北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和三年迎春:新しい一年の始りを御慶び申し上げます,本年もどうぞよろしくお願い致します

2021-01-01 20:21:04 | 北大路機関特別企画
■令和3年-2021年
 皆様明けましておめでとうございます!新しい一年が始りました、本年もどうぞよろしくお願いいたしますね。

 2020年というものは色々な事がありまして、COVID-19は百年後も世界史に残る事でしょう。なにしろ百年前のスペイン風邪以来の世界的流行禍、祇園祭も葵祭も大きく縮小され時代祭は中止と五山送り火は僅かに仄火を灯したのみ、自衛隊行事も軒並み中止となり、ここまで自衛隊行事を撮影しなかったのは、考えれば2002年以来、というところでした。

 2021年はどういった一年となるかは不明ですが、2020年にCOVID-19感染拡大に対して2020年内に完成し、イギリスそしてアメリカで接種が開始されたCIVID-19ワクチンは、恰もワーテルローの戦いでナポレオンに押されつつ最後の建て直しを図ったウェリントンにプロシア軍騎兵部隊の増援が間に合った瞬間の朗報に等しいものといえるかもしれない。

 ウィズコロナの時代。日本では畏れというものを再認識し、このCOVID-19との共存を図るという祇園祭が疾病祓いを祈念し、はじまった1151年前の時代へ回帰する流れの中、欧州や北米では赤狩りのようなコロナ狩りとコロナ対策違反者狩りが進められ、経済的に貧しい第三世界では、言葉は悪いですが欧米列強に蹂躙された如くCOVID-19に蹂躙される。

 ポストコロナの時代。2021年はワクチン量産開始にて、こうした時代が確かに見えてきた訳です。しかし、私人の生活ではポストコロナは日常の緩やかな回帰という僥倖と幸いに満ち溢れたものが約束されていまして、再度人と人とが距離と心を密とし、饗宴に酒宴に慕情に富んだ日々の再来を意味する、文字通り多幸ある日々への再興を意味するでしょう。

 しかし、国際関係においては果たしてポストコロナの時代はどのように収斂するかは未知数と云わざるを得ません。国際関係を構成する諸国の、民主主義を主管する世論は怨嗟に満ちており、果たして何故にここまでCOVID-19の苦境に悩まされねばならないのかの合理的な理由を求めています、世論を政治が抑えられない民主主義国こそ、納得しません。

 単極時代の多極化時代、2010年代を振り返るならばポスト冷戦の時代により東西二極構造が終焉を迎え、パクスアメリカーナという単極時代が到来した後、もともとアメリカの価値観はロールズの正義論に示されるような配分的正義と原初状態での平等に依拠した自由主義であったことを思い出せば、覇権は元々望まず、世界は多極化時代へ進んでいました。

 ここが二極化時代へ進むのが、ポストコロナの時代ではないか、と。二極化時代に進むと考えざるを得ない背景には、コロナ時代の到来に先んじて世界の民主主義はポピュリズム時代に進んでおり、朝三暮四の分りやすい政策が敢えて支持を集める時代となっていました。トランプ政権誕生やマクロン政権誕生、イギリスEU離脱等はその典型的な事例です。

 大衆迎合主義と訳されるポピュリズムですが、その主旨は必ずしも的を射ているとは言えず、朝三暮四の政策が迎合される時代と解釈しています。すると、COVID-19により経済的打撃、のみならず既に160万もの死者を出す事となった世界は自国通貨の下落や景気後退により、いち早くCOVID-19を克服した国、中国による影響拡大をどうみるか、と。

 冷戦構造の回帰、こう考えるのは如何にも短絡的ですが、世界には最初の感染源である中国での、感染対策と情報開示を行っていたかという検証、疫学的な感染源の検証による再発防止、この二つを強く欲しています。しかし後者については必要ですが、前者については必ずしもそうではなく、一方、この前者への検証は中国の孤立化を招く危険もあります。

 豪州中国関係は、まさにそうでした。豪州政府は疫学的見地からCOVID-19の感染源を把握し再発を防止する国際公序の必要性を提示していましたが、同時期に米英を中心に世論として中国陰謀論、武漢での生物兵器研究等が疑われた時期と重なり、中国政府が豪州政府の疫学的検証要求に対して大規模な経済制裁により答えた事は記憶に新しいでしょう。

 文明の衝突、とハンチントンの理念を敢えて示すものではありませんが、民主主義や法の支配というものについては、世界的な共有知が培われているようで実のところそうではありません、また単極時代とは指摘されるものの、国際公序としての理念であり、その解釈と価値観は同一であるとの認識のはじまりから、実は歴史的文化的多極化があるといえる。

 変容期を迎えている、ポストコロナの時代というものは多極化時代へ回帰できるか、二極時代による対立構造が醸成されるかという、こうした不安定な時代を迎える事を意味するでしょう。こうした際に、防衛や安全保障と国際関係について、理解の一助となるような視点、北大路機関、第二北大路機関は2021年も提供してゆきます。本年もどうぞよろしく。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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