北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空自衛隊小牧基地 神明公園からの撮影

2007-03-17 15:49:53 | 航空自衛隊 装備名鑑

■小牧基地が見える丘 神明公園

 航空自衛隊小牧基地は、名古屋市から程近い愛知県の小牧にあり、国際貢献に必要なC-130H輸送機の拠点として、また航空救難の教育拠点としての任務をになっている。また、その立地はかつて国際線も乗り入れた名古屋空港(県営名古屋空港)に隣接している。小牧への平日展開はT-1練習機ラストフライト以来、基地へも小牧基地航空祭2006以来である。

Img_7256_1  今回はC.ジョニー氏にお教えいただいたスポットからの撮影である。航空自衛隊の基地を一望できる公園というものも珍しいと思うのだが、神明公園という小高い丘を人工的に造成した公園があり、管制塔を模した木造の展望台や、航空館BOONという小さな博物館、そして螺旋状の散歩道を有する一際高い丘がある。ここは嘉手納基地の安保の丘よりも基地に近く、更に民間のヘリコプターや隣にある三菱重工小牧南工場から搬出される自衛隊機、民間機なども撮影は容易である。

Img_7109  これまでは中央線春日井駅から徒歩やタクシー、若しくは名鉄小牧線牛山駅から、やはり徒歩という方式、更には西春駅からバスを利用し空港ターミナル付近から撮影しか方法が無いとおもっていたのだが、神明公園へは、栄からバスが出ていることを教えていただいた。なるほど、テレビ塔の膝元、あおい交通のバスを利用すれば30分ほどで到達することが出来る。到着すると、新田原からのT-4練習機が二機並んでいた。また、UH-60Jも訓練の為に飛行を開始する。

Img_7117  小牧基地、岐阜基地ともに撮影に適したところには多くの航空ファンがカメラを構えているが、こうした方々との雑談は非常に参考になる話が多い。さてさて、報道などでご存知のかたもいようが、KC-767の到着はボーイング社の不手際により大幅に遅れているという。数ヶ月の遅延の可能性もあり、伊藤忠商事は一日あたり1000万円の違約金を防衛省に支払っているとの事だが、小生は『アガンベンが終わったら小牧に行こう』とかなり前から決めていた為、下調べも兼ねて展開した。

Img_7158  小牧にいたのは給油の為であろうか、冒頭二枚目に挙げたT-4練習機が続々と離陸してゆく。高い木々に囲まれた岐阜基地とはことなり、もともと民間機が主体の飛行場(いまも航空管制は民間が行っているという)小牧基地はこのように撮影をすることが出来る。

 練習機以外にも連絡用や飛行点検機としても用いられるT-4は、多くの基地で見ることが出来るものの、九州から飛来した機体となると興味を引くものがある。

Img_7162  T-4が飛行してのち、何機か小型旅客機や民間ヘリコプターが飛行して後、三菱重工小牧南工場からF-2BとF-15Jが一機づつ搬出されてきた。小高い丘という立地から、F-2Bを高いところから撮影することができた。

 散歩に来ていた近所のおじいさんの話では、昨日はファントムが四機ほど並んでいたとの事である。今日は少ないね、といわれたが、何分航空祭以来の展開であり、小生には新鮮であった。

Img_7182  搬出されてより五分後、まずF-2Bが離陸する。岐阜基地であれば、いつも撮影している位置からは基地内は見えず、加えて離陸する機体も見ることは出来ない。

 他方、着陸する機体のみ真下に近い位置から撮影することが出来ることと、飛行開発実験団が運用する新装備などを撮影できる可能性があることから、基地展開は岐阜に重点を置いてきたが、こうした撮影風景があるならば、小牧も興味深いものがあるという印象である。

Img_7187  F-2B離陸から一分ほどのち、F-15Jも滑走を始める。力強いエンジン音とともに離陸する。さてさて、お気付きかもしれないが、北大路機関掲載の二月の岐阜基地展開や、12月の岐阜基地展開では何故かF-15Jにはご縁が無かったわけで、いきなりイーグルの咆哮を聞き、その雄姿を目の当たりにするとは思いもよらなかった。

 加えて、後述するが、このF-15Jには更なる驚きが隠されていた。

Img_7221  小牧基地にて撮影、というのが印象付けられる写真である。

 F15Jが離陸してよりしばらくは、二機のC-130Hが盛んにタッチアンドゴーの訓練を繰り返す。本当に盛んに実施するので、幾度か撮影に失敗しても次の機体が飛来するので安心である。

 先日明治村に行った際にも盛んにC-130Hが飛行していたが、おそらく小牧基地の情景もこのような状況であったのだろう。

Img_7243  訓練の準備を行う救難教育隊のU-125の前をC-130Hがタッチアンドゴーする。その背景には整備中のC-130Hが並んでいるのが面白い。機体の迷彩は、低空飛行を行う場合での上空からの脅威に対して、視認性を低める目的で施されている。正規軍からの脅威に対応する為には必要であるが、イラク派遣など非対称型の脅威に対抗するためには携帯式対空ミサイルによる攻撃を防ぐ観点から、空色に溶け込む一枚目に挙げたような水色の迷彩を施している。

Img_7252  C-130Hの流し撮りに挑戦した一枚。

 スローシャッターでカメラを被写体にあわせ撮影する方法で、航空祭などでは最前列に撮影位置を定めなければまず撮影できない写真である。広角レンズを用いての鉄道車両の流し撮りは経験があるが、手ブレを起こしやすい望遠レンズでの流し撮りに成功したのは今回が初めてである。これも何度もやり直しが利く小牧基地のこの撮影場所ならではの写真である。

Img_7267  離陸してより五十分ほどで、先ほどのF-15Jが戻ってきた。ここでわかったのだが、写真はコップピット後方に黒い通気口が設けられているので、MSIP機で近代化改修を受けた機体であることがわかる。なお、F15J着陸後、時間を置かずして二機のC-130Hが着陸態勢に入っているのが望見出来る。間隔が詰まりすぎれば旋回して対応する、今この瞬間にも発生する世界の大災害、そして危険な紛争地域へ人道支援任務に派遣されるかもしれないC-130Hは、こうして訓練飛行を行うのである。

Img_7278  F-15Jの着陸から20分ほどするとF-2Bが着陸してきた。着陸後、減速の為にドラッグシュートを開いて制動をかける。

 航空祭などではこののちドラッグシュートを切り離すのだが、今回はそうせず(切り離しても回収する車輌も要員もいなかったが)、そのまま小牧南工場に入っていった。ドラッグシュートは引き摺るのかとおもいきや、エンジンからの排気で地面にあまりふれずに、そのまま移動して行った。

Img_7313  訓練に向かい、救難教育隊のUH-60Jが離陸してゆく。なお、グレーのヘリは横田基地から飛来したと思われる米空軍のUH-1Nヘリコプター(多分)で、しばらくするとこの機体も離陸し、我々の頭上を越えていった。UH-1Nは陸上自衛隊でも運用しているUH-1Hの後継として導入されたもので、エンジンを双発化し安定性を高めている。

 UH-60JとUH-1Nは同じ多用途ヘリながらも機体の大きさがかなり異なることが写真から判る。

Img_7338  少し離れていたところにいたロービジのUH-60Jも訓練飛行を開始した。10㍍ほどの高度を上げ下げする訓練を行って後、慣れたのであろうか、そのまま飛行していった。写真には消防車が写っているが、大型の航空機用消防車もUH-60Jと並ぶとこのように見えるのか、という印象である。

 なお、航空自衛隊の支援車輌として消防車や電源車などの特集を過去に実施しているため、こちらと合わせてご覧いただければ幸いである。

Img_7089_1  部品補充だろうか、もしくは燃料の補給かは定かでは無いが、着陸してきたC-1輸送機が一時間ほどして離陸してゆく。

 さすがにこれは、この日撮り逃すとあとがないので、流し撮りではなく、通常のシャッター速度にて撮影する。C-130HとC-1の対比は非常に興味深い。なお、滑走距離が短い機体は流し撮りの対比をする地上建造物を背景に離陸しても、神明公園の横あたりでは完全に離陸してしまう為あまり適さないという印象である。

Img_7259  C-130Hの流し撮り撮影。神明公園にいたのは五時間ほどであろうか、この後、航空館と名古屋の書店に寄るべくあおい交通のバス停に向かった。

 岐阜基地を比較した場合、なんといっても基地の全景を見渡すことが出来、しかも神明公園自体が航空機の見学や撮影を前提としたとしか表現できないほどの立地であり、今回ここからの撮影は初めてであったが、満足し、公園を後にした。

Img_7387  C.ジョニー氏からお教えいただいた神明公園へのバスは、栄のテレビ塔が目印、写真のバス停より運行されている。名古屋からは地下鉄名城線で栄へ、もしくは桜通線の久屋大通駅から徒歩である。本数が少ない為注意が必要であるが、500円の運賃で、今回の撮影スポットに展開することが可能である。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (7)
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