■世界はどう変わったか?
本日はアメリカ同時多発テロから15年という鎮魂の日です。あの日から世界はどう変わったのでしょうか。

アメリカ同時多発テロは、その後の対テロ戦争という新しい戦争形態の普遍化、中東地域における21世紀初頭から今日までに至る大きな混乱と秩序の再構築、その破綻と再構築の試みという大きな対立構造と共に、20世紀後半の東西冷戦に並ぶ、新しいイデオロギーの対立、宗教対立という古く、そしてまた新しい問題を再認識させる狼煙となっています。

アメリカ同時多発テロ、アフガニスタンを基点とする国際テロ組織アルカイダにより、アメリカ本土の首都ワシントンDC,経済中枢ニューヨークの世界貿易センタービル等を複数の旅客機を同時にハイジャックし、体当たり攻撃を掛けるという卑劣な攻撃により戦端が切られました、これは破綻国家を基点とするテロ組織の危険性を世界に示したわけです。

破綻国家を国家再建に導き、テロの温床を経済発展と民主主義の輪で包もう、こうした発想に対し、突き付けられたイスラム原理主義の主張は、イスラム教成立以前の原始的状態まで世界の文明を後退させ、その上で一から預言者が示した世界を独自解釈し思い浮かぶ世界が実現する事が可能となるよう、人類史をやり直す、と相いれないものとなりました。

今日の視点から見た場合、同時多発テロを受けてのアメリカの坑道は致し方ない物であったといえるかもしれません。また、アルカイダの掲げた中東地域からのアメリカ軍の撤退は、イラク戦争を経て現在のオバマ政権により撤退が実現、彼らの要望が期せずして実現したのですが、生まれたのは軍事的空白と国家再建の空隙に乗じた破綻国家状態です。

軍事的空白は、その後、現在進展中のシリア内戦とロシア介入に示されるようにアメリカが引いた分、ロシアという新しい勢力の中東展開という単なる転換が生じ、また、無政府状態の成立はアルカイダを上回るISILという新しい脅威の出現とテロの輸出という状態の悪化を招いたものとなります、軍事的空白の危険性を世界へ再認識させたものでしょう。

一方、テロとの戦いに代表される装備体系への、アメリカ軍及びNATO加盟国の転換は、期せずしてレジームチェンジという可能性を示すものとなりました。具体的には、イラク戦争とその後のイラク治安作戦、アフガニスタン介入により、近接戦闘と耐爆車両や個人用戦闘装備偏重の装備改革、海軍は沿岸作戦、空軍は監視能力重視へ転換してゆきました。

結果、FCS将来装備体系開発中止、将来偵察ヘリコプター計画中止、将来自走榴弾砲開発中止、DD21将来水上戦闘艦構想抜本的縮小、JSF統合打撃戦闘機計画の縮小と開発遅延、つまり重厚な大規模武力紛争へ対処する事を可能とする様々な装備開発計画が、海外派遣戦費と対テロ作戦対応への装備転換による予算不足から中止縮小見直し、となっています。

レジームチェンジへ、というものは、欧米の装備転換に対し、中ロは従来型の重厚な装備体系を重視し、中国は経済発展と共に軍事力の投射能力を爆発的に増殖させ周辺国への軍事圧力へ転換し周辺国ほぼすべてと紛争状態に転換した他、ロシア軍は再建されクリミア併合や東部ウクライナ介入に中東進出等、平和秩序の根幹へ挑戦者が生まれたというもの。

こうした予測不能な世界へと転換する引き金が、2001年9月11日の同時多発テロの発生でした。東西冷戦後、人の尊厳と自己実現を重視する新しい国際公序の普遍化が世界をより良くすると考えさせた事に対し、必ずしもそうではないとの認識が収斂し発生したものかもしれません、新世紀における世界の方向性を大きく変えてしまいました。本日は、この悲劇の犠牲者を心から悼み、末尾とします。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
本日はアメリカ同時多発テロから15年という鎮魂の日です。あの日から世界はどう変わったのでしょうか。

アメリカ同時多発テロは、その後の対テロ戦争という新しい戦争形態の普遍化、中東地域における21世紀初頭から今日までに至る大きな混乱と秩序の再構築、その破綻と再構築の試みという大きな対立構造と共に、20世紀後半の東西冷戦に並ぶ、新しいイデオロギーの対立、宗教対立という古く、そしてまた新しい問題を再認識させる狼煙となっています。

アメリカ同時多発テロ、アフガニスタンを基点とする国際テロ組織アルカイダにより、アメリカ本土の首都ワシントンDC,経済中枢ニューヨークの世界貿易センタービル等を複数の旅客機を同時にハイジャックし、体当たり攻撃を掛けるという卑劣な攻撃により戦端が切られました、これは破綻国家を基点とするテロ組織の危険性を世界に示したわけです。

破綻国家を国家再建に導き、テロの温床を経済発展と民主主義の輪で包もう、こうした発想に対し、突き付けられたイスラム原理主義の主張は、イスラム教成立以前の原始的状態まで世界の文明を後退させ、その上で一から預言者が示した世界を独自解釈し思い浮かぶ世界が実現する事が可能となるよう、人類史をやり直す、と相いれないものとなりました。

今日の視点から見た場合、同時多発テロを受けてのアメリカの坑道は致し方ない物であったといえるかもしれません。また、アルカイダの掲げた中東地域からのアメリカ軍の撤退は、イラク戦争を経て現在のオバマ政権により撤退が実現、彼らの要望が期せずして実現したのですが、生まれたのは軍事的空白と国家再建の空隙に乗じた破綻国家状態です。

軍事的空白は、その後、現在進展中のシリア内戦とロシア介入に示されるようにアメリカが引いた分、ロシアという新しい勢力の中東展開という単なる転換が生じ、また、無政府状態の成立はアルカイダを上回るISILという新しい脅威の出現とテロの輸出という状態の悪化を招いたものとなります、軍事的空白の危険性を世界へ再認識させたものでしょう。

一方、テロとの戦いに代表される装備体系への、アメリカ軍及びNATO加盟国の転換は、期せずしてレジームチェンジという可能性を示すものとなりました。具体的には、イラク戦争とその後のイラク治安作戦、アフガニスタン介入により、近接戦闘と耐爆車両や個人用戦闘装備偏重の装備改革、海軍は沿岸作戦、空軍は監視能力重視へ転換してゆきました。

結果、FCS将来装備体系開発中止、将来偵察ヘリコプター計画中止、将来自走榴弾砲開発中止、DD21将来水上戦闘艦構想抜本的縮小、JSF統合打撃戦闘機計画の縮小と開発遅延、つまり重厚な大規模武力紛争へ対処する事を可能とする様々な装備開発計画が、海外派遣戦費と対テロ作戦対応への装備転換による予算不足から中止縮小見直し、となっています。

レジームチェンジへ、というものは、欧米の装備転換に対し、中ロは従来型の重厚な装備体系を重視し、中国は経済発展と共に軍事力の投射能力を爆発的に増殖させ周辺国への軍事圧力へ転換し周辺国ほぼすべてと紛争状態に転換した他、ロシア軍は再建されクリミア併合や東部ウクライナ介入に中東進出等、平和秩序の根幹へ挑戦者が生まれたというもの。

こうした予測不能な世界へと転換する引き金が、2001年9月11日の同時多発テロの発生でした。東西冷戦後、人の尊厳と自己実現を重視する新しい国際公序の普遍化が世界をより良くすると考えさせた事に対し、必ずしもそうではないとの認識が収斂し発生したものかもしれません、新世紀における世界の方向性を大きく変えてしまいました。本日は、この悲劇の犠牲者を心から悼み、末尾とします。
北大路機関:はるな くらま
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