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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

対領空侵犯措置!4日・7日に中国Y-8情報収集機、南西諸島付近に出現

2011-07-09 22:00:15 | 防衛・安全保障

◆尖閣~奄美に沿って飛行、戦闘機が緊急発進!

 防衛省によれば、7月4日と7日に中国軍のY-8情報収集機が南西諸島付近に出現、航空自衛隊が対処しました。

Img_2638  Y-8情報収集機の経路は4日と7日にほぼ同じ経路を飛行しており北緯29度の大陸側から東進しわが国防空識別圏に侵入、東経125度付近で南進し尖閣諸島沖合へ接近したのち変針し北上、北緯32度付近の奄美諸島沖合まで進出したのち再度方向転換し再び南進、尖閣諸島沖合を飛行したのち、飛来した経路を辿り大陸側へ戻っています。経路図の詳細を見ますと、4日の飛行がやや日本列島に近付いた位置を飛行しており、7日にはやや離れた、しかし上記の航路に沿った経路を飛行したとのこと。

Img_8254  防衛省によれば航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、この飛行に対処したとのことで、恐らく那覇基地の第83航空隊に所属するF-15戦闘機、また九州の築城基地か新田原基地の戦闘機が続いて緊急発進し、領空に接近しないよう警告、対処したものと考えられます。対領空侵犯措置任務に対し領空侵犯に至る事はロシア機では事例があるのですが稀有で、今回の対領空侵犯措置任務でも、航空自衛隊のレーダーによる警戒管制もうがいち早く探知し戦闘機が対処した事により、これまでと同様に領空侵犯には至りませんでした。

Img_0024  情報収集機の飛行は4日と7日という短い間隔で、そしてほぼ同一航路を飛行したという事で特徴的であるといえるのですが、同時にこの海域での中国海軍の動向も活性化していますので、この地域は軍事的緊張が臨界点を超えないよう抑止するためには冷戦時代における北方と同等の警戒が要する事だ、といえるのですが、しかし南西諸島付近は那覇基地の一個飛行隊基幹の航空隊と九州には二個航空団三個飛行隊があるのみ、現状では危機に対応できるとは言いにくいのが実情というところです。

Img_9153  南西諸島の防空を担うのであれば、中国本土からの弾道ミサイル脅威を想定すれば、沖縄以外にも九州からの増援態勢を考え、二個航空団三個飛行隊を四個飛行隊という従来編成に戻すとともに、那覇の航空団格上げと可能ならばもう一か所、航空隊が欲しいところで、海上自衛隊も佐世保地方隊からは距離がある為、佐世保地方隊は南西諸島北部と対馬周辺海域に任務を絞り、新しく沖縄地方隊というものとその拠点基地があっていいのかな、と常々思います。また、陸上自衛隊も現在は規模の小さな第15旅団だけですので、四個普通科連隊を中心に空中機動を重視した第12旅団のような編成の、そして偵察隊の能力を重視した編成の部隊が必要でしょう。

Img_3136  ロシア機の接近、こちらも8日にありましたので北方の守りを手薄にして南西方面に回す訳にもいかない、という実情が頭痛の種です。8日にTu-95爆撃機二機が防空識別圏に侵入した為戦闘機が緊急発進しましたが沿海州から若狭湾に接近し続いて日本海沿岸に本州と北海道沖を飛行し稚内沖の宗谷海峡から太平洋に進出、宮城県金華山沖まで進出したのち方向転換し再度宗谷海峡上空を飛行し沿海州へ戻っています。予算と装備と人員と部隊は減る一方任務は増大し、任務一つ一つへの数量も増大しているというのがわが国の厳しい実情。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる) 

コメント (2)
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