ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#325

2020-03-16 00:00:37 | 刑事ドラマ'70年代










 
この回から4代目マスコットガール「ナーコ」こと松原直子(友 直子)がレギュラー入りします。

約5万2千人の応募があったという一般オーディションを勝ち抜いて選ばれた友直子さんは、当時高校3年生で演技経験ゼロ!

女優になろうなんて野心もさらさら無く、ただオーディション会場で山さん(露口 茂)に会えるかも?程度の動機で応募したら選ばれちゃったもんで、学校から出演許可をもらうのに四苦八苦されたそうですw

さすがに演技はぎこちないしメイクもやや不自然だけど、そこが初々しくて良い! 昨今のドラマには子役ですら巧い人しか出てこないから、かえって新鮮です。

あ、でも最近『警視庁捜査一課長スペシャル』にゲスト出演された澤穂希さんや浜口京子さんは、昔ながらの棒読み演技でめちゃ可愛かった!w

そんな全くの素人さんをレギュラーキャストに抜擢するという懐の深さが、当時の『太陽にほえろ!』の無敵ぶりを象徴してますよね。

主役である若手刑事、すなわちボン=宮内淳さんもロッキー=木之元亮さんも、この番組でデビューされたド新人。そんなテレビ番組って、今や特撮ヒーロー物以外に存在しませんよね。ほんとに凄い時代の凄い番組でした。


☆第325話『波止場』(1978.10.20.OA/脚本=中村勝之&小川 英/監督=木下 亮)

杉原と名乗る仮面ライダー2号(佐々木 剛)が「いま一緒にいる男を逮捕して欲しい」と七曲署に電話して来たもんで、捜査一係で一番シュッとした顔の殿下(小野寺 昭)と一番暑苦しい顔のロッキーが指定された場所に駆けつけると、男が刺されて死んでたもんだから驚いた!

遺体は沼田という貿易会社の元ドライバーで、どうやらライダー2号をナイフで殺そうとして争い、逆に刺されてしまったらしい。

姿をくらました2号の行方を追うべく、殿下は彼と親しかったらしい画廊の受付嬢=洋子(田中真理)を訪ねますが、彼女は2号との交際は認めたものの沼田のことは全く知らないと言う。

藤堂チームが捜査を進めると、ライダー2号と沼田は1年前に起きた交通事故の加害者と被害者だったこと、そして一等航海士であるライダー2号が乗務してた横浜の輸送船が、ダイヤ密輸の容疑で関税局の立ち入り検査を受けていたことも判明。

どうやら2号は沼田から事故の莫大な補償金を請求され、その肩代わりにダイヤ密輸を手引きすることになった。だけど仮面ライダーゆえ罪悪感に耐えかね、警察に密告したもんで怒った沼田と争い、死なせてしまったらしい。

なにか知ってそうだった洋子が鍵を握ってると睨み、殿下は彼女をマークします。そしたら案の定、洋子の部屋が何者かに荒らされ、なのにパンティーもブラジャーも盗まれてないという不自然さ。

ダイヤ密輸と関わってるに違いないと確信した殿下に問い詰められ、洋子はついにその正体を明かします。彼女はなんと関税局の潜入捜査官、いわゆる密輸Gメンなのでした。

ケープタウン経由の大掛かりな密輸を1年前から捜査してた洋子は、その為にライダー2号と接触したワケだけど、やっぱりライダーだけに女性として愛してしまった。

彼を逮捕するんじゃなくて自首させたいと願う、洋子の必死な想いを尊重した殿下は、彼女を2号と密会させるんだけど、そこに密輸組織の戦闘員たちが乱入し、銃撃戦のどさくさに紛れて2号と洋子は姿をくらませてしまうのでした。

怒り心頭の神奈川県警はライダー2号の射殺指令を下し、ボス(石原裕次郎)も「やむなし」と判断するんだけど、世にも優しい刑事として売り出し中の殿下が猛抗議します。

「確かに、彼女が杉原を愛してしまったのは、彼女の弱さかも知れません! 彼女を1人で行かせた僕も甘かったかも知れません! でもボス、だからと言って彼女を全く普通の女性と同じ眼で見るのは間違いじゃないでしょうか?」

ここで殿下は加入したばかりのナーコに、なぜ勤務先に警察を選んだのかを尋ね、見せ場を与えます。さすが世にも優しい刑事!

「好きだからです」

まだ演技が拙いゆえ台詞は一言だけど、それはまさに殿下が求めてた答えでした。

「僕らもそうです。この仕事が好きなんです! 中町洋子だってきっとそうだと思うんですよ! 一時の迷いはあっても、この仕事を選んだ彼女の気持ちが消えて無くなる筈がありません! それを、その気持ちを信じるのは、間違いでしょうか?」

かくしてボスの圧力によりライダー2号射殺命令は撤回され、殿下の厚い信頼に応えた洋子は無事、2号を自首へと導きます。

事件解決後、洋子はGメンを退き、故郷に帰って一からやり直すことを決意します。そんな彼女の為にボスは、地元の警察署に圧力をかけて就職を斡旋するのでした。

嬉しそうに微笑む洋子だけど、内心は「もう捜査なんかウンザリなのに」と、ボスと殿下を一生恨んでるかも知れませんw

シンコ(関根恵子)のブラジャー姿が眼に焼きつく第110話『愛が終わった朝』とちょっと似た話ではあるんだけど、あの時の婦警は警察を裏切ったにも関わらず犯人に殺されちゃう悲劇のヒロインでした。

それに対して洋子はあくまで気丈に職務を全うし、多少はメソメソするけどスパッと気持ちを切り替え、最後は爽やかに去っていくという逞しさ。僅か4年の間に女性の描かれ方も随分と変わりました。

洋子を演じられた田中真理さんは、当時27歳。日活出身の女優さんで連ドラ『サインはV』等でも活躍されましたが、何と言ってもロマンポルノにおける主演作が2作連続で「猥褻図画」として警察に摘発され、その顛末をネタにした新作が会社の逆鱗に触れて監督と一緒にクビにされちゃう等、「警視庁のアイドル」あるいは「エロスの女闘士」と呼ばれた活躍ぶりがレジェンドとなってます。

刑事ドラマは他に『キイハンター』『Gメン'75』『新幹線公安官』『特捜最前線』『大空港』等にゲスト出演。'81年頃まで活躍し、スパッと引退された模様。カッコいいですよね。
 


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