平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

第21回漢方治療研究会

2011年09月27日 | その他
9月25日に第21回漢方治療研究会が開催されました。

第21回漢方治療研究会

今年も面白かったですが、特に寺澤先生の講演は素晴らしかった。このところ先生には神がかった迫力を感じます。『医界之鉄椎』和田啓十郎先生の生い立ちから始まり日本の漢方の流れを解説してくださいました。そして1950年に日本東洋医学会が始まり、1954年に東亜医学協会を発足させた理由を参加者のわずかな違いに着目して説明してくださいました。
東洋医学会は学と術の比率が7:3、東亜医学協会はその逆で3:7くらい。
だから漢方治療研究会の方がなんとなくマニアックなのですね。
私はやはり後者が好きで、今回もこちらで発表させていただきました。
お話の最後に出てきた

「術ありてのちに学あり
 術なくて咲きたる学の花のはかなさ」

鍼灸学校の授業でも毎年お伝えしている、大塚先生の歌です。


今回はシンポジウムがいつもより多かったのですが、一番興味深かったのは鹿島建設の手がける生薬プラントのプロジェクト。
あれがうまく軌道に乗るといいですねえ。。。

そして今回はお弁当がとても美味しかった!
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機心

2011年09月24日 | 古典・書籍

中国の古典『荘子』「外篇・天地大十二」の中に次のような話があります。

子貢という人物が旅の途中、一人の老人の畑を作っている所に出くわしました。老人は地下道を掘って井戸に入り、壅を抱え上げては井戸水を汲み出して畑に注いでいました。(そのような具合では当然)手間がかかるだけです。非常に効率の悪い仕事だと言えましょう。

それを見た子貢は言ました、

「ご老人、機械を使えばもっと簡単に、そして効果的に水をかけることができますよ。やってみませんか」と。

老人は子貢を見て言いました、

「どうするのかね」と。

子貢は言ました、

「木に穴を開けて機械を作り、後部は重く前部は軽くする。そうするとものを引くように水が汲めますし、湯があふれるように早くできます。その機械を《はねつるべ》と言うのです」と。

老人は一旦は顔色を変えたものの、すぐに笑って言ました。

「私は(かつて)師からこのように聞いた。〈機械を持てば機械を用いて行う仕事(=機事)が出て来るし、機械を用いる仕事が出て来ると、機械にとらわれる心(=機心)が必ず起きる。機械にとらわれる心が胸中にわだかまると、(心の)純白の度合いが薄くなり、(心の)純白の度合いが薄くなると、精神が定まらない。精神の定まらないところには《道》が宿らない〉と。わしは(機械というものを)知らない訳ではなく、ただ恥ずかしくて使えないだけなのだ」と。

(順心寺コラムより抜粋)



先日パソコンのメールが受信出来なくなり、さらに携帯を忘れた時、私の心は予想以上に動揺しました。
そして乗った電車は人身事故で大幅に遅れ待ち合わせに遅れるというはめになってしまったのです。

その時にこの「機心」という言葉を思い出しました。

今でこそブログなぞ書いておりますが、私自身も友人達の中でパソコンもケータイも一番持つのが遅かったですし、今でもあまり得意ではありません。
しかし、持たないことで迷惑をかけることがあり、仕方なく使うようになったのです。
そんな私でさえ、いざ急に使えなくなると動揺するのです。

この機心が起きると、精神が定まらないというのはとても的を得ているなと思います。
そして機械の使い方や手入れに神経を使うことは漢方的に考えても肝や腎に負担をかけ、便利になったことが原因の運動不足にもつながり痰飲や瘀血を生じるかもしれません。以前も書いたように、うつ症状を訴える患者さんはIT関連のお仕事をしている方が多いように感じます。
また、携帯を忘れてパニックに陥る依存症の若い人も増えていると聞きました。

すべてを手放すわけにはいかないけれど、便利なものを増やし過ぎないようにしたいものです。

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『宇宙の迷路』発刊記念イベント

2011年09月19日 | その他


東京国立博物館で「迷路で遊ぼう&宇宙を学ぼう」が開催されました。


本当は恐竜展を観に行ったのですが、なんと入場まで2時間待ち。

「今日は寝坊して失敗したね。。。」

と、5才の甥はうつむいてがっかりした様子です。

「せっかく来たのに悪いなあ。。」

と思っていたらいかにも子供が喜びそうなカラフルな看板「迷路で遊ぼう&宇宙を学ぼう」が目に入りました。
係員の方に聞いてみたら予約制のイベントということでしたが、親切に空席を問い合わせてくださり入場が許可されました。

そんなわけでたまたま参加したのですが、その内容は素晴らしいものでした。

まずその豪華メンバーに驚きました。
  『宇宙の迷路』の著者 香川元太郎先生
   JAXA名誉教授 的川泰宣先生
  『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』などで有名な漫画家 松本零士先生



 香川元太郎 先生 (絵本作家、イラストレーター、『宇宙の迷路』著者)
宇宙の迷路
クリエーター情報なし
PHP研究所



先生の「迷路シリーズ」は、なんと170万部突破ということです。
大人が見ても迷路、隠し絵探しが楽しめて自然と勉強になります。

先生のコーナーでは子供達に隠し絵をさがして壇上で答えを指し示すということをしましたが
「ハーイ、ハーイ」と手を挙げる子供達の声が会場に大反響してすごい盛り上がりでした。

子供の心をつかむのがとても上手な先生で、だからあんな本が描けるのだろうなと感じました。


 
 次は、的川泰宣 先生 (JAXA(宇宙航空研究開発機構)名誉教授)の講演。
「はやぶさ」がいかにして帰還したかというお話から、大切なことをわかりやすく
教えてくださいました。大人が聞いても考えさせられる深い内容でした。
(以下、お話の一部を記載)

「いろいろ考え抜いて危険を予想しましたが、やはり予想しなかったことがいくつも起こりました。それを「想定外」と言います。この想定外のことが起こるという意識を皆で共有することが大切です。皆さんも大人になってそれぞれの仕事についた時、どんな分野でも大切なことです。覚えておいてください。」

「若い研究員の皆さんが、本当によくがんばってくれた。あんなにがんばれたのは、好きなことだからです。皆さんもお父さん、お母さんに言われたから。。。ではなくて、本当に自分が好きなことを見つけてください」

「本当はルールに従わなくてはならなかったところを、自分達の判断で「はやぶさ」の設計をこっそり変えていた。それが絶望的な状況を覆して結果的に成功につながりました。みなさんの道徳の教科書にもあるでしょう、『星野君の二塁打』という話が。あれも監督のサインを無視したわけですよね。大人が考えても難しいテーマです。家に帰ってからおうちの人とも話し合ってみてください」




最後は松本零士先生。(漫画家、『銀河鉄道999』作者、(財)日本宇宙少年団団長)

故・手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生と並ぶ漫画界の超大御所。
まさかこんなところでお話を聞けるとは夢にも思わず、大感激です。

もともと宇宙研究者になりたかったというほど宇宙を愛する先生。
だから作品も宇宙が舞台のものが多いのでしょう。

「宇宙の研究がなぜ大切なのかというと、地球を守るためです。
他の星のエネルギーを利用して地球に持ってこられるようになれば危険なエネルギーも要らないし、地球を傷つけるようなこともしなくてすむのです」

「今が一番重要で地球を救う最後のチャンスだと思う。つまり、皆さんががんばって地球を守ってほしい」

と熱く語られました。
先生の作品はなんとも言えない品格と優しさがあり、読んだあとはしみじみとした優しい気持ちになるものです。
その根底にあるのは、地球への愛だったのだと納得しました。

最後は先生の作品の登場人物の名前の由来などもお聞かせくださり、「銀河鉄道999」世代の私にとってはたまらない内容でした。



恐竜展はまた平日に行くことになりましたが、思いがけず充実した一日になりました。



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千住散策

2011年09月16日 | その他
かねてから計画していた千住散策。
今回も充実した一日でした。

回った所を一挙公開します。



まずは名倉医院。
江戸時代からの「名倉流骨つぎ」の本家本元。
立派なお屋敷です。


  

腑分けが行われた解剖塚。
大久保適斎(医師・鍼灸師)は鍼灸を西洋医学の視点から説明するために解剖をしたようです。



安藤昌益
司馬遼太郎さんも「日本が世界に誇りうる唯一の社会思想家」と絶賛していた偉大な思想家。
「安藤昌益と千住宿の関係を調べる会」は、安藤昌益の主著『自然真営道」
の勉強会をしているようです。




森鴎外旧居橘井堂森医院跡
碑に刻まれた鴎外のカズイスチカ
帰宅してからこの青空文庫で読みました。
このお父さんは根っからの臨床家で、鴎外はある意味ではとてもかなわないと感じていたようですね。。



内田銀蔵博士



千葉佐那(坂本龍馬の婚約者)の灸治院跡
すごい美人だったらしいですが、龍馬の死後も独身を通したとか。





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「困ってるひと」

2011年09月11日 | 古典・書籍
困ってるひと
クリエーター情報なし
ポプラ社




「難病女子」の著者の体験が綴られたものですが、病気がらみの本で
笑えたのは初めてです。

上智大学おフランス語学科大学院生の大野さんは、ビルマ難民支援活動中に
得体の知れない病気にかかり、自らが「難病女子」となってしまいます。

動くこともままならない痛みをかかえ、診断名がつかないまま病院を転々とし、
ついた病名は「筋膜炎脂肪織炎症候群」。
日本ではまだ数例の自己免疫疾患だそうです。

想像を絶する痛み、麻酔無しの検査、膿で破裂したおしり.....

普通に考えると笑える要素は一つもありませんが、
一時は死を考えたほどの痛さや辛さもユーモアたっぷりに表現してあって
何度か吹き出してしまいました。

さらには入院中に難病患者のパートナーまで見つけていらっしゃる。
(「中学生かよ!」と御自身でツッこんでいた桜の下でのデート。
あの場面は素敵でした。)

形は違ったけれど、大野さんは日本の多くの「難民」に希望を与えました。



そしてこういう疾患にも漢方が使われるようになって、日々の「困った」が
少しでも和らいだら良いのにな、と感じました。




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