ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「ジャパニーズドリーム・ナッシング」

2020-02-25 00:00:17 | 日記

 
『スペシャルアクターズ』という日本映画が昨年10月に公開されたことを、ご存知の方はどれ位おられるんでしょうか?

私はついこの間まで知りませんでした。あの『カメラを止めるな!』で一世を風靡したはずの、上田慎一郎監督による劇場用長編の第2弾です。

驚きました。何が驚いたって、あれだけの話題をさらった実写日本映画'18年最大ヒット作の監督さんの新作が、映画ファンである私のアンテナにまったく引っ掛からないまま公開されてた、つまりろくな宣伝もされないままひっそり公開され、恐らく早々に打ち切られたであろうという事実に対してです。

今回の製作費は約5.000万円との事で、確かに『カメラを止めるな!』の約300万円よりは一桁以上アップしてるけど、30億円以上のメガヒットを飛ばした監督さんの次作であることを思えば超低予算。当然、ろくな宣伝が出来るワケありません。

プロデューサーからオファーがあったのは『カメラを止めるな!』があれほどヒットする前だったらしいけど、製作がスタートする頃には上田監督は「最も次回作が注目されるクリエーター」になってたワケです。それがたったの五千万?って話です。

ハリウッドでは、インディーズで注目された監督がいきなり『ゴジラ』や『スター・ウォーズ』の新作を任されるなんてことが珍しくもないのに、これは一体何なんでしょう?

『カメラを止めるな!』が一世を風靡した時、私は「日本の映画界にもドリームがあったんだ!!」って、驚き、嫉妬もしつつ、マイナーなクリエーターにもブレーク・チャンスがあることを素直に祝福する気持ちも湧き、当時のブログにもそう書きました。

だけど、1発ドカン!と当てたところで全く次に繋がらない、そのサポートを誰もしてくれないんじゃ、そんなのドリームでも何でもない、本当の意味で「一夜の夢」に終わっちゃいますよ。

これはまさに、さんざんテレビで露出(浪費)しまくった挙げ句に使い捨てられる一発屋の芸人さんたちと同じで、本当に日本のエンタメ界は愛も情もない、若手を育てようとする気概もまるでない、薄汚い大企業や政治の世界と何も変わんない残念なオワコンであることを証明する顛末ですよね。

『カメラを止めるな!』はメジャーなクリエーターやタレントさんたちも絶賛してましたから、その中から「次回作にはいっちょかませてよ」「ノーギャラでいいから出してよ」って言う人が出て来ても不思議じゃない筈(実際、ハリウッドでやってるのはそういうこと)なのに、それも無かったワケですよね?

上田監督をテレビにさんざん引っ張り出した報道やバラエティー番組の創り手たちも知らん顔。誰の作品であろうが流行らなきゃ見向きもしない、後から「乗っかる」だけの気楽な人たちです。

そう言えば『カメラを止めるな!』の大ヒットを祝福する人が沢山いる一方で、低予算でも儲かることが実証されて日本映画界がますますケチになっちゃうことを危惧する声もありました。

まさか、そこまで腐っちゃいないだろうって思ったのに、その通りになりましたね。ますます本格的に、破滅です。

『スペシャルアクターズ』という作品自体はまだ観てないので、内容をどうこう言うつもりはありません。ただ、とにかく『カメラを止めるな!』の次回作が知らない内に公開され、ひっそり姿を消してしまったという事実に対して、私が感じた驚愕と怒りと絶望をここに記しました。

やっぱり、夢も希望もあったもんじゃありません。破滅です。
 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『刑事犬カール』#27 | トップ | 『太陽にほえろ!』#323 »

コメントを投稿