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宇宙作戦隊創設!自衛隊宇宙戦場に挑むSpace Operation Squadronを東京-府中基地に新編

2020-05-19 20:11:05 | 防衛・安全保障
■東京SOS,日米宇宙大作戦拠点
 宇宙大作戦、自衛隊も宇宙に臨む時代となりましていよいよ21世紀らしくなってきたという実感ではある名称です。

 Space Operation Squadron宇宙作戦隊。自衛隊初の宇宙監視部隊が昨日18日、航空自衛隊府中基地に新編されました。府中基地は2012年まで航空総隊司令部、航空自衛隊の本土防空にあたる総司令部が置かれていた基地であり、現在は航空総隊司令部と防空指揮群および作戦情報隊施設は横田基地へ移駐して、その利用する形で航空保安管制群や電子開発実験群などが置かれています。

 Space Operation Squadron。宇宙作戦隊はこの名称となったのですが、略して“SOS”です。もう少しどうにかならなかったのかな、とも。東京Space Operation Squadronか府中Space Operation Squadron、略して“東京SOS”となりますので、ゴジラ-モスラ-メカゴジラ、でも登場しそうな名称となっています。名称については後述する事としましょう。

 府中基地に宇宙作戦隊。宇宙作戦隊といいますと緊急時には大気圏外からの脅威に特殊なブースターを装着したF-15へASM-135/ASAT対宇宙ミサイルを搭載し成層圏まで急上昇、もしくはTSR-2戦闘機にポラリスミサイルを搭載して下地島に配備し宇宙からの挑戦を爆砕する、というような勇ましい印象を覚えられるかもしれませんが、そうではありません。

 自衛隊宇宙作戦隊は航空自衛隊の隷下部隊であり、新編時の人員は20名です。おお科学特捜隊日本支部の四倍の人数だ、と思われるかもしれませんが、当面はこの規模で行い将来的に100名規模の部隊へ拡張されるという。府中基地には飛行場はありませんのでジェットビートル的な航空機も配備されませんが、任務はやはり宇宙の脅威へ向けられている。

 宇宙塵が脅威です、宇宙人ではない。宇宙空間からの脅威、宇宙作戦隊の任務はこちらにも備えつつ、しかし宇宙空間における脅威へ対応することが主眼です。具体的にはキラー衛星やスペースデブリ、自衛隊は恒常的に衛星通信を利用しますし、内閣府には情報収集衛星などが管理されています。その上で、不審な動きを行う人工衛星や宇宙塵が脅威だ。

 ミサイル防衛などではアメリカ空軍および宇宙軍が運用する弾道ミサイル早期警戒DSP衛星などは、日本にとっては横田基地の日米作戦調整所よりいち早く弾道ミサイル飛来情報などが通知され、例えば北朝鮮が暖冬に核兵器と搭載した弾道ミサイルなどで日本を攻撃する際に、この情報が国家防衛システム、数十万の人命を直接左右する事となりましょう。

 人工衛星は攻撃目標ともなるため、このための情報を日本側も提示する必要があります。上記の20名では可能となることは限られているのですが、一方的に情報の受け手に甘んじるのではなく、日米をステイクホルダーとして情報を提示する窓口としても機能させる。宇宙作戦隊にはこうした目的も考えられます。そして宇宙からの脅威とは、もうひとつ。

 キラー衛星、これは1970年代から既に模索されていましたもので、写真偵察衛星などから有事の際、有事の際といっても此処でいう有事は小競り合いではなく世界大戦規模のものですが、こうした際に情報を秘匿するために故意に敵の偵察衛星に接触し破壊する人工衛星などがあります。不審な動きを行うこうした脅威を予め把握することが要諦のひとつ。

 宇宙戦争。映画のようですが手法は古い。先ずキラー衛星については宇宙条約により人工衛星は軌道が公表されており、この公表とは異なる軌道周回を行う衛星を感知する、これをビーム砲で撃破、とは決して行わず、一番古典的な対処法はキラー衛星が接近した場合には回避行動をとる、つまり逃げるが勝ち、という運用を無限の大宇宙で行うのですね。

 宇宙状況監視システム。宇宙作戦隊は上記の通り情報こそが武器です、しかし宇宙からの挑戦は平時には少なく航空自衛隊が当たる任務は宇宙からの脅威よりは中国大陸からの戦闘機や爆撃機などの脅威のほうが圧倒的に多い、このため、宇宙作戦隊はアメリカ宇宙軍やJAXAからの情報提供を受け、その情報処理を行い宇宙空間からの脅威に備えます。

 宇宙監視レーダー。航空自衛隊はJAXAやアメリカ宇宙軍に加えて独自の宇宙に向けたレーダーサイトを設置する予定で、山口県の見島分屯基地、航空自衛隊第17警戒隊のレーダーサイトですが、ここに宇宙監視レーダーを新設予定で、こちらは2023年に運用開始という。レーダーのほか、スペースデブリ監視には光学望遠鏡も非常に有用な設備とされる。

 重要な部隊の発足です。ただ、宇宙作戦隊、なんといいますか、もう少し名称はどうにかならなかったのか、と思う。宇宙作戦とはいいつつ監視が任務なのですから航空宇宙監視隊とか、軌道情報隊とか、航空宇宙情報作戦隊とか、別にやりようはなかったのかな、と。無限に広がる大宇宙を全て任務領域にできる壮大な名称で実員20名では、格好が、ねえ。

 無限に広がる大宇宙、さて。宇宙作戦隊という名称ではありますが、人員が100名規模で編成完結するとは思えず、おそらく将来の航空宇宙作戦団として宇宙作戦隊は先ず遠からず宇宙作戦群、そして群隷下に情報隊や宇宙電子監視隊が創設、続いて団編成へ進むのでしょう。そうするとSpace Operation Squadronは団編成に、ちょっと違うがSOS団の完成です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (市民のミカタ)
2020-05-19 23:18:15
宇宙作戦隊の隊旗は悪趣味、人民解放軍を見習うべき
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