平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

「医道」たにぐち書店復刻

2012年08月28日 | 古典・書籍
医道

全8冊※分売不可/A5版/上製貼箱入/総3910頁/本体70000円/たにぐち書店復刻


昭和4年~14年の10年間にわたり刊行された漢方の月刊誌『医道』が復刻されました。

漢方が迫害されていた時代、こういった先生方の執念により生きながらえて今に至ったの
だなあ、と毎晩感謝しながら読み進めております。

70000円という価格に購入をためらうかもしれませんが、その何倍もの価値があります。


湯液だけでなく、本草学、鍼灸学、按摩マッサージ、食養といった臨床に必要なすべての
分野が網羅されており、まさに「医道」という名にふさわしい内容。
各分野の第一人者の熱い想いが伝わってきます。


食養生や按摩マッサージなどは臨床家にとってはとても重要な分野だと思うのですが、
現在は漢方薬に比べ影が薄いですよね。
この当時の方が現在より熱心に討議されていたように感じました。
初めて見る桜沢如一先生の貴重な食養の論文なども掲載されています。


欄外のちょっとしたコラムなどもとても面白いし、この当時の広告文や絵を見るのも楽しい。
あこがれの沢田健先生のお写真も、この本で初めて拝見。

いろいろな意味で貴重な今回の復刻ですが、先人の志を正しく継承し発展させていかなくてはと
強く感ぜすにはいられません。



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熱病の五十九のツボ

2012年08月13日 | 古典・書籍
黄帝内経における熱病についての記載は以下の篇

 霊枢熱病第二十三
 素問熱論篇第三十一 
 素問刺熱篇第三十二
 素問評熱病論篇第三十三
 素問水熱穴論第六十一

が主となりますが、熱病に使う五十九の経穴について、素問水熱穴論第六十一、霊枢熱病第二十三に
記載があります。
てっきり同じ五十九穴と思っていたら、ずいぶん違うのだということに気付き、おおまかな
場所をプロットしてマインドマップ風にしてみました
(絵がヘタ、ということには目をつぶってください)。

どちらの篇も頭部に多く、59のうち素問では25穴、霊枢では31穴。

素問の方は効能別に経穴が記載され理路整然としておりますが、
私自身臨床では、霊枢の方を使っていることが圧倒的に多いですね。
このところ特に多い熱中症様の患者さんに対し、井穴や頭部からの刺絡をする機会が多くなっています。
そして、熱でのぼせている患者さんの頭をプラチナの鍉針で押しまくっております。


素問・水熱穴論第六十一

陽経の上逆した熱邪を散じる
 上星、顖会、前頂、百会、後頂....五穴
 五処、承光、通天、絡却、玉枕、臨泣、目窓、正営、承霊、脳空.....左右計二十穴

胸中の熱邪を瀉す。
 大舒、膺兪、欠盆、背兪、....左右で八穴

胃中の熱邪を瀉す
 気街、三里、巨虚上下廉......左右で八穴

四肢の熱邪を瀉す
 雲門、髃骨、委中、髄空(?).....左右計八穴

五蔵の熱邪を瀉す
 魄戸、神堂、魂門、意舎、志室....左右十穴



霊枢・熱病第二十二

(手の井穴)少沢 関衝 商陽 少商 中衝 少衡 
               左右で12穴
(手の指の間)後谿 中渚 三間 少府.......左右で8穴

(足の指の間)束骨 臨泣 陥谷 太白.........左右で8穴

(頭部膀胱経)五処 承光 通天.....左右で6穴
(頭部胆経)臨泣 目窓 正営 承霊 脳空....左右で10穴
      聴会 完骨......左右で4穴

(口の下)承漿.1穴
(項)瘂門...1穴

百会 囟会 神庭 風府 廉泉 ......5穴
天柱 風池 ......左右で4穴


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月刊リベラルタイム9月号に掲載されました

2012年08月10日 | 養生
月刊 リベラルタイム 2012年 09月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
リベラルタイム出版社


月刊リベラルタイム9月号に、夏バテ対策の記事を掲載していただきました。

全国の書店で発売中です。





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糖質制限食について

2012年08月09日 | 養生
このところ流行っている糖質制限食。
書店にもコーナーができているところもあり、かなり注目されているようです。

様々なサイトがありますので詳しい内容については触れませんが、米、小麦、砂糖
などの「糖質」を制限し、そのかわりにタンパク質、脂質はいくら摂っても良いというもの。
極端に言うと、米粒は一粒もダメだけど大きなステーキは食べて良し、ということになります。

一時のブームだろうと思っていたのですが、患者さんから質問されることも増えてきました。
これは無視できないな。。。と、江部康ニ先生の著書を数冊購入して読み、京都で開催された
市民公開講座も聴講してきました。

理論的には完璧でわかりやすいですし、

・お腹いっぱい食べられる
・やせる
・血糖値が下がる

などの魅力的なキーワードが随所に目立ちます。

スイーツ、ジュース、果物、、といったものを控えるという意味での糖質制限は必要だと
思いますが、そこに「米」まで入れてしまうと日本の伝統食が根底から崩れるのではない
でしょうか。

私が「平成食生活塾」で師事した幕内秀夫先生は御自身のブログで以下のような御意見を
述べておられます。

幕内秀夫先生のブログ
糖質制限食について
3月28日の夕飯


「被害者情報が登場する→ブーム終わる」

この箇所にはなるほど、と感じました。



ただ今回やっかいなのは、ブーム火付け人の江部先生が漢方医でいらっしゃること。

「糖質制限食は漢方ではないのですか?」

と聞かれたこともありますが、漢方とは全く関係ありません!

お間違えないように。。。


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熱中症と焼肉

2012年08月08日 | 処方・症例

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熱中症にかかり緊急入院したMさん。

退院後も頭痛、倦怠感が続き、汗が出なくなってしまい相談にいらっしゃいました。

生脈散(しょうみゃくさん)を服用し良好な経過を辿っていたのですが、

突然悪化し発熱と吐き気を訴えて電話をいただきました。


前日の食事を聞いてみたところ、もう一息で治すために焼き肉を食べよう!

と思い立ち、久しぶりに大量の肉を食べたとのこと。

とりあえずその日は経口補水液と漢方薬以外は何も摂らず断食していただいたところ、

翌朝には回復しました。



素問熱論篇第三十一には

「熱病が治りかけた時に肉を食べると再発する、余熱が残る」

という記載があります。


肉を食べると元気になる、というイメージがありますが、消化に時間がかかり

熱をこもらせる肉は体力を消耗させます。

特に牛肉や羊肉は熱性が強いので熱中症後は禁忌です。

特にアルコール+肉は脱水も進み危険です。


それではタンパク質は何から摂るのですか?

という質問には清熱作用もある豆腐、豆類をおすすめしています。


皆さんも気を付けてください。





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