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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊【災害派遣】 UH-1出動!北海道と岩手県における台風10号に伴う大雨に係る災害派遣

2016-09-04 22:19:00 | 防災・災害派遣
■台風10号豪雨自衛隊災害派遣
 我が国に相次ぎ上陸した三つ子の台風、その三つ目である台風被害、北海道と岩手県における台風10号に伴う大雨に係る災害派遣について。

 台風10号災害の復旧が完了しない中、現在台風12号が九州西方海域を北上中で明日にも九州北部へ上陸する見通しとなっています。こうした中、東北地方では台風10号による増水などで孤立した地域が広く存在しており、この中でも大規模な水害に見舞われました岩手県岩泉町では孤立地域の住民800名全員を陸上自衛隊のヘリコプター8機を集中し、安全地域へ退避させる地域避難を実施しました。更に岩手県久慈市でも、ヘリコプターによる孤立地域からの避難が計画されているとのことです。そこで、今回は台風10号災害への自衛隊災害派遣の概況を見てゆく事としましょう。

 東北地方太平洋岸に上陸した台風10号は東北地方および北日本に対し甚大な被害をもたらしました。この台風による豪雨災害により岩手県釜石市橋野町及び下閉伊郡岩泉町では河川氾濫による大規模浸水や土砂災害による道路崩壊を原因とする地域孤立など深刻な被害が発生、岩手県の達増拓也知事は、警察消防及び自治体の防災能力での対応能力が限界を超えているとして、8月30日1955時、陸上自衛隊岩手駐屯地の第9特科連隊長栁裕樹1佐に対し、孤立者の救助及び給水支援や道路啓開と人員及び物資輸送に関する災害派遣要請を出しました。

 自衛隊派遣規模は人員330名、車両80両、航空機16機、となっていまして、陸上自衛隊の派遣部隊は、岩手駐屯地より第9特科連隊、岩手駐屯地から第9高射特科大隊、霞目駐屯地より東北方面航空隊、八戸駐屯地から第9飛行隊、八戸駐屯地より第9施設大隊、神町駐屯地から第6飛行隊、青森駐屯地より第9化学防護隊、船岡駐屯地から第2施設団、木更津駐屯地より第1ヘリコプター団、自衛隊岩手地方協力本部。加えて海上自衛隊より第21航空群大湊航空分遣隊が派遣中です。その他自治体へのLOとして人員14名及びLO車両7両が派遣中です。

 任務の展開について。孤立者等救助および行方不明者捜索の実績が累計87名、更に孤立地域からの航空機等を用いました患者輸送が岩泉町において19名、土石流により通行非農となった地域への道路啓開が岩泉町及び久慈市と釜石市において実施され約20キロメートルを復旧しました。更に、安否確認活動を岩泉町230世帯に対し実施しており、通信状態が明かしている被災地域において安否不明者の安全を確認しました。現地では断水している事から給水支援が岩泉町と田野畑村において実施されており累計約20tを給水、道路途絶地域へ航空機等を用いた物資輸送が岩泉町にて水500L及び食料約2tが運び込まれました。

 北海道における台風10号に伴う大雨に係る災害派遣、北海道、元々降雨量がそれほどおおきくなく計画治水範囲もこれに準じて治水事業が実施されていた地域に対し、九州なみの記録的豪雨に見舞われ河川氾濫など大きな被害が出てしまいました。災害は北海道の十勝地方と上川地方に集中しています。十勝地方では8月31日0400時に高橋はるみ北海道知事名義で十勝振興局長より帯広陸上自衛隊第5旅団長正木幸夫陸将補へ孤立者の救助及び行方不明者捜索並びに給水支援と水防活動にて災害派遣要請が出されました。災害派遣部隊は北海道河西郡芽室町と上川郡清水町及び新得町ならびに広尾郡大樹町へ派遣されています。

 北海道上川地方では空知郡南富良野町においても大雨により道路が冠水、8月31日0415時高橋はるみ北海道知事名義にて上川振興局長より、上富良野駐屯地の陸上自衛隊第4特科群長岸良知樹1佐に対し、孤立者の救助と給水支援と給食支援及び物資輸送に関する災害派遣要請が出され、受理されました。災害派遣部隊は直ちに北海道空知郡南富良野町及び占冠村へ進出、任務に当たっています。十勝地方と上川地方への災害派遣は、人員130名、車両65両、航空機3機、偵察ボートとLO人員22名、LO車両10両という規模で展開されているとのこと。

 北部方面隊の災害派遣部隊は、札幌の北部方面総監部、帯広駐屯地より第5旅団司令部、帯広駐屯地の第4普通科連隊、鹿追駐屯地より第5戦車大隊、帯広駐屯地の第5後方支援隊、上富良野駐屯地より第4特科群、旭川駐屯地の第2飛行隊、丘珠駐屯地より北部方面航空隊、上富良野駐屯地の第3地対艦ミサイル連隊から派遣中とのこと。北海道での災害派遣規模について。孤立者等救助及び行方不明者捜索としまして158名を救助など、水防活動としまして人命救助の一環として実施された任務では土嚢500袋を設置し、給水支援では南富良野町と占冠村と新得町と清水町と大樹町において累計約330tを給水、給食支援では南富良野町290食、更に物資輸送食料では累計500食を輸送しました。

 今回岩手県の災害派遣において住民避難に用いられている航空機は陸上自衛隊のUH-1J多用途ヘリコプターで、2007年まで調達され130機が配備されました、陸上自衛隊では1962年からUH-1BやUH-1Hと併せ353機もの機数が導入された航空機で改良に改良が重ねられてきました航空機です、実際、信頼性が非常に高く、航空機を原因とする墜落事故が導入以来皆無というほどの乗員からの抜群の信頼を集めている航空機です。岩手県ではこのように地域避難を実施しましたが、現在、九州に接近している台風12号と共に南西諸島南方海域では台風となり得る熱帯低気圧が遊弋しており、早めの避難行動が求められるでしょう、生命を守るために。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (2)
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