平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

苓姜朮甘湯

2012年02月28日 | 処方・症例
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今年の冬は寒かったせいか、苓姜朮甘湯の出番が多かったです。


出典は『金匱要略』、甘草乾姜茯苓白朮湯方と記されています
(真柳誠先生の論文によると、これを苓姜朮甘湯と呼び換えるのは、一味が違う苓桂朮甘湯の順によるらしく、吉益東洞から始まったとのことです)。


本方の主治文は以下です。


 「腎着(着は著の略字)の病、其の人の身体重く、腰中の冷えは水中に坐すが如く、形は水状の如く、反って渇せざるに小便自から利し、飲食の故の如きは病、下焦に属す。身を労せば汗出で、衣(別伝本は「表」の文字)裏の冷湿すること久久として之を得、腰以下冷え痛み、腹の重きこと五千銭を帯びるが如し。甘姜苓朮湯が之を主る。」


名古屋玄医による「腎着」の解釈は

「腎着とは附きて去らざるの意なり。
 けだし湿は陰邪なり。腎は陰の臟なり、湿、腎に着けば
 粘滞して去らず.......」


とあり、湿邪がベッタリと腎に貼り付くイメージです。

その理由は汗をかいたままの冷たい衣服を着ていたから、ということですが
もともと水毒傾向の人がこのような状態になりやすいのではないかと感じています。



また、喜多村直寛は

「理中湯より人参を去って茯苓を加えた処方。
 病は下焦にあり胃にはないので人参を用いない。
 一味として腎家の薬を用いないのは、邪が真に腎臓をおかしていない
 からである..._」

と記しています。


なるほど、確かに著効した人達を思い浮かべてみると

・わりと若めの人が多い
・まだそれほど長い期間患っていない
・水っぽい人(いわゆる果物顔の人、下半身がむくんでいる洋梨型の人)
・冷え性では「太ももの冷え」を特に訴える


それにしても「水中に座するがごとし」とはうまいこと言うなあ、
的を得ているなあ、と古の人の表現力にはただただ脱帽です。















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ラン科の生薬

2012年02月25日 | 生薬
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明日行く予定の、世界らん展のホームページの
「らんを知る」は、まとまっていてわかりやすいです。


そういえば、ラン科の生薬ってあったっけ?


という疑問がふとわき起こり、調べてみたらよく使う

  天麻(オニノヤガラ)

がそうでした。あまり使ったことありませんが

  石斛(セッコク)

民間薬としては

  紫蘭(シラン)
  白笈(ビャクキュウ)

  サイハイラン
  ハクサンチドリ

などが薬用で使われてきたようです。


明日は最終日でメチャクチャ混んでるんだろうな~

と思いますが、とても楽しみです。
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腸内環境と漢方薬

2012年02月24日 | 処方・症例
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難治性のアトピー性皮膚炎の患者さんはかなり高い確立で便秘の方が多く、

その場合は漢方薬がまともに効かないことがあります。

養生の指導をしてもなかなか改善しない場合は
乳酸菌生成エキス「ラクティス」をおすすめしています。

服用している皆さん、調子が良いようです。


昨年の東洋医学会のブースの一角で初めて知り、サンプルをいただきました。

まずは自分で実験的に数ヶ月服用してみたところ、肌の調子が良くなり、

疲れにくくなりました。


味も少し酸っぱくて飲みやすいため、ほぼ毎日飲んでいます。

乳酸菌を飲んでも胃で分解されてしまいますが、このラクティスは菌

そのものではなく分泌物と菌体物質であるためきちんと腸に届き、

そこでその人に必用な菌を増やすように働きかけてくれるようです。



李東垣は「脾胃論」の中で脾胃の重要性を説いておりますが、そのころは

その存在を知られていなかった「腸内細菌」の働きの重要性を、経験的に

悟っていたのではないかなと思います。
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荘子の養生

2012年02月21日 | 処方・症例
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荘子物語 (講談社学術文庫)
クリエーター情報なし
講談社


以前、松田博公先生とお話していた時に、

「老荘思想というけれど、老子と荘子は大分違う。
 素問・霊枢は老子よりもむしろ荘子の影響を大きく受けている」

というようなことを教えていただきました。

それから荘子に興味を持ったのですが、この本はとても読みやすく
入門書として良いと思います。


養生の篇でなるほど、と思った一例をあげてみます。



「生を殺す者は死せず、生を生かす者は生きず」..........

           あまり生命に心を用いないでいる(生を殺す)と死なない。
           あまり養生ということに心を用い過ぎるとそれは養生にならず、
           かえって人生を害することになる。

         →健康オタク、自分の体のことばかり考えている人への戒めですね。



荘子の養生の道は肉体的養生のみならず人生全般に渡るものであり、
何事においてもやり過ぎを避けほどほどに、ということが一貫して
書かれています。

あれもこれもやらなくてはならない.....と自らを追い込み精神を病む人も
多い昨今、荘子に学ぶ所は多いのではないでしょうか。

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母乳の出を良くする漢方

2012年02月20日 | 処方・症例
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通常、母乳の出が悪いという患者さんには、わかりやすい名前の乳泉

をおすすめしております。

効能も「催乳剤」とあり蒲公英湯の加減方でとても使いやすいです。


ただ、このごろは産後に食べ過ぎている人が多く、葛根湯や麻黄湯などで

詰まりを取らなくてはならないケースもありますね。


先日初めて知ったのですが、生薬の「牛蒡子(ごぼうし)」は乳腺炎に

良いらしいです。10gくらいを煎じて服用するのだとか。

乳腺炎の予防の民間薬として服用すると良いかもしれません。



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太陽病に瀉下!

2012年02月19日 | 処方・症例

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今日のおけらの会の大友先生の症例は素晴らしかったです。
(おそらく)インフルエンザの男児を調胃承気湯で鮮やかに治された一例。

ご存知のとおり、原則的に太陽病には瀉下は禁忌であり、安易に下す
ことを戒める条文が続きます。

しかし、先生は康平傷寒論の条文を見逃していませんでした。


太陽病、未解、脈陰陽倶停(停....これといって変化の無い脈)
下之必先氏振慄、汗出而解。
(註)但陽脈微者、汗出而解、但陰脈微者、下之而解
若欲下之、宜調胃承気湯。


今回の症例もこの条文のとおりで



調胃承気湯で下す
   ↓
振慄して汗出る
   ↓
  治愈


太陽病でもこのような停脈で便秘気味であれば、機を逃さずに下さないと
ならないのですね。

小児には特に多いかもしれないので、見逃さないようにしていきたいです。
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眼瞼下垂の漢方

2012年02月13日 | 処方・症例
「寒い中、ビデオカメラの撮影に熱中した後に右眼瞼下垂になってしまった」

という患者さんがいらっしゃいました。

MRIなどの精密検査で異常なし、しかし特に治療の指示が出なかった、
ということで途方に暮れて来院されました。


上のまぶたは「脾」だったっけ。。。

と思いながら四診をし、治療を開始。

舌は胖大して歯痕が目立ち、下腹部は関元のあたりが凹んで力が有りません。

本治法として脾と腎の虚を補い、まぶたに切皮程度の火針をして終了。

漢方薬は補中益気湯をお渡ししました。



治療直後に

「眼がさっぱりして、開きやすい!」

とのこと。

発症から10日目の亜急性期ですから、治る見込み大です。




眼の酷使が原因ですから、

・しばらく眼をなるべく使わない。パソコン、テレビ、読書はお休み。
・眉間に皺を寄せない
・食べ過ぎない、水分を控える(脾虚)

とアドバイスしました。


帰宅後、ネットで調べてみたら、眼瞼下垂の手術はいろいろな意味で
リスクもあるようですね。
手術の前に漢方・鍼灸を試してみる価値はあるのではないかと思います。




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打鍼

2012年02月08日 | 鍼灸

注文した打鍼セットが届きました。

石原克巳先生が制作企画したこの打鍼は、小槌がずれないように
持つ部分が細長く楕円形になっていて、大変使いやすいです。

また、小槌は片面がまっすぐでもう一つの面は少しへこんでいて
使い分けができるよう設計されています。


欲しい方は

小槌14000円
打鍼 7000円
小槌・打鍼セット 20000円

青木仙衛さんに

FAX 03--5482-0529
mail : aokiman@hotmail.com

どちらかで問い合わせてください。


打鍼についてはまた後日。





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水毒と肥満

2012年02月06日 | 処方・症例
数ヶ月ぶりに来院した患者さんのNさん。
例年冬は膝関節痛がひどく、毎週のように来院していたのですが
今年は秋に一度いらしたきり。
お元気にしてるかなあ。。。と考えた翌日に、予約のお電話が入りました
(こういう事ってよくあるのです)。

久しぶりに登場したNさんは,別人のようにスッキリしていらして驚きました。
なんでも3ヶ月前にいらしてから、10kgお痩せになったとのこと。
良い感じの痩せ方で顔の色つやも良く、眼も輝いています。


「どうやって痩せたのですか?」

と質問したところ、

「先生が教えてくれたんじゃない!
 言われたとおりに水を飲むのを止めたらどんどん体重が減って膝の痛みも
 なくなって汗もかかなくなりました。」

いつもタオルで汗を拭きながらやってきて、下半身を中心に脂肪がつき
膝関節痛もあるという、典型的な防已黄耆湯の証の方でした。


以前は水を飲むことが体に良いと信じていたため、起床後すぐに大きな
マグカップで氷入りの水を飲み、仕事中もペットボトルを携帯し
合計3~4Lくらいの水を飲んでいらっしゃいました。

「以前は食事中も何杯も氷を入れた水を飲んでたけれど、それも
 止めてみたらたくさん食べられなくなりました。噛まないで水で
 流し込んでたんですね。味がはっきりわかるようになって、食事も
 美味しく感じます。」

と、いいことづくめのようです。

2週間分の防已黄耆湯を服用しながら良い習慣を身に付け、その後は
薬なしで養生だけで改善されたようです。




「脾は湿を悪(にく)む」


というのは漢方の基本ですが、私達の多くは水分を摂り過ぎている
ようです。

舌に歯型がついている、むくみやすい、体が重だるいetc.....

水毒の症状がある人は、まず水分の摂り方を見直してみてください。






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