平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

外反母趾?痛風?

2009年09月11日 | 処方・症例



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先月のある日いらした60代男性の患者さんの症例です。

「外反母趾の治療を希望」ということで来院されました。

以前から軽い痛みがあり、痛み止めを飲むと1日で治っていたけれど、今回はズキズキしてなかなか治らないとのこと。


足を見せていただくと、確かに外反母趾ではありますが、そこまで痛いかな?という感じでしたので


「もしかしたら痛風かもしれないので、一度病院で診ていただいたらいかがですか?」


と伝えたところ、ややムッとした表情で


「◯◯病院の整形外科の教授にも痛風ではないと言われたし、有名な整骨院の先生にも痛風の心配はないと言われた。だからとにかく外反母趾の治療をして欲しい」


と仰ったので、治療をしテーピングをしたら痛みは治まってしまいました。


ところが翌朝、よりひどい痛みが襲い、三日後にまた来院されました。

そして再び同じように治療したらまた痛みは治まったのですが、翌朝は高熱とともに歩けないほどの痛みが出、ついに病院へ行き診察を受けられたところ、病名はやはり「痛風」でした。

とても健康に自信がお有りだったようで、自分はそんな病気になるはずがないと思っていたようです。


痛風と外反母趾の鑑別は


①痛風は男性に多い
②外反母趾にはない腫脹や激しい疼痛

などとありますが、①に関しては女性は絶対ならないというわけではないし、②も外反母趾でも足がつけないほどの痛みを訴える方もいらっしゃるのでかなりまぎらわしいです。

そしてどちらにも共通するのは、治療をすると急場の痛みは治まることが多いということです。
しかし、痛風の発作時の激痛は鍼灸だけでは難しいようです。診断がなされる前に、痛風の可能性を考えて出しておいた越婢加朮湯合三黄瀉心湯を服用していただきましたが,あまり効果はなかったようです。量が足りなかったのかもしれません。

痛風の漢方治療は緩解期を長くするのが目的であって、大発作に対応するのは難しいようです。

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はてき膏 2

2009年09月06日 | 処方・症例



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はてき膏についての問い合わせを何件かいただいたのですが、今現在は入手困難なようです。

箱に記載されていた電話番号にかけてみても繋がりませんでした。

というわけで、手元にある分は大切に使おうと思います。


漢字で書くと「破敵膏」、華岡青洲先生の処方です。



現在はほぼ同じ効果を期待出来るものに


「たこの吸い出し」


があります。

いろいろ調べてみたら、創薬したのは明治薬専(現:明治薬科大学)

の大先輩ということで、なんだか親近感がわきました。

また機会があれば今度はこちらを使ってみようかなと思います。


それにしても、小さな会社の家伝薬は、いったん作るのを止めてしまうと

再認可は難しいようなので頑張って製造を続けて欲しいものです。

パッケージなどもレトロなかんじでかわいいものも多いですしね。
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はてき膏

2009年09月04日 | 処方・症例



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先週の金曜日のこと。

左手親指に違和感を覚え、なんとなく痛いなと思いつつ放っておきました。

たいしたことないし、自然に治るだろう、と思っていたのですが。。。


翌日指が硬くなり、ちょっと触っただけでものすごい痛みが走りました。

よく見ると、爪と肉の境目が白くなっています。


「何か菌が入ったのかな?」


そこで私はまず刺絡をしてみました。

ところがあまり血が出ないし、しかも触るだけで飛び上がるほど痛い。


そこで次に深谷灸の本に載っていた「瘭疽の灸」、(これは爪の上にやるのですが)に挑戦。

これも爪が貫通するかと思うくらい熱かったですが、少し痛みが和らぎました。


これで中黄膏を塗って一晩寝てみたのですが。。。。


さらに痛みがひどくなり、ズキズキして目が覚めました。


これはマズい。月曜日に鍼が持てないかもしれない。


そこで思い出したのが、「はてき膏」です。

はじめて実物を開けてみると、茶色いコールタールのような物体が。

指で塗ろうとしたらベッタベタで拭いても洗ってもなかなか取れないほどです。


これは効きそうだな。


と思いつつ指示通りガーゼに患部の大きさに塗り、貼ってみました。

その瞬間からジンジン脈打つ感じがし、どんどん痛みが増してきました。

これは熱病の類であるから冷やした方が良いだろうと思い、

冷たい水を飲み、クーラーをつけて眠りました。


翌朝、指の大きさは元に戻り触っても痛くありません。

爪の脇から膿が出たようで、ガーゼに吸収された部分が黄色っぽくなっていました。

その後二日間、托裏消毒飲を服用して月曜日は仕事ができました。



痛みがピークの時は

「このまま指が腐ったらどうしよう。

 鍼灸を続けるのは無理だし調剤も難しいな。

 そうしたら、アメリカで開発された切断された指が再生する魔法の粉、

 あれは手に入らないか?

 それでも無理なら天の指示として受け入れるしかないんだろうな」


などと色々なことが頭をよぎりました。

ふだんほとんど体調を崩すことがない私に、病んだ人の気持ちをわからせるための体験だったのかもしれません。


おかげさまで一週間経った今、きずは完治し新しい皮膚が再生しました。

そして文字通り「一皮むけた」今、親指の感覚は以前より鋭敏になっているのでした。


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