平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

インターネット中毒

2010年11月23日 | その他



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うつ症状を訴えて来院する患者さんが増えていますが、かなり高い確立でIT関連のお仕事で一日中パソコンを使う、または以下のようなインターネット中毒になっている人が多いように感じます。

「インターネット中毒」を漢方的に考えると

・ネットからの過剰な情報を受け取るためにまず肺が傷られ気虚になる
・目を酷使するため肝も傷られる
・少しでも長い時間ネット上にいたいために日常生活(食事や入浴など)
 がおろそかになり(インスタントやコンビニで済ませる)脾胃が傷られる
・深夜までやめられない場合は腎も傷られる

まず体を動かし、日常生活を丁寧に送っていただくことを勧めております。
眠くても朝8時までには起き、朝日を浴びて体内時計をリセットする。
決まった時間に食事する。
日付が変わる前に寝る。
インターネットから離れる時間を増やし、睡眠障害がある場合は夕方以降は禁止(不眠の原因になるため)

こういった当たり前のことを守るだけでも体が改善されてきます。

漢方薬はまず脾胃を建て直す処方を使うことが多いです。
上実下虚が目立つ場合も多いので、鍼灸は刺絡やBスポット療法をする場合もあります。

そういえば私も、薬局を開局する時に道具をネットオークションで落札することが多かったのですが、あの頃体調が今ひとつ優れなかったのは過労というより、深夜までインターネットをしていたことの影響が大きかったのかもしれません(落札の結果が気になって夜中に目が覚めたこともありました。。。)

インターネットは上手に使えば益も大きいですが、中庸の精神でほどほどにしないと危険であるということです。





インターネット中毒度テスト(キンバリー・ヤング著「インターネット中毒」より転載)

 中毒の度合いを評価するために、次の五段階で質問に答えてください。
  1=まったくない
  2=めったにない
  3=ときどきある
  4=たびたびある
  5=つねにそうだ

 1. 思っていたよりも長くオンラインにいた経験はあるか?
 2. オンラインで長く過ごしたために、家事をおろそかに
    したことはあるか?
 3. パートナーと仲良くするより、インターネットで得られ
    る刺激のほうを求めることがあるか?
 4. オンラインで新しく知りあいを作ることがあるか?
 5. 周囲の誰かに、あなたがオンラインで過ごす時間について
    文句を言われたことがあるか?
 6. オンラインで費やす時間のせいで、学校の成績や勉強に
    悪影響が出ているか?
 7. ほかにしなくてはいけないことがあるときに、電子メール
    をチェックするか?
 8. インターネットが原因で、仕事の能率や成果に悪影響を与えているか?
 9. オンラインで何をしているかと聞かれたとき、自己弁護をしたり、
    秘密主義になったりするか?
 10.インターネットで楽しむことを考えて、現実の生活の問題を
    頭から閉めだそうとすることがあるか。
 11.次にオンラインにアクセスするのを楽しみにしている自分を意識する
    ことがあるか?
 12.インターネットのない生活は退屈で、空しく、わびしいだろうと、
    不安に思うことがあるか?
 13.オンラインにアクセスしている最中に誰かに中断された場合、
    ぶっきらぼうに言い返したり、わめいたり、いらいらしたりするか?
 14.深夜にログインするために、睡眠不足になることがあるか?
 15.オフラインにいるときにインターネットのことを考えてぼんやりとしたり、
    オンラインにいることを空想したりするか?
 16.オンラインにいるときに「あと2、3分だけ」と言い訳するか?
 17.オンラインにいる時間を短くしようと試して失敗したことがあるか?
 18.どれだけ長くオンラインにいたのかを人に隠そうとするか?
 19.ほかの人と出かける代わりに、もっと長い時間をオンラインで過ごす
    ほうを選んだことがあるか?
 20.オフラインにいると気分が落ち込み、機嫌が悪くなって、イライラするが、
    オンラインに戻るとすぐに払拭できるという経験があるか?


 それぞれの回答で選択した番号の数を合計して得点を算出する。得点が高いほど中毒の度合いが強い。
 以下は、得点を評価する一般的な尺度として参考にしていただきたい。
 20~39点 平均的なオンライン・ユーザー。
 40~69点 あなたはインターネットが原因となる一般的な問題を経験している。それが生活に与える影響について、よく考える必要がある。
 70~100点 あなたのインターネットの使用は、生活に重大な問題をもたらしている。すぐにでも対処しなくてはならない。


注 オンライン=接続している状態
  オフライン=接続していない状態
コメント (6)
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キュウ帰調血飲第一加減

2010年11月18日 | 処方・症例



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今年は妊産婦の患者さんが多く、この処方の出番が増えております。
出典は万病回春・産後門。

「産後一切の気血を調理する」

と言われる優れた処方です。
出産によって消耗された気血を補い、貧血、乳汁不足、自律神経失調、不眠など様々な症状を改善します。

現代は部屋の中で孤独に育児をし、悩みを相談出来ずうつ症状を呈するお母さんが増えているように感じます。そのような状況の中、「赤ちゃんを捨ててしまいたくなった」と訴えた若い患者さんにこの処方を服用していただいた所、体の疲れが取れ育児の楽しさを感じる余裕ができるようになったということでした。



処方構成は


きゅう帰調血飲
当帰(トウキ)
白朮(ビャクジュツ)
川芎(センキュウ)
地黄(ジオウ)
茯苓(ブクリョウ)
陳皮(チンピ)
香附子(コウブシ)
牡丹皮(ボタンピ)
大棗(タイソウ)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
鳥薬(ウヤク)
益母草(ヤクモソウ)

     +

桃仁(トウニン)
紅花(コウカ)
枳実(キジツ)
桂皮(ケイヒ)
牛膝(ゴシツ)
木香(モッコウ)
延胡索(エンゴサク)
芍薬(シャクヤク)

     ⇩

きゅう帰調血飲第一加減


後者の方が応用範囲が広く使いやすいと思います。
エキスで代用する場合は

十全大補湯+桂枝茯苓丸+香蘇散

といったかんじでしょうか。
一貫堂医学ではお血証(虚弱者)に使うとされており、妊産婦以外の患者さんにもよく使用しています。
薬味は多いですが、証が合った場合はアトピー性皮膚炎、うつ症状などにも切れ味良く効いてくれます。






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第38回日本伝統鍼灸学会学術大会レポート

2010年11月01日 | その他



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参加された皆様、お疲れさまでした。
福岡は美味しいものが多く、人も明るいかんじで良い街でした。

以下、聴講した演題の感想です。



●学術部セミナー 「打鍼」 
実演した小池俊治先生、まったく緊張しておらずすごいと思いました。そして教員養成科を出ている先生の説明はとてもわかりやすく、見習わなくてはと痛感。長い楊子を使って一緒に練習できたのはとても良かったですね。槌(ツチ)と鍼をそろえると10万円超えますが、やはり道具は良いものが使いやすいし大切にしますからね。。。積み立て貯金して買いましょう。


●特別講演 「近世ヨーロッパにおける鍼灸について」
    九州大学名誉教授 ミヒェル・ヴォルフガング
これは今年の日本刺絡学会の片桐先生の講義とつながるような内容でとても理解しやすかったです。オランダ通司が医学においても重要な役割を担っていたことがよくわかりました。お灸が「火のボタン」と訳され、それが「焼きごてを当てる」と訳され始めは誤解を受けていたというのには驚きました。

●シンポジウム 「伝統鍼灸の真髄を探る」
 シンポジスト
       戸ヶ崎 正男
       大上 勝行
       浦山 久嗣
       大浦 慈観
         司 会
             宮川 浩也
             松田 博公
このシンポを聴いて、伝統鍼灸を定義するのはつくづく難しいなと痛感。。。だって、シンポジストの先生が「わからないというのが答えです」と始めに仰ってましたからね。浦山先生の「それはあなたのオリジナルですか?それともパクリですか?と質問して『オリジナルです』と答えたらそれは「伝統」ではない」というのはわかりやすいと感じました。でもそれだと「伝承」の意味に近く、根底に流れる思想は受け継いで自分のオリジナルを行った場合は伝統なのではないのかな?と思いますが。。。この辺りは学術部の話し合いでもいくら時間があっても足りないところであります。
今回のシンポジウムも深遠なテーマであるだけにもっと時間があったらと感じました。
戸ケ崎先生と大上先生の討論。盛り上がりましたが、大黄に関する部分はちょっと論点がずれてしまった感があり、少し残念でしたね。



●10月31日
実技供覧①
   加賀谷 雅彦(漢方鍼医会)
   首藤 傳明(弦躋塾)
 篠原 昭二(明治国際医療大学)
    藤本 彰宣(北辰会)
14:30~15:30 実技供覧②
   石原 克己(九鍼研究会)
   小林 詔司(積聚会)
 真鍋 立夫(経絡治療学会)
   丸山 治(東方会)


①首藤先生②小林先生の司会を担当させていただき間近で実技を見ることができました。

首藤先生は過去に数回実技を拝見したことがありますが、わかりやすくユーモアのあるお話に会場の皆様身を乗り出して真剣に聞き入っていたようです。うつ症状の患者さんへの接し方、言葉のかけ方等も教えてくださり、臨床にすぐに使えそうな内容も多かったようです。

小林先生の積聚治療は初めて見ましたが、始めに理論(全ての病は「精気の虚」により起こる)の説明が有りとても理解しやすかったと思います。実技で、モデル患者本人も忘れていたような過去の交通事故を指摘なさったのはさすがだなと感じました。出生時の鉗子の使用も大きく影響することがあるそうです。

両先生とも立ち見が出る人気でした。
素晴らしい実演をありがとうございました。



コメント (2)
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