
海上自衛隊護衛艦隊旗艦の『たちかぜ』は、耐用年数がいよいよ近付いてきた、さて、後継艦は果たしてどうなるのであろうか、リンク11に代表される高度な情報交換能力を有していなければ艦隊旗艦には不適であるが、陸上に司令部施設を移さないのは日本海海戦以降(第二次大戦末期は巡洋艦大淀から日吉の地下壕に移転したが)艦隊旗艦は洋上に置くという日本の伝統による。
しかし、SSMの長射程化というような情勢の変化は、水上に司令部施設を置く事は士気高揚以外に用途が無い事を指摘する向きがあるが、それでも士気は重要であり、加えて地上司令部施設が特殊部隊による攻撃や核攻撃に対して脆弱なのに対して洋上旗艦にはそうした問題は無い。
筆者としては、士気高揚は重要であり、水上戦闘艦でもって艦隊を直率することは無形の効果があることを忘れてはならないように思う。
さて、代艦はどうするべきか、『たちかぜ』型の三番艦である『さわかぜ』や、『はたかぜ』型を挙げる声も大きいが、イージス艦を求める声もある。かつて小沢治三郎中将が士気高揚のために旗艦に新型巡洋艦を山本五十六に求め、認められた事例があるが流石にこれは難しいだろう。
ここで、私は旧式化したDDH『はるな』の流用を提案したい。ヘリコプター三機分の格納庫は司令部施設を置くに充分な余裕があり、加えてヘリ格納庫上のシースパロー発射機を撤去すれば各種アンテナを設置する余裕がある。蒸気タービン方式は海上自衛隊では主流から落ちつつあるが、前述のように士気高揚が目的であれば艦隊行動に加わる必要性も低い為、大きな問題とはならないであろう。
海外を見れば1960年代に建造された艦艇で第一線にあるものはおおく、近隣諸国では韓国や台湾、フィリピン海軍が第二次大戦中の艦艇を第一線で使用しており、1973年建造の『はるな』は未だしばらくは第一線において旗艦任務に当たる事が可能であるし、同型艦の『ひえい』も、格納庫面積を利用すれば練習艦として用いる事が出来よう。
『はるな』型は海上自衛隊史に艦隊航空を加えた艦艇であるが、同時に5インチ砲を背負い式に搭載した独特の艦影は、各国海軍関係者に広く知られている。今しばらく現役で使用してはどうかと提案するわけだ。
HARUNA