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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

C-2輸送機を原型としてより大型の戦略輸送機を開発できないか

2010-08-27 23:46:56 | インポート

◆C-2の川崎重工が全力を挙げれば可能性も

 自衛隊のパキスタン緊急人道支援部隊海上輸送隊が輸送艦しもきた、とともに横須賀基地を出航したとのことです。

Img_7331  輸送艦しもきた艦上には、防塩皮膜を施されたCH-47輸送ヘリコプターが二機並んでいましたので、三機派遣されるとのことですから、残る一機はロシアの大型輸送機にて派遣されるのでしょう。底で思ったのは、今後、自衛隊のこうした活動が行われる場合、国産のC-2輸送機でもCH-47は輸送できない、という状況が続くのをどうにか出来ないか、ということです。

Img_9678  非現実的ではあるのですが、C-2の技術の延長上に、実証機のようなかたちでもいいのでCH-47JA輸送ヘリコプターや、技術的な目安として戦車のような大型車両も搭載が可能な四発の大型輸送機を量産の為の生産ライン整備という事を度外視して数機程度製造できないだろうか、という話です。

Img_3292  現在、UH-1多用途ヘリコプターを搭載したC-130H輸送機がパキスタンに向かっており、カタールのアルジャジーラテレビでもパキスタンに展開した自衛隊の映像が出ていました。このC-130を搭載能力や巡航速度といった面ではるかに凌駕する輸送能力を持っているのがC-2輸送機です。

Img_0608  かつて、トルコにおいて大地震があり自衛隊が緊急人道支援任務で仮設住宅などを輸送した際には、輸送艦おおすみ、を中心に掃海母艦、補給艦の3隻で艦隊が編成され、迅速に展開しましたが、ハイチ地震PKOのような緊急展開を必要とする際には、日本の輸送機に搭載できない装甲車両などはロシアの輸送機をチャーターして対応していました。

Img_6387  ロシアの輸送機の輸送能力はアントノフAn-124など非常に大きなものがあるのですけれども、例えばルワンダPKOに際して82式指揮通信車を輸送する際には通関手続きの問題で一日モスクワに足止めされるなど、外因要素で遅延の原因となる事を露呈しました。日本に大型輸送機があれば、経路を設定する際にこうした状況を避ける事も出来たでしょう。

Img_1586  この点、C-2輸送機の部隊配備が進めば最大搭載量37t、そして26t搭載時に6500kmを飛行できる、という能力を要求水準として開発していますので、装甲車等の装備や航空機材の輸送が可能となっており、緊急人道支援任務や国際平和維持活動と言った自衛隊の海外での任務を支える有力な装備となります。

Img_5905  10式戦車や90式戦車、99式自走榴弾砲といった特に重量の大きい車両を除けば車両の大半C-2は輸送することが可能なわけです。しかし、航空機、となると、特に今回のようなCH-47輸送ヘリコプターのような装備になりますと、米空軍でも戦略輸送機C-5は別としてもC-17では厳しいものがあるくらいで、もちろんC-2はCH-47の輸送は最初から想定していません。

Img_1023  しかし、日本はCH-47について、大型で高性能である分、取得費用や運用コストが大きいので日本のように多数を運用している国が少ないのですけれども、少ないからこそ需要がある訳で、この大型の機体を輸送できる輸送機が日本にあれば、かなり運用の柔軟性が上がるでしょう。

Img_6693  輸送能力を向上させた、日本初の戦略輸送機。強度試験などの面でもちろん、そう簡単にはいかないのですがC-2の胴体部分を延長を前提に大型化して、主翼部分も大型化、現在の双発を四発に拡大する、という方式でエンジンは現行通りアメリカ製を採用し、搭載能力は80~90t、C-17以上C-5未満の輸送能力を目指します。巡航速度が大きく、国際航空航路で運用可能なC-2の性能を継ぐことが出来れば、輸送機としての能力はより大きくなります。

Img_7274  実現すれば、陸上自衛隊の主要装備御大半が航空自衛隊の輸送機により輸送することが可能となるとともに、場合によっては米空軍のC-5B輸送機の後継機に、こちらはアメリカが求めるような多数を国内で生産することは難しいので、ライセンス生産を行ってもらう事となるのでしょうが、提示することが出来るかもしれません。

Img_9651  C-5Bについては老朽化が進んでいますし、C-17は来年で初飛行から20年、特に海兵隊用ヘリコプターの空輸などで戦略輸送機の需要はある訳ですから、開発して、場合によってはアメリカに提示し、アメリカでの生産を打診した場合、可能性はあります。アメリカでの量産が実現した場合は小牧のC-130Hの後継機に逆輸入、という事も考えられるかもしれません。技術的予算的に厳しいかもしれませんが、景気刺激策にもなりますし可能性は模索してみては、とも。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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17 コメント

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C-2ですが、原型機のCH-47Jについては搭載可能だそ... (フロッシュ)
2010-08-28 00:10:01
C-2ですが、原型機のCH-47Jについては搭載可能だそうです。ただし、CH-47JAと、CH-47JLRは胴体幅を増大しているため、搭載が不可能という判断が出ています。
胴体スポンソンの拡幅でなく、仮にドロップタンクで燃料増やす方式をとっていれば、C-2への搭載も可能になり、有効な対策になったと思います。このあたりの連携の悪さが残念です。
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今から思えば、C-17Aを買っておけば、良かったかも... (丸猫)
2010-08-28 01:17:02
今から思えば、C-17Aを買っておけば、良かったかもしれないという事ですね。生産ラインが閉じてしまいますが、インドも買おうとしていますし、フランスもA-400Mの開発の遅れから、リースか購入をしなければならない状況だったと記憶しています。C-2の開発当初は、現在のように、自衛隊の任務が多様化するとは、思えなかった訳ではありますが、何機かリースという形で、導入できないものかと、思います。カタールや、UAEも何に使うの?と、思う節もありますが、購入していますからね。国内では、オーバースペックだという意見もありますが、主要空港には着陸できる訳だから、災害派遣の時も、最寄の主要空港まで飛行して、救援物資などを輸送するという手も、あると思うのです。
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そもそもハイチやパキスタンに出す必要は無い (行かない勇気)
2010-08-28 06:55:06
そもそもハイチやパキスタンに出す必要は無い
欧米の旧植民地の後始末を日本がやる必要は無い
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う~ん、論旨は理解出来ますが、平時の運用であり... (雨辰)
2010-08-28 08:29:52
う~ん、論旨は理解出来ますが、平時の運用であり使用頻度を考えればAn‐124のリースが現実的ではないでしょうか?下手に機体に手を付けるとA400Mの二の舞になるような気がします。

また、CH-47に限定した用途であれば、海外任務用にC‐2搭載可能バージョンを新造したほうがC/P的に有利だと思います。
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XC-2は、平成23年度概算要求に入っているので... (玉五郎)
2010-08-28 22:21:48
XC-2は、平成23年度概算要求に入っているのでしょうか?平成25年度から部隊配備予定ということになっていますが・・・美保基地に配備されるのでしょうか?美保基地は滑走路が延びたので、XC-2の受け入れを着々と整えていると考えていいのでしょうか?XC-2用のハンガーは岐阜基地を見てもわかるように巨大なハンガーですので、美保基地でも新ハンガーが必要になるかと思いますが、美保基地には新ハンガーが建設されているのでしょうか?これ以上の遅れは許されないと思いますので、今後の予定がどのようになっているのか気になります。また、入間基地の滑走路が短いので、XC-2が配備されるまでに延長されるのでしょうか?
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XC-2は、平成23年度概算要求に入っているので... (玉五郎)
2010-08-28 22:22:44
XC-2は、平成23年度概算要求に入っているのでしょうか?平成25年度から部隊配備予定ということになっていますが・・・美保基地に配備されるのでしょうか?美保基地は滑走路が延びたので、XC-2の受け入れを着々と整えていると考えていいのでしょうか?XC-2用のハンガーは岐阜基地を見てもわかるように巨大なハンガーですので、美保基地でも新ハンガーが必要になるかと思いますが、美保基地には新ハンガーが建設されているのでしょうか?これ以上の遅れは許されないと思いますので、今後の予定がどのようになっているのか気になります。また、入間基地の滑走路が短いので、XC-2が配備されるまでに延長されるのでしょうか?
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スポンソンをCFT方式にして着脱可能なCH-47を開発... (通りすがり)
2010-08-29 00:17:45
スポンソンをCFT方式にして着脱可能なCH-47を開発したほうがいいのではないでしょうか?
戦略輸送機については必要であればC-17をリースするのが良いかと思われます。
米軍でもダダ余りのようですし。
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フロッシュ 様 こんばんは (はるな)
2010-08-29 00:20:19
フロッシュ 様 こんばんは

なるほど、CH-47は初期の機体でしたら搭載できるのですか・・・。ううむ、しかしC-2が設計されている際にJLRは航空自衛隊に納入されていたのですし、空自がこの機体を空輸する、という想定はあり得なかったのでしょうか、ね・・・。
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丸猫 様 どうもです (はるな)
2010-08-29 00:22:53
丸猫 様 どうもです

実はC-17の後釜を、という意味でC-2から大型機を、と書いてみました次第。他方で、C-17は、良い輸送機ではありますけれども、巡航速度の面で現代の輸送機であって、C-2のような次世代輸送機、ではないのですよね・・・。

大型機、という案。C-17の話も含めて確かに、オーバースペックではありますが、しかし、C-17が提示された際にもオーバースペック、という声に対して、当時と今とでは事情が違いますから、ね。国連にUNマークを備えて派遣する、という方法もありますし・・・。
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行かない勇気 様 こんばんは (はるな)
2010-08-29 00:25:02
行かない勇気 様 こんばんは

ううむ、その論理展開ですと、朝鮮半島有事と台湾海峡有事には日本が責任を持ってやれ、と欧米から言われてしまいますよ・・・。

これに十分応えられるような体制を日本が勇気を持って構築する、というのならば別なのですが・・・。

なんとなれ、パキスタンの人道危機は、旧植民地、というような問題では無く、国際公序にのっとり、考える問題なのでは、と考えます。
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