紫雲膏 その１

このところ特に使う機会の多い,紫雲膏について。
私自身,毎日体のどこかしらに塗ってますが,冬場は特に大活躍です。

主な使い方と症例を挙げてみます。

①しもやけ
　H君（6才）はしもやけがひどく足の指が赤紫に腫れ上がってましたが,紫雲膏を塗ってお灸を3壮ずつしたら
　その場で痒みが止まり腫れが引きました。

②かかとのひび割れ,手荒れ
　お風呂上がりに塗ればたいてい数日で良くなります。
　ひどい時はたっぷり塗って靴下を履いて寝てもらいますが,かなり深いひびの場合は
　サリチル酸ワセリン10％と紫雲膏を9：1でミックスした『あれどめ』を使います（秘伝）。
　手荒れは井穴刺絡をした後に塗ると良いです。

③痔
　内痔核がひどかったYさん（68）は紫雲膏座薬と松鶴堂漢方内服薬「恵痔」の併用でほぼ完治しました。
　もちろん切痔やイボ痔にも良いです。

④乾燥性皮膚掻痒症
　冬になると全身が白く粉をふいたようになり痒くなるHさん（78）は塗ってすぐ痒みが止まりました。
　現在は紫雲膏の基剤である,ごま油で予防してます。

⑤やけど
　先日鍋つかみが破れているのに気付かず,素手でつかむようなかんじになってしまい火傷をしましたが,流水でしばらく冷やし　て紫雲膏を塗ったら,ズキズキした感じがすぐになくなりました。
　火傷の場合はしばらくの間塗り続けると痕になりにくく,きれいに治ります。

⑥掌蹠膿疱症
　会社役員Kさん（6５）はいろんな病院（アメリカまで行った）,薬を試しても治らなかった数十年来のひどい足底の皮膚炎が　刺絡＋紫雲　膏（前出のあれどめ併用）でほぼ完治。

⑦化粧下地として
　乾燥肌がひどく化粧のりが悪く「はたけ」になってしまう場合に,紫雲膏を塗った後ファンデーションを塗ります。

⑧唇の荒れ,唇の端が切れる
　寝る前に塗っておくと効果てきめんです。

⑨褥瘡（床ずれ）
　寝たきりで足の外踝の骨が見えてしまう程のひどい褥瘡があったTさん（65）は,周囲への灸＋紫雲膏ラップ療法（サラン　　ラップに紫雲膏を塗り,貼付けておく。ガーゼだと新しい肉芽ができてもはがれてしまうから）で元の足に戻りました。

⑩魚の目
　中心の芯の部分は焦灼灸で焼ききりまわりの硬い部分全体に厚めに塗っておきます。芯が取れるまで毎日繰り返すと再発しに　くくなります。病院で窒素で焼いていたけれどずっと治らなかったSさん（３８）は３回の焦灼灸＋紫雲膏で芯が取れ,その後
　も再発はないようです。

⑪あせも
　赤ちゃんのあせもには桃の葉（入浴剤として）＋紫雲膏。

⑫アトピー　
　カサカサした,乾燥型のアトピーには使えますが,分泌液が多いジュクジュクしたものには向かないようです。
　痒みがひどい場合は　紫雲膏＋中黄膏。




これらの疾患を主訴として来る患者さんはあまりいませんが,ついでに治るととても喜んでくださいます。
私は刺絡や灸と併用することが多いですが,効果が倍増です。

　先日,学生さんから「授業で作った紫雲膏をお粥に入れて食べたら綺麗で美味しかった」という報告をいただきました。
う～ん,素晴らしい発想,感性ですね。もしかしたら消化管の炎症などにも良いかもしれないですしね。
私も近々試してみようと思います。


「漢方のオロナイン」と称される紫雲膏,皆さんもいろいろ試してみてくださいね。