平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

料理と心

2008年10月31日 | 養生




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



昨日の薬膳料理教室に参加していただいた皆様,ありがとうございました。

今回は夜の部の人数が多かったせいか,時間が足りなくなってしまい,最後は守衛のおじさんに追い立てられ会場を後にするはめに
なってしまい申し訳ありませんでした。

夜の部で,カレーが苦くなってしまった班があったのですが,考えられる原因としては

・ニンニクの炒め過ぎ(鍋底に少し焦げ付いていた)
・ホウレンソウの蒸し方が足りなかった

しかし一番の原因は

・焦る心

だったように思います。予想以上に時間がかかってしまい,

「早くしなくては」

という私の心が皆さんに伝わってしまったように思います。
治療も同じで焦ってやると良い結果が出せないことがありますが,料理は急いだり焦ったりすると必ずどこかで失敗するようです。
途中で炊飯器の電源が切れてしまったりしたのも,私の心の現れだったのかもしれません(結果的にちゃんと炊けていましたが)。

全体的には美味しく出来ていたと思いますが,次回からはより皆さんに楽しんでいただけるよう,時間配分にも気を付けてメニューを考案していきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日の献立

2008年10月29日 | 養生




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



明日の薬膳料理教室のメニューは

・ホウレンソウとチーズのカレー
・サフランライス
・当帰生姜羊肉スープ
・かぼちゃのプリン
・チャイ

「補血」がテーマです。

しかし,プリンやチャイは,度が過ぎると「痰飲』になってしまうので,注意が必要ですね。

「良い卵が手に入るといいなあ.....」

と考えていたら,なんと今日,患者さんが「放し飼いの地鶏に産ませた卵」というのを50個も持ってきてくださいました。

あまり自慢になりませんが,食べ物に関する私の念力はすごいのですよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マクリ

2008年10月27日 | 処方・症例




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



マクリとは産まれてすぐ新生児に飲ませる漢方処方です。
いろいろな薬の中で,調剤の依頼が来てもっとも嬉しい処方です。

「胎毒下し」と言って,羊水や産まれてくる時産道で飲み込んだ汚物(カニババ)がその後の一生に悪影響を与えるのを防ぐためのものです。
自宅分娩をしていた大正時代までは新生児にはみな飲ませる習慣があったそうです。

いろいろな処方構成のものがありますが,通常は

甘連大黄紅花湯(かんれんだいおうこうかとう)
 甘草0.7g....ひきつけ
 黄連0.7......鎮静
 大黄0.7......瀉下
 紅花0.5......瘀血

熱湯に入れて2~3分振り出し,冷めたものを綿に含ませるなど工夫して飲ませる。
初乳を飲む以前に飲ませるのが最良だが,無理であればその後でも良い。
残った分は母親が飲み,母乳へ移行させる。

平野重誠「病家須知」によると,マクリは鷓鴣菜でありそれを飲ませるべきとあります。

どちらにしても,胎毒がきちんと排出されれば良いのではないかなと思います。


石野信安先生の「女性の一生と漢方」によると

・新生児室の泣き声が静かになった
・新生児黄疸がほとんど出ない
・肌がきれい 

という結果がでているそうです。


アトピーやアレルギー疾患が多くなってきたのも,病院での分娩によりこういった良い習慣がすたれてしまったせいもあるのではないかと思います。

漢方ファンは,出産時に是非トライしてみてください。





コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

工夫せよ

2008年10月26日 | 処方・症例




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



三考塾で吉田首相が鰹にあたった時の,馬場辰二先生の治験例を聞きました。
ひどい下痢で,布団一枚の下までしみ通ってしまう程だったそうです。
馬場先生は九州にいた吉田首相に呼ばれ,初めての飛行機往診をしたそうです。

到着してみぞおちが固い「心下痞」を目安に甘草瀉心湯加陳皮竹茹を処方しようとしたけれど,陳皮と竹茹がない。
そこで馬場先生は旅館にみかんを買って来させ,その皮を使ったそうです。
そして,竹茹は「はたき」の柄の部分の内側を使ったとか。

こういった,とっさの判断も臨床家の腕の見せ所ではないでしょうか。


大友先生も,真夜中で往診ができない状況下で患者さんの家にある「粉しょうが」を飲んでもらい急な症状を抑えた症例を発表されていました。

寺師先生は

「大塚敬節先生はよく,”治療は,工夫せよ”と言っていた。とても大事なことだと思う」

と仰っていました。

薬がない場合,日常にあるものすべてを漢方的な視点から見てみると,代用できるものはとても多そうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ムカデ(蜈蚣 ゴショウ)

2008年10月25日 | 生薬




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします


昨夜入浴中にふと天井を見上げたら,な,なんとムカデがいるではないですか!

久々に心臓が止まるかと思うほどびっくりしました。
全く動かないので死んでるのかな?と思ったのですが
変に刺激して落ちて来たら困るので,早々に入浴を終え,殺虫剤「フマキラー」をかけました。
けっこう大量にかけたのですがなかなか死なず苦しみ,かわいそうなことをしてしまったな,と思いました。
ゴキブリは刺さないので私はあまり殺さないようにしているのですが,ムカデは刺されるとかなり痛いそうなので。

ムカデの生薬名は蜈蚣と言い,鎮痙,降圧などに著効があります。
日本では戦前まで、ムカデをゴマ油やツバキ油に浸けて「ムカデ油」とし、切創、火傷、耳の病気、蕁麻疹、解毒剤、抗結核薬などとして利用されてきました。

古代ローマでは

 ムカデをつぶした汁でうがいを行う→扁桃腺やのどの病気に
 樹脂を3:1で混合した軟膏→耳の薬

「神農本草経」には小児のひきつけ、円形脱毛症、るいれき、痔疾、丹毒や蛇咬傷などに効果があると記載されています。頭と脚の赤い個体が良品とされています。


中国では、ナメクジやクモがムカデの天敵と考えられていたため、ムカデに咬まれたときは、ナメクジをすりつぶしたものを患部に塗ればすぐに治るとされています。
韓国ドラマ「チャングムの誓い」では,チャングムの師匠のチャンドク先生が

「ヘビの天敵はムカデ、ムカデの天敵はナメクジよ。」

と言っていましたね。


【気 味】辛 温 有毒

【帰 経】肝

【効 能】鎮痙 降圧 
     急性熱性痙攣,るいれき,蛇や虫の咬傷


ムカデに噛まれると腫れて痛みや炎症を起こしますが,そういった症状にムカデを使うというのは,ホメオパシー的で面白いですね。

こんど見つけたら勇気を出して捕獲し,ムカデ油を作ってみたいです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大琳派展・尾形光琳

2008年10月24日 | その他




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします


昨日,大琳派展に行ってきました。
今回は名作ぞろいということで,平日にもかかわらずとても混んでいました。

琳派の中でもやはり尾形光琳の作品は輝いていました。
上品だけど万人に好まれそうな派手さも兼ね備え素敵です。

尾形光琳は遊び人で,親から受け継いだ財産を使い果たしてしまいます。
弟の乾山はそんな兄に呆れながらも助け続けます。
兄光琳とは正反対の性格で真面目で静かな人だったそうです。

そしてついに破産し,お金を稼ぐため創作に打ち込み始めました。
しかし,お金のために自分の意に沿わない作品を作るのに嫌気がさし,江戸を引き上げます。
そのころ弟乾山は陶器に打ち込んでいましたが生計を立てられずにいました。

こんどは兄が弟を助ける番です。
光琳の絵付け→乾山が焼く,という兄弟のゴールデンコンビが結成されたのです。

光琳が本格的に作品を発表したのは1701年(43歳)から没年の1716年(58歳)までの15年間のみで,その短い活動期間に多数の名品を残しました。乾山は兄の死後も30年近く生き数々の名作を残しています。
屏風以外にも、うちわ、着物、硯箱、印籠、百人一首など、工芸品を含めてジャンルを越えた幅広い創作活動をしました。日本美術史上最高のデザイナーとされています。
今見ても,

「あ,この小物入れかわいいな。この小袖着てみたい。」

と思えるものばかりです。



豪奢な生活は光琳の家計を火の車にさせたけれど、一流の美術品に触れ続けたことで審美眼を養えたのも事実です。
作品には良い意味でのサービス精神が見え隠れしていて,これもきっとお金のない時代に培われたものではないかと思うのです。

人生に無駄なものは何一つないのですね。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

2008年10月23日 | 処方・症例




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



秋になり,麦門冬湯の証の患者さんが増えてきました。

「肺」について始めに習った時に印象深かったのは,

「肺はとてもデリケートな臓器で,適度にしっとりと湿っているのが良い。
ぞうきんのようなもので,カラカラでもビショビショでもだめ。

 カラカラの時→麦門冬湯
 ビショビショ→小青竜湯

が代表処方です」


そんなわけで,乾燥する季節には大活躍の処方です。

金匱要略の処方ですが,

「大逆上気(たいぎゃくじょうき)」........顔を赤くして咳き込むこと

が大きな特徴です。
痰はない,またはあっても少量で切れにくいことが多く,乾燥した条件下で症状が悪化します。

診たことはありませんが,大逆上気は百日咳の特徴に良く似ているそうです。
妊娠中でも使え,妊娠咳にもよく効くことが多いです。

寺師先生の「臨床八十方金匱要略」には

・浅田宗伯は百日咳に麦門冬湯加石膏を用いて妙見があった
・感冒後の嗄声に良く効く。これで効かなければ百合固金湯
・くしゃみ連発に葛根湯が効かない場合麦門冬湯

ということも書いてあります。


岡山先生に習ったのは

  麦門冬湯合麻杏甘石湯

ですが,これはかなり広い範囲に使えます。

麦門冬湯はドラッグストアなどでも手に入れやすい処方ですし,失敗の少ない処方でもあるので気軽に試されてはいかがでしょうか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国四象医学

2008年10月22日 | 処方・症例




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



「漢方」という言葉は日本独特のものであり,中国では中医学,韓国は韓医学または東医学というものがあり,それぞれに特徴があります。

韓医学に特徴的な「四象医学」は、十九世紀の終わりごろ李済馬先生が創設しました。患者の体質や性格により、同じ病気でも症状は異なり、それぞれ違う治療法が必要だと説いたのです。そして人の体質を「太陽人型」、「少陽人型」、「太陰人型」、「少陰人型」の4つの型に分け弁証論治をする方法をあみだしたのです。
考え方としては日本の一貫堂医学に似ているなと感じます。

それぞれの体質の特徴を簡単にまとめると

太陽人
きわめて特殊で性格も一般的でなく,奇人扱いされる。
頭が大きく丸いほう。首筋と頭の後ろが発達しており上体に比べ下肢と腰が弱い。目には輝きがある。頭脳明晰,独創的。他人を非難することを好み、憤慨しやすい。天才型、発明家、戦略家、革命家、音楽家タイプ。

肝虚肺実(肝疾患,眼疾患)

ナポレオン,織田信長

太陰人
顔は円形または楕円形、目耳鼻口が大きく唇は厚い。筋肉と骨格が発達している。上体より下肢のほうが充実している。堂々として重みがあるように見える。心が広く活動的で執念と粘りがありおとなしく黙々と実践する。頑固で陰険、本心をなかなか見せない。欲深く驕慢なところがある。事業家、政治家タイプである。

肝実肺虚(肺,大腸,心,精神疾患)

田中角栄,福沢諭吉

小陽人
頭が前後に出ているか、丸いほうで表情が明るい。目つきが鋭い。体型は上体に比べ下肢が弱く、特に脚が細い。性格は外交的で、明朗で、機転が利き判断が早い。多情多感で、奉仕と犠牲精神が強い。剛直で義憤に耐えることができない。性急で軽率なので失敗が多い。よく腹を立て計画性がない。批判的であきらめが早い。商売人、軍人、奉仕活動家、仲人、サービス業従事者タイプである。

脾虚腎実(消化器疾患)

川端康成

小陰人
容貌は調和が取れて美男美女が多い。目鼻口はそれほど大きくなく、唇も薄い。目に精気がない。上体に比べ下肢が発達している。肉と筋肉は比較的ついてないほうだが、骨格は太い。性格は思索的で、すべてに緻密で着実,判断力があり聡明で礼儀正しい。細やかで内向的。嫉妬心が強く、計算高く、腹を立てると簡単におさまらない。いつも不安定で、小さい事がすぐ気に障る。知事型、教育、宗教者、学者、事務員のタイプである。

腎虚脾実(腎,消化器)

豊臣秀吉,三島由紀夫






以上の四つに分かれ,それぞれの体質に合った処方や飲食を用いて治療をします。

ちなみに,以前診断してもらったら,私は奇人変人の「太陽人」でした。。。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外反母趾 4

2008年10月20日 | 処方・症例




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



外反母趾は一度始まると自然と治るということはなく,進行していきます。

痛みはさらに症状が進む前のサインであり,曲がってしまえば痛みは止みます。
それを繰り返し,ひどい患者さんは人差し指に親指が乗ってしまっているほどです。

そういったことを理解していないと,手術してもその後同じことを繰り返してしまうようになります。

ではどうすれば良いかですが,

・進行を止めるためにテーピングをする。
・痛みがある時期は長時間歩いたり運動することは控える
・痛みがあってもすぐに手術せず,落ち着くまで様子を見る

ということが重要です。

笠原巌先生の「外反母趾のカサハラページ」というサイトに詳しい治療法などが写真入りで紹介されていますので,参考にしていただければと思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鯉(こい)

2008年10月19日 | 養生




にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ漢方ブログランキングに参加しています。
  ↑ 1日1クリックをお願いします



今日のおけらの会で,大友先生から肝硬変の腹水に「鯉+赤小豆」を使って効果があったというお話を聞きました。

調理済みの「鯉こく」を数回食べたことはありますが,あまりなじみのない食材です。
腹水には赤小豆と鯉を味付けせずに煮て食べるそうです。不味そう。。。。
むくみのない人は食べない方が良いと書いてありました。それだけ薬効が大きいのでしょう。

鯉のうろこは36枚あると言われ(こんど捕まえてか数えてみよう!)「三十六鱗」とか「六六魚(りくりくぎょ)」と呼ばれます。
鯉のぼりは子供の立身出世を願い,「出世魚」である鯉を立てるのです。

活用の仕方は

身.........母乳の出を良くする→塩を入れずコショウを加え煮込む
    咳,喘息→鯉の頭,生姜,酢,にんにくと一緒に煮る
    顔面麻痺→血を患部に塗り付ける

血.........子供のできもの(外用)
胆.........目の働きを良くする
鱗.........痔出血,鼻血
脂肪......精神安定
歯.........尿路結石
脳.........てんかん,突発性難聴



丸ごと一匹,すべてに効能があるのです。

平性の食材ですが,食べ過ぎると結果として熱,痰を生じるので熱証の人は注意が必要です。

どこから入手するかも問題ですね。
こんど魚屋さんに,必要な場合手に入るか聞いてみようと思います。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする