■週報:世界の防衛,最新11論点
ロシア軍ウクライナ侵攻を受け各国では陸上防衛の再建が課題となりましたが今回は陸上防衛装備に関する11の話題を。まず90式戦車と形状は似ているが遥かに性能を追い上げようとするドイツの話題から。

ドイツ連邦軍は最初のレオパルド2A7V主力戦車を受領しました、受領したレオパルド2A7V戦車は5両で、配備されるのは第9装甲旅団で、第1装甲師団隷下にあるとともに平時には装甲教導旅団としてニーダーザクセン州のムンスター装甲学校隷下となっていますが、同時に連邦軍EK介入戦力として有事には緊急展開部隊としての役割も担っています。

レオパルド2A7V戦車はレオパルド2A7の近代化改修型で、C4Iデータリンクシステムを改良するとともにエンジン停止時にもデータリンクシステムを稼働させるためのAPU補助動力装置、そして砂漠などの地域への派遣を見込んで車内エアコンディショナーを追加搭載しています、連邦軍ではレオパルド2A7V戦車を2023年までに104両改良する計画です。
■SB-1デファイアント
UH-60ブラックホークヘリコプターの時代というものもそろそろ後継機が模索されているようですが自衛隊はUH-1の後継機がまだ412という時代ですので置き去りにされているような。

アメリカ陸軍向けへ開発されているSB-1デファイアント複合ヘリコプター試作機は初期の評価試験を開始しました。SB-1デファイアントはロッキードマーティン社とシコルスキー社及びボーイング社の企業連合が開発する二重反転ローター方式を採用した複合ヘリコプターで、従来の観測ヘリコプターより遥かに速い巡航速度を有する点に特色があります。

FLRAA長距離強襲航空機、アメリカ陸軍では従来のOH-58観測ヘリコプターなどの航空機では将来の戦闘において生存性を確保できないとしてヘリコプターの速度を大幅に向上させる計画を進めています。そして偵察任務とともに第一線への小規模なヘリボーン強襲任務、必要に応じて対戦車ミサイル等を搭載し、強襲任務に充てる事も想定した航空機だ。

SB-1デファイアントは、革新的な航空機ではある一方、機体規模はUH-60ブラックホークヘリコプターと同程度に抑えており、一方で巡航速度は236ノットを記録しています。今回の評価試験では60度の角度でのバンクターンや急制動といったヘリコプター機動が試験され、これによりMV-22オスプレイのような可動翼機には無い飛行特性を有しています。
■ACVの海兵隊製造契約
装輪装甲車の巨大化は今に始まった事ではないのですがそれでもあのAAV-7よりも車体が大きいのですから大丈夫なのかと思ってしまう、それくらいなければ洋上を航行できないのでしょうがね。

アメリカ海兵隊はACV水陸両用戦闘車第二期生産33両についてBAE社と1億6900万ドルの正式契約を結びました。ACV水陸両用戦闘車両はイタリアのイヴェコ社の開発したスーパーAV装輪装甲車を海兵隊仕様としたもので、全長7.9mに重量は最大24tの12名乗り、海兵隊はACVを装軌式AAV-7両用強襲車輛の部分的な後継として位置付けています。

BAE社はバージニア州スタッフォードのBAE向上において生産及び予備部品供給を実施していて、2020年に先行生産としてACVを36両、そして2021年にもACVを36両受注しており、今回契約した基本輸送型とともに派生型としまして、ACV-C指揮通信車と30mm機関砲塔搭載で偵察及び火力支援型のACV-30の試作作業も同時に進めているところです。

ACV水陸両用戦闘車は装輪装甲車であり、AAV-7両用強襲車のような沿岸部のサンゴ礁踏破など、厳しい地形での運用を想定していません。そして水上浮航速度も決して高くはないものの、アメリカ海兵隊ではAAV-7の運用が上陸作戦としてではなく汎用装甲車両として多用されており、敢えて上陸作戦能力よりも広い汎用性を重視した装備となっています。
■BMP-3に57mm機関砲
この報道はロシア軍のウクライナ侵攻より前ですので現在の経済制裁と戦訓蓄積で果たして火力だけの装甲戦闘車はどう評価されるのでしょう。

ロシア軍は57mm型のエポカ無人砲塔搭載BMP-3装甲戦闘車派生型B-19戦闘車両を発表しました。これはニジニノヴゴロド州にて2021年12月に実施されたザーパト2021演習において展示されたもので、BMP-3装甲戦闘車の近代化改修型という位置づけです。これは全面的な改修ではなく量産が遅れるクルガネツ25装甲戦闘車までの繋ぎともされる。

LSHO-57機関砲、エポカ無人砲塔は57mm高射機関砲を地上型として転用した新世代の大口径機関砲LSHO-57を搭載しており、加えて9M113コロネット対戦車ミサイル発射装置を備えています。これによりB-19は対戦車戦闘能力を持つと共に、コロネットにはサーモバリック弾頭型があり、陣地攻撃や市街地戦闘などで使い分ける事が可能となるもよう。

BMP-3装甲戦闘車は元々火力支援用の100mm低圧砲と対装甲用の30mm機関砲を備えていますが、57mm機関砲は火力支援にも対装甲戦闘にも十分威力を有していると共に、TOW対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルをアウトレンジ攻撃可能となっている。BMP-3装甲戦闘車は製造が2022年内で完了するが、当面は近代化で勢力が維持される。
■進化するカールグスタフ
スマート照準器を装備しますと小銃でさえ驚異的な超距離や遠方の小型無人機を叩き落とせるようになる。

スウェーデンのサーブ社はカールグスタフ84mm無反動砲にAFCD-TI/Senop高度火器管制暗視装置搭載型を発表しました。カールグスタフ84mm無反動砲は携帯可能な大砲としてスウェーデン軍は勿論、アメリカ陸軍や陸上自衛隊など世界中で運用されていますが、その照準装置は光学式で、戦車等移動目標への命中には練度を必要とする点が難点でした。

AFCD-TI/Senop高度火器管制暗視装置は重量1.5kg、レーザー測距装置と目標識別能力により戦車等の移動目標へは未来位置を予測し偏差を射手に伝え正確な遠距離射撃を可能とする他、暗視装置により昼夜に渡る戦闘に対応するほか、地域制圧に際しても見越し角を射手に補正表示させ、従来の84mm無反動砲よりも遠距離を、正確に火力支援が可能です。
■韓国のMPUGVロボット
日本は一般乗用車の無人運転技術で難渋していますが韓国の様にまず軍用の戦場と云うぶつけても文句はあまり来ないが破壊されても運転手が生命に影響しない分野で技術蓄積する選択肢は必要とおもう。

韓国軍にMPUGV無人多目的車両が現代ロテムより納入された。MPUGV無人多目的車両はノーパンクタイヤ六輪の装輪型で電気駆動式、インホイールモーターを採用している。韓国軍が歩兵斥候任務や前哨陣地防御戦闘、負傷者後方搬送や前線輸送任務の一部をロボット化する構想の下で進められたもので、無人自律運用と遠隔操作が可能となっている。

MPUGV無人多目的車両は4km先までの遠隔操作を想定し昼夜型TVカメラを搭載、長距離機動では輸送車を用いる。車体そのものの速度は30km/h、車体には200kgの貨物を積載可能であるほか、監視装置には7.62mm機銃などの遠隔操作銃搭を兼ねる。この性能ならば長い国境非武装地帯の機動監視はもちろん、戦車部隊に随伴し斥候も可能であろう。
■ギリシャM-1117中古取得
M-1117装甲警備車はまあいうなれば軽装甲機動車をキャブオーバー型にしたような使いやすい警備用装甲車です。

ギリシャ軍はアメリカ軍余剰装備のM-1117装甲警備車44両を受領しました。ギリシャ軍は限られた予算での防衛力整備へアメリカ軍余剰車両1200両の導入計画があり、最初の納入車両は在独米軍第21戦域支援軍団の保有車両が供与されています。残る車両はカリフォルニア州のシエラ陸軍補給処より輸送され、その輸送費用は全てギリシャが負担します。

M-1117装甲警備車は陸軍憲兵隊用の警備用装甲車で四輪駆動、主な用途は基地や空港及び交通要所等の警備を念頭に開発されており、装甲ハンヴィーなどでは能力不足となるゲリラ攻撃に対処すべく軽装甲車であるV-150コマンドーを拡大改良した装備で全備重量13.4t、乗員1名と憲兵3名が乗車可能であるとともに12.7mm機関銃塔等を搭載しています。
■スリング120mm自走迫撃砲
自衛隊では対戦車ミサイルや迫撃砲は車上から撃たずに降ろして射撃していますがそろそろ陣地変換に求められる時間短縮の需要に対応出来なくなっている印象が。

イスラエルのエルビットシステム社は画期的なスリング120mm軽量自走迫撃砲システムを発表しました。現在もっとも機動力を有する重迫撃砲はフランスのトムソン社が開発した120mmRT重迫撃砲で砲架を車輪とすることで機動力を確保しています、しかしスリング軽自走迫撃砲は小型車の一部を迫撃砲とする事で素早い陣地変換と射撃を可能とした。

Sling120mmMSPスリング軽自走迫撃砲はピックアップトラックや軽野戦車輛の後部に搭載可能、車体と一体化させており、ヘリコプターによる空輸が可能、機動時は砲身を背負い式で搭載、射撃時は砲床板ごと着地させ停車から30秒乃至60秒で射撃準備を完了、射程は7kmで毎分16発の射撃が可能,射界は後方に掛け110度を操砲可能となっています。
■ACV海上訓練を再開
ACVの話題ですがアメリカの場合はAAV-7の海没事故が在りましたから慎重になるのは仕方ないですよね。

アメリカ海兵隊はACV水陸両用戦闘車の海上訓練を再開しました。これは2022年1月8日に海兵隊第13MEU海兵遠征群が訓練映像を発表したものです。これまで一時的に海上訓練が中止されていましたが、その要因として海上曳航装置に関する問題が確認され、海上において動力喪失した場合に安全に曳航を受けられない欠陥が判明したためとのこと。

ACV水陸両用戦闘車はAAV-7両用強襲車の後継車両として位置付けられており、AAV-7は全没事故を発生させたこともありました。ACVの問題は曳航した際に波浪で車体が海上で転覆する危険が在ったといい、今回の訓練再開はこの問題が是正された事を意味します。ACVは既に日米共同訓練へも参加しており、また各種派生型の開発も進められています。
■トルコZMA-15装甲車
あの砲塔で安定するならば日本も偵察警戒車に75mm砲を搭載出来そうな勢いですが。

トルコのFNSS社はM-113-FMC装甲車の近代化改修ZMA-15一号車を発表しました。トルコは1989年から2003年までの間にアメリカのM-113装甲車を2000両以上ライセンス生産しており、その大半をFMC仕様という中空装甲増加装甲装着と機銃用防盾追加型として生産しており、一部の車体には25mm機関砲塔を追加し簡易装甲戦闘車としています。

ZMA-15改修は2019年12月にトルコ陸軍が決定した近代化改修計画で、トルコのアセルサン社が独自開発した25mm機関砲搭載のNEFER無人砲塔を搭載、レーザー検知装置や乗車戦闘用の車体側面近距離暗視装置等が追加されました。野心的な計画ですが、M-113の車体に対しNEFER無人砲塔はコミカルなほどに大型であり、今後の展開は関心事です。
■インドK-9自走砲増強へ
ロシア製兵器依存度の高いインドではK-9自走砲への価格も性能もという好評からK-9派生の軽戦車を希望しているといい、日本から見れば防衛産業の生き残り方を考えさせられるようです。

インド陸軍は中印国境地域での高い機動実績から韓国製K-9自走榴弾砲の増強を決定しました。K-9は2012年からロシア製2S19自走榴弾砲と競合を経て採用されており、特にインド高山地域での1000kmの機動試験では2S19は完走する事が出来ずK-9に決定、52口径155mm榴弾砲はインド製砲弾にも対応し、その長射程も評価されているとことです。

K-9バジュラとして導入した韓国製自走榴弾砲は100両を取得、火器管制装置等50%をインド軍仕様としているとし、2021年3月から4月にかけてヒマラヤ山脈に繋がる峻険な中印国境地域においてインド軍の想定を上回る良好な機動実績を発揮しています。新たに取得するK-9は200両とされ、これにより10個砲兵連隊へK-9を配備するとのことです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ロシア軍ウクライナ侵攻を受け各国では陸上防衛の再建が課題となりましたが今回は陸上防衛装備に関する11の話題を。まず90式戦車と形状は似ているが遥かに性能を追い上げようとするドイツの話題から。

ドイツ連邦軍は最初のレオパルド2A7V主力戦車を受領しました、受領したレオパルド2A7V戦車は5両で、配備されるのは第9装甲旅団で、第1装甲師団隷下にあるとともに平時には装甲教導旅団としてニーダーザクセン州のムンスター装甲学校隷下となっていますが、同時に連邦軍EK介入戦力として有事には緊急展開部隊としての役割も担っています。

レオパルド2A7V戦車はレオパルド2A7の近代化改修型で、C4Iデータリンクシステムを改良するとともにエンジン停止時にもデータリンクシステムを稼働させるためのAPU補助動力装置、そして砂漠などの地域への派遣を見込んで車内エアコンディショナーを追加搭載しています、連邦軍ではレオパルド2A7V戦車を2023年までに104両改良する計画です。
■SB-1デファイアント
UH-60ブラックホークヘリコプターの時代というものもそろそろ後継機が模索されているようですが自衛隊はUH-1の後継機がまだ412という時代ですので置き去りにされているような。

アメリカ陸軍向けへ開発されているSB-1デファイアント複合ヘリコプター試作機は初期の評価試験を開始しました。SB-1デファイアントはロッキードマーティン社とシコルスキー社及びボーイング社の企業連合が開発する二重反転ローター方式を採用した複合ヘリコプターで、従来の観測ヘリコプターより遥かに速い巡航速度を有する点に特色があります。

FLRAA長距離強襲航空機、アメリカ陸軍では従来のOH-58観測ヘリコプターなどの航空機では将来の戦闘において生存性を確保できないとしてヘリコプターの速度を大幅に向上させる計画を進めています。そして偵察任務とともに第一線への小規模なヘリボーン強襲任務、必要に応じて対戦車ミサイル等を搭載し、強襲任務に充てる事も想定した航空機だ。

SB-1デファイアントは、革新的な航空機ではある一方、機体規模はUH-60ブラックホークヘリコプターと同程度に抑えており、一方で巡航速度は236ノットを記録しています。今回の評価試験では60度の角度でのバンクターンや急制動といったヘリコプター機動が試験され、これによりMV-22オスプレイのような可動翼機には無い飛行特性を有しています。
■ACVの海兵隊製造契約
装輪装甲車の巨大化は今に始まった事ではないのですがそれでもあのAAV-7よりも車体が大きいのですから大丈夫なのかと思ってしまう、それくらいなければ洋上を航行できないのでしょうがね。

アメリカ海兵隊はACV水陸両用戦闘車第二期生産33両についてBAE社と1億6900万ドルの正式契約を結びました。ACV水陸両用戦闘車両はイタリアのイヴェコ社の開発したスーパーAV装輪装甲車を海兵隊仕様としたもので、全長7.9mに重量は最大24tの12名乗り、海兵隊はACVを装軌式AAV-7両用強襲車輛の部分的な後継として位置付けています。

BAE社はバージニア州スタッフォードのBAE向上において生産及び予備部品供給を実施していて、2020年に先行生産としてACVを36両、そして2021年にもACVを36両受注しており、今回契約した基本輸送型とともに派生型としまして、ACV-C指揮通信車と30mm機関砲塔搭載で偵察及び火力支援型のACV-30の試作作業も同時に進めているところです。

ACV水陸両用戦闘車は装輪装甲車であり、AAV-7両用強襲車のような沿岸部のサンゴ礁踏破など、厳しい地形での運用を想定していません。そして水上浮航速度も決して高くはないものの、アメリカ海兵隊ではAAV-7の運用が上陸作戦としてではなく汎用装甲車両として多用されており、敢えて上陸作戦能力よりも広い汎用性を重視した装備となっています。
■BMP-3に57mm機関砲
この報道はロシア軍のウクライナ侵攻より前ですので現在の経済制裁と戦訓蓄積で果たして火力だけの装甲戦闘車はどう評価されるのでしょう。

ロシア軍は57mm型のエポカ無人砲塔搭載BMP-3装甲戦闘車派生型B-19戦闘車両を発表しました。これはニジニノヴゴロド州にて2021年12月に実施されたザーパト2021演習において展示されたもので、BMP-3装甲戦闘車の近代化改修型という位置づけです。これは全面的な改修ではなく量産が遅れるクルガネツ25装甲戦闘車までの繋ぎともされる。

LSHO-57機関砲、エポカ無人砲塔は57mm高射機関砲を地上型として転用した新世代の大口径機関砲LSHO-57を搭載しており、加えて9M113コロネット対戦車ミサイル発射装置を備えています。これによりB-19は対戦車戦闘能力を持つと共に、コロネットにはサーモバリック弾頭型があり、陣地攻撃や市街地戦闘などで使い分ける事が可能となるもよう。

BMP-3装甲戦闘車は元々火力支援用の100mm低圧砲と対装甲用の30mm機関砲を備えていますが、57mm機関砲は火力支援にも対装甲戦闘にも十分威力を有していると共に、TOW対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルをアウトレンジ攻撃可能となっている。BMP-3装甲戦闘車は製造が2022年内で完了するが、当面は近代化で勢力が維持される。
■進化するカールグスタフ
スマート照準器を装備しますと小銃でさえ驚異的な超距離や遠方の小型無人機を叩き落とせるようになる。

スウェーデンのサーブ社はカールグスタフ84mm無反動砲にAFCD-TI/Senop高度火器管制暗視装置搭載型を発表しました。カールグスタフ84mm無反動砲は携帯可能な大砲としてスウェーデン軍は勿論、アメリカ陸軍や陸上自衛隊など世界中で運用されていますが、その照準装置は光学式で、戦車等移動目標への命中には練度を必要とする点が難点でした。

AFCD-TI/Senop高度火器管制暗視装置は重量1.5kg、レーザー測距装置と目標識別能力により戦車等の移動目標へは未来位置を予測し偏差を射手に伝え正確な遠距離射撃を可能とする他、暗視装置により昼夜に渡る戦闘に対応するほか、地域制圧に際しても見越し角を射手に補正表示させ、従来の84mm無反動砲よりも遠距離を、正確に火力支援が可能です。
■韓国のMPUGVロボット
日本は一般乗用車の無人運転技術で難渋していますが韓国の様にまず軍用の戦場と云うぶつけても文句はあまり来ないが破壊されても運転手が生命に影響しない分野で技術蓄積する選択肢は必要とおもう。

韓国軍にMPUGV無人多目的車両が現代ロテムより納入された。MPUGV無人多目的車両はノーパンクタイヤ六輪の装輪型で電気駆動式、インホイールモーターを採用している。韓国軍が歩兵斥候任務や前哨陣地防御戦闘、負傷者後方搬送や前線輸送任務の一部をロボット化する構想の下で進められたもので、無人自律運用と遠隔操作が可能となっている。

MPUGV無人多目的車両は4km先までの遠隔操作を想定し昼夜型TVカメラを搭載、長距離機動では輸送車を用いる。車体そのものの速度は30km/h、車体には200kgの貨物を積載可能であるほか、監視装置には7.62mm機銃などの遠隔操作銃搭を兼ねる。この性能ならば長い国境非武装地帯の機動監視はもちろん、戦車部隊に随伴し斥候も可能であろう。
■ギリシャM-1117中古取得
M-1117装甲警備車はまあいうなれば軽装甲機動車をキャブオーバー型にしたような使いやすい警備用装甲車です。

ギリシャ軍はアメリカ軍余剰装備のM-1117装甲警備車44両を受領しました。ギリシャ軍は限られた予算での防衛力整備へアメリカ軍余剰車両1200両の導入計画があり、最初の納入車両は在独米軍第21戦域支援軍団の保有車両が供与されています。残る車両はカリフォルニア州のシエラ陸軍補給処より輸送され、その輸送費用は全てギリシャが負担します。

M-1117装甲警備車は陸軍憲兵隊用の警備用装甲車で四輪駆動、主な用途は基地や空港及び交通要所等の警備を念頭に開発されており、装甲ハンヴィーなどでは能力不足となるゲリラ攻撃に対処すべく軽装甲車であるV-150コマンドーを拡大改良した装備で全備重量13.4t、乗員1名と憲兵3名が乗車可能であるとともに12.7mm機関銃塔等を搭載しています。
■スリング120mm自走迫撃砲
自衛隊では対戦車ミサイルや迫撃砲は車上から撃たずに降ろして射撃していますがそろそろ陣地変換に求められる時間短縮の需要に対応出来なくなっている印象が。

イスラエルのエルビットシステム社は画期的なスリング120mm軽量自走迫撃砲システムを発表しました。現在もっとも機動力を有する重迫撃砲はフランスのトムソン社が開発した120mmRT重迫撃砲で砲架を車輪とすることで機動力を確保しています、しかしスリング軽自走迫撃砲は小型車の一部を迫撃砲とする事で素早い陣地変換と射撃を可能とした。

Sling120mmMSPスリング軽自走迫撃砲はピックアップトラックや軽野戦車輛の後部に搭載可能、車体と一体化させており、ヘリコプターによる空輸が可能、機動時は砲身を背負い式で搭載、射撃時は砲床板ごと着地させ停車から30秒乃至60秒で射撃準備を完了、射程は7kmで毎分16発の射撃が可能,射界は後方に掛け110度を操砲可能となっています。
■ACV海上訓練を再開
ACVの話題ですがアメリカの場合はAAV-7の海没事故が在りましたから慎重になるのは仕方ないですよね。

アメリカ海兵隊はACV水陸両用戦闘車の海上訓練を再開しました。これは2022年1月8日に海兵隊第13MEU海兵遠征群が訓練映像を発表したものです。これまで一時的に海上訓練が中止されていましたが、その要因として海上曳航装置に関する問題が確認され、海上において動力喪失した場合に安全に曳航を受けられない欠陥が判明したためとのこと。

ACV水陸両用戦闘車はAAV-7両用強襲車の後継車両として位置付けられており、AAV-7は全没事故を発生させたこともありました。ACVの問題は曳航した際に波浪で車体が海上で転覆する危険が在ったといい、今回の訓練再開はこの問題が是正された事を意味します。ACVは既に日米共同訓練へも参加しており、また各種派生型の開発も進められています。
■トルコZMA-15装甲車
あの砲塔で安定するならば日本も偵察警戒車に75mm砲を搭載出来そうな勢いですが。

トルコのFNSS社はM-113-FMC装甲車の近代化改修ZMA-15一号車を発表しました。トルコは1989年から2003年までの間にアメリカのM-113装甲車を2000両以上ライセンス生産しており、その大半をFMC仕様という中空装甲増加装甲装着と機銃用防盾追加型として生産しており、一部の車体には25mm機関砲塔を追加し簡易装甲戦闘車としています。

ZMA-15改修は2019年12月にトルコ陸軍が決定した近代化改修計画で、トルコのアセルサン社が独自開発した25mm機関砲搭載のNEFER無人砲塔を搭載、レーザー検知装置や乗車戦闘用の車体側面近距離暗視装置等が追加されました。野心的な計画ですが、M-113の車体に対しNEFER無人砲塔はコミカルなほどに大型であり、今後の展開は関心事です。
■インドK-9自走砲増強へ
ロシア製兵器依存度の高いインドではK-9自走砲への価格も性能もという好評からK-9派生の軽戦車を希望しているといい、日本から見れば防衛産業の生き残り方を考えさせられるようです。

インド陸軍は中印国境地域での高い機動実績から韓国製K-9自走榴弾砲の増強を決定しました。K-9は2012年からロシア製2S19自走榴弾砲と競合を経て採用されており、特にインド高山地域での1000kmの機動試験では2S19は完走する事が出来ずK-9に決定、52口径155mm榴弾砲はインド製砲弾にも対応し、その長射程も評価されているとことです。

K-9バジュラとして導入した韓国製自走榴弾砲は100両を取得、火器管制装置等50%をインド軍仕様としているとし、2021年3月から4月にかけてヒマラヤ山脈に繋がる峻険な中印国境地域においてインド軍の想定を上回る良好な機動実績を発揮しています。新たに取得するK-9は200両とされ、これにより10個砲兵連隊へK-9を配備するとのことです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)