登場してから10週目にして早くも5本目となる、新人ラガー刑事(渡辺 徹)の主演作。実に2本に1本は主役を任され、他の回でもだいたい助演のポジションで大活躍のラガー。
前任のスニーカー(山下真司)が最初の10週で3回しか主演してないのとえらい違いで、ラガー売出しへの並々ならぬ力の入れようが伺えます。
スニーカーやロッキー(木之元 亮)の売出しに失敗した反省もあるだろうし、ボス(石原裕次郎)とスコッチ(沖 雅也)が不在という危機的状況が、かえってラガーの追い風になったかも知れません。
なお、この第486話は『太陽にほえろ!』の数少ない女性脚本家のお一人である、亜槍文代さんのデビュー作だったりもします。
誰も死んだりしない「ネコババ」という地味な題材を扱いながら、ちっとも退屈しない面白さ。
その上、学歴や職業だけで人を判断しがちな日本人をチクリと皮肉る鋭さもあり、投稿シナリオがいきなり採用されてデビュー作になったという、非常にレアないきさつにも納得できるクオリティーです。
☆第486話『赤い財布』(1981.12.4.OA/脚本=亜槍文代&小川 英/監督=竹林 進)
ラガーが非番の日、公園で男女の言い争いを見かけ、行きがかり上、仲裁することに。
男は一流大学「東都大」の学生=星野 稔(氏家 修)で、アパートの隣室に住むシングルマザー=中川恭子(鈴鹿景子)に「泥棒」呼ばわりされてるのでした。
口の悪い恭子が去った後で星野の話を聞くと、彼は半年前に道端で「赤い財布」を拾い、交番に届けたけど持ち主不明のまま期限が過ぎ、財布とその中身=8万5千円の現金を受け取ることになった。
ところが今になって恭子が自分の財布だと言い出し、泥棒だと騒いで困ってるという。
恭子が財布を落としたと主張する場所と、星野が拾った場所が食い違っており、中身の金額も微妙に違う。拾った方が千五百円ほど多いのでした。
別に頼まれたワケじゃないけど、恭子が財布の横取りを狙ってると睨んだラガーは、星野を助けるべく吉野巡査(横谷雄二)と一緒に捜査を始めます。
すると警察の記録に残ったデータは全て星野の証言を裏付けており、疑う余地がない。けれど先輩のロッキーとドック(神田正輝)は口を挟みます。
「それじゃお前、片手落ちなんじゃないか?」
「片手落ち?」
「捜査ってのはな、ああだこうだ、ああだこうだ、ああだこうだってやるものなんだよ。お前のは、ああだああだああだで、こうだが無いんだよ」
つまりラガーは、星野側の話だけを聞き、恭子に悪い印象を持ったまま捜査して、結論を出そうとしてる。
「つまり女の方も調べろって事ですね?」
「そう、首を突っ込んだ以上はね」
それでラガーはアパートを訪ねるんだけど、恭子は相変わらず無愛想で「話があるなら店に来て」と相手にしてくれない。
店というのはキャバレーで、彼女はホステス。有名大学の学生である星野と比べると、やっぱり分が悪い。
「そりゃねえ、あっちは東都大のエリートで、こっちはご覧の通りの酔っ払いよ。でもねえ、からかい半分でこんなとこ来るんなら帰ってよ!」
自分が店に来いと言っておきながらこの対応。
同僚のホステスたちに聞くと、どうやら彼女には強いエリートコンプレックスがあるらしい。得られた情報はそれだけで、飲み代3万6千円を割り勘させられた先輩2人が気の毒すぎますw
ますます印象が悪くなっちゃった恭子だけど、アパートに戻れば実に慎ましい生活ぶりで、幼い娘に無償の愛を注ぐ彼女の姿を見るにつけ、ラガーの見方が変わっていきます。
よくよく聞いてみると、恭子がシングルなのは夫が在り金全部を持って失踪したせいであり、女手1つで生計を立てる彼女には同情すべき点が多々ある。
そして逆に、星野の方が実は遊び人で周囲の評判が悪く、よその家に配達されたマンガ本を盗み読みするという、セコい犯罪を繰り返してる疑惑も浮上!
おまけに、例の赤い財布は「ケチがついたから」と焼却炉で燃やしてしまったらしい。これはもしかして、いや、どう考えても証拠隠滅!?
「やっぱりアイツだったんです! アイツは8万3千5百円を堂々と盗むために、手の込んだ偽装工作をしたんです!」
「どういうことだ?」
つまり星野は、拾った財布が恭子の物であることを知った上で、わざわざ千五百円を足し、拾った場所も偽って交番に届けたんだと、ラガーは推理します。
しかし金が欲しいなら、そのまま黙ってネコババすれば済んだ話では?と先輩たちはツッコみますが……
「それはアイツの性格です!」
「性格?」
「アイツは人をイジメたり、鼻を明かしたりするのが好きなんです。そういう人間だから中川恭子さんをあざ笑ってやりたくて、拾った財布をわざわざ届けたんです!」
「お願いです、窃盗でアイツを逮捕させて下さい!」
「無理だ、証拠が無い」
「山さん、無いのは当然なんです! みんな燃やされちゃったんです!」
「証拠が無いはずは無い」
「?」
「犯罪である限り証拠はある。無いと思うのはお前の焦りだ」
「……分かりました、探します!」
いぶし銀の山さん(露口 茂)に叱咤され、徹底的に証拠を探したラガーはついに、星野が財布を拾ったと言う場所でその日時、交通課の婦警たちが駐車違反の取締りをしていた事実を掴むのでした。
つまり、そこに財布が落ちてたなら先に婦警が見つけたはず!……っていうのは証拠として弱い気もするけど、ラッキーなことに星野は逃走してくれました。
河原に星野を追い詰めたラガーは、東都大学というブランドに惑わされた自分への怒りも込めて、フルボッコにしますw
そこにかけつけ、止めに入ったドックとロッキーが、もう1つの真実をラガーに伝えます。
「確かにコイツは中川恭子さんの財布を盗んだ。だがな、それは彼女がワケも無くこの男を毛嫌いしたからなんだよ!」
「でもコイツはね、平気で本を盗み読むような男なんですよ!」
「その犯人はこの男じゃない、同じアパートの高校生だ!」
「えっ?」
「マンガ本を買う金が無くてやったんだ」
「…………」
恭子は恭子で、東都大出だというだけで星野を毛嫌いし、悪い噂を周りに吹き込んでいた。実は失踪した夫も東都大の出身で、彼女はそれだけで星野を憎んでたワケです。
ネコババも立派な犯罪だけど、恭子がそんな偏見さえ持たなければ、星野は素直に財布を返したかも知れない。
結局「ああだああだ」だけで突っ走った青くさい自分を、大いに反省するラガー刑事なのでした。
殺人事件が起きなくたって、身内に裏切り者がいなくたって、いくらでも刑事ドラマは面白く出来るんだっていう、近頃のテレビ屋さんたちに是非とも観て頂きたい絶好のテキストです。
まあ、どんな事件でも扱っちゃう「なんでも屋」の七曲署捜査一係だからこそ成立した話ではあるけど、新米刑事の成長ドラマとしてもよく出来てるし、地味ながら私の好きなエピソードの1本です。
亜槍文代さんはこの後も主婦ならではの着眼点から、ユニークなストーリーを度々提供されて『太陽にほえろ!』の強力な戦力となられます。
1988年10月12日に放映された、石原武龍 脚本&村川透 監督による『さすらい刑事旅情編』の記念すべき第1シリーズ第1話。
基本設定は先日のレビュー(第4シリーズ第8話)をご参照頂くとして、今回の白眉は何と言っても鉄道警察隊「特捜班」の女性刑事=花井百合子に扮する、若村麻由美さんの初々しさ!
NHKの朝ドラ『はっさい先生』の主役を終えられた直後で、たぶん民放ドラマでは初のレギュラー出演。
当時21歳ですから見かけが若いのは当然だけど、声も現在と違うかなりのハイトーンで、まるで別人みたい。ある時期から(イメチェンのため)発声法を変えられたんでしょうか。
それはともかく、百合子は同僚の香取刑事(三浦洋一)にゾッコンなご様子で、おなじ同僚の神田刑事(渡辺裕之)からアプローチされても完全無視。
百合子の後任としてパート2から登場する西園寺刑事(高木美保)も香取に惚れちゃうらしく、ファンの方には申し訳ないけど、あんなギョロ眼リーゼント男のどこがそんなに素敵なのか、私にはサッパリ解りません。
番組そのものが三浦洋一氏をとにかくプッシュしてる感じで、美味しいとこは全部リーゼントが独り占め。藤田まことさんなら許せるのに、リーゼント男のハーレム設定には著しい違和感があり、ゆえに私はこの番組が『はぐれ刑事純情派』ほど好きになれません。
特捜班の最初期メンバーは他に、ベテランの山さんこと山波刑事(斎藤晴彦)と、大食漢の原刑事(小倉久寛)。
そして勿論、ボスは不動の高杉警部(宇津井 健)。
全身全霊でカッコつける演技スタイルも『ザ・ガードマン』の頃から不変だけど、宇津井さんの場合は別にカッコつけてるワケじゃなくて、本当に普段から常にピシッと決めてるというか、所作がいちいち「折り目正しすぎる」だけなのかも?ってw、最近思えて来ました。
そして居酒屋「路」の女将=令子が柏木由紀子さん。刑事ドラマに必ず居酒屋とか小料理屋のシーンが毎回あるのって、何なんでしょう? タイアップみたいな大人の事情があるんですかね?
ストーリーは、札幌のガラス工芸店で働く若手職人の石岡(三ツ木清隆)が、東京から来た物産会社のイベンターたちに「店を出さないか」とスカウトされ、恋人の舞子(三原じゅん子)と2人で夢を追って上京したものの、一時の話題作りに利用された挙げ句に使い捨てられ、逆恨みした石岡が拳銃を入手、復讐に走るのをリーゼントたちが阻止するという内容。
そのイベンターたちのトップである次長=黒田(中原丈雄)が出張で札幌行きの「北斗星5号」に若い愛人(湯浅けい子)を連れて乗り込み、どうやら石岡も車内に潜んでる。
リーゼントたちも舞子と一緒に乗り込んで、寝台特急を舞台に攻防戦が展開されるのでした。
もちろん、本作のセールスポイントである「鉄道旅行の愉しみ」もタップリと見せてくれます。
いやぁ〜本当に愉しそうで、はらわたが煮えくり返りますw 犯人の石岡には是非とも復讐を遂げて頂きたい!
にしても、夢を踏みにじられて悔しいのは解るけど、それだけで殺人までやらかすもんだろうか? そんな疑問を抱いたリーゼントにギョロ眼で詰問され、舞子が黒田次長のパワハラによりチョメチョメさせられた過去を告白します。
「結局、東京行って何だったんだろ……わざわざ自分たちのこと壊しに行ったみたい……」
「そんなに東京に憧れていたんなら、札幌から一歩一歩、歩いて行きゃ良かったんだよ」
↑っていうようなオイシイ台詞を、全部リーゼントが独り占めしちゃう。もちろん、それまで石岡を逃がそうとしてた舞子が、その言葉で目が覚めるワケです。
結局、黒田の愛人を人質にとった石岡だけど、舞子とリーゼントの説得により、復讐を諦めるのでした。リーゼントめえーっ!!💢
手錠を掛けられた石岡に、お約束として黒田が「馬鹿なマネしやがって」と毒づいて、怒った神田刑事が殴ろうとするんだけど、リーゼントがギョロ眼で止めに入り、またしてもオイシイ台詞を独り占め。
「若い連中の夢を喰って肥るのも結構ですけど、美味いものほど毒はキツいんですよ。今度こういう事があっても、我々が事件を未然に防げるとは限りませんから。用心して下さい」
渡辺裕之さんにも言わしたれやあーっ!! リーゼントのくせによぉぉおおーーっ!!!💢💢💢💨 (髪型を批判してるワケじゃないのでリーゼント頭の皆さんクレームはノーサンクスで)
ちょっとハードボイルドな感じといいハーレム設定といい『はぐれ刑事〜』の藤田さんを継承してるんだろうけど、三浦洋一さん(当時)はいかんせん若いしリーゼントですからね。百年早い気がするワケです。
だけど鉄道マニアにウケたのか番組はヒットし、’95年の第7シリーズまで続くことになります。
なお、若村麻由美さんはグラビアのお仕事をほとんどされてないので、今回のセクシーショットは黒田の愛人を演じられたゲストの、湯浅けい子さん。
『オールナイトフジ』等のTV番組でレポーターをされてた方だけど、詳しいプロフィールは不明。いかにもバブル時代の若いお嬢さんって感じで、割り切って不倫旅行を愉しむ今回の役にハマっておられます。
これは名作だと思います。いつもの『ベイシティ刑事』よりシリアスなお話で、ゆえにおフザケも控えめ。それ位がちょうどイイ。
世良公則さんが単独行動に走っちゃう展開で、藤竜也さんの出番が少ないにも関わらず、ピックアップした台詞はほとんど藤さんのもの。
世良さんが走り回って愛用拳銃「マギー」をバンバン撃ちまくり、かたや藤さんが要所要所で渋いセリフを決めまくる。いかりや長介さんと石川秀美さんのバックアップも過不足なく、これは私にとって理想的なエピソードと言えそうです。
☆第8話『想い出は危険がいっぱい』
(1987.11.25.OA/脚本=大川俊道/監督=黒沢直輔)
別動班の星野(世良公則)が殺し屋に命を狙われてるという噂がヨコハマの街に広がり、星野が勝つか殺し屋が勝つか?を賭けるギャンブルがちょっとしたブームに。
そんなある夜、星野と3年ぶりに再会し、つるんで呑んでた親友の滝本(篠塚 勝)が、何者かの銃弾を受けて死んじゃいます。
そのとき二人は上着を交換しており、殺し屋が滝本を星野と間違えて狙撃した可能性が高い。つまり滝本は、星野の身代わりで殺された!?
「復讐なんて考えるな。お前はマイク・ハマーじゃねえんだ」
相棒の小池(藤 竜也)が釘を刺しますが、火が点いた星野を止められる人間はどこにもいません。
単独で動き回り……というより暴れ回り、殺し屋の正体が片桐(吉澤 健)という前科者で、かつて自分が射殺した強盗犯の兄だと突き止めた星野は、まずそいつに凶器のCOLTガバメントを渡したであろう売人のアジトに向かいます。
ところが売人はすでに撃たれて死んでおり、そこに片桐が現れてS&W M586の二丁拳銃で星野を襲撃! さらにパトロール警官が駆けつけ、売人を殺したのは星野だと思い込んじゃったもんで、事態はややこしい方向へ。
片桐は取り逃がすわ殺人容疑で手配されるわで、踏んだり蹴ったりの星野。このままじゃ親友を殺したのも星野ってことにされかねない!
もちろん、相棒がそんな事するワケないと信じる小池は、売人のアジトをこっそり探索し、口紅のついたハッカ煙草の吸い殻を1本、発見してしまうのでした。
小池は、滝本が撃たれた夜に星野と呑んでたバーを訪れます。そこには滝本の妻=みゆき(中村明美)がいました。未亡人となった彼女は、この店に星野が現れるのをずっと待っているのだと言います。
「3人でよく来たわ……空のグラスに、夢を注いでもらうの。好きだったわ、キラキラ輝いたお酒が」
「テキーラ?」
「そう、いつもテキーラ。まだポニーテールだったのに、大人のフリをしていたのね。心の中にまでハイヒールを履いて……」
ザッツ’80年代! いや、当時の感覚でも歯が浮くようなセリフだけど、それが許されちゃうおおらかさが、この時代にはあったワケです。人は余裕があれば優しくなれる。今の日本人は余裕がなさ過ぎるんですよね。
「本当の大人になれたのは、別れを想い出に変えた頃からか?」
「星野さんから何かお聞きになった?」
「いやいや、オレも同じような事してたから、このハマで。ジェームス・ディーンが華やかなりし頃だ」
そんな会話を交わしながら、みゆきが吸ってた「ハッカ煙草」の吸い殻を回収するのを、小池は忘れませんでした。
そもそも、殺し屋の片桐が使ってる拳銃はリボルバーのM586。売人からガバメントを受け取ったのは明らかに別人で、だから口封じに殺された。その現場に同じハッカ煙草が落ちてたという事は……
小池がそんな推理を巡らせてるとも知らず、星野がバーに電話をかけて来ます。どうやらみゆきに用があったらしく、小池の声を聞いて星野は驚きます。
「コウさん、オレに勝負させてくれよ」
星野はどうやら、片桐と1対1で決着をつける約束を交わしたらしい。
「……分かった。だがオレたちも行くぞ」
「勝負させてくれるね?」
「ああ、儲けさせてくれるからな」
「え?」
「オレたちの有り金を全部、お前の勝ちに賭ける!」
どうやら小池だけじゃなく、あゆみ(石川秀美)も山崎班長(いかりや長介)も本当に大金を賭けてるらしく、違法どころの話じゃありませんw ザッツ’80年代!
そして星野VS片桐の死闘が展開され、別動班の仲間たちも援護します。自分の財産が懸かってるから当然ですw
「星野、よせ。滝本殺しのホンボシはそいつじゃない」
片桐を追い詰め、マギーの銃口を向ける星野に、小池が真相を伝えます。
「彼女はな、噂を利用したんだ」
みゆきは、滝本に多額の保険金を懸けていた。夫婦の仲はとっくに冷めきっており、そんなとき星野が殺し屋に狙われてることを知り、ガバメントを入手して……
「久し振りね」
「ああ。こんな関係で会うとは思わなかったよ」
「刑事と……」
「容疑者だ」
「…………」
みゆきが例のガバメントを構え、星野は自分の懐に手を入れます。
「あなたの優しさは、天国で報われるわ」
「オレと早撃ちごっこやろうってのか? みゆき、オレはプロだ。外さないよ」
「…………」
いくら星野でもこの至近距離じゃ間に合わないと思うけど、みゆきは諦め、ガバメントを手放します。ところが、星野が懐から取り出したのはマギーではなく、滝本が撃たれたときに握ってた、赤い林檎でした。
涙をこらえ、一心不乱に林檎をかじる星野。愛銃マギーは、遠くから二人を見つめる小池の傍らにありました。
親友を失い、かつて愛したであろう人の暗黒面まで知らされて、さすがの星野も凹んだ様子。みゆきは昔から悪女だったのか、それとも……
「彼女から伝言だ。捕まえるなら、3年前にして欲しかったと、そう言ってたよ」
「…………」
「意味深ね。彼女と何かあったの?」
「大人はそういうこと聞かないもんだ」
そして小池が注文し、星野に差し出したのは、キラキラと輝くテキーラなのでした。
3人の過去が具体的に語られないのも良かったですよね。おおむね星野が身を引いたって事でしょうが、そんなのはよくある話で、推して知るべし。
みゆき役の中村明美さんは、当時28歳ぐらい。仲代達矢さんの「無名塾」出身で、'81年のNHK朝ドラ『まんさくの花』ヒロイン役で華々しくデビュー。
その直後にレギュラー出演された連ドラが中村雅俊さん主演の『われら動物家族』で、同じく雅俊さん主演の刑事ドラマ『誇りの報酬』第30話では今回と似たような悪女役でゲスト出演されてます。
童顔で見かけは清純派そのもの。だからこそ冷酷な役柄とのギャップがドラマを盛り上げたと言えそうで、それも無名塾で鍛えられた演技力あればこそでしょう。
なのに割と早くに芸能界を引退されており、刑事ドラマは他に『太陽にほえろ!』と『特捜最前線』にゲスト出演されただけ。何よりセクシーグラビアの類いを一切されてないのがあまりに残念すぎて、私は泣きそうです。😭
1987年11月18日に放映された第7話『二人が走れば 死体があがる!』(脚本=柏原寛司/監督=黒沢直輔) は『太陽にほえろ!』のブルース刑事こと、又野誠治さんのゲスト出演作。その先輩だったボギー刑事=世良公則さんと3年ぶりの共演となりました。
神奈川県警捜査課「別動班」の小池(藤 竜也)と星野(世良公則)が、強盗犯の追跡中に女性の首吊り死体を発見。自殺かと思いきや、絞殺の上で見せしめに吊るされた猟奇殺人だった!
その容疑者として浮かんだのが、小池とは過去に因縁のある川口という男。女を食い物にして金を巻き上げ、裕福な暮らしをしてるダニ野郎を、又野誠治さんが活き活きと演じておられます。
どうやら川口はチョメチョメ相手の女をジャブ漬けにし、運び屋の仕事を強制しようとするも拒否され、逆ギレして殺したらしい。
で、同じように川口の毒牙にかかったバーのホステス=あずさ(高沢順子)も危ない!と睨んだ小池&星野が彼女のガードにあたり、ダニ野郎と対決することになります。
ちょっと『ターミネーター』も意識してそうなブルース又野さんの徹底した悪役ぶりと、ボギー先輩らを敵に回したアクションがとにかく見所で、それ以外に特記すべきことが見当たりませんw
その迫力が画像から伝わってくれたら幸いです。
しかし今回はボギーじゃなく藤竜也さんが主役で、クライマックスは藤VS又野の肉弾戦。お二人とも殺陣が上手いから迫力満点なんだけど、こればっかりは静止画で伝えようがありません。
もちろん星野や山崎班長(いかりや長介)、あゆみ(石川秀美)の援護もあって、さすがのブルースもあえなく撃沈。
「テメエだけはよ、絶対ぶっ殺すからな!」
「オレも同じ台詞を言いたいよ。けど、あいにくお前は一生ムショの中だ」
カッコいい! こういう台詞がサマになる人、今の芸能界にいますかね? いたとしてもただ突っ立って謎解きするだけじゃ、言う機会もありゃしません。
もう1人のゲスト=高沢順子さんは、4回も呼ばれた『太陽にほえろ!』を筆頭に『夜明けの刑事』『大空港』『大捜査線』『特捜最前線』『刑事物語’85』『誇りの報酬』『あぶない刑事』、そしてやはり4回ご出演の『はぐれ刑事純情派』と、あらゆる刑事ドラマに引っ張りだこの女優さんで、このブログにも何回登場されたか判りません。
天真爛漫なキャラも陰のあるキャラも、その両方を兼ね備えたキャラも見事にハマる演技力で、’95年ぐらいまで幅広く活躍されました。
この1月からCS「東映チャンネル」と初めて契約しました。1987年10月から翌年3月までテレビ朝日系列の水曜夜9時枠で放映された、藤竜也&世良公則のコンビによるアクションドラマ『ベイシティ刑事(コップ)』の再放送が始まるからです。
直前に日テレがヒットさせた『あぶない刑事』の亜流と云われがちだけど、高級ブランドスーツ等には目もくれず、ラフで俺ジナルな格好良さを追究した本作は、視聴率には恵まれなかったものの私みたいな「通」に一目置かれる存在となりました。
それは何をやらせても画になる主役コンビの魅力だけでなく、画期的にリアル(というかマニアック)だったGUNアクション描写に因るところも大きい! そりゃ一般ウケはしませんw
特にオートマチック拳銃を扱う世良公則さんの所作が「只者じゃない!」とGUNマニアたちを歓ばせ、それ以降のTVドラマや日本映画におけるGUNアクションを格段にレベルアップさせた功績はあまりにデカい!
一番の功労者は銃器効果担当=納富貴久男さん率いる「BIG SHOT」のマニアたち(もとい精鋭たち)だけど、相当なGUNマニアぶりを隠さなかった世良さんも偉いし、自由にやらせた相方の藤竜也さんも素晴らしい!
この『ベイシティ刑事』は『あぶデカ』よりもむしろ、藤さんが’70年代に出演された日テレ&東宝のドラマ『大追跡』の流れを汲んでると見るべきで、ベースは藤竜也カラーなんですよね。
ヨコハマを舞台に遊び感覚で悪と戦う刑事ドラマのパイオニアは『大追跡』であり、多分その続編企画が色々あって『ベイシティ刑事』に辿り着いた。『あぶデカ』がヒットしたお陰でGOサインが出たにせよ、その亜流と云われるのは不本意に違いありません。
そもそも主役コンビ=小池柾(藤 竜也)と星野秀夫(世良公則)が所属する港町署捜査課「別動班」っていう設定、シャレた探偵事務所みたいな刑事部屋も明らかに『大追跡』の「遊撃班」を継承してます。
他のメンバーは少年課出身の河合あゆみ(石川秀美)と、典型的サラリーマン気質の山崎班長(いかりや長介)だけ。「ダメだこりゃ。」
ストレス発散用の(?)バスケットボールやゴールネット、サンドバッグ等が常備されたザッツ’80年代な刑事部屋がとても印象的で、後続の刑事物や探偵物に影響を与えたんじゃないでしょうか。
プラス、ちゃんとした捜査課の桜井課長(神山 繁)と、大川ひろし、市川登らが扮する刑事たちも絡んでくるけど、ほぼ背景みたいなもの。それより「ジョン」「マギー」「ケンタロウ」などと愛称がつけられた、別動班メンバーの使用拳銃たちの方がキャラ立ちしてます。
初回ゲストは、後に『刑事貴族』シリーズで刑事を演じることになる、高樹沙耶さん。いや〜、今更ながらお美しい!
強盗一味に生命を狙われる薄幸の美女に、惚れっぽい星野が肩入れするも女性経験豊富な小池は懐疑的で、罠を仕掛けてみたら案の定、彼女こそが主犯で金の独り占めを狙ってた!という、ありがちと言えばありがちなストーリー。
だけど刑事物なんてどれも全てありがちな話で、大事なのは誰がどう演じるか?なんですよね。その点、藤竜也・世良公則・高樹沙耶の組み合わせはパーフェクトで、やっぱ魅せてくれます。
今回はファースト・エピソードってことで、シリーズ通してのヒロイン=あゆみにも、出しゃばって犯人(深水三章)の人質にされちゃう見せ場が与えられました。
この時期のアクションドラマって、ヒロインがみんな頭おかしいですよねw (浅野温子さんだけのことを言ってるのではありませんw)
石川秀美さんは当時21歳。あの河合奈保子さんをボインぼよよ〜ん!と輩出した「HIDEKIの妹コンテスト」で西城秀樹さんご本人の強い推しにより優勝され、早見優や松本伊代、小泉今日子、中森明菜、そして後の夫=薬丸裕英(シブがき隊)らと同期デビュー。「花の82年組」と呼ばれるアイドル歌手の1人として活躍されました。
薬丸氏と結婚された’90年で芸能界はほぼ引退。なので女優としての活動期間も短く、Wikipediaによると刑事ドラマへの出演は(ゲストも含め)本作が唯一だったみたいです。