平地治美の漢方ブログ 

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セックスレスと室女病

2016年11月16日 | 養生
性生活は漢方医学の大きな柱である養生に含まれます。
貝原益軒の「養生訓」には過度の性生活を戒める記載が多くあり、年齢別に理想の回数まで書かれています。

では、全く性行為をしなければ気が減ることもなく元気でいられるのか?
というとそうではないのです。

性行為の頻度が過度に少ないセックスレスも、し過ぎと同じように気を消耗しあらゆる病気の原因になるとされています。
それを「室女病(しつじょびょう)」と言います。
室女病は、別名「独身病」ともいわれますが、未婚の女性だけでなく、寡婦(未亡人)や尼僧、つまり男性と性行為をしない女性にみられる病だったそうです。

江戸時代の名医・香月牛山の「牛山活套(ぎゅうざんかっとう)にも室女に関する記載が多くあります。以下にその一部を挙げます。

・婦人室女・寡婦・尼の類は七情(心因性)の気、鬱しやすし
・室女は其病多くは気鬱より発するなれば鬱を開き気を順(めぐ)らすべし
・寡婦は其病欲鬱して気順(めぐ)らざるより発するもの多し
・室女寡婦の思想叶わず、或いは婦人の男に得られず、、、必ず気鬱して骨蒸労咳 
 となる

室女病は女性だけでなく男性も罹りますが、女性の方が受け身であり発散することが難しいためこのような病名がつけられたのかもしれません。


韓国ドラマの許浚(ホジュン)にもこの室女病のシーンが出てきます。
ホジュンは漢方医学の歴史に残る文献であり世界遺産になった「東医宝鑑」を編纂した名医を主人公にしたドラマです。
このドラマの中でずっと独身だった医女・ホンチュンが原因不明の高熱が出る病気になります。ホジュンは脈を診て「これは室女病だ」と診断し、生地黄(しょうじおう)という、潤いを与えて体内の熱を冷ます生薬を処方します。

(以下にホジュンの台詞を引用します)
男は精気が旺盛なら女を思い、女は陰が成長すれば胎児を求めるものです。
独り身が長いと陰だけが盛し陽がないので陽と接したくてもできずに葛藤し
体の中で陰陽が争い、熱が出ます。
症状は瘧疾(ぎゃくしつ・マラリア)と似てます。
柴胡抑肝湯(さいこよくかんとう)を処方しましたが、男の陽気を受け入れるべきです。


………….なるほど。
これは昔の病気ではなく、生涯未婚率は上昇の一途をたどり、独身でなくてもセックスレスの夫婦が多い現代の方がむしろ多い病態かもしれませんね。

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