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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

尖閣諸島防衛への一視点⑰ 那覇第15旅団、司令部直轄レンジャー隊が必要だ

2013-05-09 23:14:13 | 防衛・安全保障

◆もしくは特殊作戦群分遣隊の沖縄常駐

 前回に引き続き、第15旅団について、那覇駐屯地祭へ行ったことが無い身としては恐縮なのだけれども。

Sdimg_1050 那覇第15旅団、前回は普通科部隊の小銃小隊と対戦車小隊に高射特科部隊の小隊と通信班を中隊規模の部隊として混成運用する複数の混成中隊を基幹とした第1混成群を編成し、機動運用する方策を提示してみました。ただ、やはり中隊規模で独立運用可能な混成編制は無理との指摘も多いというのも実情というところ。

Sdimg_9812 しかし、それ以前に、自衛隊の空中機動能力について、CH-47輸送ヘリコプターを70機有するなど卓越した規模を有するのですが、その分日本列島が広いことも事実で、即応態勢を組もうにも迅速な集合には限度があります。一個中隊所要を離島へ展開させるには、即応体制を組むとしても、なお、時間を要するという点は考えるべきでしょう。

Sdimg_6806_1 特に、着上陸以前に展開できるならば混成中隊という方策は、編成の在り方こそ諸策あるのでしょうが、着上陸が差し迫った状況や既に一部に海岸堡を構築された状況では悠長に待つことはできません。切迫した状況下では、どれだけの要員を即座に送れるか、という視点を持つ必要が出てくるわけです。

Sdimg_1628 ここで注目したいのはレンジャー隊員です。これをレンジャー部隊として編制できないのか、と。陸上自衛隊ではレンジャー課程は多く、各部隊に一定規模のレンジャー隊員がいますが、これは資格であり、演習などで臨時のレンジャー隊が編制されることはあるようですが、常設部隊としてのレンジャー部隊はありません。

Sdimg_5349 空挺大隊に中央即応連隊や西部方面普通科連隊はその比率が高いことで知られるのですが、少人数での遊撃行動を行う専門の部隊、となりますと中央即応集団の特殊作戦群くらいのものでしょう。他方、第15旅団隷下にレンジャー隊を配置できれば、手持ちのヘリコプターと、西部方面隊から掻き集められるヘリコプターのみで一定規模の部隊を展開できる可能性が出てきます。

Sdimg_9770 レンジャーといっても、現状の能力では自活能力と爆破や近接戦闘能力が高いという範疇で、航空支援の誘導や通信訓練などを進める必要はあるのですが、逆に言えばレンジャー課程修了とともにそれ以上の能力を付与させる機会が限られる実情に対し、レンジャー部隊として独立させることが出来れば、より高度な専門訓練を積み重ねる機会を得られるでしょう。

Sdimg_4291 レンジャー小隊は幾つかの戦闘班を集約し編成、4名程度の戦闘班は小銃や分隊機関銃と携帯対戦車火器を保有し、近傍の部隊、情報収集に当たる潜水艦でもいいのですが、通信できる装備を装備、各要員に携帯通信機や暗視装置を装備させる。並木書房のSASハンドブックで紹介されているような編制ですけれども。

Sdimg_9237 車両を配備できれば、更にその能力は高まるのですが、現状では多用途ヘリコプターへ搭載できる車両がオートバイなど限られている一方、多用途ヘリコプターへ搭載可能な特殊戦車両などを追加配備することで、レンジャー部隊の機動力が高まります。分隊機関銃や小銃、それに携帯対戦車火器、今は多用途ガンというようですが、これらを携行することで少数部隊でも能力は高まります。

Sdimg_8456 もっとも、あまり重装備を持たそうとしますと、結局緊急展開への即応性が低まってしまいます。少数で敵の出血強要、情報収集に重点を置き近接航空支援の誘導や艦砲射撃の誘導に徹し、少数の独立した敵、偵察車両や通信施設に物資集積所などがああれば可能な範囲内で携帯無反動砲等により打撃を与える。

Sdimg_0290 そして、レンジャー小隊が増援部隊の揚陸地点周辺やヘリボーンの降下地域周辺の情報収集を行う。少数部隊であっても、こうした部隊が展開する態勢を確保できれば、その部隊の存在自体が我が領土へ軍事的野心を抱く集団に対し、予めの対抗措置の準備を強いる事も出来るでしょう。

Sdimg_8286_2 ただ、レンジャー部隊は空中機動以外に水路進入、例えば掃海艇等による浸透訓練を行っていますので、加えて空挺降下の能力等を付与させるなど柔軟性を考えるならば、第15旅団の隷下ではなく、佐世保地方隊や航空支援集団との連携、潜水艦との連携等を考える場合にはより上級部隊の隷下にある必要があるところ。

Himg_7354 こうしますと、第15旅団隷下の部隊として配置するのではなく、より上級部隊との連携が可能であるよう、防衛大臣直轄部隊の中央即応集団隷下にある特殊作戦群を中隊規模で増勢し、特殊作戦群へ那覇分遣隊を編成するという選択肢も考えられるべきでしょう。

Aimg_2357 特殊作戦群であれば、第15旅団の手持ちの部隊に縛られることもなく、有事の際には西部方面総監か西部航空方面隊司令官、佐世保地方総監を指揮官とする統合任務部隊を編成し、その指揮下に航空自衛隊の輸送機や佐世保地方隊の艦艇の支援を入れる事で、迅速な展開が可能となります。

Aimg_0154 加えて、那覇に分遣隊を置くならば、米第1特殊戦群との密度の高い訓練が可能になり、在日米軍が沖縄に置いているジャングル戦用の訓練設備を利用することが可能となります。もっとも、沖縄の米軍施設を用いての訓練を強化するならば、第15旅団であっても可能ではあるのですけれども。

Bimg_8208 第15旅団レンジャー隊、特殊作戦群那覇分遣隊、ともあれ案は幾つかあり得ますが、少数部隊であっても戦闘可能な部隊が、防衛出動命令発令や防衛出動待機命令発令に伴う情報収集という出動へ、即座の対おいが可能な部隊を南西諸島に常設し、備えておく、という姿勢は必要でしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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