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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フランス海軍ラファール戦闘機運用開始20周年記念行事と防衛装備庁新型12SSM-ER発射実験

2025-01-28 20:00:37 | インポート
■防衛フォーラム
 本日は陸海空の話題を。

 フランス海軍はラファール戦闘機運用開始20周年記念行事を挙行しました。海軍はラファールM戦闘機を空母艦載機として42機運用しており、ランディヴィジオー海軍航空基地の第11飛行隊、第12飛行隊、第17飛行隊へ配備していうます。今考えれば驚くべき事ですが、ラファールの前にはアメリカ製F-8クルセイダー戦闘機を運用していた。

 ラファールが海軍航空隊へ評価試験用に配備されたのは2000年12月、2機のラファールMが評価試験を受けています。フランス海軍は1961年から空母クレマンソー、空母フォッシュを運用していますが、空母艦載機としてフランス製シュペルエタンダール攻撃機を運用していたものの、制空戦闘機としては独自開発を断念しF-8戦闘機を採用しています。

 F-8クルセイダー戦闘機が採用されたのは、エセックス級空母での運用を念頭として小型の機体であったことが背景にありますが、中射程空対空ミサイル運用能力を欠くなど第二世代戦闘機の水準であることは否めず、第4.5世代戦闘機のラファールが配備されたことでフランス空母艦載機部隊の能力は一気に世界第一線級となったわけです。


 ウクライナ軍はホルンジー装甲車の受領を開始しました。ホルンジー装甲車は旧ソ連製BTR-60装輪装甲車を大幅に改造した装甲車ではあるのですが、ほぼ別物といって差し支えないほどの広い改良が為されています。その主眼は防御力の抜本的な強化と戦闘能力の強化で、まずガソリンエンジンを330hpディーゼルエンジンに換装しています。

 BTR-60は車体後部にエンジンを配置しているために兵員は車体正面と側面の点検用と間違えるほどの小さなハッチから乗降しますが、ホルンジー装甲車はフィンランドから導入した箱形防弾鋼板により側面扉を廃止するとともに、装甲防御力を大幅強化しています。ただ、重量増大により最高速度は80km/h程度に妥協されているもよう。


 オーストラリア軍は最新のM-1A2-SEP-V3戦車配備を開始しました。これは陳腐化したM-1A1戦車の置き換えを図るProject Land 907として進められているもので、エイブラムスシリーズを継続して運用することとなったかたち。最初の車両は11月に納入されていますが、第一線部隊へ配備、最終的に2025年内に受領を完了するとされています。

 M-1エイブラムスシリーズの導入と共に、オーストラリア軍では従来の旅団単位で戦車隊を置き広範に薄く配備する体制から一つの騎兵連隊に戦車運用を集約するという改編を実施しており、今回導入されるM-1A2-SEP-V3戦車についてもオーストラリア陸軍第二騎兵連隊に集中配備される事となっています。なお、戦車数は増強されるとの事でした。


 防衛装備庁は新型の12SSM-ER発射実験を実施しました。12式地対艦誘導弾射程延伸型は、岸田政権時代の反撃能力整備における迅速な装備計画の先鋒として進められていたもので、時間を要する極超音速滑空弾に先行して、三菱重工に現在の12式地対艦誘導弾と最大限共通化させることにより、装備開発の速度を大幅にはやめたものという。

 12SSM-ERの特筆される点は、射程が従来の12SSMの200㎞程度であったところから1000km以上に大幅に延伸されており、このために発射器の形状も大きく変化しています。実験は防衛装備庁の新島試験場において実施、地対艦型とともに艦対艦型も発射実験が行われており、わが国の防衛力整備が大きな転換点を迎えた、象徴といえるもの。


 フランス海軍はAUV超深海無人艇を導入します。これはフランス国防調達庁が深海調査艇の開発で実績あるエグザイル社との間で開発契約を結んだもので、フランスが進める2030国防計画の一環で。広大な海洋を広く排他的経済水域に収めるフランスの海底安全保障が海洋国家としての主権と不可分であるという認識が背景にあるという。

 AUV超深海無人艇は最大6000mまでの深海での監視任務にあたるもので、自律航行を想定、また必要に応じて深海での脅威に対応するROV遠隔操作水中機の導入も併せて計画しています。エグザイル社は既に40年にわたる6000m級深海調査艇の開発実績があり、同社の開発したA-6K-MをもとにAUV超深海無人艇を開発する見込み。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-北朝鮮人民軍二カ月以内に更なる戦力をロシアウクライナ戦争へ増強の可能性

2025-01-28 07:01:10 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ情勢
 先軍政治を掲げる北朝鮮の人民軍の損耗がロシアウクライナ戦争で嵩んだ場合は、日本周辺において補填するロシアからの技術や航空装備供与と核戦力増強など深刻な栄養を及ぼす可能性がある。

 北朝鮮軍の増援部隊が今後二カ月以内にロシアに到着する、ISWアメリカ戦争研究所は1月22日付ウクライナ戦況報告において、22日付アメリカのニューヨークタイムズ紙の報道を引用しました。このニューヨークタイムズ紙の報道は、アメリカ国防当局の高官の話を報じたものとしています、ただ、どの程度の部隊が展開するかは明らかにしていない。

 ニューヨークタイムズ紙の報道は、北朝鮮軍の増援がロシアの軍事作戦を決定的に改善する可能性は低いともしていて、既にかなりの損耗が嵩んでいる事から、逆にロシア軍がこれまでと同じように北朝鮮軍を無計画に投入するならば、高い死傷者を出し続ける事で北朝鮮軍とロシア軍の共同作戦をさらに複雑化する可能性がるとも指摘しています。

 北朝鮮軍がこれまで、どの程度派遣され、また損耗を重ねているかについて正確な情報は公開されていません、もっとも、それはロシア軍についてもウクライナ軍についても自身の損耗状況を公開していない為に致し方ない事ではありますが、一方でウクライナ軍は戦場における北朝鮮軍戦死者に関する情報は確実に集めているという。

 ウクライナへの北朝鮮軍投入について、ISWはそこまで踏み込んでいない内容ですが、朝鮮人民軍の損耗が一定以上となった場合への北朝鮮政治体制や軍事体制などへ、どの程度の影響を及ぼす可能性があるのか、具体的には政軍関係へどのような影響を及ぼすのか、軍を背景とした権力という北朝鮮の特殊性の影響への分析が重要ではないか、ということ。

 先軍政治を継続してきた北朝鮮にとり、その権力基盤を支える重責は国民の支持ではなく人民軍との関係にあります、もっとも、人民軍の影響はキムジョンイル時代とはことなるという分析もあり、大規模な損耗が続いた場合でも権力は盤石と視る可能性と、逆に盤石性に影響が及ぶ可能性というものを認識しなければ、不安定化に繋がる可能性があります。

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