◆捜索へ9か国が艦艇42隻・航空機35機派遣
3月8日、マレーシアクアラルンプールを北京へ向かったマレーシア航空370便のボーイング777が南シナ海洋上にて突如として消息不明となりました。
政府はマレーシア政府からの捜索支援の要請を受け、昨日11日に自衛隊の派遣を決定、本日12日に派遣部隊が日本を続々と離陸しています。この事案は、非常な謎に包まれています。北京に向かったボーイング777は離陸一時間後に航空管制のレーダーより機影が確認できなくなり、緊急事態の宣言も無く、消えたわけです。
現在、マレーシアを中心としてアメリカや中国にヴェトナム等9か国が艦艇42隻と航空機35機を派遣し捜索中で、捜索海域は南シナ海海上を中心に展開していますが、空軍防空レーダーが当該空域近くを飛行する機影のようなものを確認しており、マレー半島を再度横切った可能性もあるとみて、マラッカ海峡方面へも捜索網を広げました。
自衛隊派遣部隊は、本日マレーシアのクアラルンプールへ現地調整事務所を開設し、防衛大臣命令により自衛艦隊司令官より海上自衛隊国際援助飛行隊としてP-3C哨戒機2機が、航空支援集団司令官より航空自衛隊国際援助飛行隊としてC-130H輸送機3機が、それぞれ派遣と大気を命じられています。
消息を絶って四日、これだけの期間、事故が発生したと考えられる南シナ海周辺国が不休の捜索を行っているものの、痕跡が発見できないというのは非常に稀有ではあります。旅客機が空中分解すれば破片が広範囲に飛散し洋上で発見されるはずですし、不時着水する状況であれば機長から緊急事態発生の通信を発する余裕があるためです。
ただ、当方の私見ですが、不明機の捜索部隊規模は充分でない、という要素が不明機の発見まで時間を要しているといえるかもしれません。 南シナ海海上の捜索海域は面積にして日本海と同程度、9か国が艦艇42隻と航空機35機を派遣しているわけですが、捜索能力で限界があるのです。
自衛隊は100機ものP-3C哨戒機を導入していますが、P-3Cのような高性能哨戒機は小型フリゲイトと同等の取得費用を要します。東南アジア地域でこうした哨戒機を保有しているのはタイ海軍の3機のみ、中国でもSH-5哨戒飛行艇を4機持っているのみ。
このほか、旅客機やビジネス機を流用した海洋観測機であれば、フォッカーF-27をタイ海軍が5機、ポーランド製PZL-M28をヴェトナム海軍が2機とインドネシア海軍が7機、オーストリア製ノーマッドをインドネシア海軍が30機、スイス製ピタラスPC-7をフィリピン海軍が7機、カナダ製CL-215飛行艇をタイ海軍が3機保有するのみ、捜索能力は充分ではありません。
自衛隊の派遣部隊は、P-3Cを2機とC-130Hを2機、そしてC-130Hが1機国内で待機します。共に捜索救難に派遣されるとのことですが、機数は限られているものの、捜索機能が高い哨戒機を派遣するわけです。乗客の安否と原因究明に、派遣が開始されましたが、捜索が難航すれば必要に応じ、更に部隊は増勢されることでしょう。
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今回の捜索はフライトレコーダーの発見が第一とされていますが墜落した機体に搭乗された方の家族からすればどんなに小さな手がかりでも発見して欲しいはず。海上自衛隊には水中処分員を始め潜水のスペシャリストも多数在籍していますので今後の捜索状況次第ではダイバーの派遣もありかと思います。
翌日のニュースでマレーシア航空機捜索の為に自衛隊のC130一機が出発したと言っていた。
自衛隊さん、本当にご苦労さまです、と言いたい。