ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「ストラウプ・カスタムとF-コンプ」

2022-03-21 00:10:13 | コレクション

 
また、つまらぬ物を買ってしまった……

いや、健全なる皆さんにとってはつまらなくても、病的コレクターとしてはどうしても見過ごせないアイテムが、また発売されちゃったんだから買うしか無いワケです。私にとっては全然つまらなくありません、失敬なっ!(激怒)

最近、パーフェクトな完成度を誇るS&W「Kフレーム」のモデルガンを続々リリースして私を困らせてるタナカ・ワークスさんが、またまたやってくれました。

ホビージャパン社が月刊誌「アームズマガジン」通巻400号達成を記念し、タナカさんとのコラボ企画で限定販売(完全受注生産!)を決行したモデルガン、その名はM65ストラウプPPCカスタム4インチ!(正確にはPPCカスタムじゃなくキャリーGUNらしいけど)



値段は、とっても高いです。昨年、清水の舞台から飛び降りながら買った「リバティチーフ」よりも少し高く、私がこれまで購入したトイガンとしては最高値。

ただ、定価20万円を超えるCOLTガバメントのモデルガン(下手すりゃ実銃の米国値より高い!?)が普通に売られてることを思えば大したことありません。そんなもん、全然平気です!(号泣)



↑パッケージはこんな感じでアッサリしたもの。取説も通常のKフレモデルガンと共用で、もうちょいスペシャル感を出してくれんのかい?って思うけど、コストを抑えて限界まで値段を下げる為でしょうから仕方ありません。

BOXサイズは6インチ仕様(スポンジだけ換えれば8インチまでいけそう)なので、大コケしない限り6インチ以上もいずれ発売される事でしょう。



PPCカスタムと言えば6インチが定番なのに、あえて4インチを最初に出して来るのがまた憎い! そこにどんな狙いがあるかは知る由もないけど、私は「4インチだからこそ買った」側面もあるので泣くに泣けませんw

その理由は、たぶんこれを買った人の多くがそうであるように、かつて『西部警察』シリーズで舘ひろしさんが愛用したCOLTパイソンのPPCカスタム「4インチ」がすこぶるカッコ良かったから。

勿論それもMGC社からモデルガンが出てたけど、当時ガキンチョだった我々には高値すぎて高嶺の花。しかも「すぐ壊れちゃう」と大評判のMGCパイソンがベースですから、よっぽどのマニアじゃないと買えたもんじゃない。

そんな「4インチのPPCカスタム」が約40年の時を経て、パーフェクトな製品としてリリースされたんだからそりゃ見過ごせません。

このストラウプカスタムのベースはパイソンじゃなく、スミス&ウエッソンのモデル65(M13 FBIスペシャルのステンレス版)だけど、架空アイテムであるパイソンPPCと違って実在する拳銃ですから。

それと、6インチとなるとあまりにゴツ過ぎて実戦に使えるとは思えない(PPCカスタムはそもそも競技射撃用です)けど、4インチならまだポリスオフィサーが懐から取り出す姿をイメージ出来ます。現実には有り得なくても、私がコレクションしてるのは「昭和ドラマの刑事さんが使いそうな拳銃」ですから。



↑PPCカスタムと言えば極太バレルと大袈裟なリブサイトが特徴だけど、ストラウプさんがカスタムしたこのモデルの場合、次弾の有無をシリンダーを閉じたまま確認できるシールド部の覗き穴(プライマー部がしっかり見える!)が俺ジナル溢れる特徴の1つで、それも忠実に再現されてます。

グリップも如何にも競技射撃用のターゲットタイプで、ちょっと私の手にはゴツ過ぎます。フレームはラウンドバット(サービスサイズ)なんだからもっと薄く出来るのに!って思うけど、私の都合に合わせてくれる理由が見当たりません。

他のモデルガンのと交換することも可能だけど、このゴッツいグリップはこのゴッツい銃にしか似合わない!……ので我慢します。



↑グリップがゴツいのは、左側にフィンガーレスト(親指を掛けるための出っ張り)があるから。しかしこれ、完全に右利き仕様で左手じゃマトモに撃てません。左利きの人には当然向かないし、右利きでも右腕を負傷した場合どうすんの?って思います。そこはやっぱ競技用であり実戦向けじゃないんですよね。



あと、他のKフレリボルバーと違ってシリンダーが「カウンターボアード」仕様になってるのと、発火用カートリッジも新規設計の38スペシャル弾でよりリアルになってます。シリンダーは357用だからマグナム弾も撃てるんだけど、射撃競技にそんな威力はかえって邪魔だから38スペシャルを使うワケです。



↑恐らくこのストラウプカスタムを模したであろう、MGCパイソンのPPC鳩村カスタムを東京マルイ社がエアコッキングGUNとして再現した、パイソンPPCカスタム4インチとのツーショット。



↑こちらはコクサイ製M29・44マグナムのPPCカスタムモデルガン「デビル」6インチとのツーショット。このデビルは重すぎるし、マルイのパイソンは軽すぎて、タナカ製ストラウプカスタムがちょうど良い重量。あらゆる意味で決定版です。



↑こちらは以前、日記カテゴリー(シューティング・フィールドに遊びに行った時の記事)でチラッとご紹介した、タナカ製ガスリボルバー「S&W M66 PC 3インチ・Fコンプ」(モデルガンも発売中!) とのツーショット。同じラウンドバットのKフレームでも印象がまるで違います。



↑S&WパフォーマンスセンターがM66 (M19 コンバットマグナムのステンレス版) をカスタムしたこの銃の特徴は、フルラグ・シングルポーテットバレルと呼ばれる3インチの二段銃身。上部にガスを逃がす為の穴が設けられてます。



↑アンダーラグの丸みを帯びた先端がまたカッコ良くて、なんともスタイリッシュ! コンパクトで扱い易いし、もし実際に使うとしたら断然こっちを選びますw

ツーショット写真では純正のラバーグリップに戻したけど、普段は小さな手でも握り易いアルタモントの木製サービスグリップを付けてます。

いやあ~、やっぱリボルバー最高です。やめられません。買わずに後悔より買って後悔です!


 

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『Mr.ノーバディ』

2022-03-20 00:00:35 | 外国映画

2020年に公開されたイリア・ナイシュラー監督によるアメリカ映画。『ジョン・ウィック』の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組み、人気TVシリーズ『ベター・コール・ソウル』のボブ・オデンカークが主演したハードアクション物です。

配給会社が発信した宣伝用のあらすじは、こんな感じ。↓

「一見ごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦いを繰り広げる姿を描いた、痛快ハードボイルドアクション!」

あおっ、それなら私の大好物! きっと’90年代にマイケル・ダグラス氏が主演した『フォーリング・ダウン』をもっと派手にしたような映画に違いない! ……って予想してたんだけど、観たら驚いた!

そんな話と全然違うやん!w けど、これはこれでめっぽう面白い!

最近『007』や『マトリックス』の新作を観ても全然ワクワクしなかったもんで、私はもうアクション映画に飽きてしまったのかと思ってたけど、そんな事はなかったです。久々にワクワクしたし手に汗握りました!

以下、ネタバレになります。まだこの作品を観てなくて、私と同じように「ちゃんと面白いアクション映画」に飢えてる方は、とりあえずここで読むのをやめて、観てから続きを読んで頂ければと思います。

上にコピペした粗筋と一体どう違うのか? そこに本作の面白さが集約されてると私は思います。



確かに主人公のハッチ(ボブ・オデンカーク)は一見ごく普通の中年男で、勤め先の工場では過小評価され、家庭では妻(コニー・ニールセン)に距離を置かれて息子からも尊敬されず、単調で冴えない日々を送ってる。

で、そんなある夜、家に男女2人組の強盗が押し入って来て、息子が果敢に男を取り押さえるんだけど、ハッチが女を殴ることを躊躇したせいで逃げられちゃう。

駆けつけた警官には「手を出さなくて正解だったけど、俺なら(家族を守る為に)戦ったね」なんて言われて、ますます居場所が無くなっちゃう。

ところが! まだ幼い娘が大切にしてたキーホルダーが、お金と一緒に無くなってることに気づいた瞬間、ハッチの顔つきが変わります。

「ちょっと、出かけて来る」

なんとハッチは、介護施設で暮らす元軍人の父親(クリストファー・ロイド)から拳銃を借りて、実に手際よく強盗2人組(夫婦)の居場所を捜索し、キーホルダーを取り戻しに行くんですよね。

だけど彼らに産まれたばかりの赤ちゃんがいたもんで、仕方なく退散する。その帰りにバスに乗るんだけど、見るからにタチの悪そうなチンピラたちが後から乗って来ちゃう。

なるほど、ここで我がもの顔でバスを占拠するチンピラどもにブチ切れて銃をぶっ放し、タガが外れて「フォーリング・ダウン」して行くワケだな。よっしゃ、やれ!

……って思うじゃないですか、上の粗筋を事前に読んでれば。けど、違うんですよね! いや確かに、乗客の女の子が襲われそうになった時、ハッチは立ち上がるんだけど、なんだか妙に冷静なんです。

私だって拳銃を持ってれば立ち上がるかも知れないけど、たぶんアドレナリンが出まくって手も足も声も震えるだろうと思います。

だけどハッチは落ち着いてるどころか、なんとわざわざ銃から弾丸を全部抜いて見せちゃう! で、一言。

「お前ら、ブチのめす」



ここまで読んで、皆さんはもう察しがついておられるかも知れません。で、こうも思われたかも? またそれかよ!って。

そう、ハッチはただの冴えない中年男じゃなかった。『Mr. ノーバディ』っていうタイトルは「ヒーローでも何でもない名も無き男」っていう意味かと思いきや、そうじゃなくて「三文字の組織」(つまり諜報機関でしょう) によって存在を無かったことにされた、たぶん元特殊工作員。

「映画秘宝」流に言えば「ナメてた相手が実は殺人マシーンだった」ムービーで、このブログでも『96時間』や『イコライザー』『ジョン・ウィック』等を取り上げて来た、もはや1つのジャンルになっちゃってるお馴染みの設定。

なんだけど、この『Mr.ノーバディ』は一味違うワケです。そうでなきゃレビューしてません。

これまでの「ナメてた相手が実は殺人マシーンだった」ムービーと決定的に違うのは、主人公がそうであることを我々観客に悟らせない工夫がハンパない!っていう点。

まず、リーアム・ニーソン氏やデンゼル・ワシントン氏みたいな大男じゃなく、全然強そうに見えないボブ・オデンカーク氏を主役に据えたこと。

そして何より、先の押し入り強盗のシーンです。ハッチが反撃しなかったのは「相手が女性だから」っていう明確な理由があるもんだから、我々はてっきり彼を優しい人間だと思い込まされちゃう。

けど、後から思えば違うんですよね! 確かに「相手が女性」ってのも理由の1つなんだけど、ハッチはそれ以前に「彼らは素人」だから抵抗さえしなければ「家族に危害が及ぶ心配は無い」って、冷静に判断したからこそ手を出さなかった!

で、赤ちゃんを見てキーホルダー奪還を諦めたのも、優しいからというより、それ以上やると自分が赤ちゃんの両親を殺しちゃうのが分かってたから。

そのあと1人になってアパートの壁を殴りまくるのも、何も出来ない自分が情けなくて自暴自棄になってるように見えるんだけど、実は火が点いちゃってる暴力欲求を抑える為だった!

それもこれも「後から思えば」解ることで、リアルタイムでは気づかない。1つ1つが「ハッチは優し過ぎて戦えない男」だと思い込ませるミスリードになってる。

私なんか事前に件の粗筋を読んでたもんだから見事に騙されましたw 配給会社もそれを狙ってあえて間違った記述をしたんでしょう。

言わば二重構造の作品で、あの『カメラを止めるな!』(憶えてますか?) と似たような仕掛け。だから前情報なしで観た方が絶対面白い。この映画を紹介して下さったキアヌさんもきっと、今頃ほくそ笑んでおられる筈ですw

バスでハッチがチンピラどもをブチのめしてもなお、私は「人間、あそこまで自暴自棄になったら強いよね」ってw、まだ思ってましたから!

だって、この場面でのハッチはまだ、リーアムやデンゼルみたいに圧倒的に強いワケじゃなく、けっこう打撃を食らってるんです。なのに全然ひるまないし、反撃にも躊躇がまったく見えない。

これもその時は「ヤケクソだから」「打たれ強いから」って解釈しちゃうんだけど、後になってハッチには20年間のブランクがあったことが判り「ああ、なるほど」ってなる。まだ半分しか覚醒してなかったワケです。



で、ブチのめして重傷を負わせたチンピラの1人が、実は非常にヤバいロシアン・マフィアのボスの息子で、当然ながらマフィアに命を狙われる羽目になるんだけど、ハッチは全く動じない! ここらでようやく私も気づくワケです。ガッデム、作者に騙されてたよ!ってw

そうして徐々に正体が明かされるにつれハッチは強くなり、アクションの描き方もリアルからファンタジーへと変遷していく。だから飽きが来ない!



老人ホームにいたお父さんも実はノーバディで、親子でドンパチし始めちゃうクライマックスに至っては完全にコミックの世界w だからクリストファー・ロイド氏なんですよね!(言うまでもないけど『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクさんです)



92分という短めの尺もまた素晴らしい!(昨今のアクション映画は2時間超えが当たり前でそもそも長過ぎる!)

もちろんアクションだけでなく、ハッチが奥さんとの絆を取り戻すラブストーリーの側面もあり、だけどお涙頂戴には走らない絶妙なバランス感覚。大いに気に入りました。ハリウッド映画のDVDを久々に買う事になりそうです。

というワケで、セクシーショットは奥さん役のコニー・ニールセンさん。『ワンダーウーマン』シリーズでヒロインのお母さんを演じておられる方です。


 

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『ゴジラVSコング』

2022-03-17 12:25:21 | 外国映画

ギャレス・エドワーズ監督による『GODZILLA/ゴジラ』(’14) を起点とするレジェンダリー製作「モンスターバース」シリーズの第4弾、アダム・ウィンガード監督による2021年公開作品『ゴジラVSコング』をレンタルDVDで観ました。

これから観るのを楽しみにされてる方は、ネタバレがあるので先は読まないことをオススメします。



感想としては、あくまでアトラクションと割り切って観れば良く出来た映画で、私は退屈せずに楽しめました。ただ、なにせアトラクションですから翌日には忘れますw

それで良いんじゃないでしょうか。ゴジラとキングコングが闘う映画に、感動とか教訓とか求めてもしょうがないですから。



前作まではSF的な要素がまだあったと思うけど、ここまで来るとほぼファンタジーで、リアリティーを求める方にはオススメ出来ません。

思えばオリジナルの東宝版『ゴジラ』シリーズも回を重ねる毎にファンタジー化してましたから、そこまで忠実に再現してるレジェンダリーはむしろ天晴れかと思います。

ただ、すこぶる残念だったのが、小栗旬くんの扱われ方。以下、ネタバレになります。



メカゴジラの登場が今回最大のサプライズで、それを操縦するのが小栗くん扮する芹沢蓮っていう男なんだけど、映画を観る限りじゃ彼が何者でなんの為に命懸けでメカゴジラを動かしてるのかが全然わかんない!

実は2作目で亡くなった芹沢博士(渡辺 謙)の息子で、父親が怪獣研究に没頭するあまり家庭をないがしろにした。だから怪獣を恨んでて、怪獣を倒す為に開発されたメカゴジラの操縦を志願したっていう設定がちゃんとあり、それを解説するシーンも撮影されてたのに、ばっさりカットされちゃったんだそうです。

その上、平成ゴジラ「VSシリーズ」の釈由美子さんみたいにメカゴジラに乗り込むのかと思いきや、離れた場所から脳髄をシンクロさせて遠隔操作するというマトリックス方式。しかも、さぁいよいよ出撃するぞ!って時にメカゴジラが自分の意志で暴走し始めて、けっきょく小栗くんは全く活躍しないまま死んでしまう! そりゃあんまりだ! なんかダサいぞ!?

まぁしかし、ハリウッド映画におけるアジア人俳優の扱われ方って、だいたいこんなもんですよね。大河ドラマや日曜劇場で主役を張ってる小栗君とてこのレベル。渡辺謙さんが如何にスペシャルな存在であったかをあらためて痛感させられます。

で、そんな謙さんをも遥かに超える日本のスーパースターがGODZILLAなんですよね。アメリカが生んだスーパースターであるKING KONGと互角どころか、まともに闘ってゴジラに勝てる怪獣はいないって認めるような描き方してますから。ゴジラって、下手すると日本人よりアメリカ人の方にこそ人気があるのかも?



そんなワケで小栗くんは残念だったけど、ハリウッド大作の撮影を経験出来ただけでも得るものは大きいでしょうから、今後の活躍にますます期待です。

ちなみに本作を彩る女優陣は『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ』(’19) に続いてご登場のミリー・ボビー・ブラウンさんと、キングコング研究チーム・リーダー役のレベッカ・ホールさん、コングと対話できる少女役のケイリー・ホトルちゃん、そしてボインぼよよ〜ん!と味方を裏切っちゃうセクシー博士役の、エイザ・ゴンザレスさん。このボインを見よ!↓


 

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『あぶない刑事』#32

2022-03-15 22:33:03 | 刑事ドラマ'80年代

’80年代アイドル特集第10弾、岩間沙織さん! アイドルグループ「セイントフォー」のリーダーを務め、'87年初頭の解散を機に女優業に専念、同じ年に『あぶない刑事』と『ベイシティ刑事』、’91年には『刑事貴族2』にもゲスト出演されたほか、特撮ヒーロー物『特捜ロボ ジャンパーソン』にレギュラー出演される等、我々ワールドに縁のある女優さん。

現在はセイントフォーの復活ライブやソロ歌手、舞台俳優としての活動を続けるかたわら、介護福祉業にも力を入れておられるそうで、ずっと独身を貫くなどオリジナルな人生を満喫されてるご様子。共感せずにいられません!



☆第32話『迷路』(1987.5.17.OA/脚本=岡 芳郎/監督=成田裕介)

大企業・東日グループの重役である間杉(庄司永建)の娘=知佳子(岩間沙織)が誘拐され、港署の捜査課と少年課が合同で捜査を開始!

全員で変装して身代金の取引現場を張り込んでたら、ベンチに置いた身代金入りバッグを通りがかりの萩原聖人が置き引きしたもんだから全てがぶち壊し!



萩原聖人さん(当時15歳)は『あぶない刑事』のスタッフにスカウトされてのデビューだったそうで、これがTVドラマ初出演。後に本作と同じセントラル・アーツ制作の連ドラ『俺たちルーキーコップ!』に主演されるのも今回の縁があればこそでしょう。



で、誘拐とは無関係だった聖人くんを釈放し、自宅に送り届ける途中で発砲事件に遭遇した鷹山(舘ひろし)&大下(柴田恭兵)コンビが犯人を追跡、みごと逮捕するんだけど、そいつが途中で拳銃を道端に落としてたもんだからさぁ大変。いくら探しても見つからない!

さらに、最初の誘拐犯とは明らかに別人物から身代金の要求があったり、その取引に向かう間杉氏を乗せたバスに爆弾を仕掛けたという脅迫電話があったりと、ありとあらゆる犯罪が混在してまさに「迷路」の様相!

ちなみに間杉氏に扮したゲスト=庄司永建さんは、このブログの読者さんには「大門くぅ〜ん!」でお馴染み、二宮係長を長年演じられたお方で、今回直接の絡みは無いものの西部署で部下だった舘ひろしさんと久々の共演となりました。



さて、どうやら爆弾は刑事たちの眼を逸らすためのダミーで、バスに同乗してた若い女が身代金入りバッグを奪い、待ち構えてたバイクの男と2ケツで逃走! それを中央分離帯を挟んでバック走行のまま追跡するユージの覆面パトカー、ハコ乗りして愛銃M586を構えるタカ!



周囲を走る一般車が皆無なのが(安全対策まる出しで)興冷めではあるんだけど、それでもこれは日本のTVドラマとしては画期的なアクションシーンだと思います。『西部警察』みたいにただぶっ壊せばいいってもんじゃない!っていう『あぶデカ』スタッフの心意気が伝わる名シーンですよね。



さて、身代金を奪って逃げた若い女の正体は、皆さんお察しの通り、誘拐された筈の御令嬢=知佳子さんでした。

まどろっこしい謎解きは嫌いなもんで簡略に解説しますと、最初に誘拐をやらかした男は知佳子に抵抗されて重傷を負い(弱っ!)、そいつが死んだと思い込んで慌てた知佳子が、自ら誘拐犯になりすまして続きを自作自演してた。

で、そんな時に偶然、例の拳銃を拾った青年=深見(安藤一夫)と出逢い、なんとなく意気投合してチョメチョメし、共犯に至ったという顛末。

大下に見破られ、観念して語った知佳子の本音は、如何にも現代っ子らしい軽いもんでした。

「わたし、もう家に帰るって言ったの。そしたら急に怒り出しちゃって……彼、なんか勘違いしてたみたい。明るくないし、友達いないんじゃない?」

倉庫に隠してあった身代金は回収したものの、深見は拳銃を持ったまま逃走中。捜査課に電話してきた深見は無差別殺人を匂わせ、知佳子の身柄と身代金を再び要求して来ます。



「深見、もういいだろ。ゲームは終わりだ」

「イヤだ。まだ弾は残ってるんですよ」

「命張るようなオンナじゃないぞ、彼女は」

「分かってますよ」

じゃあ深見はいったい、何がしたいのか? 動機は何なのか?

「ひょっとしたら、その動機ってのを探してるのかも知れん」

指定場所に現れ、知佳子を拉致した深見は、鷹山&大下に追われてスターホテルの屋上まで逃げ込みます。



「何する気?」

「2人で死ぬんだ」

「馬鹿なマネはよせ」



「馬鹿なマネ……一度やってみたかったんだよ」

こんなネクラ男と心中なんてまっぴらゴメン!とばかりに逃げ出した、知佳子の背中に銃口を向ける深見!



まっすぐ向かって来る知佳子が邪魔になって、深見を撃てない鷹山!

まず1発目の銃弾を知佳子に浴びせた深見は、次に銃口を自分のこめかみに向けて……



しかし間一髪、大下の放った銃弾が深見の銃(拾い物)を弾き飛ばしました。

「死なせてたまるかよ」

結局、深見の銃(拾い物)には1発だけ弾丸が残りました。そいつを取り上げ、シリンダーを無造作に回転させた鷹山が、銃口を深見のこめかみに当てて無造作にトリガーを引き、ビビりまくった深見に一言。

「甘いんだよ、お前は」



ハードボイルド! こんなドラマはもう、この国じゃ二度と創られないかも知れません。我々は一体いつまで、刑事がただ突っ立って謎解きするだけの紙芝居につき合わなきゃいけないんでしょうか?



知佳子は足を負傷しただけで済んだものの、結局、深見ってヤツが何を考えてたのか、何をやりたかったのかは不明のまま。鷹山のセリフ通り、深見自身にもたぶん解ってないんでしょう。

’60〜’70年代のドラマでも動機なき犯罪は描かれただろうけど、’80年代からそれが顕著になりましたよね。

そもそも、貧乏だからとか、恨みがあるから罪を犯すんだとしたら、世の中が犯罪者で溢れ返っちゃう。私だってもっと金が欲しいし、殺したくなったヤツも沢山いるけど、逃げ回ったり牢屋に入ったりしたくないからブレーキがかかるワケです。

動機なんか言い訳でしかなく、ルールを破りたくて、タガを外したくて仕方ないのが人間っていう生きものなんでしょう。どっかの国の独裁者みたいに。なまじ強い権力なんか持って、裸の王様みたいになっちゃった日にゃあ、そりゃ止まりませんよ。



だから今回の深見みたいなヤツこそ、一番リアルな人間像なのかも?って、そんなことを考えさせられるストーリーでもありました。

なんとなくヤツについて行って、最後にあっさり見捨てちゃう知佳子っていう女性像も、なんかリアルやなあって私は感じちゃいました。岩間沙織さん、ハマってますよね。もちろん褒め言葉です。


 

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『あぶない刑事』#20

2022-03-13 21:50:03 | 刑事ドラマ'80年代

’80年代アイドル特集第9弾、伊藤智恵理さん! 今回レビューする『あぶない刑事』#20が芸能界デビュー作で、翌年放映される連ドラ『キスより簡単』へのレギュラー出演で知名度を獲得、同作の挿入歌で歌手デビューも果たされ、バラエティー番組へも進出。刑事ドラマは他に'92年放映の『刑事貴族3』#11にもゲスト出演されてます。

しかし上画像の智恵理さん、ケバい化粧にふてくされた表情であまり可愛くないんだけど、今回はそういう役柄でこれしか寄りのカットが無かったもんで仕方ありませんm(_ _)m

だけど見応えあるストーリーだし、こないだ記事にした又野誠治主演のVシネマ『凶悪』シリーズを手掛けられた成田裕介さんの監督デビュー作で、仙元誠三さんが撮影を担当された唯一の回でもあり、そんな気合いが画面から伝わって来たのでレビューする事にしました。



『あぶない刑事』は1986年10月から1987年9月にかけて日本テレビ系列で全51話が放送された、セントラル・アーツ制作による東映系の刑事アクションドラマ。

言わずと知れた’80年代を代表するヒット作で、続編の『もっとあぶない刑事』とスペシャルドラマ版、そして7本の劇場版で2016年までシリーズが続くことになります。

横浜・港警察署捜査課の「タカ」こと鷹山敏樹(舘ひろし)と「ユージ」こと大下勇次(柴田恭兵)の最強コンビに、若手の町田 透(仲村トオル)、少年課の真山 薫(浅野温子)を加えた4人が30年間不動のレギュラー。



そして初代捜査課長=近藤役の中条静夫を筆頭に、ベンガル、山西道広、御木裕、秋山武史、衣笠健二、長谷部香苗、藍物房子etc……といった主要キャスト陣。少年課の松村課長(木の実ナナ)はレギュラーみたいな顔してるけど実はTVシリーズにはほんの数回しか出てません。



☆第20話『奪還』(1987.2.15.OA/脚本=大川俊道/監督=成田裕介)

鷹山の宿敵である暴力団=銀星会が仕入れた10億円相当の覚醒剤が盗まれ、港署にも緊張が走ります。

盗んだのは10年前に行方をくらませた元組員の尾崎と見られ、鷹山&大下は尾崎の妻だった奈津子(赤座美代子)に話を聞こうとするんだけど、警察嫌いの奈津子は尋問を拒否。

そして尾崎と奈津子の一人娘である絵里香(伊藤智恵理)が河口湖に遊びに行ってるという情報をキャッチし、彼女が銀星会に狙われる可能性が高いと睨んだ鷹山&大下は現地へ急行! 案の定、銀星会一派の刺客たちに襲撃され、ペンションに立て籠もる羽目に。



ドーナツをコーヒーに漬けて食べる絵里香を見て、大下が言います。

「そんな食い方、誰に教わったんだ」

「トム・クルーズ」

「男の真似するこたぁ無いだろ? 原節子を目指して欲しいな」

当時の感覚でも「古っ!」っていうツッコミが入りそうな、往年の大女優さんのお名前。カッコつけてる割にオッサン丸出しなことを言うのが『あぶデカ』コンビの特徴で、こういう一見ムダな会話遊びが絶妙なスパイスとなって、刑事ドラマのマンネリを打破してくれます。

そこが『あぶない刑事』の新しさで最大の魅力だと思うんだけど、他の番組がこぞって真似してもみんな失敗しちゃったのは、やっぱり舘ひろし&柴田恭兵でないとサマにならないから。奇跡のキャスティングが生んだ奇跡の番組なんですよね。



ところで、タイトスカートじゃ走りにくいからって事で、当時15歳の伊藤智恵理さんがここで着替えシーン&パンスト越しの純白パンティー姿をサービスしてくれます。グラビアでは水着止まりでしたから、これが智恵理さん史上一番のセクシーショットかも? ありがとう!



ここで前半のクライマックス。大下が脱出用のモーターボートを調達しに行ったスキに奇襲を受けた鷹山が、脚を撃たれて負傷! 絵里香を無事に逃がすため、鷹山は宿敵=銀星会に捕まる覚悟を決めます。

「オレは大丈夫だ、先に行ってろ!」

「バカヤロ、先に行ったらオマエ捕まっちまうじゃないかよ!」

「行かなきゃ3人とも捕まるんだ! 迎えはキャデラックで頼むぞ」

トランシーバー越しで躊躇する大下に、鷹山が初めて怒鳴ります。

「バカ野郎、さっさと行けっ!!」

「……ロールスロイスだろうが潜水艦だろうが、絶対迎えに来るからな!」



相棒を置き去りにして逃げるという、男としてこれ以上ない屈辱を味わって寡黙になった大下に、怖いもの知らずの絵里香が当時流行りのツッパリ口調で話し掛けます。

「私が戻ったって、ママは喜ばねえよ。ママはパパの帰りを待ってるんだ、ずっと。ママにはパパが生き甲斐なのさ」

こんな喋り方する女子、テレビにはしょっちゅう出てきたけど、ホントにいたんですかねえ?(私は出逢ったことありません)



「一生懸命やったのに、ガッカリじゃん? 刑事さん」

「少し黙ってろ」

’70年代ならビンタの1発ぐらい飛びそうなとこだけど、時代は変わりつつあります。それでも優作さんなら殴ったかもw

女性に対してはかくもフェミニンだけど、本気で怒ったユージはタカよりも怖い! 銀星会が経営するバーに単身で乗り込んだ大下は、組員たちを片っ端からボッコして恫喝し、最後には腕をへし折ります。

「会長に伝えろ。タカを殺してみろ、テメエも生かしちゃおかねえぞ!」



そして捜査課の刑事部屋に、銀星会の幹部(浜田 晃)から電話が入ります。

「鷹山さんは預かってますよ」

「世話を掛けてすまんな。引き取りに伺おうか?」

近藤課長までちょっと洒落たセリフで返しちゃうのが粋だけど、これも中条静夫さんが演じればこそですよね。二代目課長の小林稔侍さんには似合いません。



銀星会は、覚醒剤を持ってる筈の尾崎と鷹山の身柄交換を要求して来ますが、課長としてはイエスと答えるワケにいきません。

「タカを見捨てるんですか?」

「連中に尾崎を渡しても同じことだ」

「同じこと?」

「鷹山は銀星会に恨まれとる。生きて返すという保証は無いんだ」

「…………」



課長への怒りを露わにして出ていく大下を見て、事務の瞳ちゃんが号泣。たしか大下に惚れてる設定でしたね。

さて、ここで警察嫌いだった筈の尾崎の妻=奈津子が大下を訪ねて来て、尾崎が可愛がってたジョニーという子分の存在を教えてくれます。娘の絵里香を救ってくれたお返しなんでしょう。



「それはどうも」

「お礼なんて言わないで。私は真実が欲しいだけ」

「シャブを奪ったのは尾崎じゃないと、そう信じてるんですね?」

「…………」



奈津子は正しかった。大下がジョニーを優しく拳銃で尋問してるところに襲いかかり、二人もろとも消そうとして来たのは、尾崎ではなく元マルボーの刑事でした。

かつて尾崎を情報屋として使いながら裏切り、銀星会にいられなくしたのがこの刑事で、だから奈津子は警察を信じなくなったのでした。今回も尾崎の仕業と見せかけて覚醒剤を奪ったワケです。



しかしそれにしても、武骨でクラシックなリボルバー拳銃=COLTローマン2インチも、柴田恭兵さんが持つとやたらスタイリッシュに見えちゃうのが凄い!

思えばアクション物の主役たちがリボルバーを愛用する、最後の番組が『あぶない刑事』だったかも知れません。亜流の『ベイシティ刑事』や『あいつはトラブル』あたりからオートマチックが主流となり、やがて鷹山=舘ひろしさんもオートマ拳銃の代表格=COLTガバメントを使うようになっちゃいますから。



閑話休題。マルボー刑事から覚醒剤を押収した大下は、単身で銀星会との取引に臨み、なんとか鷹山を救出するんだけど廃屋に追い詰められます。

援軍を呼んで数十人の兵隊を揃えた銀星会に、たった2人で勝てる見込みはありません。

この展開は完結編の映画『さらばあぶない刑事』によく似てます。原典は言うまでもなく、あのアメリカンニューシネマの傑作西部劇。



「まるで映画のラストシーンみてえだな」

「観た観た。『明日に向って撃て!』だろ? 俺、ロバート・レッドフォードと誕生日一緒なんだぜ」

「俺なんか、ポール・ニューマンと血液型一緒なんだぜ」

「いいなあ。じゃあポール鷹山じゃないか」

「じゃあユージはロバート大下だ」

絶望的な状況でも他愛ないジョークを交わしちゃうのが『あぶデカ』流で、しつこいようだけど舘ひろし&柴田恭兵じゃないと似合わない。『太陽にほえろ!PART2』#02の記事にも書いたけど、あとは寺尾聰さんか藤竜也さんぐらいしかいないでしょう。

「……来るぞ」

「派手にやらかすか!」

だけど今回は完結編じゃないですから、2人が大軍に突っ込む前にパトカー軍団が駆けつけました。

「はい、それまでだ。銃を捨てて大人しくしろ!」



すでに「フラグ」は立ってましたね。近藤課長が部下を見捨てるような発言をした時点で、結末はコレしか考えられません。



「課長、張り切っちゃって」

「血圧上がんなきゃいいけどな」

そこで感激の涙を流すどころか笑いのネタにしちゃうのも『あぶデカ』流というか、’80年代の空気感。そうしてお涙頂戴を「クサい」「寒い」とみんなでバカにしてた筈なのに、’90年代後半の『踊る大捜査線』あたりからまた「泣かせ」至上主義が復活しちゃいました。

のんきな時代に笑いを、暗い時代に涙を求めるのって、普通に考えれば逆のように私は思うけど、そこが人間社会の摩訶不思議で興味深いところです。



「悔しいけど、トム・クルーズよりもカッコいいわ」

厚化粧を落とし、本来の可愛らしさを取り戻した絵里香が駆けつけ、大下に賛辞を贈ります。

「トム・クルーズなんかハナっから眼じゃねえよ。ま、向こうもそう思ってんだろうけどな」

当時から35年以上経った今でも「イケてる男」の例えに使われそうなトム・クルーズ氏もなにげに凄い! 国内でそれに匹敵するのが恭兵さんであり舘さんですよね。



絵里香は、実はアメリカの牧場で働いてる父=尾崎から手紙を貰ってて、彼がもうすぐ帰国するかも知れないことを大下に打ち明けます。

「ママには話したのか?」

「内緒にしてたの」

「どうして?」

「だって……パパが帰って来たら、ママはますます遠い所へ行っちゃうかも知れないでしょ? パパなんか帰って来なくたっていいのよ。パパなんか……」

「素直にならないとな、イイ女にはなれないんだぞ? 正直に話すんだ、ママに」

「…………うん」

要するに淋しくて、構ってもらいたくてツッパってたワケですね。いつの間にやら変なヤンキー言葉も使わなくなってる絵里香なのでした。

「絵里香、ママぐらいイイ女になったらデートしてやるよ」



我々がそんなセリフを言った日にゃあ「いらんわ!」「キモいわ!」で終わっちゃうことでしょう。大下勇次だからこそ、恭兵さんだからこそ言われた女子も笑顔になる。やってられませんw



ラストシーンは何の脈略もなくトランプ遊びに興じる港署の刑事たちと、今回ほとんど活躍しなかった薫さんのアップショットで THE END。浅野温子さん、すでにキャラが崩壊し始めてますw

仲村トオルさんも今回はちょっとしか出番がなく、タカ&ユージの主役コンビにフォーカスを絞った『あぶない刑事』の原点的エピソードと言えましょう。

シリアスとコミカルのバランスもちょうど良い按配で、この辺りから劇場版の2作目『またまたあぶない刑事』までが本当に面白い『あぶデカ』だったと私は思ってます。

そしてゲストの伊藤智恵理さん。さすがにデビュー作だけあって演技は拙いけど、15歳という年齢を考えれば堂々たるもの。爽やかな後味を残してくれて素晴らしかったです。


 

コメント (9)
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