ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『マジンガーZ』#52―1

2018-09-27 19:50:07 | アニメーション









 
生まれて初めて異性を意識した……つまりエッチな気持ちになった対象が、アニメや特撮のヒーロー・ヒロインだった方は、決して少なくないんじゃないでしょうか?

特に、昭和40年前後に生まれた男子は『マジンガーZ』のヒロイン=弓さやかに惚れてたよ!っていう人が、けっこう多いみたいです。

何を隠そう、私もそうでした。弓さやかが(エロを感じたキャラクターとして)初めてだったかどうかは定かじゃないけど、アニメキャラの中ではダントツに好きでした。

それはきっと、弓さやかの相手役である主人公=兜 甲児に、自分がとても強く感情移入してたから、だろうと思います。兜甲児の目線を通して、私は弓さやかを見てたワケです。

そこが『マジンガーZ』最大の魅力なんじゃないでしょうか?

仮面ライダーやウルトラマンの主人公は成熟した大人だし、変身能力を身につけた特別な人だったのに対して、兜甲児や弓さやかは全く等身大のキャラクターでした。

アニメゆえにとんでもない運動能力は身につけてるんだけどw、基本的にはごく普通の高校生であり、むしろ内面は標準よりも未成熟だったりするんですよね。だから我々視聴者が自己投影し易くて、自分がスーパーロボットを動かし、戦ってる気分になれる。

マジンガーZが史上初の搭乗型戦闘ロボットだった上に、その操縦士がとても親近感の持てるキャラクターだった事が、このアニメを歴史的なヒット&ブームに導いたのは間違いないと思います。

そして、我々の弓さやか萌えを決定づけたエピソードが、この第52話だったんじゃないでしょうか?


☆第52話『甲児ピンチ! さやかマジンガー出動!』

(1973.11.25.OA/脚本=山浦弘靖/作画監督=若林哲弘/演出=芹川有吾)

兜 甲児(声=石丸博也)の弟である小学生のシロー(声=沢田和子)が、マジンガーZ型の模型飛行機(ほ、欲しい!)を飛ばして遊んでたら、光子力研究所のバスルームに飛行機が飛び込んじゃいます。

その中では今まさに、弓さやか(声=江川のり子)がお風呂の真っ最中! シローは甲児の釣竿を借りて来て、さやかに気づかれないよう飛行機を釣り上げようとするのですが……

なんと釣糸が、さやかの身を包むバスタオルにひっかかり、そうとも知らずにシローが釣り上げた!

「きゃあーっ! 誰だ、こらあっ!!」

シローは素早く逃げてしまい、現場に残ったのは甲児の釣竿のみ。さやかは甲児のイタズラだと誤解しちゃいます。

このバスルームのくだりだけでも、ガキンチョだった我々には刺激が強すぎましたw 『キューティーハニー』の変身シーンでもセミヌードは見られるし、『ドラえもん』にもしずかちゃんの入浴シーンはあるんだけど、この場面はもっと等身大っていうか、リアルなんですよね。

そして、これから始まる甲児vsさやかの凄まじいバトルが、見るからに痴話喧嘩で妙に心地良い。

まず、時代劇のマンガを読んでた甲児がいきなり椅子ごと倒され、見上げればさやかの白いパンティーが眼に飛び込んで来るというw、至れり尽くせりのサービスぶりはさすが永井豪ワールドです。

で、さやかは釣竿で甲児の頭を殴る、顔を突く、そして襟首をつかんで投げ飛ばす! ふだん、さやかはこれほどエキセントリックなキャラクターじゃないんだけど、この回における暴れっぷりはハンパじゃありません。

それは今回の演出担当=芹川有吾さんが、気の強いじゃじゃ馬ヒロインが大好きというw、ほとんど個人的趣味が反映されてるんですね。だからこそ、この回のさやかは特に魅力的なんです。

そんな折り、敵の幹部=あしゅら男爵(声=柴田秀勝&北浜晴子)は、部下の鉄仮面軍団に高性能な集音マイクを用意させ、光子力研究所を盗聴するという恐るべき作戦を実行しますw そして聞こえて来た声は……

「あーっ、俺の大事な釣竿を! あしゅら男爵みたいに酷い事しやがって!」

「なにをっ、あしゅら男爵みたいにイヤらしい奴!」

顔の右半分が女で左半分が男という、かなり不気味なビジュアルのあしゅら男爵なのに、番組スタートから丸1年、この頃にはすっかりイジられキャラとして定着してましたw

甲児とさやかのバトルはますますエスカレート、甲児が往復ビンタを繰り出せば、さやかは尖った爪で引っ掻く! そして倍返しの2往復ビンタ!!

「倍にして返すぜ、ニャロー!」

「やい、それでもレディか!? 女か!? 男だか女だか分かんねーバケモノは、あしゅら男爵だけで沢山だい!!」

いよいよ、あしゅら男爵の怒りが爆発しますw

「うぬぬぬぅ~、言わせておけばいい気になりおって! ええい、役立たずの集音マイクなんかぶっ壊せ! 機械獣パズソンM1を日本へ送れっ!」

「えっ? 日本の何処へ!?」

「何処でもいい! 町でも村でも、踏み潰せぇーっ!!」

機械獣パズソンM1は、東京の都心部を破壊しまくります。あしゅら男爵の悪口を言ったばかりに、いったい何万人の都民が犠牲になった事でしょうw

そうとも知らず甲児とさやかは、研究所の備品を投げつけ合って設備を破壊しまくります。

「甲児くんなんか大キライ! 絶交よ!!」

「絶交? いいとも! 望むところだい!!」

そこに光子力研究所の所長にしてさやかの父=弓教授(声=八奈見乗児)が飛び込んで来ます。

「2人共やめんかっ! 喧嘩なんかしてる場合じゃない!! 機械獣が現れた!」

この弓教授がまた温厚なナイスミドルで、理想的なお父さん像なんですよね。甲児とさやかは高校のクラスメートだけど兄妹のようでもあり、SFバトルアニメでありながらホームドラマみたいな温かさ=居心地良さがあるのも『マジンガーZ』の大きな魅力です。

「マジーンゴー! パイルダーオーン! ジェットスクランダー! スクランダークロース!」

毎度お馴染みの出動シーン。この場面でよくかかる「Zのテーマ」(♪人の命~は~尽きるとも~不滅~の力~マジンガーZ~)がメチャクチャ好きで、今でも聴くと血湧き肉躍ります。インストバージョンは更に燃えます。

しかし今回に限っては、甲児とさやかが互いに遺恨を残したまんまの出動で、燃えるシチュエーションとは言えない雰囲気です。

案の定、機械獣を前にしてマジンガーZとアフロダイA(さやかのロボット)の連携が全くとれません。

「甲児くん、邪魔しないで! 獲物は私が仕留めるわ! ちょっと甲児くん、聞こえないの!?」

「喚くなよ! 俺とアンタは絶交したんだ。赤の他人なんだよ! いちいち構っていられるかってんだ!」

こんな2人に人類の存亡が懸かっているとは!w でも、甲児はたまたまマジンガーZを造り上げた兜十蔵博士の孫だっただけ、さやかもたまたま弓教授の娘だっただけで、戦闘のプロじゃないんですよね。それこそが『マジンガーZ』の面白さなんです。

しかし今回に限って、機械獣がやたら強いw ノコギリ型のブーメランでマジンガーZの翼を切断し、鎌でブレストファイヤーの発熱板も切断! 光子力ビームも鎌で跳ね返しちゃいます。

「このままじゃやられちまう! さやかさん、俺は捨て身でヤツを引きつける! そのスキにヤツの土手っ腹にミサイルをぶち込むんだ! いいな?」

「イヤよ!」

「なんだって!?」

「アナタと私は赤の他人どうし。さっきアナタ、そう言ったじゃない。今になって手伝ってくれなんて、調子良すぎるわよ!」

なんと、アフロダイAがプイっと背を向けて戦闘放棄!

「さやかさん!? ……分かったよ、もう頼むもんか!」

この時、さやかが「えっ?」って感じで振り向くんですよね。台詞では説明されませんが、多分さやかは、ここで甲児が謝ってくれる事を期待してたのでしょう。このピンチを仲直りに利用するつもりだった。しかし……

「こうなったら差し違える覚悟でやってやる!」

いよいよ甲児はヤケッパチでマジンガーZを全力疾走させ、前転でゴロゴロ回って機械獣に突っ込んだ! 鉄(くろがね)の城=マジンガーZに全力で体当たりされ、さすがの機械獣も吹っ飛んで海に沈んだのですが……

甲児は急に顔面真っ青になって吐血し、倒れるのでした。いったい何をどうしたらそんな症状になるのかよく分からないんだけどw、とにかく重傷です。

「なにっ? 兜甲児が再起不能の重傷だと!? 間違いないな!? よし、パズソンM1の修理を急げ!」

敵の本部「バードス島」の首領=Dr.ヘル(声=富田耕生)は、あしゅら男爵の報告を聞いて大喜び。先の盗聴大作戦といい、なんだかセコいw

甲児は意識不明の重体で、研究所の医務室で輸血を受けながら昏睡状態。

「お兄ちゃん、死んじゃヤだよ! しっかりしてよ、お兄ちゃん!」

「シローくん、後は神様に任せるんだ。そうするしかない」

……そ、そんなに悪いのかw これって番組始まって以来、最大のピンチなんじゃないでしょうか? よもや、女風呂覗き(しかも誤解)がこんな事態に発展しようとは!

甲児の悪友=ボス(声=大竹 宏)も、よもやそんな事が発端とは夢にも思わず、甲児を心配します。

「兜よぉ、しっかりしてくれよぉ……こ、こんな事で……」

「さやか。お前も少し休んだ方がいいぞ」

弓教授は一同を退室させますが、さやかだけは甲児のそばを離れません。

「あの時、私がつまらない意地を張らなかったら、こんな事には……ごめんね、甲児くん」

日が暮れようとしても、さやかは甲児を付きっきりで看病します。

「甲児くん……死なないで……」

ふと椅子から立ち上がったさやかは、甲児の頬を優しく撫でると、そっと顔を近づけ、唇にキスをするのでした。

TVシリーズ、劇場版を通しても、甲児とさやかのキスシーンは(シルエットだけど)これが唯一だったと思います。(劇場版『マジンガーZ対暗黒大将軍』でも決死の出動直前にキスする予定が、なぜかカットされちゃいました)

そもそも、この2人はあくまで戦闘のパートナーであって、そんな恋愛フラグが描かれた事はこれまで(アニメ版では)ほとんど無かったんですよね。それだけにインパクトがありました。

たかがアニメのキスシーンだけど、当時の私にはメチャクチャ衝撃的かつ刺激的で、本当にドキドキしました。眠ってる甲児に、さやかの方からキスするっていうシチュエーションがまた素晴らしい!

特にこの回では、さやかの気性の荒さが強調されてただけに、相手が眠ってる間にキスしちゃうといういじらしさが、今で言うツンデレ(?)みたいで余計に萌えちゃうんですよね。

それはともかく、甲児は主人公だから死ぬワケないにしても、この状況で敵に攻撃されたら光子力研究所は一溜まりもありません。

さて、迫り来るピンチをさやか達はどうやって切り抜けるのか? その答えは、サブタイトルそのまんまだったりしますw

(つづく)
 

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