平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

暑さと月経

2012年07月29日 | 処方・症例
暑さのせいか、月経が止まってしまった、量が極端に少ない、という患者さんが
立て続けにいらっしゃいました。

月経中は安静に、というのは夏場も同じです。
夏で注意すべきなのは月経中の発汗。
「汗血同源」、つまり汗と血は同じ材料で作られるので汗が大量にでてしまったら
血も減ってしまいます。
ですので特に汗をたくさんかく人は、経口補水液(冷たくない常温以上のもの)などで水分補給
し、月経血が減らないように注意すべきです。

もともと陰虚・血虚の傾向の方は、月経中に熱入血室の状態になりやすく、せっかくうまくいって
いた治療が台無しになることもあります。


嗅覚消失で治療中のMさん。
暑い中の仕事で水分補給もできず、その日から風邪を引いてしまいました。
月経も初日で停止し、せっかく戻ってきていた嗅覚が全て消失。。。
遠方にお住まいのため、すぐに来院できず、電話で症状をうかがいました。

寒気はなく、のどが痛い。汗が大量に出ている。舌尖が赤い。頭痛がする。不安感が強い。胃部不快感。

手元にある生脈散とともに経口補水液を作っていただき、まずは補陰。
脱汗による陰虚が強そうなので柴胡剤は避けたい。。。
そこで翌日は急いで送った参蘇飲(じんそいん)を服用していただきました。
一服服用して数時間後に月経が再開、嗅覚も元に戻りました。


ホッと胸をなで下ろしましたが、危機一髪の危ない症例でした。


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薬膳料理教室

2012年07月24日 | 養生
今日、ベリーナチュラルセラピースクールで薬膳料理教室を開催していただきました。

夏バテ対策、というテーマで

・緑豆がゆ(写真左下)
・ピータン豆腐(写真右下)
・ウコンを使った揚げ物
・白きくらげのデザート(写真左上)
・トウモロコシのヒゲ茶

を作り、それぞれの効能について解説させていただきました。

「平地先生の料理は、簡単だからすぐに家でつくれます!」

と代表の杉田先生。
(褒め言葉として受け取らせていただきました。。。)
難しい料理は他所で習っていただくとして、今回もビニール袋を使って
味付けしたり、一つの鍋でできるものばかり。


とくにこの時期のおすすめは、お粥。
熱中症対策としても、水分と塩分を含んだお粥は最適。
緑豆は解毒作用もあり、夏場の食あたり予防にも有効です。
梅干しなんかを入れてもよいですね。

私も、胃の調子が悪い時に作って食べています。
数回食べると、すっきりして調子が良くなります。

作り方は緑豆半カップ、米1カップに水を入れて煮込むだけ。
好みの量の塩を入れてできあがり。

誰でもできますので、お試しください。


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ハスの花

2012年07月23日 | 養生
「漢方健康料理」をパラパラと眺めていたら、

「ハスの花と鳥肉の炒め物」という料理が目に留まりました。

そういえば、ハスの花って食べたことがないな。。。と思いながら読み進めると、

ハスの花には止血、月経不順、血液循環の改善、打撲による痛みなどに良いと

あります。これだけの効能がある花、ぜひ食べてみたい。

でも、売っているのを見たことがありません。


これは千葉公園に行って、落ちている花びらを拾ってくるしかない。。。

そんな野望を胸に、先日千葉公園を訪れたのでした。

お天気が悪かったせいか、日曜日なのに人も少なく、怪しまれることもなく

10枚ほど落ちている花びらを拾い集めることに成功。


料理に使ったハスの花



こんな料理に変身!

鶏肉のかわりにマグロを使い、白ワイン、塩、コショウ、バルサミコ酢で味付けしてみました。
本には「火を止める直前に花を入れる」とありますが、きちんと火が通ってないものは
ちょっと青臭くて食べにくかったです(参考までに)。
写真に写っている丸いのは蓮子(ハスの実)です。

来年はもっと美味しく作れるようがんばります!










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玉屏風散

2012年07月12日 | 処方・症例
異常に汗が出る場合に使う処方の一つに「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」

という処方があります。

玉のように貴重な、屏風(びょうぶ)という変わった名の処方。

屏風のように必要なものを通過させ、入ってはならぬものを食い止める働きがある

という意味だそうです。



体表を守るバリア「衛気」が疎かになり異常にに汗が漏れ出ると、疲れやすく

なる、不眠、風邪を引きやすくなる、熱中症にかかりやすくなる等の症状に

つながってしまいます。

中医学では「益気固表(えっきこひょう)」、この疎かになった衛気をしっかり

させ、表を固めるグループに分類されています。



黄耆と白朮で、肺と脾の気を補い、防風で外邪の侵入を防ぐ。

また、補中益気湯をはじめとした処方を構成する基本処方とも言えます。

三味のシンプルな処方ですが、少ない薬味の処方ほど鋭く効きます。


この時期に上手に使っていきたい処方です。


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熱中症と牛乳

2012年07月10日 | 処方・症例
「熱中症の予防に牛乳が良い」

ということが検証されて牛乳が売れているそうです。
きつめの運動をした後、牛乳を飲むと血液が増えて熱中症の予防になるのだとか。
「熱中症」「牛乳」で検索するとたくさん出てきますし、テレビ等でも何度か放送
されたそうです。

先日の体験講座でも牛乳についてお話させていただきましたが、「温病条弁」に
「牛乳飲」という処方が記載されています。熱病後の脱水に使われる処方で、重湯
と牛乳を混ぜたもの。

それだけ体を潤し熱を冷ます牛乳は、血熱や陰虚(体に必要な水が足りない状態)
の人にとっては良い薬。
しかし、冷えや水毒のある人にとっては逆に害になることもあると考えられます。
また、日本人に多い乳糖不耐性、つまり牛乳を消化吸収できない
体質の人にとっては下痢をしてかえって脱水の原因になることも考えられます。

先日いらした患者さんは
「きつめの運動をした後に」
という部分をとばしてただ牛乳を水代わりに飲んでいたらお腹をこわしたそうです。

基本的には牛の赤ちゃんのための飲み物であり、栄養過多の人が多いので、食指導では
なるべく控えていただくよう指導していますが、
熱中症予防に試す場合、

・乳糖不耐性でない体質の人
・冷えがない、水毒のない人
・量を決めて

ということに気を付け、御自身の体と相談しながら試してみてください。



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明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く (山崎光夫)

2012年07月09日 | 古典・書籍
明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く
クリエーター情報なし
講談社


今日7月9日は鴎外忌(森鴎外の命日)でした。


このベスト・タイミングで山崎光夫先生の著書が講談社より発売されました。

タイトルの日付に「何の日?」と引きつけられますが、表紙の一枚の記念写真を

撮影した日。メンバーは北里柴三郎、長井長義をはじめ、近代日本医学をリード

した蒼々たる顔ぶれです。

その一人一人について、綿密な調査のもと、わかりやすく書いてくださっていて

読み進むうちに自然と近代日本医学史が学べます。

そして超エリート集団といえども避けられなかった様々な葛藤や挫折が、山崎先生らしい温かい眼差し

を通して生き生きと描かれています。



それにしても森鴎外という人は知れば知るほどすごい人なのですが、

晩年の大切な時期は渋江抽斎、伊沢蘭軒などの漢方家の史伝の執筆に注力しました。

じつは漢方を愛し応援していた森鴎外。

その鴎外の周辺を知るという意味でも必読の書です。




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