■昨年の春日井駐屯地祭と比較して
春日井駐屯地祭であるが、天候を危惧され、展開を断念された方も多かったようである。しかし、同日開催された吹雪の饗庭野分屯基地祭に比べ晴天に恵まれた事は、春日井駐屯地祭速報にて記載した。今回は、昨年の行事との比較を中心に記載したい。
写真は第十偵察隊の観閲行進。斥候小隊の73式小型トラックが新型になっている。ただ、訓練展示では旧73式が仮設敵として登場したし、や即応予備自衛官部隊では旧型が使用されていた。
さて、従来であれば短報、詳報に分け記載していたが、検索性という観点から今後は詳報は右サイドバーのアルバムを利用し、フォトアルバムも従来、五枚のみ掲載という方式から、今津駐屯地祭以降のものは25枚程度を掲載するという方向で編集する。
従って、十月一日の霞目駐屯地東北方面隊記念行事、十月七日の小牧基地航空祭、十月八日の守山駐屯地祭、十月十五日の岐阜基地航空祭、十月十五日展開の伊丹駐屯地中部方面隊記念行事、十月二十八日開催の豊川駐屯地祭、十月二十九日開催の浜松基地航空祭までは詳報を掲載したことで代え、従来どおり五枚程度のアルバムとなる予定である。ただし、十月二十七日に展開した自衛隊観艦式・観艦式に向かう艦隊・相模湾観艦式・観艦式観閲飛行・観艦式訓練展示は多くの写真を撮影したこともあり、五枚ごとの区分を細分化し、総合的に多くの写真を掲載する予定だ。
上の写真は、偵察隊の後備列を行進する即応予備自衛官。“自衛隊の予備自衛官・即応予備自衛官”として特集したが、偵察隊にも配置されているのは意外であった。
整列した部隊の先頭に立つ幹部自衛官と共に並ぶのは、既報記事“陸上自衛隊最上級曹長制度は定着するか”において特集した最上級曹長。多くの部隊が駐屯する春日井駐屯地だけに、大隊や連隊付最上級曹長が三名も並んでいる。
さて、最上級曹長の腕章の中で、幾つかブルーとグリーンのものがあった。この点が疑問である。C.ジョニー氏やけーと氏とも話したが、職種で異なるのかな?と思いきや二枚の写真のマフラーの色(職種を示す)からみてそうではないらしい。となると、最先任と次最先任、という意味であろうか、若しくは低視認性を追求したのだろうか(とはいえ、戦闘時には取り外すのだろうし)、疑問である。もしご存知の方が見えたらばお教えいただければ幸いである。
訓練展示に飛来したOH-6D観測ヘリ、地上部隊との見事な連携で部隊の想定重要建造物への突入を支援していた。
昨年は九月の事故の関係で、陸上自衛隊の関連行事においてヘリコプターの飛行自粛が行われていたが、一月の第一空挺団降下初から多用途ヘリや観測ヘリ、輸送ヘリの飛行展示を再開したようで、不時着事故の関係から飛行を自粛していたAH-1S対戦車ヘリも先月から飛行を再開している。
昨年とは基本的に訓練展示の展開は同じであったが、仮設敵の陣地位置や部隊突入方法が異なっていた。この点を幾つか特集したい。
まず、仮設敵が持つ89式であるが、薬莢受の形状がスコープマウントとしても用いることができるもの(勘違いかも)に変更されている。ダットサイト付やスコープ付89式小銃を初めて見たのは2004年の伊丹駐屯地祭であったが、TYPE89 RIFLE +とまでは行かなくとも、各種装備の追加によりその能力は高められているといえる。
次いで驚いたのが、写真の無線機ケースのように、LEMシリーズを携帯した隊員が見られたことだ。LEMとは、米軍などが装備する各種パウチなどを参考に自衛隊迷彩を用いて防水性や摩擦などに強いコーデュラ1000を縫合したもので、パウチを後付できるMOLLEシステムを採用している。価格は高いが自衛官割引があるとのことで、中にはプレートキャリア(セラミック板を入れ、文字通り小銃弾に対しても防弾性能を発揮する)などがある(某駐屯地の売店で普通に売ってたのをみて流石に驚いたが)。
写真は第十偵察隊の隊員が訓練展示において想定重要建造物“春日井発電所二号棟”に突入する瞬間のものだが(蛇足ながら、こちらの隊員は通常の無線機入を使っている)、注目するべきはこの防盾である。機動隊が用いる防盾と比較した場合、小型であるがしっかりとしたグリップが装着されている。市街戦では野戦で想定しないような状況が恒常的に生起し、柔軟に対応するには柔軟な装備が必要となるということだろう。
防盾は防弾性を有するか不明だが、従来はジェラルミン製の防盾(二枚重ねると22口径普通弾が防げるらしい、しかし“あさま山荘事件”では貫通、恐らくSS109規格22口径弾は防げない)にOD迷彩を施し73式小型トラックに装着している写真や、機動隊の新型である透明ポリカーボネイト製の防盾を誘導隊が訓練に用いる写真を見た事があるが、このタイプのものは初めてであった。自隊工作試作のものにしては造りがしっかりしている。市街戦用か誘導隊用だろうか不明である。
最後に、二年ほど前から西部方面隊管区内で目撃されている“自作チェストリグ”の写真である。小銃手の多様な個人装備として特集したが、これを見たのははじめてである。弾帯を上の方に装着し、バックル部分を後ろに回すことで2連パウチ四個を装着できる。集約チョッキというものがあるが、それよりも手軽に製作できる。しかし、戦闘防弾チョッキにもパウチは装着されている訳で、その上から着込むと取れなくなってしまうような気がしないでもない(ヒートストレス対処用にまだ通気性が良く防弾性も高いプレートキャリアを採用した方が良いと思う)。
さて、昨年と比べた場合、幾つかの装備が近代化し、即応予備自衛官制度の導入や装備品の柔軟な運用などの相違点がみられた。他方で、装備品展示などで指揮通や偵察車のハッチを勝手に開けて中を撮っている人が少なからずいた。こういった人は、もし自分の車に同じ事をされたらばどう思うのだろうか、来年以降の装備品展示に柵の設置や規模縮小など影響を及ぼす可能性もあり、非常識なことはやめてもらいたいと思うのは小生だけではあるまい。
■T-3は今日も青き大空にあり!
本文とは直接関係無いものの、2月27日掲載記事についてのコメント欄に情報が寄せられた。情報の出所は通りすがりさんから書き込まれた、あくまで噂話であり、信憑性については全くの未知数であるし、北大路機関としてはこうしたコメントがあった、という以上のものはない。
基本的に二月か三月上旬にラストフライトと思われたT-3について、情報収集はしないと二月期自衛隊関連行事にて述べたが、本日も飛行しているようだ。この写真が初等練習機T-3ラストフライト予行である可能性は何ともいえないが、T-3練習機、二機編隊での飛行として三月一日に情報を掲載していらいのものであり、飛行状態のT-3に出あったのは少々驚きであった。ラストフライトがいつかについて、確証ある情報は無いが、とりあえず、“今日も飛んでいた”という一報を掲載した次第である。
HARUNA
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