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中国軍-沖縄県沖我が国EEZ内含む台湾周辺海域で本日正午より演習を宣言,台湾海峡危機再燃か-特異な緊張状態

2022-08-04 07:00:57 | 防衛・安全保障
■臨時情報-台湾周辺情勢
 台湾海峡危機というよりも台湾危機といい得る日本の地政学的リスクに直結しかねない緊張です。

 中国軍は沖縄県の与那国島と波照間島から60kmの海域を含む台湾周辺海域において本日1200時から7日に掛けて大規模な軍事演習を実施すると一方的に通告を行いました。演習海域には我が国EEZ排他的経済水域が含まれるとともに、我が国防空識別圏に隣接し演習海域は設定されている為、かつてないほどに沖縄近海での緊張が高まる懸念があります。

 日本の防空識別圏への侵入が恒常的に行われる懸念が在り、アメリカ空軍はかなりの数の空中給油機を沖縄の嘉手納基地に展開させていますが、演習の性格によっては自衛隊もCAP戦闘空中哨戒、つまり戦闘機を長時間滞空させ警戒を行う必要が出てくるでしょう、その際にアメリカ空軍の空中給油機での空中給油支援が必要となる可能性もあるでしょう。

 ペロシ下院議長の台湾訪問へ反発しての演習ですが、訪問前から中国海軍は渤海と上海沖や台湾海峡、香港南西沖と南東沖、そして海南島近海において軍事演習を発表していました、しかし8月3日、演習海域を大幅に変更し日本のEEZ排他的経済水域を含む台湾の北部沖と南西部沖および南東部沖の6空海域を演習海域に追加しました、これは異例です。

 与那国島は、特に同島北方海域と南方海域に中国軍が演習海域を設定しており、流石に防衛出動待機命令が発令される可能性は低いのですが、中国海軍艦艇の動向によっては海上警備行動命令発令の可能性も考慮しておかねばなりません。ただ、演習海域を設定したものの中国側が日本を刺激しないよう自制する可能性も僅かにありますが、注視が必要だ。

 台湾封鎖の前段階を再現か、懸念されるのは今回設定された演習海域が台湾の金門県と台湾島の中間海域が含まれるとともに台湾島の領海12浬内が含まれており、仮に日本が同じことを中国沿岸で行えば開戦となるほど、非常識な海域設定が行われている点です。そしてもう一つ留意すべき点は演習の目的は示威でしょうが、その相手の問題があるという。

 ペロシ下院議長の台湾訪問、しかしアメリカは一つの中国原則に抵触した訳でもなく、アジア歴訪の一環という位置づけを堅持しています、その施策に対して過剰反応し、今後台湾との国際関係を省かせる圧力を掛けたという前例を残させない為に、アメリカ海軍とアメリカ空軍及び海兵隊も示威行動に対し正面から向き合う行動を執る公算が非常にたかい。

 アメリカが絶対避けなければならないのは中国の軍事圧力により“開かれたインド太平洋”という基本政策が破綻する事であり、しかし中国が避けたいのは“アメリカがこの地域での現在の行動の継続”です。他方、これは日本という視点から見ますと、アメリカの施策が維持出来なければ、台湾近海という日本とアジアやインド洋からの海上航路に影響する。

 台湾有事への導火線と一見見える行動ですが、現実としては山林火災における防火帯を構築しようとしている行動といえるのかもしれません。他方で、防火帯の構築には日本御防衛協力が求められる、または日本そのものの安全保障に直結する状況でもあり、海洋安全保障国際公序では後世この瞬間が分岐点と評価されるかを左右する状況ともいえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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