北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊航空学校(明野駐屯地)創設52周年記念行事 (2)

2008-11-06 23:41:53 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆明野航空祭2007 機動飛行

 明野駐屯地祭、第二回は観閲飛行を終えて、明野駐屯地へ着陸する際、観閲台正面において、解説のアナウンスとともにヘリコプターが機動飛行を実施する。その模様をお伝えしたい。

Img_9017  明野航空祭2007、その目玉はAH-64D戦闘ヘリコプターの飛行である。明野航空祭2006の時点でもAH-64Dは配備されていたのだが、残念ながら某駐屯地でのヘリコプター事故の関係で、飛行展示は全面自粛、観閲飛行も2006年は実施されなかった。したがって、AH-64D最初の飛行してのお披露目を行った明野航空祭が2007年、ということになる。

Img_8943  観閲飛行を終えて、明野駐屯地に続々と飛来する機体。実は、訓練展示模擬戦の参加ヘリコプターなどは、別の場所に着陸したようで、観閲飛行に参加したすべての航空機がここにお目見えする、というわけではない。しかし、編隊は幾分間引かれているものの、航空機を間近にみることができる絶好の機会だ。

Img_8910  まず最初に、編隊の先頭をゆくUH-1J多用途ヘリコプターの写真を紹介。指揮官機などとしても編隊の先頭を行くことが多い。米国設計のUH-1Hを富士重工がエンジン出力の強化など、近代化した自衛隊仕様の機体がUH-1J、准国産機というべき機体で、数の上では陸上自衛隊の主力多用途ヘリコプターだ。

Img_8941  川崎重工が防衛庁の要請で880億円の予算を投じて開発した、純国産観測ヘリコプターで、写真の機体は初号機。統合型アビオニクスによる全天候運用能力、ローターなどへの重機関銃程度の打撃に耐える高い生存性、自衛空対空戦闘の遂行能力などを有する高度な機体。後方は、従来の観測ヘリコプターであるOH-6D。

Img_8967  このように、順番に着陸してくる。滑走路の端までやや高い高度で飛行し、そのまま旋回し超低空を観閲台方向にゆっくりと飛行。その関係もあり、滑走路付近であれば、どの場所に居ようとも、じっくりとこの飛行展示をみることができる。機数も機種も多く、これも一つの明野航空祭名物、ということができる。

Img_8955  AH-1S対戦車ヘリコプター。富士重工においてライセンス生産した機体で、各方面隊の対戦車ヘリコプター隊と教育用に約90機が導入された。20ミリ機関砲、ロケット弾、そして射程3.75kmの赤外線半自動誘導対戦車ミサイルTOWなど強力な火力を備えており、生存性を高めるべく極限まで切り詰めた薄い胴体には、暗視装置など現代戦を遂行するための様々な装備が搭載されている。

Img_8928_1  UH-60JA多用途ヘリコプターがAH-1Sの後方に続く。1997年から導入されている多用途ヘリコプターで、従来のUH-1シリーズよりも生存性を中心にあらゆる面で優れている。特に、前方赤外線監視装置&航法気象レーダーによる高度な夜間飛行能力、機関銃程度には耐えるという防弾性、機外に最大3.63㌧の装備を吊下輸送できるなど特筆する点を有するが、価格が高く、調達数が伸び悩んでいるのが難点。

Img_8979  AH-64D戦闘ヘリコプターが、三機編隊で、いよいよ滑走路に向かってくる。地上は、先ほど目の前を通過したAH-1Sが観閲台正面を航過し、後方へと下がってゆくところだ。冒頭に掲載したAH-64Dは、この三機のうちの一機。観閲飛行に参加したすべてのAH-64Dが、ここに登場したことになる。

Img_9001  CH-47JA輸送ヘリコプター。後述するCH-47Jの改良型で、今も川崎重工においてライセンス生産が続いている。J型と比してJA型は、燃料タンクの増設などにより航続距離が1000km以上に延伸しており、加えて航法気象レーダーや、GPSなどの搭載により夜間飛行や長距離飛行に備えている。

Img_9004  CH-47輸送ヘリコプター。JA型とJ型が一機づつ参加した。この種の大型輸送ヘリコプターは、さまざまな用途に用いられる反面、価格や維持費が高い。陸上自衛隊は、第1ヘリコプター団をはじめ、一定数を調達しており、実は自衛隊の規模からいえば、そのヘリボーン能力は世界的に見ても高い水準にある。

Img_9006  CH-47J輸送ヘリコプター。従来のV-107輸送ヘリコプターの後継として80年代より導入を開始したヘリコプターで、55名の普通科隊員を同時に輸送が可能、機内には高機動車などの車両を搭載でき、機外には軽装甲機動車などの車両を吊下げて輸送することが可能である。全長30㍍(ローター直径14.7㍍)の大型ヘリコプターだ。

Img_9020  AH-64D戦闘ヘリコプター。データリンクにより戦闘するという、共同交戦能力を有する陸上自衛隊最初の戦闘ヘリコプターで、ローター上部に搭載したAN/APG78ロングボウレーダーにより最大で256目標を瞬時に捕捉し、判別し、攻撃する能力を有する。加えて、アローヘッド複合赤外線センサーを搭載しており、AGM114発展型ヘルファイアーミサイルと組み合わせれば、現在、最も進んだ陸上戦闘任務の遂行能力を有する。

Img_8929  ただし、その分、価格は非常に高く、緊縮財政下では充分な機数を確保できない、という理由から、調達は10機程度で打ち切られることとなった。この判断ではあるが、そもそも近年、戦闘ヘリコプターの高性能化と高価格化は進んでおり、代替機として考えられる機体も安価ではない、今後、思い切った代案が提示されるのかについても、興味が持たれるところだ。こうした考えをよそに、機動飛行は終了した。次回は訓練展示・模擬戦を掲載、お楽しみに。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする