『ベイシティ刑事』の後番組として1988年にスタートした『はぐれ刑事純情派』も、この第13シリーズまで来ると2000年代に突入しちゃってます。『はみだし刑事情熱系』と交互に放映され、2年先には『相棒』の連ドラ化も控えてるという時期。
その当時の新人刑事枠は、第12から14シリーズまで活躍し、シリーズ初の殉職者となった野田刑事(ケイン・コスギ)。
そして今回の主役はまたしても、ハルちゃんこと田崎晴子(岡本 麗)。このエピソードをレビューする一番の理由はゲスト=立河宜子さんが素晴らしいセクシーグラビアを発表されてるからだけど、ハルちゃんの主役回に良作が多いのと、私がハルちゃんというキャラをとても好きであることも理由に挙げられると思います。
というより、ハルちゃんとやっさん(藤田まこと)のコンビネーションがたまらなく好きなんですよね! 長年の戦友であり、男女を意識しつつもドライな関係をずっと保ってる。それが観てて心地よい。
今回はまさに、そんな二人の関係がフィーチャーされた「女ごころ」のストーリー。ただ突っ立って謎解きするだけならレビューしてません。
☆第20話『殺人アリバイの謎! 面会を拒んだ女』
(2000.8.16.OA/脚本=奥村俊雄/監督=天野利彦)
殺人事件が発生し、目撃証言から志村(萩野 崇)というクズ男に容疑が絞られるんだけど、クズだけに簡単には尻尾を掴ませません。
しかも、志村のチョメチョメ相手である女=沢田涼子(立河宜子)が、事件当夜に志村の部屋でずっと一緒にいたと証言した為、捜査は振り出しに。
だけど田崎刑事(岡本 麗)は、涼子が嘘をついてると直感します。涼子は、かつて傷害事件を起こし、田崎に説得されて自首、半年前に刑期を終えて出所したばかり。
「あんた、言ったよね。面倒みるって。刑を終えて出てきたら、頼って来いって」
その言葉通り、最初は何かと涼子の相談に乗った田崎だけど、あまりに彼女が自分を頼り過ぎるため、このままじゃ自立できないと判断し、ある時点から距離を置くようにした。
それを「見捨てられた」と感じた涼子は今、田崎を恨んでる。田崎の勧めで別れた筈のクズ男と復縁し、どうやら庇ってるのも、恐らくその反発心から。
田崎から話を聞いた安浦刑事(藤田まこと)が、涼子の説得にあたります。
「刑を終えて出てきた人たちの力になりたい、いつも我々はそう思ってるんですよ。けど、そうは言っても、ある程度の距離を置いとかなきゃいけない」
「…………」
「警察の人間が、いつもあなたの周りをウロウロしてたら、世間の人たちがどんな眼で見るか。いろいろ気を遣うもんなんですよ」
「……だから田崎さんは私の面会を断った。そういうことですか」
「そう。そうすれば、あなたはだんだん警察に来なくなる。それでいい、そうなって欲しいと田崎は思ったんですよ」
「嘘です!」
安浦は、密かに涼子の再就職先を斡旋したのもアパートの保証人になったのも田崎であることを、彼女に明かします。
「田崎っていうのはね、自分が表に出ることで、あなたが周りの人たちから誤解されたり、差別されたりすることを危惧してたんですよ」
「…………」
「田崎ってのは、そういう人間なんだ。それさえ、あなたが解ってくれればいいと思ってね。ま、そういうことです」
なんと安浦は、事件のことには一切触れず、ただ田崎に対する誤解を解きたいが為に、わざわざ涼子を訪ねて来た。
そんな安浦の優しさが、ますます涼子をイジケさせちゃいますw あの女にはこんな親身になってくれるオトコがいるのに、私には……!
要するに、涼子は寂しかったんでしょう。田崎に見捨てられたと感じた時に、元カレの志村から優しい言葉をかけられ、クズ男と知りながらも受け入れちゃった。チョメチョメしちゃった。チョメチョメしちゃったんです。
「あの人だけだと思った。だから、あの人の部屋に行って……」
「バカよ、あんた」
「そう言うと思った。だからあなたには言えないと思った。あなたには解らないよ、女の気持ちは!」
「そんなこと無いわよ、解るわよ、私だって女なんだから」
「あんた、女じゃないよ」
「はあ?」
「強いよ、あんた。女の気持ちは解んないよ、強いもん!」
「…………」
「あの安浦って刑事のこと好きなんでしょ? でもあんたは傍にいるだけでいいんだ。私は違う。優しくして欲しい。あんたには私の、弱い女の気持ちなんか解りゃしないんだよ!」
田崎は思わず、涼子の頬を叩きます。証言を引き出さなきゃいけないのに、刑事としての自分より女としての自分が前に出ちゃった。
強いと言われりゃ男は嬉しいけど、女性はどうやら違うみたいです。大いに傷ついた田崎はバー「さくら」でやけ酒をあおり、心配した由美ママ(眞野あずさ)から連絡を受けた安浦が迎えに来ます。
が、田崎は泣きながら安浦の手を振り払うのでした。
「優しくしないで下さい! 私、今日、女なんだから!」
岡本麗さんの演技が素晴らしくて、もらい泣きしちゃいます。一見サバサバした強い女性の、実はもろい一面、つまり「女ごころ」をこれほどナチュラルに表現できる女優さんは数少ないでしょう。
「泣いた? あの田崎さんがですか?」
再び訪れた安浦から田崎の弱い一面を知らされ、涼子の表情も変わっていきます。
「ええ。ゆうべ、あなたとの間に何があったか知りませんがね……田崎は、私の長年の仕事仲間です。共に苦労してきた友人です。ですから田崎が、あなたにどう接して、どう対処してきたか、私にはよく分かるんですよ」
「…………」
「確かに、あなたに手を出したことは許されることじゃない。これは田崎に代わって、私が謝ります」
「…………」
「しかし彼女は、1人の女として、1人の警察官として、立派に生きてるんだ。そんな彼女が、あなたのことを心から心配してるんですよ」
「…………」
「どうか、田崎のことを信じてやって下さい」
どうやら、雪どけの時が来たようです。今度は涼子の方から田崎を訪ねてきました。
「やっと分かった。田崎さんも女なんだって」
「当たり前でしょ!」
「あの人を守ってやれるのは私だけ……そう思ったんです。誰かに必要とされてる……そう思って、私、嬉しかった」
だからクズ男を受け入れ、アリバイの偽装に加担したことを、涼子は田崎に証言するのでした。一件落着!
「いい人ですね、安浦さんって。田崎さんが好きになるだけあるなって」
「なに言ってんのよ」
「思いきって告白してみたら?」
「……そういう時もあったってこと」
いつも書くけど、この田崎さんに由美ママ、そして血の繋がらない娘2人と、少年マンガも真っ青なハーレムに身を置くやっさんが憎たらしくて仕方ありませんw
結局こうして、事件関係者もやっさんが大好きになっちゃうワケです。
「田崎さんに頼ってちゃいけないんですよね。1人で、強く生きなきゃって」
「うん。あなたまだ若いんだから、これからいくらでもやり直しが利きますよ。どうしても手に余る、そんな事があったらいつでも、田崎を訪ねてきて下さい。何だったら私でも」
「はい。安浦さん……田崎さんのこと、お願いしますね」
「はい。 ………は?」
「意味はご自分で考えて下さい」
「…………?」
あり得ないほど鈍感なのも、少年マンガの主人公並みw
いや、実はそう見えて、ちゃっかり自覚してるフシもあるんですよね! ラストシーンは田崎さんから「今度のことで自分の気持ちがハッキリしました。聞いて下さい!」って迫られたやっさんが「おいちょ待てよハルちゃん、職場でそんな」ってタジタジしてたら「私、刑事って仕事は素晴らしいって思ったんです!」「ガクッ」っていう、予想通りのオチがつきましたw
かくもベタなコントでも、このコンビなら確実に笑わせてくれる。ほんと最高の「相棒」です。
ゲストの立河宜子さんはクラリオンガールご出身の元女優で、現在はエステサロンの経営者。ドラマ、映画、バラエティ番組と幅広く活躍されたけど、刑事ドラマは今回のゲスト出演が唯一だったみたいです。
ちょっと北川景子さんにも似た正統派の美女で、冒頭にも書いた通り素晴らしいグラビアを残しておられます!
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