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ウクライナ情勢-Kh-47M2キンジャールミサイル使用再開とクピャンスク地区のロシア軍新型徘徊式弾薬

2023-12-22 07:00:28 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナへ供与が間もなく開始されるF-16戦闘機など航空装備の数が揃うならばある程度この種の装備に対する対抗手段と成り得るのでしょうか。

 ロシア空軍は12月14日、夏以来となるKh-47M2キンジャールミサイルによる攻撃を実施した、12月19日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告にその概況が示されました。今回使用されたものは少なくとも1発、ウクライナ中央部にある軍用飛行場を標的として発射したものの、ウクライナ軍防空砲兵により迎撃、無力化されたもようです。

 Kh-47M2キンジャールミサイルはMiG-31戦闘機などにより成層圏近くの高高度から発射するもので、原型はイスカンデルミサイル、つまり短距離弾道弾を高高度から発射することで射程と落下速度を稼ぐという空中発射弾道弾で、今回はそのほかの様々なミサイルや無人機とともに発射され高付加価値目標を狙いましたが、失敗したもようです。
■新型徘徊式弾薬
 問題は即座の致死性を発揮出来ているかということなのですがウクライナ軍はロシア軍に対して目標標定から攻撃までの時間を短縮している為にこの種の無人機運用で対抗出来ているという。

 ウクライナ軍はクピャンスク地区においてロシア軍の新型徘徊式弾薬の運用を確認した、ISWアメリカ戦争研究所12月16日付戦況報告がその概況を発表しました。これはウクライナ軍第3強襲旅団のボロディン報道官の発言として、従来使用していたランセット無人機、所謂自爆用無人機に代え徘徊式弾薬を運用し始めており、有効性が高いという。

 徘徊式弾薬とは目標を定めず戦域上空へ発射させ、発射後数十分から百数十分間にわたり戦場上空を徘徊し、目標を探し続けるとともに発見と同時に自爆攻撃を加えるというもので、20年前にイスラエルの防衛企業がハーピーシステムとして発表、2020年ナゴルノカラバフ紛争においてはアゼルバイジャン軍が大量使用したことで知られます。
■バフムト近郊
 ゼレンスキー大統領が反転攻勢を比較的早い時期に集結させ防御に転じたのは現状を見れば正解であり、人命を第一とした損切ができる指導者なのだと感心しました。

 ロシア軍はバフムト近郊において前進に転じた、ISWアメリカ戦争研究所12月17日付戦況報告によれば、ロシア軍はバフムト西方地区とバフムト南西地区において前進、またこの前進を許している背景としてロイター通信などによれば、アメリカのウクライナ支援などが議会共和党反対により停滞していることで弾薬枯渇に陥っているとされます。

 ウクライナ軍弾薬枯渇は砲撃の火力へ覿面の悪影響を及ぼし、アウディイフカ周辺でもロシア軍が僅かに前進したとのこと。ただ、クピャンスク地区ではウクライナ軍も反撃を継続しており、アウディイフカ周辺南西15㎞にあるネヴェルスケまでウクライナ軍は前進、一方でロシア軍もまとまった装甲部隊による激しい抵抗を加えているとのこと。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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