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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成25年度自衛隊統合防災演習開始、南海トラフ巨大地震災害派遣での統合運用を想定

2013-07-01 22:06:09 | 防災・災害派遣

◆自衛隊・内局・関係府省庁・地方自治体・米軍

 防衛省は本日7月1日から5日までの期間で自衛隊統合防災演習を開始しました。

Pimg_0122 今回の演習は、いわゆる実動演習ではなく防衛省本省の置かれる市ヶ谷、そして東部方面総監部等が置かれる朝霞駐屯地と演習参加部隊の所在地において実施されるもので、南海トラフ巨大地震を想定し、指揮命令系統の確立と幕僚機構の統合任務部隊創設への移行を演練します。

Img_8417 南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大では32万の犠牲者が出るとの政府想定がありますが、この巨大被害へ対応するためには自衛隊は、東日本大震災災害派遣時のような統合任務部隊を迅速に創設し、例えば陸空自衛隊の全国からの派遣部隊を中部方面総監へ、海上自衛隊の増援部隊を呉地方総監の指揮下に編入せねばなりません。

Nimg_8310 この統合任務部隊を編成する上での手順を確認し演練すると共に、これまでに作成している東海地震対処計画や首都直下型地震や南海地震対処などの研究に依拠した南海トラフ巨大地震対処計画について、この研究案の検証を行うのが、今回の演習の目的とされています。

Nimg_9106_1 統合幕僚長が今回の演習の統裁官となり、演習参加部隊は防衛省内部部局、統合幕僚監部、情報本部、陸上自衛隊からは陸上幕僚監部、北部東北東部中部西部各方面隊、中央即応集団、海上自衛隊からは海上幕僚監部、自衛艦隊、大湊横須賀呉舞鶴佐世保各地方隊、航空自衛隊からは航空幕僚監部、航空総隊、航空支援集団が参加します。

Yimg_5271 このほか、防衛省以外に、関係機関として各府省庁、地方自治体、在日米軍が参加しており、参加人員は防衛省と関係機関を併せ3000名規模となり、自衛隊では初動対処態勢と統合任務部隊への幕僚活動、関係機関との訓練では調整と連携活動を主要実施事項としており、実動訓練や実任務へ繋がる訓練と言えるでしょう。

Img_3030 ただ、訓練を来ない統合任務部隊を迅速に構築し初動と総力発揮までの所要時間を最小限化するという訓練体系は重要ですが、南海トラフ地震が最大規模で連動した際、想定が32万の犠牲者を提示していることに何よりも象徴されるように、災害派遣の対象地域規模が広大過ぎる。

Gimg_4136 東日本大震災では岩手県、宮城県、茨城県、福島県、青森県、北海道、千葉県の道県知事が災害派遣要請を出しましたが、南海トラフ地震が連動型の最大規模で発生した場合、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、大阪府、徳島県、高知県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県から災害派遣要請が同時に出されることとなります。

Img_3424 この広さは陸上自衛隊の中部方面隊管区を中心に東部方面隊管区と西部方面隊管区にあたり、被災都府県数は陸上自衛隊の師団旅団数よりも多く、海上自衛隊も呉警備区と横須賀警備区に加え佐世保警備区となるため、統合任務部隊を配置してもどう増援を送るのか、増援を派遣できる無事な地域の部隊はどれだけなのか、と大きな課題となるでしょう。

Nimg_9026_1 自衛隊はやれることをすべてやる、これは自衛隊行事などの訓示で南海トラフ巨大地震についての決意としてよく示される言葉ではありますが、自衛隊は何処まで出来るのか、自治体としても自衛隊へ何処まで頼れるのか、言い換えればどこまでしか頼れず準備をしなければならないのか、国も最悪で32万の犠牲を想定しつつ、これを越えないように、そして低下させるため、特に災害関連犠牲者を防ぐためには、物資統制を含め、どこまで踏み込む覚悟が必要なのか、こちらも考えねばならないのかもしれません。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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