平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

きぐすり主催イベント 「 初夏に学ぶ!薬草ガーデンのお散歩と簡単クッキング」に参加しました

2014年06月24日 | 散策
私の薬局も加入しているきぐすり主催のイベント

初夏に学ぶ!薬草ガーデンのお散歩と簡単クッキング

に参加してきました。


場所は千葉県船橋市 東邦大学薬学部付属 薬用植物園

初めて行きましたが、とても充実した薬草園です。
学内では生涯学習講座なども随時行われているようですので、また行ってみたいところです。


薬用植物園散策では「きぐすり.com」の「食べ物は薬」で、おなじみの
東邦大学薬学部名誉教授 ・二階堂保先生の解説により薬用植物を紹介していただきました。

めったにみられない釣藤鈎の花

こんなふうに、カギが一つ、2つのものが交互につくそうです

とてもわかりやすい解説で、一緒に参加した8才の甥も植物に興味を持ったようで、
いろいろ拾ってきては

「せんせい、これは何の実?」

と聞いていました。

精油抽出体験ではティートリーの精油を抽出したものをいただいて帰りました。

精油の抽出は初めて見たのでこれも大感激。

出来上がったティーツリーオイルは、普段使っているアロマオイルよりも爽やかな
かんじの仕上がりで、お風呂に入れたらとてもサッパリした感じでした。
抽出しているところ

出来上がったオイル

植物園スタッフによる簡単クッキングではカルドンの炒め煮とルバーブジャムを
作ってくださり、その後は試食会。
パンとびわ茶もいただきました。
ジャムにしたルバーブ

ルバーブの花







これで参加費500円はありえない設定ですね。
もっと高くてもよいから、来年も開催してほしいです。


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不妊症 2 不妊と体型

2014年06月18日 | 処方・症例
不妊症だからといって特別なことをするわけではなく、その人の全体を観て不調和のある部分を

正していってもらう、というのは他の疾患における漢方治療と同じです。

不妊症の臨床は、漢方を学びはじめて数年後、中医学だけの臨床に限界を感じ始めた頃に

寺師睦宗先生の三考塾に入塾し、さらに玄和堂診療所において臨床の見学をさせていただいた

経験がベースになっています。


当時80才を過ぎていらした寺師先生は、1日60人の患者さんを1人で診察しておりました。

テレビ出演の後は予約は2年待ち、という状況を聞いて

「世の中にはそんなにたくさんの不妊症の人がいるんだ!」

と驚いたものです。

そこで学んだ事を交えながら不妊症について書いていきたいと思います。

まずは「不妊と体型」についてです。



寺師先生の診察においては、問診の後、患者さんにまず体重計に乗ってもらっていました。

標準体重(身長ー100)×0.9

を基準にして、太っている人は痩せさせる、痩せている人は太らせる。



その他、胸の大きさについても

「ペチャパイもホルモンパイもダメだ!」

ペチャパイはわかるにしても、ホルモンパイってなに?

カラダの割に大きすぎる胸を、寺師先生はホルモンパイと表現なさっていました。

なぜいけないかというと、先生の長年の経験から、そのようないわゆる“巨乳”の体型だと

子宮は貧弱であることが多いそうです。


とてもシンプルですが、的を得られた観察だなあ、とつくづく感心します。

もちろん、どんな体型であろうと妊娠しやすい・しにくいはさまざまな要素がからんで

きますのでそれだけでは言えません。しかし、特に太っていると妊娠しにくいというのは

古典にも記載されておりますし、患者さんをみていても確かにそうだな、と感じます。

そして太っているというのは体重だけではなく、筋肉の少ない“かくれ肥満”や“糖尿病予備軍”

も含めた方が良いようです。



標準体重において太っている場合、寺師先生は

「大柴胡湯+桂枝茯苓丸」

をベースに処方なさっていました。

肥満の人は胸脇苦満と瘀血がセットになっていることが多いので、これもすばらしい処方です。

そしてそのような人が

「夜は米粒を一粒も食べるな!」

という指導のもと、体重をしぼって適正体重に近づいた頃、フッと妊娠するケースが多いようです。



痩せている人、その他に関しては

「石の女」「氷の女」

など、いろいろありますのでまた別の日に書いてみたいと思います。


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舌苔の色

2014年06月11日 | 舌診
舌を観察する時に、まず目に入るのは舌苔の状態です。

健康な舌はうっすらと白い舌苔に覆われているものですが、真っ白で厚い苔や
黄色、黒、といった舌苔は体の異状を表しています。

舌苔の色は、冷えている場合は白、熱がこもるにつれて黄色、茶色、黒、
と濃い色になっていきます。

ちょうど白いパンが焦げていくようなかんじです。

苔が濡れて湿っている場合は冷えている状態、乾燥してパサパサしひび割れて
いるような場合は熱がこもって炎症がある状態と考えられます。


白苔

黄苔

黒苔


●白苔

うっすらと白い苔は健康な状態ですが、白い苔にビッシリ覆われた舌はカラダからの

危険信号です

胃腸の働きが悪くなると、糸状乳頭が伸びて角化します。

そこに水が付くと、白く見えるようになります。

胃腸が悲鳴をあげ始めている状態なのです。

風邪などの感染症の初期でも白苔は出現しますが、そのような時は食事は控えめにする

ことを漢方では主張しています。


● 黄苔

舌苔が黄色くなるのは胃腸に熱がこもった状態です。

そして、さきほどの「白苔」の状態ではまだ口の中の細菌のバランスはそれほど

崩れてない状態でしたが、この「黄苔」では病状が進み、口の中の細菌バランスは崩れています。

口の中には色々な細菌が居ます。

悪玉菌もいれば、善玉菌も居ますが、その全部が悪さをするわけではありません。

でも、体の抵抗力が落ちたときなどは、口の中の細菌のバランスが崩れ、普段は悪さを

しなかった菌が増えることがあります。

さらに真菌感染により口の中のPhが低下して、色を付ける産色細胞が出てきます。

その結果、色素が沈着して黄色い苔や黒い苔ができるのです。



●黒苔

熱が極まってくるといよいよ苔は黒くなってきます。

冷えによっても舌苔が黒くなることがあります。

どちらにしても、病状は重く進行した状態であると、漢方では判断します。

黒苔は糸状乳頭が増殖して突起が伸び、そこに老廃物や細菌が溜まり、硫化水素(H2S)を生じ、

そこに鉄を含むヘモグロビンや微生物が結びついて硫化鉄(Fe2S)になり黒い色となるそうです。


抗生物質やステロイド剤の服用で舌苔が黒くなることもあります。

この場合は、抗生物質を飲むのをやめたり、体調が回復すれば自然に治ってきますので、 

特に問題はありません。
 

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日本における舌診の歴史

2014年06月08日 | 舌診
漢方は中国から日本に入ってきましたが江戸時代は鎖国をしていたこともあり、
日本独自の変化を遂げました。

私達日本人の長所だと思いますが、細やかな感性でなんでも便利に使えるように
工夫してしまいますよね。

車、電化製品、化粧品、、、戦後の日本経済の発展を考えるとよくわかると思います。


同じように、漢方に対しても独自のアレンジを施しました。

シンプルでわかりやすい薬の選び方の体系化
日本人に合う薬の量での漢方薬の調合
日本の気候風土に合った処方の開発
刺して痛くない鍼の道具の開発
            ……..etc

お腹を触って病気を知る「腹診」は日本漢方の得意技です。
じつは舌診はあまり重視されていなかったようです。

ところが舌診が治療法に重要な位置を占める病気がありました。
その病気とは。。。

「天然痘」

です。
中国人である「戴曼公(たいまんこう)」の舌診図は漢方における診断・治療に
大きな影響を与えたと考えられます。

現在でもその名残か、舌診は中医学、腹診は日本漢方の得意分野のようです。

どちらも重要な診断方法ですから、流派の垣根を越えてどちらも勉強すべきですね。




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不妊症 1 不妊相談:最近の傾向

2014年06月03日 | 処方・症例
書いてほしいというリクエストの多いテーマである「不妊症」。
感じていること、治療、参考図書などについて書いていきたいと思います。


まずはここ数年感じているのは、なんといっても以前よりも相談者の年齢が高くなっていることです。

芸能人の影響も大きいかと思いますが、40代後半の相談者もたまにいらっしゃいます。

以前、寺師睦宗先生に師事して臨床を見学させていただいておりましたが、患者さんの年齢は
「42才まで」とし、それ以上の年齢は受け付けておりませんでした。

これについては様々な意見があるかと思います。
が、ある意味、的を得たラインであるとも感じます。

実際、私も今回不妊関連の一般書を十数冊購入し目を通しましたが、題名からして高齢出産を
推奨しているようなものも多くありました(実際に読んでみるとそういう内容ではなかったり
するものもありましたので、書評についてはおいおい書いていきたく思います)。



もう一つの傾向として、重度の婦人科疾患などを併発した、難治の患者さんが多くなって
いることです。


母体が心身ともに妊娠する余裕のある状態でないと、いくら高度な先端技術を用いても
出産に至るのは難しいと思います。

「畑の土がダメだと、種を蒔いても芽が出ない」

と、寺師睦宗先生はいつもおっしゃっていました。


まずは自分が元気で幸せな毎日を送れるようになる。
その結果として子供を授かる。
そして、努力の結果、妊娠に至らなかったとしても自分を全否定しない。


それらのことを前提として、不妊症の漢方相談をさせていただいています。




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「安心」2014年7月号に掲載されました

2014年06月01日 | 処方・症例
「安心」2014年7月号の関節痛の痛みを取る漢方薬のページに掲載されました。

建林松鶴堂製剤「心龍(しんりゅう)」についてコメントさせていただいています。

「心龍」は疎経活血湯の変方ですが、後世方処方ながら切れ味の良い製剤です。



松鶴堂についてはいずれまた書こうと思いますが、創業者の建林 宰亮(さいすけ)先生は
やはり天才だと思います!
ああいう美しい創薬ができる日本人は、他に見たことがありません。

鍼灸学生時代に松鶴堂で仕事をさせていただいたことは、私の漢方人生にとって
貴重な経験でした。

今後も製剤の素晴らしさを伝えていくことで、少しでも恩返しができればと思います。


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