北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G3X撮影速報】航空学校創設71周年明野航空祭【5】シン・コークーガッコー(2022-09-05)

2024-03-24 20:22:42 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■厳しい情勢下での行事
 今回は編隊飛行が20機を割り込むなど周辺情勢よりもこれを反映していない防衛力整備の特に予算面を実感した行事でしたね。

 UH-2多用途ヘリコプター、これから陸上自衛隊の主力になってゆくのですが、防衛省は退役するAH-1S対戦車ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターの後継に既存機を必要最低限の能力追加により代替とする方針で、UH-2はガンシップとなるのやも。

 明野レインボーが飛行展示を完了しまして航空機紹介、となりました。TH-480練習ヘリコプター、安いという事で総合入札方式で採用され、その直後に中国企業に買収されたり倒産したりと後継機はどうなるのかという紆余曲折の航空機ではあります。

 UH-2多用途ヘリコプター、不思議なものでベルヘリコプターテキストロン社もスバルUH-2として各国に販売していまして、これは冒険し過ぎず取得費用も運用費用も低くそれでいて高い稼働率を維持できる航空機ということで採用例が相次いでいるのだ。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、古いし性能も射程3750mのTOWミサイルでは退役もやむなしですが、射程8㎞の中距離多目的誘導弾搭載など、改良型を国内で開発してみましたらば、安価な対戦車ヘリコプターとしてベルがまた各国に採用させてくれる、かな。

 OH-1観測ヘリコプター、250機を調達予定が政府の方針変更で試作機含め33機で製造終了となった。考えてみれば、働き方改革の2024年問題とかで現在物流や引っ越しが大変なことになっていますが、政府が下請け法違反など率先している現状があるわけで。

 UH-60JA多用途ヘリコプター、AH-Xとして政府がAH-1S後継機選定を行った際に富士重工のAH-64Dは当然本命でしたが三菱重工はこのUH-60JAのガンシップ型を提案しているのですね。数が全く足りない点を除けば、UH-60JAは良い航空機と断言できる。

 ヘリコプターは絶対足りていない、それは元日の能登半島地震でも空輸能力の限界を痛感したのですが、このほかにも、年始の飛行訓練始めで顕著だったようでして、寒い中で東北方面航空隊の年頭飛行訓練始めを撮影された方が驚いていました、少なすぎて。

 東北方面航空隊の年頭飛行訓練始めは四機編隊だったぞ、といわれてまあそんなものかそれで四機編隊が幾つなの、と問うてみますとそうではなくて飛行訓練始めで四機しか飛ばなかった、という話でした。昔は、OH-6,UH-1,AH-1Sが各4機はすくなくとも。

 防衛力を検証する外部団体が必要ではないか。こう航空機や戦車と装甲車の話を聞くたびに痛感するのです、それは、こんな装備許さないゾ外国侵略用ダ、というような怪しい団体ではなく、有事の際に必要な能力を精査した上で充足しているかを精査するもの。

 有事の際の能力、というものも当然団体を作る際にはロシア軍の編成や中国軍の作戦能力、介入作戦など法的な問題は中立機関であるゆえに法律ではなく可能性を念頭に柔軟に将来を見据えて、今の装備ではこれだけしかできない、というような分析をする機関が。

 航空学校は間もなく大型中型と大量の無人機が装備されるでしょう、とは国会議員サンのご挨拶の話ですが、現にAH-1Sは危険なほどに削減されているのだが、これを置き換えるべきMQ-9やMQ-8といった無人航空機は皆無というか調達計画さえ、ない。

 シン・コークーガッコー、と銘打った明野航空祭はこんな感じで閉幕となりましたが、航空機ばかり減って、次の南海トラフ地震、台湾海峡有事、大丈夫なのか。ある装備でやるのは自衛隊の仕事、その先は政治の領域、そして日本は国民が選ぶ民主主義なのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】小牧基地航空祭2024【1】オープンベース開幕の編隊飛行(2024-03-03)

2024-03-21 20:24:20 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■オープニングフライト
 この青空この大空はどこまでも晴れ渡りいよいよ始まります小牧基地航空祭開幕の様子をお伝えしましょう。

 小牧基地オープンベース、KC-767空中給油輸送機を先頭にC-130H輸送機3機が随伴する二機種編隊飛行がこちらへ向かってまいりました。最高の天候と昨今暖冬は立春までで立春の後は雪舞う春がやってきた今日この頃、快晴でほの暖かい航空祭の始まりはじまり。

 KC-767空中給油輸送機を先頭にC-130H輸送機3機が随伴する二機種編隊飛行、この数年のオープニングフライトは伊吹山を背景に名古屋空港側から会場上空へ飛来する経路が採用されていましたが、そうか今年は飛行展示らしく名古屋市街方面から滑走路上へと飛ぶ。

 最高の位置で撮影しよう、こう考えましたので迷わず撮影位置に陣取りましたのはC-1輸送機の目の前、そう、長らく航空自衛隊の主力輸送機として活躍して参りましたC-1輸送機が、いよいよ来年度を最後に完全退役する事となっていまして、これを思い出に残そう。

 C-1輸送機とC-130H輸送機、これを順光の青空と共に撮影する、これこそC-1輸送機ファイナルイヤーがはじまりました2024年初の航空祭を撮影する開幕に相応しい、そしてなにより、今年はブルーインパルスが参加しない事で小牧基地航空祭は混雑していないのだ。

 KC-767空中給油輸送機を先頭にC-130H輸送機3機が随伴する二機種編隊飛行、これを見上げるC-1輸送機、いいじゃあないですかこういうこういう構図、後人へみちを譲る先輩、その先輩は半世紀に渡る現役期間中戦争を経験しなかった、抑止力だけで日本を守った。

 第402飛行隊のマークと編隊飛行をなんとか構図に収められないものかと頑張ったのですが、ちょっとだけ写真に仕上げられたのかな。なお、第402飛行隊はC-1輸送機からC-2輸送機に切り替わった後も、このマークは維持されるということですので、安心ですよね。

 政府専用機、そしてKC-767空中給油輸送機を先頭にC-130H輸送機3機が随伴する二機種編隊飛行、ボーイング777政府専用機は昨年の小牧基地航空祭にも参加しましたので最早常連という印象のある航空機なのですが、前は中々見れず千歳基地まで行ったもの。

 KC-767空中給油機、小牧が第401飛行隊のC-130と第404飛行隊のKC-767,美保基地がC-2輸送機の第403飛行隊とKC-46空中給油機の第405飛行隊とともに、共に長距離を飛行出来て相互補完できる機種で航空隊を編成していますので、いずれ入間基地にも。

 C-130H輸送機の編隊飛行、再度飛来しました、今回は地上のC-130Hと編隊飛行を絡めて見ました構図です。この輸送機は、C-2輸送機が配備開始されるまでは沖縄以遠まで、つまり海外派遣や邦人救出に対応できる唯一の戦術輸送機、何度も海外へ飛んでいます。

 C-1輸送機とC-130H輸送機、C-1も優れた輸送機で、特に機動性と速度が凄い、新幹線のような輸送機と理解しています。搭載量が限られるものの、24時間に何往復できるかで輸送力を確保する、まさに東海道本線特急と東海道新幹線の違い、発想は正しいとおもう。

 C-2輸送機が高速巡航性能を重視して国際航空路線をそのまま利用できる点は、C-1輸送機の性能を継承した為で、世界でもこの発想に基づいた輸送機はブラジルのKC-390輸送機くらいではないか、C-17輸送機やA-400M輸送機よりも早く、展開速度を考えている。

 小牧基地航空祭は、こんな感じの緒方飢餓編隊飛行や機動飛行を展開する航空祭です。戦闘機が速度と刀のような鋭利な機動飛行や素早い編隊飛行を誇示する航空祭も迫力が好きなのですが、輸送機と救難航空機と空中給油機中心の航空祭がこうして開幕しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】豊川駐屯地創設73周年記念行事【5】特科と普通科訓練展示状況開始(2023-11-03)

2024-03-17 20:00:12 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■FH-70榴弾砲陣地進入
 豊川駐屯地祭の訓練展示状況開始です。第10特科連隊としては最後の駐屯地祭ということもあり気合が入っているようですが気合の入り過ぎで仮設敵が見えない程です。

 FH-70榴弾砲、ウクライナへイタリアが供与したものがより新しいアメリカ製M-777よりも高い生存性を発揮していますが、その背景にはこの短距離自走性能による陣地変換を繰り返す事で生存し、火力戦闘を継続しているとのこと。イタリア軍はFH-70を延命する。

 93式近距離地対空誘導弾通称近SAM、陸上自衛隊ではスイス製L-90高射機関砲の後継として導入しました。91式携帯地対空誘導弾を複合光学射撃統制装置や師団対空情報処理システムと連節し対空戦闘を展開する。射程は5km程度、9両で中隊を構成します。

 L-90ですがメーカーはエリコン社からラインメタル社となり、アヘッド調整破片弾薬の採用でウクライナへ供与されたものが無人機の低空侵攻対処に数発の連射で撃墜する威力を発揮し、ミサイルと異なり欺瞞されず一直線に進むため有用性が再確認されているという。

 UH-1多用途ヘリコプターが仮設敵として参加しています。自衛隊は戦闘ヘリコプターが陳腐化した為に全廃するという政府方針を受けAH-1S,AH-64Dを全廃する最中にありますが、この種の防空装備を突破するべくAH-64Eなどは射程25kmのスパイクNLOSを積む。

 FH-70榴弾砲、いよいよ、第10特科連隊は中部方面特科連隊へ移管されます。基本設計は確かに古いのですが、しかし野砲はこの30年間、特に牽引砲は発達せず弾薬が発達、エクスカリバー誘導砲弾などは射程40kmで必中しますが、この古いFH-70からも射撃可能だ。

 掩砲所に隠されての展開です。今年度の豊川駐屯地祭訓練展示は、機能展示を重視していて、仮設敵は見えず、FH-70榴弾砲は30km先の敵と対砲兵戦を展開しているという設定ですので、ちょっとどの時機で空包射撃を行うのかがわかりにくいのが難点なのでした。

 第49普通科連隊の第5中隊より対戦車小隊が訓練展示へ展開します。自衛隊では小銃班にカールグスタフ、小銃小隊に01式軽対戦車誘導弾、中隊に87式対戦車誘導弾か中距離多目的誘導弾を装備していますが、これ、NATOと比べてもかなりの密度であると知った。

 87式対戦車誘導弾、川崎重工製で79式対舟艇対戦車誘導弾に続いて配備され、79式が射程4kmと長いものの有線誘導で在ったのに対して、87式はレーザー誘導方式を採用、射程は2kmでミラン対戦車ミサイルなどを比較の上で自衛隊へ採用が決定したというもの。

 レーザー照準器と発射器を構える。優れた装備なのですが流石に射程2kmというのは2020年代の対戦車装備としては難しく、射程を延ばすためのロケットモーターの近代化やタンデム弾頭への変更など改良型を開発すべきだった、ともおもうのですが、現在も性能はそのまま。

 カールグスタフでT-90戦車が撃破されたというロシアウクライナ戦争の戦況報告を見て、なるほどそんなものなのか、と知るまでは少々心配していました。輸出型のように、性能を向上させないと採用されない、という現状では近代化改修の圧力は薄いのかもしれない。

 L-16迫撃砲、イギリス製の81mm迫撃砲を名古屋の豊和工業がライセンス生産したもので自衛隊採用の少し後に米軍も採用、前型の64式迫撃砲は射程は1.8kmだったのですがこのL-16の射程は5.6kmと大幅に延伸していて、普通科中隊の迫撃砲小隊に装備されています。

 120mmRT重迫撃砲、フランス製の迫撃砲をやはり豊和工業がライセンス生産したもの。射程は通常弾で8.1kmあり射程延伸弾では13kmという。フランス軍では砲兵隊が使用、特科部隊が大幅に削減された普通科部隊は自らこうした重火力を整備し対応しています。

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【G3X撮影速報】令和6年第1空挺団降下訓練始め【3】空の神兵と多国籍空挺部隊(2024-01-07)

2024-03-10 20:20:50 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■真白き薔薇の花のよう
 藍より青き大空にたちまちひらく落下傘と謳われた空挺部隊の降下は例年折も小規模ですが強風故自衛隊し合降下できないのだから致し方ない。

 第1空挺団続々と降下してゆきます。空の神兵、第1空挺団の定番というべきBGMも流されていまして、真白き薔薇の花のよう、と歌詞とともにいや旧軍時代の落下傘部隊はシルクを落下傘にもちいていたのですが今は迷彩色ゆえちょっと違う気もしますが、ね。

 空の神兵、第二次大戦中の軍歌なのですがそもそもエアボーンとかパラシュート部隊という名称が世界にある中で、日本の空挺という言葉は、世界の空挺部隊を示す単語を観ましても何処にも空挺の“挺”という文字が見当たらないのですよね、空中挺身隊の略語だ。

 真白き薔薇の花のよう、と歌詞、歌詞か、うん。ちょっと心配になってくる、なにより今回は国際空挺訓練と云われたほどに各国の参加が有りましたのでイギリスもオランダも参加しています。ああ、ジャワ空挺作戦やパレンバン空挺作戦にメナド空挺作戦などなど。

 ジャワ空挺作戦やパレンバン空挺作戦にメナド空挺作戦などなどの成功とともに軍歌というよりは戦時歌謡として作曲された“空の神兵”、大丈夫なのかなあ、と素朴に思っていたのですが。いやそもそも流すのか、という漠然とした歴史観とともに来たわけですが。

 パレンバン空挺作戦にメナド空挺作戦とジャワ空挺作戦、その際の戦時歌謡をイギリス軍やオランダ軍はじめ各国空挺部隊とともに流し訓練を見る事が出来た、これは第二次世界大戦というのは確かに悲しく動かせない歴史なのですが、歴史と今の国際政治の区分けか。

 義烈空挺作戦、まあ深く考えすぎなのでしょうねアメリカ軍に対しても帝国陸軍空挺部隊は沖縄で義烈空挺作戦やレイテでも空挺作戦を行っていますし、サイパンやグアムとテニアンへも空挺作戦を計画していたが、もう10年以上アメリカとは新年に降下しています。

 平和は重要だけれども、平和を悪用させてはならない、考えてみればこれは北大路機関が何度も強調している事ですので、過去の歴史が在ったとしてもいまの平和を維持するための防衛協力を歴史を理由に平和を乱そうとする国際政治への挑戦を看過させてはならない。

 かが、将来にはF-35B戦闘機を運用する護衛艦かが、12月8日に真珠湾上空を日米と共にF-35戦闘機の編隊で慰霊飛行するくらいの和解の時代が来るのかもしれませんね、かが、考えれば真珠湾を忘れないと語った当時のトランプ大統領も表敬訪問した歴史が有るから。

 AH-1S対戦車ヘリコプターの航空支援が続く。数が減ってきたAH-1Sですが、この種の航空機、政府は全廃する考えですけれども、即座の致死性、空からの近接戦闘部隊、という航空打撃力は、他に代えが効かないように思う。本当に全廃してどうするのだろうか。

 AH-64D戦闘ヘリコプターの調達失敗という行政上の不手際を隠すためにとんでもないリスクを自衛隊は押しつけられていないか、今からでもAH-64Eアパッチガーディアンを50機程度緊急取得し、また既存のAH-64DもE型へ改修する道を探すべきではないのか。

 空挺団降下訓練始めは、多国籍空挺部隊の参加というかたちで現在の厳しい安全保障情勢を反映したものとなっているのですけれども、対戦車ヘリコプターの全廃といういま、無視できない安全保障上の問題も突き付けてしまっているように思えてならないのですよね。

 ヘリボーンを考えるならば、空中機動部隊の護衛という任務が有りますが近年長射程化が著しい広域防空システムの排除や、降着地域に伏兵が居た場合の制圧や空中機動の接近経路での防護、もちろん火力戦闘部隊が間に合わない場合の航空阻止、その手段が必要です。

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【G3X撮影速報】百里基地航空祭2023【4】青空に映える海洋迷彩!F-2戦闘機模擬対地攻撃(2022-12-04)

2024-03-09 20:18:54 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■F-2戦闘機
 第3飛行隊といえば対艦攻撃部隊としては自衛隊最精鋭として長らく三沢から北日本をソ連ロシアの脅威から防衛し抑止力の睨みを利かせた部隊だ。

 F-2戦闘機の編隊飛行、第7航空団は第3飛行隊の一個飛行隊だけですので編隊規模はどうしても小さくなってしまうのですが。首都防空の重要性を考えると、次期練習機が決定した際は松島に高等練習機でも配備し第21飛行隊を第7航空団に戦闘部隊として、と思う。

 機動飛行、いやもうさらに踏み込んだ模擬対地攻撃射が始ります。このF-2戦闘機は後継機としていぎりすとともにGCAPグローバル戦闘機計画が開始され、イタリアもくわわり2035年をめどに開発が進められていますが、技術的な面以外での国内の問題が過熱して。

 GCAP戦闘機、この装備品の対外供与について連立与党自民党と公明党の間で激論が続いています。GCAPはグローバルでありグローカルではないのですから輸出は全逓であるとおもうのですが、公明党がその対外供与について難色を示しているといいまして、これは。

 イギリスやイタリアからの輸出を歯止めしている訳ではない、ということなのでしょうか、もちろん国際共同開発であり多国間共同生産が行われる多国籍分業体制、日本国内で生産を分担する部品についても完成した戦闘機へ組込まれるわけです、部品もいろいろあるが。

 日本の場合は複合素材一体化成形の技術はF-2やボーイング787の実績があり、主翼などを生産する可能性もある。この問題について、よくわからないのは、イギリスとイタリアは完成した戦闘機を自由に販売できるし機体部品も維持部品も日本が供給する、事なのか。

 グローバルということですので日本も単独で生産したものを輸出する事に対して公明党が反対しているのか、という。これ、考えるのはユーロファイタータイフーンのようなトーネードのような特定目的多国籍合弁企業方式で生産し輸出するのではないのかということ。

 ユーロファイターやトーネード、これは一応各国が合弁会社、特にトーネードなどはパナビア社を各国が出資して製造する方式を取っていまして、サウジアラビアなどにも輸出されているのですが、あの対外供与の三カ国合意形成がどうやっていたのか、調べなければ。

 トーネードに対して国際共同開発でも主導権を持っている国が明確であるのはF-35戦闘機で、JSF計画はアメリカが主導していますのでアメリカが輸出の可否を決めます、逆に開発参加国で部品生産を担うオランダ国内でガザ戦争後イスラエル輸出反対していましたが。

 JSF計画はアメリカが主導権を握るのでオランダ国内の反対論が有っても、イスラエルへF-35I戦闘機の維持部品供給をオランダの独断では停止させられない、という実情はあった。ただ、GCAP戦闘機計画はJSF計画ほど一国に軸点が置かれていない事もまた確かでして。

 日本独自の輸出を行う、という場合でも逆に他の開発参加国が反対した場合は輸出できないと考えます、もちろんこうむせそうな輸出は、過去の事例から考えられない訳でして、逆に他の開発参加国が中国や北朝鮮に輸出しようとしても日本が阻止する事は出来る訳で。

 ジャギュア攻撃機のように、あの攻撃機はフランスとイギリスが共同開発したものの生産国によりメートル規格かフィート規格かで完全に別個の航空機となっていましたが、ああした、開発は一緒にやるけれども製造は全部自己完結で、という流れになっているのか。

 輸出しなければ量産効果が、という反対論に対抗するならば、いっそ年産20機で製造ラインを15年間維持できる300機程度自衛隊で装備し、続いて偵察機や電子戦機で更に数年製造できるような、防衛リソース集約という反論を公明党が掲げても、とおもうのですがね。

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【G3X撮影速報】岐阜基地航空祭2023【5】岐阜基地名物!異機種編隊と異機種大編隊(2023-11-12)

2024-03-07 20:24:50 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■戦闘機続々と着陸
 異機種大編隊が完了し航空機は続々と滑走路へと舞い降りる。

 岐阜基地航空祭の編隊飛行はこうしてコンバットピッチ隊形での基地上空を旋回しまして次々と着陸してゆきました。順光の撮影位置で青空を背景に大編隊を、と思った者のこの濃密な薄曇りという矛盾するような状況ではいかんともしがたく、カメラと共に唸る。

 F-2戦闘機の着陸をC-2輸送機を背景に。FSX次期支援戦闘機として開発が進められたものなのですが現在その後継機のGCAP戦闘機共同開発が、イギリスとイタリアと共に、いやいま公明党の反対で暗礁に乗り上げかけているのですが進められているところです。

 F-35戦闘機が導入されているところなのですが、先日初飛行を迎えたトルコのカーン戦闘機や中国のJ-20戦闘機など第五世代戦闘機は最初のステルス戦闘機というべきF-22戦闘機よりも大型となっていて、F-22よりも小型というF-35の方が浮いてしまった印象も。

 ラファールのように、F-35戦闘機が小柄となった背景には空母艦載機としての運用、特に軽空母と云いますか強襲揚陸艦と制海艦運用等を念頭としたAV-8ハリアーの後継機という位置づけからどうしても小柄となってしまったのが、F-35の設計の背景には無いのか。

 GCAP戦闘機もかなり大型となりますが、しかしF-35戦闘機の場合、小柄となったのは一応ステルス性を高める事には、何しろ元々のRCSレーダー反射面積が大きければ必然、ステルス化した場合でも最低限度という下限が難しくなるのは自明なのですから、とは思う。

 J-20戦闘機ともう一つロシアののSu-57戦闘機も、まったくロシアウクライナ戦争にでてこないのですが、こちらも大柄となっている。ただ、大型化するという背景が、小型化する能力が無い故の帰結なのか、ハイエンド機の必要性能を盛り込んだ結果なのか、と。

 ハリアーの後継機、いやJSF統合打撃戦闘機の名の通りF-16やA-10やF/A-18Cなんかの後継機を一手に引き受ける事となった故に複雑化したのですが、この結果として小型化した事は、言い換えればF-35の戦闘行動半径や搭載能力にも大きな影響を及ぼしました。

 F-15J戦闘機とF-35戦闘機では、実は戦闘行動半径はF-15の方が大きい、こうした実情も在ったりします。そう実は自衛隊F-X選定の際にF-35戦闘機の難点が新型機なのにF-15Jよりも戦闘行動半径が厳しい事になっていて、日本の国土は広大だ、という事情が。

 ユーロファイタータイフーンに続く戦闘機開発としてイギリスがテンペスト戦闘機を構想した際に国際共同開発を持ちかけられたイギリス、しかしそのイギリスもGIUKギャップという、北大西洋上の広大な空域の防空という航続距離を重視する必要がありまして。

 GIUKギャップというのはグリーンランドとアイスランドとイギリスを結んだ線というもので、ロシア軍、冷戦時はソ連、この海洋進出を阻止する上で重要な防空ラインとなっていました。地図上で見ると日本列島程ではないが広大な防空空域であるとわかります。

 トーネード攻撃機などの性能をみていますとイタリアのGCAP戦闘機採用にも不思議に思えるところがあるのかもしれませんが、15機しかないF-35B戦闘機を空軍緊急展開部隊に配備する問いイタリアも、北アフリカ地域への進出という航続距離を求める空軍のひとつ。

 F-2戦闘機を眺めつつ、まさにこのF-2の後継機となるGCAPはどのように展開するのか、F-15戦闘機を眺めつつ、飛行がコントロール不能になっているボーイングよりも膜で成るダグラス時代は良かったなあと思いつつ、岐阜基地航空祭の曇天を撮影していた次第です。

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【G3X撮影速報】横須賀軍港めぐり【2】潜水艦と空母で”沈黙の艦隊”(2024-01-06)

2024-03-03 20:24:35 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■軍港めぐり遊覧船
 空母が停泊しているのだから軍港めぐり遊覧船に乗ろう。

 軍港めぐり遊覧船のチケットを購入しますと心の余裕が出てきますが、そのままスターバックスでナントカマキアートをトールサイズで、なんて愉しむ余裕はありません、乗船待ちの行列に並ばなければいい場所を確保できない。おやしお型潜水艦とか眺め待つ。

 遊覧船出航、そう、良い場所が確保出来ました、並んだからですね。潜水艦には進水式に際し艦番号を描く場所にLEDが表示されるようになっていて、これで艦番号を外国船と遭遇するたび次々と変えて艦名を欺瞞する、のではなく恐らく2024年の電燈艦飾用ですね。

 潜水艦と空母、そう背景に見える艦番号76は原子力空母ロナルドレーガンだ。最近は30年前の漫画“沈黙の艦隊”が実写映画化されているのですが、あの作品に海上自衛隊が全面協力したという、内容が内容だけに思い切った事したなあ、とおもったりしたもの。

 沈黙の艦隊は、核兵器と日本、という実は作者かわぐちかいじ氏はジパングでも同様の視座に挑んでいるのですが、この題材を日本が秘密裏に購入したシーウルフ級原潜、その原潜が反乱を起こしアメリカ海軍すべてを敵に廻し独立国を宣言する、というものでした。

 核兵器と日本、ただ、沈黙の艦隊、この作品が描かれた1990年代初頭とは冷戦の勝者アメリカ、唯一の超大国によるパクスアメリカーナというものが具現化され、しかしその価値基準がアメリカの価値基準で全てが決められてしまうのではないか、という視座に基づく。

 ロールズの正義論、実のところ“正義とは何か”という素朴な視座について、アメリカの政治哲学者ジョンロールズは、正義論という大著を著しアメリカの公序とはなにかというものを体系的にしめしていまして確かに内政や外交と一致します。この理解が欠けていた。

 アーレイバーク級の艦番号105は駆逐艦デューイ、113は駆逐艦ジョンフィン、86は駆逐艦シャウプ、115が駆逐艦ラファエルペラルタ、です。艦番号105は護衛艦いかづち、113は護衛艦まきなみ、115が護衛艦あきづき、となるのですがアメリカ艦はこんなかんじ。

 ロールズを大学時代に読み込むまでは、パックスアメリカーナを考えさせられたのですが、逆に2020年代にアメリカのポテンシャルが弱ると、アフリカは武装勢力が跳梁跋扈しロシアは世界大戦の引き金を片手にウクライナ侵攻、中東は瓦礫の山でお次は台湾海峡ときた。

 沈黙の艦隊は、1990年代の、そう1999年までであればある程度蓋然性が在ったと思うのですが、北朝鮮が核を持ち中国が沖縄を含め東半球を狙いロシアが核兵器の引き金を片手に欧州大戦さえ起こりかねない状況で、ここでアメリカが更に後退すれば大戦と思う。

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の54は巡洋艦アンティータムで62は巡洋艦チャンセラーズビル、といいたいところですが改名して巡洋艦ロバートスモールズ、艦番号70はレイクエリー、アンティータムは今年退役予定でレイクエリーは来年退役、もう残り少ない。

 ロナルドレーガン、横須賀に帰ってきていました。アメリカ海軍は前方展開する唯一の原子力空母で空母艦載機は岩国航空基地に、岩国には海兵航空団も展開している為、岩国基地は嘉手納基地や三沢基地を越えてアジア最大の戦闘機部隊基地になっているという。

 ニミッツ級原子力空母はアメリカ海軍力の象徴ですが、続いて建造されたジェラルドフォード級原子力空母は電磁カタパルトなど新機軸を詰め込んだ結果、建造費が100億ドルを超えてしまいました、いずも型護衛艦12隻分に相当し、高すぎるよう思うのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】小松基地航空祭2023【6】日伊合同演習記念塗装イーグル機動飛行が飾る(2023-10-07)

2024-03-02 20:23:16 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■航空祭大団円
 明日小牧航空祭という今回漸く小松基地速報が大団円を迎える。

 F-15戦闘機の機動飛行、この小松基地航空祭では青空に恵まれると共に特別塗装のイーグルが日伊合同演習と日豪合同演習仕様の二機が参加していましたので、この青空に映える順光の環境で撮影出来た事がほんとうに幸いでした。イーグルには青空が似合う。

 イーグルを見ていますと今の防衛政策の反撃能力という岸田ドクトリンの外洋について、いや地対地ミサイルよりは柔軟性のある航空戦力にJASSMのようなミサイルを搭載した方が、角が立たないではないか、戦闘機を増やしてはどうか、と思うのですね。

 航空戦力、長距離打撃力を考えますとその重要性は地対地ミサイルよりも空対地ミサイルのほうが重要である、こう考えるのです。もちろんJSMミサイルを搭載して特攻しろ、というような変な考え方ではなく、射程は同じ2000km台ででも、ということで。

 戦闘機以外にも輸送機からミサイルを運用する方式などが模索されていまして、これはアメリカで、米中衝突となれば輸送機が第一線に展開して兵站線を支えることなどできないぞ、という危機感から、それならば輸送機の戦時における仕事を探そう、と。

 日本もこの方式は学ぶべきだ、とアメリカがC-17輸送機を爆撃機に仕立てる発想を知って、日本でも特撮や映画の世界では輸送機を爆撃機としている事例が、例えば1964年のモスラ対ゴジラではC-46輸送機を爆撃機にしてゴジラをナパーム攻撃した描写はあったのだから。

 地対地ミサイルよりも航空機を、と説くのは、ミサイルの場合は射程が2000kmであれば、駐屯地から2000km先しか攻撃できないということ。1000kmならばいくつかの国が当てはまりますが、2000kmとなると西日本や九州配備のものは当たる国は一つ。

 戦闘機や輸送機から投射するものであれば、いや、これは有事の際に派遣先で長距離打撃任務を想定してのもので、隣国である貴国をねらうものではありません、我が国を攻撃でもする場合は別ですがそんな計画はないのでしょうし、とうそぶけるのだ。

 隣国で射程2000kmのミサイルを持っている場合でも、これは日本をねらう専用のものではない、隣国の2000km以内には核兵器国と核保有国があるため抑止力だ、と言い分は成り立つのですから。こうした"敵意を見せない"防衛戦略が、必要だとおもう。

 MLRS廃止、最盛期に96両も配備されていたMLRSは半数以下で2030年には全廃する方針が示されていますがPrSM陸軍プレジションミサイルを搭載すると射程は499kmありまして、今開発が進む2400kmのミサイルよりは大分短いですが、本土防衛には充分だ。

 防衛費を増額するにしてもMLRSというかなり重要な装備品を一方で捨てているのですから、これを廃止して予算が足りないでは通らないだろうに、防衛力を監視する団体が、過度にリベラルでリアリズムを無視している為に政策と協調できない現状がひびいている。

 飛行展示を終えて続々とF-15が着陸しています、そう、ちょっと最前列では無かった故に肩越しのやや厳しい構図で撮影する事になっていますが、自衛隊の写真撮影とともに、防衛政策、というマクロな視点で行事を見ていますと、こう、深く考えすぎてしまうのだ。

 小松基地航空祭はこんな感じで終了、そして物凄い行列の小松駅行シャトルバスを利用するのは避け、路線バスを利用して小松駅へ向かう事としました。路線バスは基地を出て少し歩きますと穴場のように運行されていて、サンダーバードに乗り帰路につきました。

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【G3X撮影速報】航空学校創設71周年明野航空祭【4】明野レインボー飛行展示(2022-09-05)

2024-02-25 20:00:29 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■空往く明野レインボー
 観閲飛行が完了しました明野駐屯地上空へ新たなヘリコプターの編隊が接近して参りましていよいよ次の展示が始まる。

 明野レインボーの飛行展示が開始されました。明野レインボーとは航空学校の教官らで臨時編成されたヘリコプター展示飛行部隊であり、航空自衛隊のブルーインパルスとはちょっと違うのですが、ヘリコプターの各種機動性を展示するここ明野だけの飛行展示です。

 TH-480練習ヘリコプター4機とUH-2多用途ヘリコプターにAH-1対戦車ヘリコプターおよびOH-1観測ヘリコプターという編成です。自衛隊は観測ヘリコプターと対戦車ヘリコプターについては全廃する方針で、どんな機種かは不明ですが無人機を代替機とする考え。

 UH-2多用途ヘリコプターの機動性展示、ベル412EPをもとに軍用使用としたものでベル社もスバルUH-2として海外市場に提供している、一見2020年代の航空機の割には安直な設計のようには見えるのですが意外と新規採用する国が増えていまして、手堅く好評だ。

 スバル、いや富士重工の名の方が親しんでいるので旧称を用いてしまうのですがUH-2,価格管理には成功していると思う。川崎重工は防衛省の養成に応えCH-47JAをCH-47D型仕様からCH-47G型仕様とした結果、値段が各国のCH-47G輸送ヘリコプターと同水準に。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、1970年代後半に自衛隊はHU-1Bへハイドラ70ロケット弾を搭載し武装ヘリコプター化を研究していました、ロケット弾発射機は10機分が取得されたものの芳しい成果をあげる事が出来ず、結果AH-1Sを検討、試験機が中々買えなかった。

 試験機を2か年の予算に分けて調達したのですが、評価試験では当時の第2戦車大隊が参加、普通科1個中隊の防御陣地にAH-1Sが2機支援に加わり戦車大隊の攻撃を受けるという想定での試験で戦車大隊が損耗八割の大打撃を受け、AH-1Sの費用対効果が示されます。

 富士重工がUH-1を、HU-1BからHU-1Hへとベル社とのライセンス生産契約を結び続けていましたので一旦AH-1Sの採用が決定するとAH-1Sライセンス生産契約はスムーズに流れ、結果自衛隊は96機、五個対戦車ヘリコプター隊と教育所要のAH-1Sを揃えました。

 OH-1観測ヘリコプターの機動飛行、この機体は増大する戦闘ヘリコプターの脅威下でどのように観測ヘリコプターが任務遂行するかというオペレーションリサーチの先に開発され、機動性の高い専用機に高度な観測器材と空対空ミサイルを搭載する、とまとまったもの。

 250機というまとまった数が調達されOH-6D観測ヘリコプター180機を置き換える構想でしたが、予算不足により試作機を含め33機のみが生産、OH-6Dの後継機が調達される事は無く、そのまま観測ヘリコプター全廃という。能登半島地震で、この機体が充分あれば。

 TH-480練習ヘリコプター、OH-6D練習ヘリコプターの後継に、本命はMD-500だったのですが総合入札方式でTH-480に決定、その直後メーカーであるエンストロム社が中国企業に買収され、更に倒産しアメリカで、とちょっと後継機が気になる練習ヘリコプターだ。

 UH-60JA多用途ヘリコプターの飛び入り参加へ。2000年から調達が開始され当初は多用途ヘリコプターを全てUH-1JからUH-60に置換える計画でしたが、そんな予算もあるはずなく、と。ライセンス生産を担う三菱重工は武装型をAH-1S後継機に提示していました。

 宮古島沖墜落事故が発生するまでは事故の無い機体として絶大な信頼を集めていましたUH-60JAですが、救難ヘリコプターと同水準の航法装置や全天候飛行装備を備えていた為に取得費用が高騰し、UH-1多用途ヘリコプターの四倍程度という高額なものとなりました。

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【G3X撮影速報】第10師団創設61周年守山駐屯地祭【5】74式戦車自衛隊卒業へ(2022-09-05)

2024-02-18 20:22:13 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■戦車大隊最後の展示
 北部方面隊は戦車隊か戦車連隊だけですのでいよいよ年度末に自衛隊から"戦車大隊"というものはなくなるわけです。

 第10師団資料館を背景に96式装輪装甲車、第10戦車大隊の所属車輛である為に年度末改編で師団を去る装備です。後継には日本製鋼所がフィンランド製パトリアAMV装甲車を810両ライセンス生産する事となっていますが、一両当たりの製造費用は五倍以上になる。

 軽装甲機動車と96式装輪装甲車、2700万円と9600万円、性能にはいろいろ文句はあるのかもしれませんが安価に製造した小松製作所の功績は大きい。軽装甲機動車後継にはハーケイ軽装甲車かイーグルⅣ軽装甲車が選定中ですが、調達費用は二億前後と七倍以上だ。

 74式戦車、防衛費がGDP1%という長年のくびきを越えて岸田政権の国家防衛戦略画定と共に急にGDP2%となったのですが、個人的には74式戦車を10式戦車に置換え、狭いのは定員を減らし96式装輪装甲車を一定数普及させた方が良かったのではないかとおもう。

 装甲車部隊の充実とともに攻撃部隊が攻撃準備を整え近接戦闘は白兵戦の段階に進みます。パトリアAMV装甲車が810両も配備されるのであれば、第10師団にも廻ってくるのでしょうが、かなり高価な分、装甲は正面装甲が30mm機関砲弾に耐えるという、重装甲だ。

 96式装輪装甲車を戦車大隊本部から普通科部隊が間借りして、こうして訓練展示に当るのですが、今後師団にパトリアAMVが配備されますと、あの車両は全長7.7mでAAV-7両用戦闘車の8.16mにも迫るおおきさ、砲塔を備える可能性もあり行事の印象は一新しそう。

 AH-1S対戦車ヘリコプターの支援、第5対戦車ヘリコプター隊が明野からの飛来です。自衛隊は戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプター全廃の方針を固めていますが、代替に無人機を充てるとは言うものの、近接戦闘部隊の在る限り、この種の装備の必要性は不変です。

 航空支援と我がほうの戦車部隊の活躍により、仮設敵の戦車は無力化した。こう思っているとやられた戦車が後送されて修理デモされたのか再度登場、撃破され後送され復活、というやり取りを幾度も挟む、今年は戦車最後の行事ということもあり戦車の活躍がつづく。

 仮設敵陣地に迫る普通科部隊と軽装甲機動車、ハーケイかイーグルⅣかという前述の話題ですが、どれも調達費用が三倍から五倍になり、自衛隊も金持ちになったものだとおもう。装甲車開発で揉めたのは分かるのですが、そんなに小松製作所と縁を切りたいのだろうか。

 74式戦車が支援できる位置に展開し、状況は終了となりました。島国である日本で戦車を使う状況はあるのか、という問いが有るのでしょうけれども、逆に、専守防衛の憲法を堅持したまま戦車を手放す防衛戦略ってなんなのだ、と戦車不要論には全く賛同できません。

 状況終了と装甲車たち。師団改編で96式装輪装甲車は去り軽装甲機動車だけが唯一の装甲車となりますが、政権が変りでもしない限りパトリアAMVの大量調達が始まるので、この様子は外国製装甲車と偵察戦闘車や16 式機動戦闘車の車列に代わる事となるでしょう。

 第10師団の改編は戦車大隊廃止と偵察戦闘大隊新編、特科連隊の方面特科連隊移管となるのですが、要するに師団は海上自衛隊の地方隊のように指揮系統だけが重要で有事の際には隷下部隊を増強し統合任務部隊司令官たる方面総監の直轄部隊となる事を意図している。

 師団改編、しかし必要に応じ戦車は北部方面隊から合流させ火砲は方面隊から戦闘加入させるという運用、これが悠長にできるならば最初から戦闘団編成を組んでいる即応機動連隊の全国での新編と矛盾する為、わたしは平時から戦車等を持つ現行編成が最適だと思う。

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