や砲弾などの簡易爆発物に対する高い防護力と、従来の耐爆車輛を超える高い機動力を有している新世代の軽量装甲車両です。

M-119A3-105mm榴弾砲は通常榴弾で射程15km、射程延伸弾により19kmの打撃力を発揮する榴弾砲でありA3型はデジタル標定装置を追加採用した最新型です。アメリカは2001年から2021年まで続いたテロとの戦いを背景に軽歩兵部隊を重視していましたが、中国ロシアとの摩擦を背景に緊急展開能力に秀でた歩兵旅団戦闘団の重装備化を進めています。

軽歩兵旅団戦闘団には、しかしM-119A3-105mm榴弾砲ではなく155mm装輪自走砲の装備が計画され、スウェーデン製アーチャー自走榴弾砲や日本の19式装輪自走榴弾砲を含め比較検討が為されています。このため、JLTV統合軽戦術車輛による105mm野砲機動は空挺部隊に限定されるのか、普遍的に行われるのかについても大きな関心事と云えましょう。
■ロシア,SDM-1の装輪戦車化
16式機動戦闘車とは別物のような強力な装輪先頭車両が誕生するのやもしれません。

ロシアのロステック社は125mm滑腔砲搭載の装輪戦車開発を発表しました。これは空挺部隊用に開発したSDM-1スプルート対戦車自走砲を原型とし、SDM-1は装軌式車体を有する軽戦車としての特性を有していますが、これを装輪車体へ搭載することで強力な装輪戦車として転用するとのこと。装輪化により、最高速度70km/hから大幅に強化されます。

SDM-1スプルート対戦車自走砲派生型装輪戦車は基本的に輸出用とのこと。AMX-10RCや16式機動戦闘車など現在各国が運用する戦車駆逐車や装甲機動砲主砲は105mmであり、世界では例外的にイタリアのチェンタウロ2が120mm砲を搭載しているに過ぎません、125mm戦車砲によりSDM-1スプルート対戦車自走砲は優位に立つ事を展望しています。

105mm砲により正面装甲を貫徹できる第二世代戦車は年々少なくなっており、新型弾薬によっても装輪機動砲の耐えられる反動では、第三世代戦車の標準装備となっています複合装甲の貫徹は難しく、今回提示された2M46戦車砲を搭載するSDM-1スプルートの砲塔を採用する装輪戦車は、主力戦車に打撃力で対抗できる新潮流の一つと云えましょう。
■ロシア軍戦車を海外派遣
国家の意志を強く示すのは歴史的経緯からも戦車の威力なのでしょうか。

ロシア連邦軍はアフガニスタン情勢をにらみタジキスタンへT-72戦車大隊を派遣します。タジキスタンはアフガニスタンと国境を接しており、今回派遣されるのは近代化改修型のT-72-B3M主力戦車、旧ソ連構成国であり友邦であるタジキスタンにはロシア軍部隊が常駐していますが、戦車部隊は重視されておらず、配備は2021年末までに30両を派遣します。

ロシア軍のタジキスタン駐留部隊は第201軍事基地駐留部隊という、その強化は8月にもBMP-2装甲戦闘車能力向上型17両を派遣しており、またASVK-M/Kord-M対物狙撃銃も大量配備され、国境地域での警戒監視に充てているとされています。現在ロシア軍が国外に派遣する部隊としては最大規模とされ、アフガニスタン情勢悪化の波及を警戒している。
■ドイツ,巨大なHX-3の自走砲化
19式装輪自走榴弾砲を一挙に陳腐化させるような装軌式自走榴弾砲を凌駕する火砲の登場です。

ドイツのラインメタル社はMAN社製HX-3重多目的トラックを用いた新型装輪自走砲を開発しました。この装輪自走砲は試作車には52口径155mm榴弾砲を搭載していますが将来的には60口径155mm榴弾砲を搭載し、通常榴弾でも80kmの長射程を実現するとしています。現在世界の標準新世代火砲は52口径であり、60口径は画期的な火砲となります。

HX-3重多目的トラックは、陸上自衛隊の19式装輪自走榴弾砲と同じMAN社製ですが、新型自走砲に採用されるものはHX-10×10の10輪型トラックとなり一回り大型です。火砲は完全自動装填装置を採用した砲塔をそのまま搭載、従来はPzH-2000自走榴弾砲のように装軌車体の方が重量の大きな火砲に適しているとされていましたが、発想は一転する。

新型装輪自走砲は戦車輸送車にも採用のHX-3重多目的トラックを用いており、PzH-2000と同等の52口径155mm榴弾砲を採用していますが、40発の砲弾を搭載してなお5tの搭載余裕があり、開発中のL-60/60口径榴弾砲を搭載予定です。既に70kmに達する超射程砲弾はありますが、全て誘導砲弾であり、本砲は通常榴弾にて80km射程を期すようです。
■チェコ軍CV-90導入を検討
CV-90というのは日本の89式装甲戦闘車よりも高価な車両なのですが東欧ではこのくらい必要なのか。

チェコ軍が進めるBMP-2装甲戦闘車後継計画に8月、BAE社によりCV-90Mk4装甲戦闘車が提示されたとのこと。CV-90はスウェーデンが開発した傑作装甲戦闘車、各型がスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、エストニア、スイス、オランダ、と欧州で広く採用されており欧州における標準装甲戦闘車としての地位を固めています。

今回提案されたCV-90Mk4装甲戦闘車はコングルベルク社製30mm遠隔操作砲塔を搭載したもので、40mm機関砲を搭載した原型よりは火力が抑えられているものの砲塔操作が自動化された。従来のCV-90へ外部視察装置や車体状況把握システム自己診断装置へAI人工知能を採用し、整備負担や周辺状況把握を自動化させ、乗員の負担を低減させたとのこと。
■豪州,戦車と無人機を連携
日本も10式戦車もこの種の技術強化を進めなければ最早正式化から11年が過ぎているのです。

オーストラリア陸軍はM-1エイブラムス戦車部隊をアメリカのMQ-4Cトリトン無人機と連動させる評価試験と実証実験を9月23日から30日まで実施しています。参考までに、オーストラリア海軍はMQ-4Cトリトン無人機6機の導入を計画しています。この契約は既に2018年6月に成約しており、地上管制システムを加えて14億ドルで整備されます。

オーストラリア軍はレオパルド1戦車の後継として2007年にM-1エイブラムス戦車を導入しましたが、旧式化が始まった事を受け、オーストラリア軍では2022年9月末日までに近代化改修が行われており、この際にMQ-4Cトリトン無人機とのデータリンク能力整備が決定しており、ノースロップグラマン社とのあいだで1583万ドルを投じて進展中です。

M-1エイブラムス戦車部隊とMQ-4Cトリトン無人機の協同は、高高度を飛行する無人偵察機により戦車の脅威となる目標に関する情報収集や戦車同士の部隊間データリンク支援など、戦車部隊の高度な運用が可能となります。一方で近年、地対空ミサイル長射程化が進んでおり、この種の無人偵察機が将来戦場においてどの程度生存性を持つかは未知数です。
■トルコ製ParsIV最新型発表
特殊部隊用というよりは長距離スカウト任務用ということなのかもしれない。

トルコのFNSS社は特殊部隊用ParsIV-NG-WAV装輪装甲車の試作車を発表しました。特殊部隊用装甲車と云えば武骨な小型で空輸性の高いものを創造するものですがParsIV-NG-WAVは八輪式の装輪装甲車で、車体前部に2名用操縦室を有し、後部に最大10名規模の兵員を輸送する多目的区画を有し、モジュラー構造を採用している装甲車です。

ParsIV-NG-WAVは、単独での長距離偵察を担う装甲車両で、空輸により落下傘投下する種類の特殊戦車輛ではありませんが、各国特殊部隊の運用する四輪駆動車派生の特殊戦車両とは比較にならない戦闘能力を有しています。Pars装甲車はシリーズ化されており、6輪型が既にマレーシアなどにも輸出、歩兵輸送車両や指揮通信車として運用されています。
■米軍,ノラB52-M21評価試験
軽歩兵旅団戦闘団ではありますが重量級から軽量級まで装輪自走砲をアメリカはひと通り調査しているようですね。

セルビア軍はアメリカ陸軍将来火砲選定へノラB52-M21を参加させ射撃試験を完了させました。アメリカ陸軍では歩兵旅団戦闘団へ配備する新型自走榴弾砲を必要としており、従来はC-130輸送機への搭載能力を必須としていましたが、今後想定される第一線砲兵戦闘を考慮した場合、充分と言い難く、世界各国の自走榴弾砲を参考として選定しています。

ノラB52-M21は28tの装輪自走榴弾砲で52口径155mm砲を装備し自動装填装置により毎分最大12発を射撃、特殊装薬BBを用いた場合の最大射程は58kmに達するとのことです。このほか日本製19式装輪自走榴弾砲、韓国製K-9,スウェーデン製アーチャー、フランス製カエサル、南アフリカ製G-6,スロバキア製ダナ自走榴弾砲等が選定に参加しています。
■マレーシアのMD-530G
この規模の軽武装ヘリコプターと云うのは従来型の戦闘についてどの程度対応するかも関心事だ。

マレーシア陸軍向けに製造が進むMD-530G軽攻撃ヘリコプターは完成しMDヘリコプター社によりPDI納入前検査を受けているとのこと。マレーシア陸軍は2016年にMD-530Gを6機7640万ドルで導入する契約を締結しています。MD-530GはMD-500シリーズの軽攻撃型で12.7mm機銃ポッドやヘルファイア対戦車ミサイル等を搭載します。

MD-530G軽攻撃ヘリコプターはフランス製SA-316アルーエットⅢ観測ヘリコプターの後継機という位置づけです。マレーシア軍は先行し2005年にアグスタウェストランドAW-109を導入していますが、今回はアメリカ製航空機となりました。一方、マレーシア軍はAH-64Eアパッチガーディアンなど、専用の攻撃ヘリコプター導入計画が進んでいます。
■MCL多連装徘徊式弾薬発射器
無人機の多数同時運用は研究こそ進んでいるのですがアメリカでは具体的装備が中々出てこないように思う。

アメリカ海兵隊はUビジョン社よりMCL多連装徘徊式弾薬発射装置導入を発表しました。MCL多連装徘徊式弾薬発射装置は120OPF発射装置を搭載し、LAV-MCLとして海兵隊が運用するLAV軽装甲車に搭載、120OPF発射装置は各種8基までの徘徊式弾薬を搭載、車体そのものはLAV軽装甲車としての防御力を有しM-240軽機関銃も搭載しています。

LAV-MCL から運用される徘徊式弾薬は対人及び小型目標対処用のHero-30と装甲目標への対処能力を有するHero-120及び長距離打撃を担うHero-400等を搭載する事としており、75km圏内の目標へ対応するとのこと。戦闘地域や競合地域上空で敵車輛や敵部隊の動向を上空から徘徊する事で監視し、高付加価値目標を発見次第、体当たり攻撃を行います。

近年新しい装備体系を構築している徘徊式弾薬ですが、アメリカ陸軍では固定翼航空機を空軍に移管する空軍創設時代のキーウェスト合意があり、スイッチブレード無人機等一部例外を除き、その装備化はもちろん、陸軍として固定翼無人機配備への遅れが在りました。この分野に一歩を果たしたのが海兵隊だ、という部分に深いものがあるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)