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将来艦隊戦闘と巡航ミサイル【8】 艦隊ミサイル戦力向上期す、むらさめ型護衛艦トマホーク搭載案

2016-09-28 22:42:31 | 先端軍事テクノロジー
■むらさめ型トマホーク搭載案
 潜水艦にトマホークを搭載し、周辺国の我が国主要都市への攻撃に対する報復的抑止力を整備する視点、そして前回、新たに視点を転じて艦対艦ミサイルの長射程化へトマホークを以て対応する施策を示しました。

 むらさめ型護衛艦、むらさめ、はるさめ、ゆうだち、きりさめ、いなづま、さみだれ、いかづち、あけぼの、ありあけ、以上9隻が配備、満載排水量6200tの護衛艦はステルス性に配慮し、対水上対潜対空の一通りの能力を有する近代的な護衛艦です。RGM-109E/RGM-109Hを搭載する護衛艦として護衛艦隊に9隻が配備されている汎用護衛艦を提案します。

 四個護衛隊群に配置されているミサイル護衛艦中心のDDG部隊は4個、各部隊に2隻を配置できることとなります。この護衛艦むらさめ型を提示しました背景ですが、本型の特異な装備配置方式に着眼したものです。むらさめ型護衛艦は、船体中央部に個艦防空用ミサイルシースパローを搭載するMk48VLSを配置しています。

 これはアメリカ海軍がシースパロー用に開発したVLSですが、海上自衛隊が採用を決定したものの、アメリカ海軍では艦隊防空ミサイルをイージス艦に統合する指針が示され、結果イージス艦へ搭載するMk41を大量配備する事としMk48の大量配備は行われていません。もちろん、そのことをもってMk48選定やMk41導入への遅滞は、日本側の視点等を問題とするのではなく、改修の方式や将来運用体制に転換が生じ得る、余地が生まれている事に気付くべきでしょう。

 将来運用の余地とは、それはMk48からの改修の余地が生まれ、この結果広い区画が余剰区画 として生まれる可能性です。むらさめ型護衛艦は、潜水艦を攻撃するアスロック用に船体前部にMk41VLSを、個艦防空用にMk48VLSを船体中央部に配置する変則的な配置を採用しました。今回注目したいのは、Mk48VLSの広い区画をRGM-109E/RGM-109H搭載区画に一部転用することです。もともとMk48はMk41の軽量型として開発されましたが、初期型のMk.48 Mod.0から、発展型シースパローESSMの搭載能力を付与するためにMk.48 Mod.4へと改修しました。

 これによりVLS1基、1セルあたりのミサイルはESSMが長射程化と小型化を両立させることに成功しましたので4倍となっていますが、必要なミサイル数を搭載した場合でも空間に余裕が出てきたわけです。そこで、護衛艦の上部構造物にミサイルを搭載する、具体的には、Mk41を8セル程度追加し、ここにRGM-109E/RGM-109Hを搭載する、ということ。

 もしくは、前甲板にアスロックを収容した16セルのMk41がありますので、8セルの中央部Mk41VLSを追加した上でここにアスロックを移転し、前部VLS区画に16発のRGM-109E/RGM-109Hを搭載する、という選択肢も考えられるでしょう。むらさめ型は9隻、4個護衛隊へ分散配置した場合でも余裕があります、2隻で各16基を運用した場合32発を投射可能で、射程3000kmを有しますので艦隊として離隔していた場合でもそれほど問題になりません。

 またRGM-109E/RGM-109Hが対艦攻撃能力を有していますので、DDHを中心とした護衛隊に対しても、ミサイルによる支援を展開する事が可能でしょう。イージス艦による弾道ミサイル防衛任務ですが、この際にイージス艦は広域防空能力を弾道ミサイル防衛へ指向させることで個艦防空に制約が加わる可能性があるとして、海上自衛隊ではミサイル防衛に当たるイージス艦を掩護するべく、僚艦防空能力として限定的な艦隊防空能力を有するFCS-3を搭載した護衛艦あきづき型を開発、あきづき、てるづき、すずつき、ふゆづき、の4隻がミサイル防衛に当たる4個護衛隊へ配備されています。

 護衛隊はイージス艦と汎用護衛艦3隻との編成ですので、あきづき型護衛艦1隻、むらさめ型2隻、という構成を基本とし、ミサイル防衛に当たると共に、ミサイル策源地への打撃という任務を併せて実施する、という運用が可能となります。RGM-109E/RGM-109Hを搭載する事で敵には高付加価値目標となりますが、この場合はイージス艦の防空支援をうけることで行動が可能でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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