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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

キャンプシュワブ沿岸部へ普天間飛行場機能移設 方針を固めた鳩山首相

2010-05-22 23:24:56 | 国際・政治

◆現行の日米政府間合意を尊重

 鳩山首相は22日、岡田外相、北澤防衛相、平野官房長官との会議の後に沖縄の普天間飛行場移設問題について、現行の日米合意に沿って名護市キャンプシュワブ沿岸部への移設を行う方針を固めた旨発表しました。

Img_17941  岡田外相はこの決定をアメリカのルース駐日大使に伝え、ようやく一歩前進しました。キャンプシュワブ沿岸部への移設は現在の日米政府間合意を逸脱しない内容となるようですが、従来検討されていた通りの埋立方式では環境負荷が大きいとして、杭打ち方式それも一部では太陽光が珊瑚礁に届くようガラス素材を用いた飛行場という案も話されているのですが、他にはメガフロートなどを用いて環境負荷を局限化しようという案もでています。滑走路が現状のV字型とするか、一本型滑走路とするかは現時点では未定ということになります。

Img_2197 これについては11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに結論を出す方針で進められるようです。海兵隊によれば杭打ち方式は水中工作員による破壊工作へ脆弱性を抱えている事、メガフロート案は弾道ミサイル攻撃により破壊された場合復旧に時間を要する事等を提示し難色を示しています。軍事機能を発揮する訳ですから現時点から脆弱性を低減するべく水中監視センサーシステムや攻撃を受けた場合に破壊されにくいような装甲メガフロートを開発したとしても、移設期限までには間に合わない事になりますから、今後の討議に注目すべきでしょう。

Img_1969  徳之島、大村、新田原、関空、富士と移設案は悉く地元自治体の反発にあい、もちろんこれは政治主導を掲げるあまり、少ない代議士だけでは地元との発表前の調整や協議を行う事が出来ず、いきなり移設先候補として発表し、必然的に拒絶されたことで移設候補を絞ることすらできず、沖縄県外への移設が安全保障上難しく、日米合意を一蹴するにはあまりにリスクがある、という状況から今回の決定に繋がったものと思われます。しかし爪痕は大きく、自民党が実現させるべく合意へ繋げた沖縄本島嘉手納以南米軍施設全面返還や在沖海兵隊グアム移設事業は、工法の議論や今回の決定までの時間浪費に伴う予算執行の面から遅延する可能性が高くなっています。

Img_2114  23日にも鳩山首相は沖縄入りを目指すとのことで、仲井間知事との間での会談を予定しています。沖縄県内からは最低でも県外へ、という公約を破られたことへの反発は当然予想されますし、連立与党を組む社会民主党は国外移設を軸として提唱しているため、今回の鳩山首相の発言に対しても仕切り直しを求めています。名護市キャンプシュワブ沿岸部への移設という方針が決まっても、埋め立て工事には県知事の許可が必要となりますし、工法に関する日米合意は参議院選挙の後となります。現状ではまだ未知数の部分がありますが、選択肢にキャンプシュワブ沿岸部を含め、それを最有力案として進めたことには意義を見出すことが出来るでしょう。

Img_0431  北朝鮮による韓国艦撃沈事案について、事故当時は黙殺していた鳩山首相は20日に韓国による北朝鮮制裁決議案国連安保理提出へ「日本として先頭に立ってその方向で努力したい」という発言を行い、22日の札幌における民主党北海道連パーティへテレビを通じて挨拶、「国際的に連携ししっかり戦っていかなければならない」、「北朝鮮が二度とこのようなことを起こさないような国際的環境をつくることも大事だ」とし、南北朝鮮問題に油を注ぎました。この結果如何によっては、在日米軍の抑止力を痛感する事態にも発展しかねず、こちらにも注視してゆく必要がありそうです。

HARUNA

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コメント (2)
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