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今年の冬は寒かったせいか、苓姜朮甘湯の出番が多かったです。
出典は『金匱要略』、甘草乾姜茯苓白朮湯方と記されています
(真柳誠先生の論文によると、これを苓姜朮甘湯と呼び換えるのは、一味が違う苓桂朮甘湯の順によるらしく、吉益東洞から始まったとのことです)。
本方の主治文は以下です。
「腎着(着は著の略字)の病、其の人の身体重く、腰中の冷えは水中に坐すが如く、形は水状の如く、反って渇せざるに小便自から利し、飲食の故の如きは病、下焦に属す。身を労せば汗出で、衣(別伝本は「表」の文字)裏の冷湿すること久久として之を得、腰以下冷え痛み、腹の重きこと五千銭を帯びるが如し。甘姜苓朮湯が之を主る。」
名古屋玄医による「腎着」の解釈は
「腎着とは附きて去らざるの意なり。
けだし湿は陰邪なり。腎は陰の臟なり、湿、腎に着けば
粘滞して去らず.......」
とあり、湿邪がベッタリと腎に貼り付くイメージです。
その理由は汗をかいたままの冷たい衣服を着ていたから、ということですが
もともと水毒傾向の人がこのような状態になりやすいのではないかと感じています。
また、喜多村直寛は
「理中湯より人参を去って茯苓を加えた処方。
病は下焦にあり胃にはないので人参を用いない。
一味として腎家の薬を用いないのは、邪が真に腎臓をおかしていない
からである..._」
と記しています。
なるほど、確かに著効した人達を思い浮かべてみると
・わりと若めの人が多い
・まだそれほど長い期間患っていない
・水っぽい人(いわゆる果物顔の人、下半身がむくんでいる洋梨型の人)
・冷え性では「太ももの冷え」を特に訴える
それにしても「水中に座するがごとし」とはうまいこと言うなあ、
的を得ているなあ、と古の人の表現力にはただただ脱帽です。