◆現派遣部隊9万、統合任務部隊の任務は続く
防衛省によれば、東日本大震災災害派遣部隊の縮小が始まっており、同時に即応予備自衛官の動員は12日に解除されたとのことです。
東日本大震災災害派遣について、防衛省発表を見ますと5月10日の派遣部隊は102850名で陸上70000名、海上10900名、航空21600名と原子力災害派遣350名、対して5月11日の派遣部隊は99750名、内訳は陸上70000名、海上10900名、航空18500名と原子力災害派遣350名となっていました。
自衛隊の空前の災害派遣は11日を転換点として10万の動員から順次縮小しているようです。現在の派遣規模は90400名、陸上自衛隊62000名、海上自衛隊9600名、航空自衛隊18500名、原発災害派遣300名、航空機370機、艦艇34隻という規模で、東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊は現在も任務中です。
正直、10万の動員は自衛隊の規模から考えれば非常に非現実的な数字ではあったと認識しつつも、あの3月11日の時点では文字通り有事、下手をすれば日本という国が無くなってしまう可能性があったのですから、とにかく10万は予備動員をしてでもやるしかない、という当方の認識でしたが、地震発生から二カ月まで、この動員を続けた事には驚きと尊敬という言葉のほかありません。
即応予備自衛官の動員ですが、防衛省の16日発表によれば12日までにこちらも解除されたとのことです。今回の災害派遣で動員された即応予備自衛官は延べ2179名、動員は三月下旬から開始され、遺体捜索を含めた第一線での復旧や被災者支援任務に当たったとのことです。
特に東日本大震災は現憲法下では最も広域の被災地への救援活動を行う必要があった、という特色があり、首都圏直下型地震における想定された五万名派遣を遥かに凌駕する十万災害派遣を強いられた、という点に特色があります。十万動員を命じた菅首相は総合防災訓練に幾度も参加しているため、首都圏直下型地震に動員し得る人員が五万、ということは知っていて然るべきですので、知らなかった可能性もあるのですが、無理を命じた、という訳です。
その一方で、浜岡原発に対して東海地震が迫っているとのことで原子炉停止を命じた首相ですので、次の地震まであまり時間が無いという事を政治家の勘として認識しているようですので、個人的に勘に頼り過ぎて思い付を押し通すのはどうかと思うのですが、少なくとも言行一致の為にも今回の派遣を契機に、現役定員数、予備自衛官制度、ヘリコプター数や輸送艦数を含む輸送能力、無人偵察機やヘリコプターと航空機による情報収集能力と共有能力について、派遣の問題点を洗い直しつつ、備えるという態度を執ることは当然求められるでしょう。
HARUNA
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あまりはるなさんに反論というのはないのですが、浜岡原発に関しては、一部異論があります。
原発は止めたから安全というのは福島原発でもろくも裏切られました。自家電源を用意したから安全ということでもなさそうですよね。
当たり前ですが、原発を止めて、自家電源を用意し、津波対策用堤防が早急に必要でしょう。
菅首相が津波対策を打ち出さない限り、政治的に原発を止めたと考えるのが妥当なのでしょうね。
国民の命ではなく、自分の政治生命延長のために!
反論じゃないですね。同じこと考えていたかな?
失礼しました。(笑)
まぁ、自衛隊を“30万人”動員しろ!と言わなかっただけましでしょうけど
今回の災害はあらゆる面で教訓を残しました。このような未曽有の震災で現隊員数で足りるのか?有事の際にも足りるのか?
物資の保管や輸送能力、装備など震災が落ち着いたら十分検証し、今後に生かしていくことが重要だと思います。
原発ですが、これで大丈夫というような決め手は存在しないように思います、防波堤、補助動力装置、外部電源車、空輸体制、放射線モニタリング態勢、風向観測システム、機動防護体制、原子力防災艦等など、兎に角一の手二の手と事故防止、損害極限、退避支援、重大事故対処と重ねて準備していく必要があります。
特に、首相は浜岡以外は大丈夫、とトンでも無い事を言いましたが、東海地震以上に30年内の発生確率が90%以上といわれているM8前後クラスの宮城県沖地震、それに備えた東海第二原発防護体制は、浜岡原発以上に急務だと考えます。東海第二原発は首都圏にある原子力発電所ですからね。なんといいますか、こちらこそ対策が完了するまでは稼働させるべきではないだろう、と。
まあ、つまり考えている事は一緒、ということになるのかも。
最高指揮官である総理があの体たらくでは、災害を含めた有事においては、即応の最初の12時間程度は構造計画を半ば政治抜きにして事後承諾にて動ける方式、という、いわば非常事態法が必要になるのでは、とも考えてしまいます。
これ、カナダの非常事態法に関して興味深い一冊が四年ほど前に出ていたのですが、どこいったのなかあ、出てきませんが、文民統制と軍事機構運用の分水嶺をどう考えるか、そういう教訓も残してしまいましたね、民主党のせいで・・・。