平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

よもぎ 艾 蓬 ?

2015年04月22日 | 生薬
画像は明日のカルチャーセンターの講座で皆さんに召し上がっていただく
よもぎのクッキーです。
小麦粉ではなく米粉で作ってみましたが美味しい!
やはり生薬の勉強は食べながらが良いですね。

ところでよもぎを漢字で書くと

蓬 艾 蕭 蒿 蕭 𦫿 蔞

七つもあるのですね、知らなかった。
(全部きちんと変換されて出てこないかもしれません)

そして蓬という字をよもぎに当てるのは間違いであるということを
牧野富太郎先生は以下のように指摘しています。

これも目から鱗!
鍼灸師でも大多数が知らないのでは?
(研究会の名に蓬の字を使っている先生も多いですし、、、)



(以下、青空文庫より抜粋)

「植物一日一題」牧野富太郎


蓬とヨモギ

 源順みなもとのしたごうの『倭名類聚鈔わみょうるいじゅしょう』に蓬を与毛木(ヨモギ)としてあるのがそもそもの間違いで、それ以来今もって今日にいたるもなお人々がヨモギを蓬と書いて怪まないが、私はなんら怪まずにかく人々の頭を怪まずにはいられない。古えよりとんでもない間違いをしてくれたもんだ。
 ヨモギ(Artemisia vulgaris L. var. indica Maxim.)は艾ガイと書くのが本当だ。元来これはモグサ(燃え草の省略せられたもので、横文字でも Moxa と書くのは面白い)に製する草であるが、今は多くヨモギの姉妹品であるヤマヨモギ(Artemisia vulgaris L. var. vulgatissima Bess.)を用いている。これは形が普通のヨモギよりも大きく、日本中部から以北の山地には最も分量多く普通に生じているものだ。葉も大きいからモグサに製するのに量があってよろしい。モグサには葉の裏の綿毛が役立つ。
 またヨモギは誰もが知っている通り春の嫩葉わかばを採って餅へ搗きこみ、ヨモギ餅をこしらえる。色が緑でかつ香いがあってよい。そこで普通にこれをモチクサととなえる。
 蓬をヨモギとするのは前述の通り誤りだが、またこれをムカシヨモギ一名ヤナギヨモギ一名ウタヨモギと称する小野蘭山おのらんざんの誤りも、ますますその間違いを深めその間を混乱さすものだ。蓬は元来我が日本には絶対にない草であるから、もとより日本名のあろうはずはない。
 では蓬とは何んだ。蓬とはアガサ科のハハキギ(ホウキギ)すなわち地膚ジフのような植物で、必ずしも単に一種とのみに限られたものではなく、そしてそれが蒙古辺の砂漠地方に熾さかんに繁茂していて、秋が深けて冬が近づくと、その草が老いて漸次に枯槁し、いわゆる朔北の風に吹かれて根が抜け、その植物の繁多な枝が撓み抱え込んで円くなり、それへ吹き当てる風のために転々としてあたかも車のように広い砂漠原を転がり飛び行くのである。そこでこれを転蓬テンホウとも飛蓬ヒホウともいっている。すなわち蓬の正体はまさにかくの如きものである。
 明の李時珍りじちんという学者が、その著『本草綱目ほんぞうこうもく』蓬草子の条下でいうには「其飛蓬ハ乃チ藜蒿ノ類、末大ニ本小ナリ、風之レヲ抜キ易シ、故ニ飛蓬子ト号ス」とある。また中国の他の書物には「其葉散生シ、末ハ本ヨリ大ナリ、故ニ風ニ遇テ輙タチマチ抜ケテ旋グル」とも、また「秋蓬ハ根本ニ悪シク枝葉ニ美シ、秋風一タビ起レバ根且ツ抜ク」とも、また「蓬善ヨク転旋シ、直達スル者ニ非ザルナリ」とも、また「飛蓬ハ飄風ニ遇テ行ク、蓋シ蓬ニハ利転ノ象アリ、故ニ古ヘハ転蓬ヲ観テ車ヲ為ツクルヲ知ル」とも書いてある。
 もしも蓬に和名がほしければ、あるいはこれをトビグルマ(飛ビ車)、あるいはカゼクルマ(風車)、あるいはクルマグサ(車草)とでもいってみるかな。そうすると飛蓬、転蓬の意味にもかなう訳だ。
 右にて蓬の蓬たるゆえんを知るべきだ。皆の衆聴けよ、この蓬がヨモギだトヨ、我国の学者はトンデモない見当違いをしたもんだ。眼界狭隘しかたもない。しかし大きなことは言わない、お里が分る、実じつの吾らの知識も罌粟粒けしつぶのようなもんだから。


にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015年5月16日(土) 精神科薬の減薬セミナーのご案内

2015年04月20日 | 学会 勉強会 お知らせ


2015年5月16日(土)  15:00 ~ 16:45 ( 受付 14:45 )

『 精神科専門医が語るクスリを減らすコツ④』

 なぜ向精神薬が増えてしまったのか?なぜ今の症状が良くならないのか?本当に難治性なのか?診断や見立ては正しいのか?他の考えられる疾患や病態はきちんと除外されているのか?今の治療でいいのか?生活上、何を気をつければいいのか?栄養療法とは?薬はなくせるのか?根本治療・原因療法はあるのか?などの疑問はありませんか?各種の病態や疾患の理解と、向精神薬を減らすための具体的な工夫について、栄養療法や漢方治療など様々な方法を交えて皆さまと一緒に考えてみたいと思います。どなたでもご参加いただけます。皆様お気軽にお立ち寄りください。

★減薬セミナーは隔月で開催予定です★
※当日、処方内容に関する個別相談も受けます。 

講師:奥平 智之(おくだいら ともゆき)先生
精神科専門医・漢方専門医  新宿溝口クリニック非常勤医師
医療法人山口病院(川越)精神科部長/東京女子医科大学東洋医学研究所非常勤講師
日本大学医学部附属板橋病院東洋医学科 / 埼玉メンタルヘルス交流会(SMN)
専門分野:うつ病、躁うつ病、認知症、統合失調症、漢方治療、栄養療法

対象:どなたでもお申込みいただけます。先着30名(要予約)
詳細:http://www.shinjuku-clinic.jp

申込み方法:下記の必要事項をご記入の上、FAX:0333506998 にてお申込み下さい。
お電話0333508988でもお申込みいただけますが、管理上FAXをお持ちの方はFAXをご利用頂ください。
お申込み後のキャンセル連絡はお早めにお願い致します。
ご連絡なく当日のご欠席が続く場合は、今後のお申込みをお断りする場合があります。

ご氏名(ふりがな):
連絡先TEL:
FAX:
ご職業:

会場:新宿溝口クリニック セミナールーム(4F)
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-3-11 御苑前311ビル (新宿通沿い 1F:セブンイレブン)
・ 「新宿駅」東口・南口(東南口)より 徒歩約10分
  -- JR各線(山手線・中央線・埼京線・湘南新宿ライン他)
  -- 小田急線、京王線、都営地下鉄大江戸線、東京メトロ丸ノ内線
  ※ 地下道(ブロムナード)をご利用の場合は、A1/A2出口が便利です。
・ 地下鉄「新宿三丁目駅」 C5 出口より 徒歩約3分
  -- 東京メトロ丸ノ内線・副都心線
  -- 都営新宿線

にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

濱口昭宏先生講演「安藤昌益の医学思想」

2015年04月13日 | 学会 勉強会 お知らせ
昨日のオケラの会は、謎の男・濱口昭宏先生による「安藤昌益の医学思想」でした。
なぜ謎の男と言われていたかというと、過去に数回、とてもレベルの高い記事を機関紙「おけら」
へ投稿してくださっていたのですが誰もその姿を見たことがなかったから。

ところが私は2月に京大でお会いして(このブログで私の顔を知っていた濱口先生が声をかけて
くださった)ので一足お先に対面していたのでした。

投稿の内容からして初老の先生だろう、、、
と皆で想像していたのですが、現れたのは関西弁の若いお兄ちゃん(失礼!)でした。

濱口先生の興味は医学のみならず美術、鉱物、植物、、、多岐に渡りますが、仏教系の専門誌
にも執筆されているそうです。

そんな先生が安藤昌益をどう語るのか?
とても興味があったので、予定を無理やり変更して参加しました。
いや~、すごかったです、あれだけの内容をダイジェストで語るのは相当準備が大変だったろうなと。


安藤昌益といえば以前に千住の散策をした時に「安藤昌益の自然真営道発見の地」の看板を見た
故・油井さんが
「俺も安藤昌益研究会に入ってるんだ」
と言ってその時に浅田宗伯が「安肝湯」を引用していたことを聞き、漢方もやっていた人なんだと
いうことを知りました。
吉益東洞と生・没年が同時期、この時代は独創的な人が多く出た時期だったようです。

安藤昌益の思想には独自の用語「転定」「互生」などが多くあるため理解が難しく感じてなかなか
手をつける気にならなかったのですが、今回は医学を中心にわかりやすく解説してくださいました。
望診をとても重要視し独自の理論を持っていた、というのも名医の証拠でしょう。
五行理論なども、安藤昌益の互生の考え方をもってするとスッキリする部分も確かにあると
感じました。
もっと評価されても良い人物の一人ではないでしょうか。

「自然真営道」は焼失してしまっている巻が多いというのは残念ですが、濱口先生の講演を聞いて
残っている部分を読んでみたいと思うようになりました。

以下のリンクからも読むことができます。

安藤昌益研究会

安藤昌益資料館

濱口先生の語り口は実演販売をしているような調子で人の興味を惹き付け笑いをとる、、、という
こちら(関東)にはない芸風で、あっと言う間の2時間でした。

是非またいらしてくださいね!

にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする