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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和四年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.06.25-2022.06.26)

2022-06-24 20:11:42 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 行事に際し事前申請が必要だが申請期間が終了しているので今準備しても見学できない行事を紹介するべきかどうかは今の時代迷うところなのですが。

 今週末の自衛隊関連行事は、一般公開される行事はないようですが、事前登録制の北千歳駐屯地記念行事が行われます、北千歳駐屯地Twitterから事前の申し込みという方式を採用していまして、当面は自衛隊関連行事参加に際してはTwitterというSNS加入が必須となるのかもしれません。ただ、完全非公開という先月の第7師団祭よりは日常が戻りました。

 第1特科団創隊70周年-北千歳駐屯地開庁70周年記念行事、北千歳駐屯地には自衛隊最大の特科部隊が駐屯しています、第1特科団とそして駐屯地には第7師団隷下部隊として10式戦車と90式戦車を装備する第71戦車連隊、またホークミサイルを装備する第1高射特科群第302高射中隊が駐屯、なおホークミサイルについては改善Ⅲ型を装備しています。

 北千歳駐屯地にはもう一つ、陸上自衛隊教育訓練研究本部訓練評価部隷下の訓練評価支援隊が駐屯、この部隊は2020年3月26日に創設されたばかりの部隊であり、自衛隊のたけし城として恐れられるFTC富士訓練センターの隷下部隊、ただ、評価支援隊のように仮設敵部隊を有するのではなく、対抗演習に際し訓練総合評価を行うという文字通りの部隊だ。

 特科団、自衛隊にこの名を冠する部隊は第1特科団のみです、そして装備は強力で、部隊は第1特科群と第4特科群及び第301観測中隊、更にミサイル部隊として第1地対艦ミサイル連隊と第2地対艦ミサイル連隊及び第3地対艦ミサイル連隊を装備している部隊です。観閲行進では自走重火砲に多連装ロケット砲に地対艦ミサイルが延々と続くということ。

 特科団の任務は冷戦時代、強大な砲兵火力を有する極東ソ連軍の北海道侵攻を警戒し、当時は203mm榴弾砲や155mmカノン砲を装備した部隊として創設、その後は68式ロケット発射装置など装備を強化しました。現在のウクライナの戦場を見ますと、砲兵の時代は終わった、といえるのはあと100年先なのでしょう、今後も絶対必要なものは砲兵という。

 北千歳駐屯地祭、駐屯地は広大ですが式典会場は森に囲まれた、という中々北海道らしい大自然を撮影できる駐屯地行事です、ただ、長方形の式典会場の一辺のみが招待席と共に一般開放されているという構図ですので、観閲行進が、物凄い特科部隊と戦車部隊が駐屯しているのだ、という数が揃う迫力を写真として残すのが難しいというのが撮影者泣かせ。

 203mm自走榴弾砲の空包射撃は、一際大きな迫力を叩きつけますので、これは是非とも見ておきたいところ、東北方面特科連隊廃止と富士学校からも203mm自走榴弾砲は廃止され、いよいよ過去の装備となりつつあります、ただ、専守防衛の日本の場合、海岸橋頭堡を一発で吹飛ばす威力が貴重です。他方、203mm誘導砲弾等がもう開発されていないのが痛い。

 観閲行進と共に訓練展示は、MLRSなどはまさか実際に射撃しますと苫小牧や札幌が大変な事になりますので工夫し空包などはありませんが、不思議なもので会場では中学生に失笑されてしまう情景でも、写真として仕上げますと、これがなかなか迫力があるのですね。かなり高価な装備でしたが、北海道防衛の為に自衛隊は90両も数を揃えた歴史があります。

 第1特科群は第1特科群本部中隊と第101特科大隊と第102特科大隊及び第129特科大隊という編成で特科大隊には203mm自走榴弾砲を、特科大隊はMLRS多連装ロケットシステムを装備します。第4特科群は群本部と第4特科群本部中隊と第104特科大隊に第131特科大隊、やはり203mm自走榴弾砲とMLRS多連装ロケットシステムを装備している。

 203mm自走榴弾砲は一発90kgもある巨大な砲弾を30km先に飛ばす火砲で、CVT信管を用いた場合は一発で75m長径の人員や非装甲車両に致命的な威力を発揮、しかし最大の任務は対コンクリート信管を用いた陣地攻撃で地中の指揮所等に対しても威力を発揮します。91両が自衛隊に配備されましたが、MLRSに置換えが始り火砲削減方針を受け減少中です。

 駐屯地には第1特科団隷下部隊は第1特科団本部と本部中隊及び第101特科大隊を除く第1特科群と第1地対艦ミサイル連隊が駐屯しているのみです、北海道全体の火力支援が任務ですので、幾つかの駐屯地に分かれて駐屯していまして、上富良野駐屯地には第3地対艦ミサイル連隊と第4特科群、と別れて駐屯しています、この他に美幌と美唄にもいます。

 美幌駐屯地には第1特科群第101特科大隊が駐屯し、札幌近郊の美唄駐屯地には第2地対艦ミサイル連隊が駐屯しています。そして北千歳駐屯地のみならず、第1特科団の記念行事ですので、隷下部隊も式典へ参加します。滑走路を転用した東千歳駐屯地ほどではありませんが、ここも広い駐屯地です。申請され見学される方は、ぜひ火砲の伝道師を目指してほしい。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・行事予定:特になし


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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サル痘:韓国で感染確認-アジア初,WHO世界保健機関はPHEIC公衆衛生緊急事態宣言発令検討へ緊急会合

2022-06-24 07:00:52 | 防災・災害派遣
■情報不足こそ喫緊課題
 世界はCOVID-19初動の遅れという今に至る疾病拡大の反省を次の世界的流行禍に活かせるのでしょうか、その試金石は間もなく。

COVID-19、日本は大きな人口と高齢化により感染当初に憂慮がありました、しかし限られた情報の中で、2020年2月3日、横浜の大黒ふ頭へクラスター感染を引き起こした超大型クルーズ船ダイヤモンドプリンセスを検疫隔離として接岸を許可し、中国から報告されている以上の、極めて高い感染力を有しているという生の情報を得て、対策に活かしました。

ダイヤモンドプリンセスの乗員乗客は3700名、感染者は706名で死者4名、非常に厳しい状況でしたが、感染力が非常に高く先進国の高度医療でも致命的となり得るとの情報を得た、多くの国はWHOの韓国に併せ1月31日に緊急事態を宣言しつつ、例えば欧州初期の感染拡大となったイタリアで部分的措置が取られたのは2月23日、市中感染拡大後です。

 WHO世界保健機関は世界で感染者が2100名を超えているサル痘について、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を発令するかについて本格的な議論に入りました。PHEICは発令されれば、各国に国境封鎖や検疫隔離等公衆衛生上の緊急措置を執る論拠となりますが、それだけに発令は慎重、2020年のCOVID-19では発令が十日遅れ600万名以上が死亡しました。

 韓国でもサル痘感染が確認された。韓国保健当局が22日に発表したところによれば、21日にドイツからインチョン国際空港へ帰国した韓国人が、倦怠感と皮膚の異常を感じた為に保健当局に自己申告したところ、感染が判明、アジア初の感染事例となっています。初動の遅れは深刻な結果を示ることをCOVID-19で学びましたが、果たして今回はどうか。

 サル痘とは。国立感染症研究所等の情報を参考としますと、潜伏期間は一週間から二週間、発症すると発熱と頭痛に続いてリンパ節腫脹に筋肉痛が一日から一週間弱続き、その後にサル痘の特色である発疹と痘痕が出るとのこと、合併症を引き起こさなければ二週間から四週間で完治するとのことです。すると隔離期間は二週間、発症すれば一ヶ月、となる。

 感染経路は。元々は1958年にワクチン研究を行った際、アフリカのカニクイザルから発見されたウィルスで、このカニクイザルも宿主ではなく宿主は齧歯類とされています。これまでは、野生の齧歯類や霊長類と観光客などが接触した場合に感染する、こう考えられていましたが、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を検討しているところを見ますと、より深刻だ。

 ヒト-ヒト感染を引き起こしている。留意すべき点は現在このサル痘が感染拡大している中心地は欧州です、6月15日までに感染確認は2103名、このなかで1773名が欧州で感染しており、欧州には野生のカニクイザルは居ません。そして天然痘と似ているというサル痘、しかしこの天然痘は、一度日本を滅ぼしかけたほど、感染力が強い事でも知られるのです。

 飛沫核に含まれるウィルスが乾燥状態で空気に乗り拡散する、これを空気感染といいます。空気感染する疾病はそれ程多くありません、COVID-19は幾度も専門家が飛沫核感染やマイクロ飛沫感染と、報道される空気感染という言葉を訂正し続けているのは、マイクロ飛沫核感染では10mも拡散しませんが、空気感染は数十m先まで届くためという事情がある。

 空気感染の方がCOVID-19のマイクロ飛沫感染よりも脅威度が高い為に専門家が、空気感染は甘くないという事で注意喚起も含め訂正しているのですが、この空気感染、数少ない感染事例が、天然痘なのですね。都市封鎖という単語が天然痘で示されたのは、城壁都市では封鎖して都市ごと封じ込める必要が在った、治療法確立前における唯一選択肢でした。

 サル痘。専門家は、“発疹が出る”“発疹から膿が出る”とした上で“膿を通じて感染する”としています。これらは天然痘と共通なのですが、天然痘が空気感染するというのは、膿が瘡蓋となり、その瘡蓋が乾燥して粉末となりますと、極端な話、“川の向こうにも空気感染する”という状況となります。COVID-19は幸い、こうした意味で空気感染はしません。

 致死率は。いまのところサル痘は二系統が確認されているとのことで、西アフリカ地域のサル痘と中央アフリカ地域のサル痘がある、今回欧州で確認されているサル痘は致死率が低い西アフリカ地域のものという。他方、同系統の中央アフリカ地域の致死率の高いサル痘は数%から10%と、COVID-19デルタ株の二倍から五倍程度という、危険な感染症です。

 PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうか。やはり関心がるのは情報が少なすぎる点です、明らかに欧州で市中感染を引き起こしているのですが、サル痘そのものはアフリカで局地的な感染例を、今回よりは小規模ですが1970年の最初の感染事例以降、何度か発生しています、2003年には輸入ペットを通じアメリカにも流入しました、しかし。

 今回の感染、特にCOVID-19の2020年からの感染拡大を受け、公衆衛生態勢は相応に強化されているにもかかわらず、欧州でこれほど大規模なヒト-ヒト感染を引き起こした事例はありません、市中感染が始っているといえる。発見されてから64年で初めての事例です、変異か変異が無いのならば感染拡大が進んだ背景に考えられるものはなにか、まだ不明だ。

 ワクチンが有効である。サル痘に対しては天然痘用ワクチンが有効といい、WHO世界保健機関によれば85%の効果を示すという。こういうのも、ワクチンの始まりはジェンナーの種痘に始まるもので、ワクチンの元祖というものです。種痘の後に開発されたものは不活性化ワクチンなど、今のmRNAワクチンから見ればかなり危険なものが初期のものです。

 しかし、天然痘ワクチンは改良が続けられ、結果的にサル痘は別ですが天然痘については根絶に成功しました。もっとも、根絶に成功した為に各国の天然痘ワクチン備蓄はバイオテロを想定した少量にとどまり、ワクチンの緊急量産が必要となるのですが。すると原動力となる論拠が必要です。PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうかね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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