ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『Gメン'75』#203

2018-09-27 12:15:06 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第203話『また逢う日まで 速水涼子刑事』

(1979.4.21.OA/脚本=高久 進/監督=鷹森立一)

1年前に、親に捨てられて街をさまよう幼女=マリと出逢った、Gメンの速水涼子刑事(森マリア)。

その時のエピソードは観てないもんで詳細不明ですが、色々あって祖父の沢木巡査(今福将雄)に引き取られ、元気に暮らしてるマリと、今も涼子は定期的に会って交流してる模様。

で、マリの誕生日に2人で街に出掛け、プレゼントを物色してる時に涼子は、置き引きに遭ってハンドバッグを盗まれちゃう。その中には警察手帳と手錠、そして拳銃も入っていた!

そんなプライベートタイムに拳銃を持ち歩く刑事ってのがまず有り得ないんだけど、それは当時の刑事ドラマにおいては普通の事だったんで、まぁ仕方ありません。

だけど、そんな大切かつ物騒なバッグをあっさり盗まれ、しばらく気づかないっていうのは、ちょっと脇が甘すぎて同情出来ません。

しかも涼子は、なんとか自分の手でバッグを取り戻すべく、上司に報告もしないで街を走り回る。何の手掛かりも無く闇雲に探し回ったところで、見つかるワケが無いのに。

で、その盗まれた拳銃で、なんと沢木巡査=マリの祖父が撃たれて死んでしまう! しかも、たまたま一緒にいたマリの目の前で!

涼子のバッグを盗んだのは、マリファナの密売で日銭を稼いでるチンピラの情婦(水原ゆう紀)でした。そのバッグから拳銃を見つけたチンピラが、それを使って大量のマリファナをブローカーから脅し取ろうとした時に、たまたま通りかかった沢木巡査に見つかって、反射的に撃っちゃった。

万に1つも有り得ないような偶然がいくつも重なり、とんでもない不幸が連鎖していく。それが『Gメン'75』というドラマなんですね。その強引極まる作劇たるや、あの『特捜最前線』をも遥かに凌駕します。

弾丸に残されたライフルマークを照合し、犯行に使われた拳銃が涼子の物であることを、Gメン本部はすぐに察知します。

霊安室で、沢木巡査の遺体を見て泣き崩れる涼子を冷たく見下ろしながら、立花警部補(若林 豪)は言い放ちます。

「拳銃が盗まれたことはキミの不注意だった。しかもそれがもっと早く分かっていれば手の打ちようがあったんだ。すぐに緊急配備を敷き、犯人を見つけ出すことだって可能だった。沢木巡査は不慮の死を遂げずに済んだかも知れない」

それを聞いて狂ったように泣きじゃくる涼子に、立花は眉ひとつ動かさず追い討ちをかけます。

「次の弾丸が発射される前にホシを見つけ、拳銃を押収しろ。それが殉職した沢木巡査に対する、キミに出来るせめてもの餞だ」

いくら厳しいプロの世界とは言え、ここまで血も涙もない言葉を同僚に、しかも若い女性に浴びせちゃうハードさも『Gメン'75』ならでは。

更に犯人たちは、涼子の拳銃を使って銀行強盗を働き、被害は拡大するばかり。ますます血の気を失う涼子に、立花はこう言います。

「盗まれたキミの拳銃には、まだ3発の弾が残っている。3人殺せる」

しかし、涼子も大したタマです。Gメンの先輩たちが気を効かせてマリを保育所に預けたことを知るや、鬼のような形相で抗議しちゃう。

「どうしてそんな事するんです? マリちゃんには私が必要なんです! あの子ひとりぼっちじゃ何も出来ないんです!」

そして涼子は、勝手にマリを保育所から引き取り、自分の部屋に連れて帰っちゃう。

「速水刑事は完全に浮わついてるな。拳銃を奪われるという大失態を犯しながら、その責任を痛感しておらず、自分が刑事であるという事すら忘れている。あした本庁へ行って、速水刑事の停職処分を申請して来よう」

いつもの涼しい顔と棒読みでそう言い放った黒木警視(丹波哲郎)に、「ちょっと待って下さい」とフォローを入れたのは、ほかならぬ立花警部補でした。

「速水くんは今、気が動転しています。彼女の心の中には、まだ刑事魂が残っています。もう一度チャンスを与えてやって下さいませんか?」

立花警部補、カッコ良すぎですw

立花は庶務課の婦警にマリの面倒を託すと、涼子を街へ連れ出し、連日捜査に駆り出されてる麻薬専門警察犬の働きぶりを彼女に見せるのでした。

「何も知らない犬だって、ああして懸命にホシを追ってる。キミはホシを追う刑事じゃないのか?」

「…………」

「警察犬の訓練は厳しい。だから普通の犬より寿命が短い。特に麻薬犬はヘロインやマリファナを吸ってる為に、体が蝕まれて5年位しか生きないという」

「…………」

「しかし何も知らずに、ああしてマリファナの匂いだけを追いかけているんだ」

「……忘れてました。私は、刑事です」

忘れてたんかいっ!? まぁ、それじゃ仕方ありませんw ようやく眼が覚めた涼子は、心を鬼にしてマリを突き放し、警察犬と共に犯人の匂いを追います。

もちろん、涼子を探しに来たマリが犯人に捕まっちゃう等の不運に見舞われ、自身も撃たれてピンチに陥るんだけど、訓練通り犯人に飛びついた警察犬に救われ、ついに涼子は犯人を逮捕し、盗まれた拳銃を奪還するのでした。

「立花警部補……ものも言えない、何も分からない犬が、マリちゃんと私を救ってくれました」

警察犬は、犯人が最後にぶっ放した弾丸により、殉職。涼子の不注意によって、一体どれだけの損失と不幸を招いたか計り知れません。

当然ながら、涼子は黒木警視に辞表を提出します。その前に懲戒免職じゃないの?と思いきや、意外にも黒木警視の返事はこうでした。

「速水くん。キミは元の外事課に戻って、パリのインターポールでの研修が決定した。もう一度やり直して来い」

「はい!」

インターポールすなわち国際警察。それって逆に栄転じゃないの!?っていう我々の疑問もどこ吹く風で、速水涼子は颯爽とGメン本部を去って行くのでした。(おわり)


リアリティーという観点から見れば、相当メチャクチャな話なんでしょうけどw、これが『Gメン'75』なんだ文句あるか!?っていう、その強烈な個性とブレない姿勢は素晴らしいと私は思います。好き嫌いは別にしてw

やたら悲劇に振っちゃう作劇といい、今回みたいにレギュラー刑事の降板編は例外として、基本的にゲスト(犯人や被害者)側のドラマがメインで刑事が傍観者になりがちな点といい、『Gメン'75』の内容そのものは、今でも私は好きになれません。

だけど、こうして昭和の刑事ドラマを色々観てると、各番組のカラーがものの見事に違ってるのが本当に面白いです。テレビ局によっても違うし、製作会社によっても違うし、プロデューサーによっても脚本家によってもハッキリと違ってる。

リアリティーやモラルに異常なほど囚われてる現在のテレビ業界では、なかなかこれだけの個性は発揮出来ず、似たり寄ったりの団子レースにならざるを得ません。本当に残念なことに、刑事ドラマのジャンルが一番ひどい。破滅です。

2年近く速水涼子刑事を演じた森マリアさんは、当時24歳。日本人とアメリカ人のハーフで、アイドルグループ「ゴールデンハーフ」の一員として歌手デビュー。『ザ★ゴリラ7』や『宇宙鉄人キョーダイン』等のアクションドラマでレギュラーを務めたほか、ハーフなのになぜか時代劇への出演が多かったみたいです。

ゲストの水原ゆう紀さんは当時26歳。宝塚歌劇団出身の清純派としてスタートされるも、今回の『Gメン'75』と同時期に出演された映画『天使のはらわた/赤い教室』で大胆なヌードと濡れ場を披露し、イメージチェンジを果たされました。刑事ドラマのゲスト出演は数多く、御三家とも言える『Gメン'75』『特捜最前線』『太陽にほえろ!』にはそれぞれ複数回登場され、他にも『特命刑事』『西部警察』『私鉄沿線97分署』『刑事貴族』『はぐれ刑事純情派』『さすらい刑事旅情編』等に出演されてます。
 


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