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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省平成二九年度予算概算要求の検証【3】 平成29年度概算要求の考え方

2016-09-22 22:21:19 | 北大路機関特別企画
■平成29年度概算要求の考え方
 防衛省平成二九年度予算概算要求の検証、この第三回は、平成29年度概算要求の考え方、についてみてみましょう。

 平成29年度概算要求の考え方、としまして全般的な概算要求の主要事業を目次から見てゆく事とします。各種事態における実効的な抑止及び対処、アジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善、日米同盟の強化、人事教育に関する施策、効率化への取組、防衛装備・技術政策への取組、概算要求は以上六区分に分けて要求されています。

 各種事態における実効的な抑止及び対処が第一に提示されています。この部分については、周辺海空域における安全確保と島嶼部に対する攻撃への対応に二分化されています。島嶼部に対する攻撃への対応は我が国防衛の新しい防衛力整備であり、常続監視体制の整備と航空優勢の獲得維持及び海上優勢の獲得維持と迅速な展開対処能力の向上や指揮統制・情報通信体制の整備という施策と防衛事業を呈示しています。

 特殊武器及び特殊攻撃に対する対応としまして、来年度概算要求に、弾道ミサイル攻撃への対応が明示されています。弾道ミサイル攻撃への対応とともにゲリラ特殊部隊による攻撃への対応の防衛力整備が加えて整備維持されます。また、宇宙空間における対応等の施策も継続される。

 サイバー空間における対応、こちらも特殊攻撃への対処の一環として明示され、体制の充実強化や運用基盤の充実強化と最新技術の研究が継続して要求されることとなっています。サイバー攻撃は防衛施設や防衛ネットワークシステム全般への攻撃のみならず、我が国経済基盤及び社会基盤への重大な脅威として顕在化していると共に、憲法上の武力行使や国際法上の武力攻撃との類型が難しい部分ですが、その部分へは踏み込んでいません。

 大規模災害等への対応について。東日本大震災以降特にその発生が危惧される事となりました南海トラフ巨大地震への対応は、自己完結能力を持つ軍事機構である自衛隊へも重要な任務となりつつあり、災害対処拠点となる駐屯地基地等の機能維持強化、大規模・特殊災害等に対応する訓練等の実施、災害対処に資する装備品の取得等が明示されました。併せて全般的な施策として、情報機能の強化も盛り込まれています。

 アジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善、集団的自衛権行使という憲法に直結する問題は従来避けられていたものではありますが、防衛力の任務が多様化し信頼醸成や人道支援と軍事力による防衛力が参画し得る部分が拡大しているここ25年間の趨勢を反映し、更に安全保障分野での協力、軍事非軍事に関わらず拡大する多国間協力と地球規模の問題へ参画する姿勢が示されました。

 多国間協力は、アジア太平洋諸国、同盟国アメリカとの協力、に二分し平成29年度概算要求の考え方が明示されています。アジア太平洋地域の安定化への対応とグローバルな安全保障課題への適切な対応、日米同盟の強化には、地元の負担軽減に資する措置とSACO関係経費が防衛事業の軸として提示されています。防衛協力というよりは、防衛力が参画し得る国際協力の具現化を強調しているもよう。

 人事教育に関する施策、平成29年度概算要求の考え方では、人材確保という部分が強調されています。国防を担う優秀な人材を確保するための施策の推進と女性の活躍とワークライフバランスのための施策の推進および人事制度改革、以上三点が重要施策として提示されています。男女共同参画は現政権の重要政策、また少子高齢化に伴う労働力不足を背景とした人材確保、こちらも防衛力に直結するものの一つ。

 効率化への取組、平成29年度概算要求はこの数年間に例外のない厳しい財政状況を背景に計画されたものです。長期契約を活用した装備品等及び役務の調達、維持・整備方法の見直し、民生品の使用・仕様の見直し、装備品のまとめ買い、以上四点を強調し防衛装備品の調達へ費用を圧縮する施策を模索し提示しています。また、これまでの効率化による縮減額、としまして、事業評価も明示しました。

 防衛装備・技術政策への取組、平成29年度概算要求では防衛装備庁の技術開発など、単なる装備品や人員の数に留まらない、防衛技術による抑止力や、我が国技術力の防衛力へ反映させる取り組みが示されています。この為に、技術的優越を確保するための戦略的な取組の推進、プロジェクト管理等を通じた最適な取得の推進、防衛生産・技術基盤の維持・強化施策の推進、という施策と防衛事業が明示されています。

北大路機関:はるな くらま
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