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【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【13】佐世保地方隊展示訓練ジョイントレビュー中止(2012-10-08)

2023-07-09 20:17:06 | 海上自衛隊 催事
■観艦式と佐世保展示訓練
 観艦式の主役護衛艦くらま、その母港は横須賀や相模湾から遠く離れた西海防衛の要衝である長崎県の佐世保基地です。

 佐世保地方隊展示訓練、ジョイントレビュー中止は残念でした、けれどもここまで豪雨災害の報道が続いていますと、特に山陰地方に線状降水帯が掛かり、前日までは北九州地方に線状降水帯が掛かっていたという状況で実施した場合は、批判を招きそう、とも思う。

 予備日というものが確保できていれば、翌日や、また関係者や招待客を予行で載せてしまって本番は一般客を中心に、という選択肢もありますが、なにしろ平時任務で艦艇やりくりが大変ですので一発本番、とするほか展示訓練が計画できない厳しい情勢もあるのです。

 線状降水滞、一昔では活発な前線、と呼ばれていたところでしょうが、この季節の豪雨は災害に直結していますので、展示訓練の中止、乗艦予定の方には残念だったでしょうが、実際、山陽新幹線が運転見合わせになる水準の豪雨となりましたので、仕方ない、とも。

 大阪湾展示訓練と広島湾展示訓練、実は当方も展示訓練の中止は過去に経験が有りまして、一応念のためにと京阪特急で移動している最中に中止に見舞われたり、呉市に前日行ってみて、晩酌といろいろ楽しい夜を過ごした翌日が悪天候で中止だった、ことがあった。

 ただ、近年の、自衛隊が忙しいので全く展示訓練を行う事が出来ない、という時代ではなく、当時は、まあ、来年があるよね、という時代でしたので、いまとは展示訓練への価値観が違う、と言われてしまえばそれまでなのですが、しかし、なんとかならないものか。

 佐世保地方隊が展示訓練を実施できたのは前回、いつであったか。COVID-19感染拡大により云々、と思われるかもしれませんが展示訓練自体を海上自衛隊が実施できたのは2013年が最後でした、が、2022年に舞鶴地方隊が展示訓練を再開できた、というかたち。

 地方隊展示訓練が中断した背景には2014年の熊本地震がありまして、これにより海上自衛隊も災害派遣により年次訓練計画が大幅に影響し、海上幕僚長自身が、部隊を休ませよ、という異例の通達を出した事で2014年の展示訓練が中止、これがいままでひびいている。

 ジョイントレビュー、要するに地方隊展示訓練ですが、これは2010年代初めには観艦式の行われない年度に間毎年行われていました、それも舞鶴展示訓練や伊勢湾展示訓練に大阪湾展示訓練や天草灘展示訓練と陸奥湾展示訓練と広島湾展示訓練、いろいろやっていた。

 体験航海でも複数の護衛艦が参加するものがありましたし、展示訓練というものも毎年行う割にはその規模はかなり充実していましたので、一回くらい乗艦券が手元にあるものの乗れなかった、ということでは、昔は落ち込まなかったようにおもうのですが、いまは。

 展示訓練はミニ観艦式というもので、驚くなかれ、一昔には自由に見学、できる訳ではないけれども当日券が発行されていました、基本的には事前応募制の抽選という事ですが急遽確保出来た参加艦艇や当日の欠員に対応する、というかたちで、柔軟にできていた。

 伊勢湾展示訓練、初めて撮影する事が出来た展示訓練は伊勢湾展示訓練だったのですが、この時は有人から名古屋港にかなりの艦艇が集まっているので日曜日に撮影へ行かないか、という声を掛けられ、行ってみたら、乗りませんか、と声を掛けられ友人共々乗った。

 インターネット時代という事で、2005年の海上自衛隊部隊HPなどはほんとうに、一応ホームページを開いてみた、という時代、展示訓練というものも応募が実施される期間を丹念に調べておけば、意外と競争率は高くなかった、という、情報化草創期の流れが在った。

 展示訓練、SNS時代のいまでは行事実施の情報は即座に共有されますので競争率は高くなっています、その一方で問題は繰り返す通りですが、自衛隊の艦艇が忙しくなっていて、体験航海を行おうにも難しい状況があるのです、ただ、広報の重要性は依然として高い。

 募集難、実際のところ海上自衛隊は厳しい状況にあります。なにしろ拘束時間が元々長い船乗り、民間の船員さえ労働基準法の基準外に置かれている中で艦艇勤務には人気が限られている、個室の比率も低く、しかも展示訓練が行えない程に平時任務がかさんでいます。

 募集対象者に対しては勿論、府警に対しても海上自衛隊というものを知ってもらう必要性があるのですが、しかし無い袖は振れない、護衛艦も練習艦も掃海艇も忙しいし潜水艦は乗せられない、という状況もあるのです。すると、如何に対応するべきなのか。

 展示訓練の良い美を確保出来ない、これは、まあ仕方ないにしろ文字通り無い袖は振れない、という事なのですが、例えば展示訓練当日が悪天候で駄目だった場合でも、縮小開催できるような内容を考える事は出来ないものだろうか、こう思ったりしてしまうのですね。

 観閲艦と受閲艦、展示訓練のこうした役割分担はあるのでしょうけれども、たとえば、その日だけしか訓練日程や警備計画などから参加できない艦艇と、予備日にも参加できる艦艇をA部隊とB部隊とに分けておくことができれば、縮小開催が、可能となってくる。

 体験航海ジャナイカ、とおもわれるかもしれませんが、観閲式を省略し、ミサイル艇機動展示やヘリコプター発着にIRフレアー発射展示などを全部やめて、体験航海を一定規模の艦艇で実施する、単縦陣の艦隊航行だけでは少々見劣りしますが何もしないよりは、と。

 海上保安庁の観閲式などでは、護衛艦よりもかなり大人数を乗せます、もちろん海上自衛隊の護衛艦にも乗せられる人数は省令で明確に記されているのですが、ヘリコプター搭載護衛艦はるな、で最大800名だったように記憶しますので、詰め込めば乗れるという。

 当日に護衛艦の参加規模が少なくなるのであれば、当日に載る護衛艦が変わる、という事はあります。いや、前に護衛艦が機関故障で乗れなかった際には、二日連続で護衛艦はるな、ということがあった。展示訓練に参加する、はるな、最初で最後の機会ではあったが。

 予備日が有れば。こうも思うのですが、しかし、海上自衛隊が最も広報しなければならないのは、護衛艦が広報に回せない程にたりていない、という現実なのかもしれません。それも人手不足などではなく、平時における警戒監視任務が多すぎる為、という理由で、だ。

 護衛艦が足りていない、国民にこう広く広報する為の方法というものを考えなければなりません、それも遊んでいる訳ではなく、周辺情勢が緊迫化していて、護衛艦のやりくりが追い付かない、予算面でも人員面でも、また現在の予算での待遇についても、という。

 ジョイントレビュー、いまの大学生の世代の方は、かりに中学高校と世界の艦船や丸なんかを読んでいる場合でも展示訓練を知らない、そうなると自衛隊というのは世襲制ではないにしても、限られた方々の就職対象にしか思えなくなるのは必至でしょうし、知らない。

 広報は重要だけれども、広報に割けるリソースが無い。ううむ、哨戒艦が数が揃ってきたならば平時における警戒監視任務は多少緩和するのか、その場合相手が潜水艦など哨戒艦探知できないものを繰り出してきたならばどうするかなど、考えてしまうのですね。

 護衛艦はこうした場合、また後方に参加するのに制限が加わるのかもしれませんが、その場合は、現在の護衛艦の居住性は欧州海軍の艦艇と比較して、世界で最も劣悪なアメリカ海軍の居住環境とは会えて比較しないのですが、この当たりの改善が必要ともなります。

 広報は、正直なところ、就職先のミスマッチングが短期間での離職に繋がるのは現在の日本社会の共通現象で、特にそれは企業も公務員も非正規化が進み定期昇給と年功序列に終身雇用の枠組みが破綻した故ですが、広報を重視し現状を見てもらい必要があるとおもう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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