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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

普天間移設見直しが必要だ,沖縄県議選県知事派過半数維持に改めて辺野古飛行場への反対民意

2020-06-08 20:19:44 | 国際・政治
■普天間維持という選択肢
 南西諸島への軍事圧力が高まる中で巨費を投じ新飛行場建設を行うよりも既存施設の活用と浮いた費用での旧式装備更新など優先項目は多いとおもうところ。

 7日日曜日に行われました沖縄県議会選挙は玉城県知事派の県政与党が議席を若干減らし25議席となりましたが、自民党はじめ県政野党議席数は23議席となり、玉城知事派は過半数の24議席を辛うじて維持することとなりました。玉城知事は名護市辺野古へのアメリカ軍普天間飛行場移設反対を掲げた故翁長知事の県政を継承し民意を示したかたちです。

 沖縄県議会選挙。この注視すべき点は普天間飛行場の名護市辺野古への移設が最大の争点となっている点で、国の進める飛行場建設と地元自治体の徹頭徹尾たる反対という構図が浮き彫りになっている事でしょう。そして名護市辺野古移設を提示して以降、沖縄県では政府与党は基本的に劣勢となっており、民意の乖離という現状がみえるといえましょう。

 普天間移設、中止してはどうか。政府はここまで政治争点化している普天間飛行場の名護市辺野古への移設、海浜を埋め立てての飛行場施設建設を思い切って中止し、普天間飛行場を安全性向上の上で維持する方法を模索してはどうでしょうか。海浜埋め立てに膨大な国費を投じて沖縄県民の反発を買うくらいならば、その費用でヘリでも買った方がよい。

 在沖米軍がなぜ必要か、と問われれば、台湾海峡と朝鮮半島、台湾海峡を人民解放軍が越える状況となれば日本シーレーンは根本から遮断され、朝鮮半島有事が現実となれば次の最前線が北九州と成る。米軍が巨大な抑止力で軍事的現状変更を許さぬ構図が必要であり、米軍が無ければ日本が憲法改正し独力で海峡や半島の現状維持を行う責任に迫られる。

 自国を自分で守れないのか、という問いには守れる、という答えを用意できます。沖縄本島に人民解放軍が上陸した場合でも事前に北海道の戦車部隊を転地し沖縄本島に広く配備するならば、人民解放軍の渡洋作戦能力では沖縄を陥とす事は出来ません。しかし憲法上専守防衛の日本でこれを行えば、勝てるとしても戦場は国土、沖縄戦となってしまいます。

 台湾海峡有事を回避する為に必要であれば介入の姿勢を示す、介入のリスクがある為に簡単に軍事行動を起こす事が出来ない、これが抑止力、というもので何も戦争する事は目的ではなく戦争を回避するための準備というものなのですが、現行憲法と周辺国との防衛協力体制未着手から日本にこうした選択肢は薄く、結果的に周辺地域は米軍に依存するかたち。

 普天間飛行場は住宅地の真ん中に在る為に危険だ、という。具体的には旧軍中飛行場付近の住宅街などが1945年の沖縄戦で灰燼に帰し、住民を避難所に隔離している最中に日本本土決戦への基地施設として造営された数多の基地施設の一つが普天間飛行場で、アメリカ海兵隊が運用、有事の際にはアメリカ本土からの数百機の海兵隊航空機受入拠点ともなる。

 CH-53重輸送ヘリコプター墜落、全てはここが発端でした。普天間基地より訓練飛行に当たったアメリカ海兵隊の重輸送ヘリコプターが普天間基地近傍の沖縄国際大学構内に墜落炎上、奇跡的に学生や周辺住民に死傷者はでませんでしたが、これを受け当時のアメリカブッシュ政権が基地移設へ前向きな姿勢を示したことから移転事業が本格化しました。

 ラムズフェルト国防長官。当時のアメリカ国防長官が普天間飛行場を視察した際に、この施設を住宅地のと距離から"世界一危険な飛行場"と発言、これも1990年代から模索されていた飛行場移設を後押しすることとなります。そして2005年の小泉政権時代に一旦は名護市の海兵隊キャンプシュワブ沖合に海上ヘリポート建設を行うとして合意したわけです。

 海兵航空部隊は海兵隊地上戦闘部隊と一体運用されており、水陸両用作戦では航空部隊が沿岸接近経路を制圧した上で上陸と揚陸を行うため、駅舎とホーム、滑走路と空港、発電施設と送電施設、売場と会計のように切り離すことはできません。すると在沖米軍の主力は空軍第18航空団と海兵隊第3海兵遠征軍、飛行場施設は沖縄本島に必要となります。

 鳩山内閣。名護市への移設は沖縄県も当初は合意していましたが、2009年の自民公明連立政権より民主党連立政権へ政権交代となった際に名護市辺野古移設中止が政権公約に盛り込まれ、再検討されることとなりました。しかし、航空部隊だけグアム移転や九州に北海道、関西空港へ移設する案なども検討されましたが、どれも遠すぎ合意に至りません。

 関西空港のターミナルビルが那覇空港にあったらば、那覇の手荷物検査場を経て関空まで那覇港から大阪南港までフェリーで移動するようなもので、不便でしょう。結果的に移設先を同じ辺野古とすることで再度合意し、しかし決定は動かし得るものとして沖縄県と政府の対立は続く菅内閣時代から今日まで続いています。実際、対立は10年続いている。

 世界一危険な飛行場というのはほんとうなのか。墜落事故は発生していますが、住宅地からの近さであれば、岐阜基地はそれこそ滑走路と誘導路の直ぐとなりが住宅街、小松基地は空爆に備える戦闘機シェルターから住宅まで500mありません、八尾駐屯地は滑走路から3km圏内に学校が14ありますし、浜松基地も入間基地も状況はほぼかわりません。

 千歳基地は広大な北海道にありますが施設に隣接して千歳市本町の住宅街が広がっていますし、神奈川県の厚木基地も同様、住宅地から離れている飛行場というと飛行場が広大な駐屯地の中にある北海道の帯広駐屯地や旭川駐屯地、あとは2000年代に海を埋め立てて建設した舞鶴航空基地、丘陵地上にある新田原基地などを思い出すところでして少数派です。

 普天間移設を中止してはどうか。むろん名護市移設中止と併せて普天間廃止が県民の民意です。一方で、名護市移設は自民党の橋本内閣時代からの悲願である嘉手納以南米軍基地全面返還、那覇空港から車で一時間は基地のない沖縄を実現する、というものでした。この観念は立派なのかもしれませんが、そのために地元の民意を無視するのは、どうか。

 嘉手納以南全面返還。名護市に移設することで本島北部振興という民意にも応えるものですが、ここまで対立を呼んでは意味がありません。既に埋め立てた部分は飛行場ではなく防災倉庫にでも転用するとして、例えば自衛隊の那覇基地や本土の基地へ普天間の訓練移転を更に強化し、その上で安全第一のもとで普天間飛行場の維持、検討すべきと思います。

 辺野古埋め立ては、海岸地質の問題から更に一兆円以上の費用を要するという試算も。それならば今埋め立てた部分だけで飛行場は断念し、揚陸艦のLCACエアクッション揚陸艇整備施設や米軍ではなく日本政府が用いる政府防災倉庫に転用するか、どうしても飛行場というならば官民の防災ヘリコプターなども用いうるヘリパットで体裁を整えればよい。

 アメリカが求めている日本への防衛負担は、建設に原子力空母よりも高価な飛行場を誇示させて額面だけ防衛負担を強調されるよりも、減る一方のAH-1S対戦車ヘリコプターや機動力を欠いた89式装甲戦闘車などの増強、F-35戦闘機の増勢により、自分の国とその周辺地域の防衛や抑止力を自国で担えるように整備することの方が優先度は高いでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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