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【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【2】C-130H輸送機とC-1輸送機大空の共演(2019-11-09)

2023-03-26 20:03:00 | 航空自衛隊 装備名鑑
■ニッポンの輸送機事情
 小牧基地航空祭特集も前回の掲載からちょっと間が空いてしまいましたが体制を建て直して連載を再開です、こうした写真を掲載用に加工する事で防衛情報などの記事に役立つ。

 C-130H輸送機、航空自衛隊に加えて海上自衛隊も同系統の輸送機を採用している、世界中で採用されている傑作輸送機となっています。しかし現在生産されているのはC-130J-30輸送機でC-130Hは相応に旧式化と老朽化が進んでおり、今後の去就が注目されます。

 C-1輸送機、飛んできました。入間基地第402飛行隊のC-1輸送機で、これは嬉しい誤算と云えるところです。C-1輸送機は1970年代の輸送機ですので撮影の時点でも順調にC-2輸送機へ置き換えが始っている航空機ですが、小型であるものの使いやすい輸送機です。

 入間基地はC-2輸送機へ機種転換を、その前に航空祭へ2020年にでも、と思ていたのは今は昔で、その航空祭の翌年にCOVID-19新型コロナウィルス感染症が襲来するとはとても想像もできませんでしたので、撮影できる機会をこのとき逃さなかったとふりかえる。

 8tしか搭載出来ない輸送機ですが、速度が非常に速く24時間当たりの輸送力をかなり高く維持する事で、輸送力を補う、そして非常に運動性の高い輸送機であり、勿論この機体規模で運べないものは多いのですが、生産数も多く、日本の航空史上では成功した機体だ。

 C-130H輸送機、今後は水色の迷彩に置き換わりが始まる、とは2023年の航空祭における紹介でした、しかし水色の迷彩は元々航空自衛隊が2003年のイラク戦争を契機にイラク復興人道支援への空輸支援を実施する際、採用された迷彩ですのである種回帰といえます。

 空色のC-130は、日本独自の塗装という事で海外の航空愛好家には注目されたといい、確かに一時期県営名古屋空港付近でも海外のお客様が見えました。一方で、航空自衛隊は給油ポッドの追加を行い、C-130H輸送機の一部をKC-130H空中給油輸送機へ改造しました。

 U-125捜索救難機廃止、唐突に昨年政府が発表した方針を唐突に此処で提示してみるのですが、もしかするとC-130HをKC-130Hとすることで救難ヘリコプターへの給油能力を強化すると共に、捜索救難機としての用途をU-125からC-130へ移管するのか、とも考える。

 KC-130,世界で海上における捜索救難を支援するのはC-130規模の輸送機であり、これには救難員の降下など、U-125では難しかったヘリコプターに先行しての捜索救難も可能となっています。そして捜索救難は今後自衛隊でも戦闘捜索救難の段階に進むのでは、と。

 戦闘捜索救難というのは、有事における救難で要するに貴重な航空搭乗員を救難する際に敵対勢力が妨害行動や攻撃を加えてくるという状況を排除して、救助するという任務です。これまでのように、平時の事故から操縦士を救うというよりも進んだ状況の想定という。

 U-125は、必要な航空機であると考えます、いや航空自衛隊の航空救難任務にほんとうに不要ならば情報収集能力が高いものですから、陸上自衛隊に移管してLR-2連絡偵察機の後継に充てては、と考える程の性能を有しています。ただ、特殊作戦機たるか、というと。

 C-130H、他方で全て航空救難に充当できる程航空自衛隊に余裕が無い、という問題もあります、その背景にはC-2輸送機の稼働率の問題があります、つまり稼働率が低いものの、更に飛行隊定数を削減してしまった為に即応機を日施輸送と別に用意できない状態が。

 C-2輸送機の欠陥というような問題ではなく、これは要するに“一眼レフを十台持っているが交換レンズは全部で八台しかない”、“交換レンズの中で広角レンズと望遠レンズとズームレンズのどれかは整備中”、“全部のレンズを揃えて撮影に行けるのは僅か”という。

 維持費用と予備部品、防衛予算を削り続けた為に、飛行隊定数は少なく削減され、これで充分だという政治的な文書が用意され、実態はたりていないものの帳簿上はたりている事となっている、故に緊急事態に即応する為に数日間を要する、というような状況がある。

 予算を増やせ、とは言い続けているところですが、昨年政府は防衛予算を増やす決断をしました、しかし、その予算でたりていないものを調達するのではなく、新しい“反撃能力”をかなりの予算を割いて調達する為に、当面やはり予算不足は続く、ということなのです。

 C-130H輸送機、海上自衛隊がかなり安価に中古のC-130R輸送機を導入しまして、この選択肢があるのか、と一瞬考えさせられましたが、一方で世界の中小国で予算に余裕の無い諸国は何故中古機を導入しないのかを考えますと、維持費と稼働率の悪さが挙げられます。

 防衛費を増やすものの新しい装備ではなく装備体系ごと新規に構築するというのは、住宅ローンに苦しみながら共働きにして余裕が出たので住宅とは別に御所西にマンションを買う、というようなもの。先ず必要なものを揃えた五年後に反撃能力を整備しては、と思う。

 KC-767空中給油輸送機の編隊飛行とともに、このKC-767は、航空自衛隊にかく事の出来ない装備体系の一つを構築したといえます、それはKC-767空中給油輸送機とE-767早期警戒管制機とC-2輸送機、エンジンを共通化出来た、という点なのですが、重要です。

 E-2C早期警戒機とC-130H輸送機とP-3C哨戒機、エンジン系統を統合出来た事例が過去にありますが、この共通運用基盤の構築には大きな意味がある。他方で惜しむべくは予算不足でKC-767を充分に揃える前に生産終了となり、KC-46A導入、二機種となったこと。

 KC-46A空中給油輸送機はKC-767と同じボーイング767系列の派生型航空機となっていますが、細部はそもそも767系列というだけで相違点があります。もっとも、機体自衛装置や遠隔操作給油装置などの追加、KC-767の頃とは導入された技術も大幅に違うのだが。

 空中給油機、導入開始から、初号機の到着を岐阜基地で撮影した事を懐かしく思い出すのですが、情勢は大幅に異なる厳しい状況となり、特にその運用先進国であるアメリカでは、鈍重で大型の空中給油機が将来の長射程ミサイルが飛び交う戦場で使えるのか議論がある。

 台湾海峡有事や南西諸島有事では、中国空軍戦闘機から運用される空対空ミサイルの射程が数百km台まで延伸している事から、空中給油機はもちろん早期警戒管制機でも危険であるとして、E-3早期警戒管制機を、小型のE-7A早期警戒機に置換える動きさえあります。

 安全保障環境はどうしても動いている、動き続けているものなのですが、アメリカでは暫定的な解決策に、操縦士一人で運用し給油作業は地上から遠隔操作、これにより撃墜された場合の被害を局限化する、というかなり厳しい運用を想定しているとのことでした。

 しかし、自衛隊の様に時間を掛けて防衛力を整備するという現状は、果たして将来の脅威に対応できるのか、それは専守防衛故に国土が戦場となるため、想定を見誤ればたくさんの同胞が戦場に巻き込まれ住宅を含め生命財産を失う事に直結しているというのですね。

 そして、この現状はもう少し国民の関心事として挙げられて良いように思うのですが、結局のところ、昨年の安保三文書改訂で最大の議論となったのは予算、税金の部分だけであり、中身などを知ろうとする努力は他人事か、ちょっと不安となる要素が増えたのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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