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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『裏刑事/URADEKA』1992

2019-03-16 00:00:15 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1992年の春シーズン、テレビ朝日系列・火曜夜9時枠で全12話が放映された、フィルム撮影によるアクション刑事ドラマ末期の作品。制作は松竹芸能&朝日放送。

コカイン密輸組織の罠により射殺された警視庁捜査一課の敏腕警部が、ハイテク手術により奇跡的に復活。顔と名前を変え、書面上はこの世に存在しない「裏刑事」となって、法律では裁けない悪を抹殺して行くというストーリー。

司法関係OB等による「超法規委員会」という元締めがいて、毎回ギャラを貰って仕事するのは時代劇の『必殺』シリーズを彷彿させ、やはり藤竜也さんが'85年に主演された連ドラ『特命刑事ザ・コップ』のリメイク的意図も感じさせます。

また、殉職刑事がハイテク手術で蘇る展開はSF映画『ロボコップ』、引いては国産特撮ヒーロー物の影響も見て取れます。リモコン1つで停止可能な特殊ペースメーカーにより、主人公の生死がクライアントに掌握されてる点も非常にロボコップ的です。

そんなハードな設定ゆえ、後年の類似ドラマ『ジョーカー/許されざる捜査官』における「神隠し(要は島送り)」みたいに曖昧なお仕置きはしません。弾丸をぶち込んで射殺する一部始終を、しっかり映像で見せてくれます。

格闘アクションにも手抜かり無く、しかもおっぱいヌード有りのお色気サービスまで取り揃えた、まさにB級娯楽アクションのフルコース! エクセレント!!

主人公の裏刑事=岩城丈二を演じるのは勿論、当時51歳の藤 竜也さん。ラフな衣装がトレードマークだったそれまでの刑事役と違って、今回は普通にスーツスタイルなのがかえって新鮮です。

だけどシャープなアクションには全く衰えが感じられず、長回しで見せてくれる格闘シーンに私は鳥肌が立ちました。相変わらずカッコいい!

そんな岩城と共謀する悪徳弁護士に近藤正臣さん、裏刑事仲間に西村和彦さん、山田雅人さん、そしてクライアント役が『特命刑事ザ・コップ』と同じく高松英郎さん。

リアリティー重視のドラマもそれはそれで素晴らしいけど、それ一辺倒じゃつまんない。悪党を容赦なくぶっ殺し、キレイなお姉ちゃんをハダカにするドラマがもう一方に無いとアンバランスだし不自然です。

そんな『裏刑事/URADEKA』を彩る女優さんたち。まずはセクシー担当、岩城より先に潜入捜査を開始してた裏刑事第1号=中里小夜子に扮する、小林沙世子さん(当時27歳)。

ターゲットに接近する為なら平気でセックスもしちゃうビッチなキャラで、初回からヌード&濡れ場も厭わず、ボインぼよよ~ん!と素晴らしいオッパイを披露してくれます。

月刊「PLAY BOY」のプレイメイトジャパン・グランプリ受賞でボインぼよよ~ん!と芸能界入りし、女優として『あきれた刑事』『ゴリラ/警視庁捜査第8班』他にゲスト出演。レギュラーは『裏刑事』のみと思われます。

岩城にクライアントの指令を伝え、拳銃を手渡すエージェント=芦沢雅子に扮するのは、当時28歳の戸川京子さん。

子役からスタートし、『ウルトラマンA』『仮面ライダーストロンガー』等の特撮ヒーロー物から時代劇まで幅広く活躍、『太陽にほえろ!』にも2回ゲスト出演されてます。バラエティー番組で拝見する限り快活なイメージだったのに、2002年に自ら他界されました。

三枝弁護士(近藤正臣)の助手=マリコに扮するのは、三上朱美さん。詳細は不明です。

そして本作のヒロイン、敏腕外科医=長谷香織に扮する財前直見さん、当時26歳。

1984年に沖縄キャンペーンガールに選ばれ芸能界デビュー、その年にTVドラマ初出演にして初主演。以来、現在に至るまで絶えず第一線でご活躍、そのほとんどが主演かレギュラーという、思えば凄い女優さんです。

『スチュワーデス刑事』シリーズ、『北海道警察』シリーズ等、刑事ドラマは2時間ドラマが中心で、『裏刑事』みたいなレギュラーは珍しいかも知れません。

ハイテク手術で蘇生させた岩城刑事を「私の最高傑作」と呼び、まるで実験台のように扱いながら、内心は惹かれていく女心を繊細に演じておられます。
 

 

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『刑事貴族2』1991~1992

2019-03-15 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY







 
1991年の4月から翌年3月まで、全40話が放映されました。前作と同じく日本テレビ系列、金曜夜8時枠の刑事ドラマです。

舘ひろし、郷ひろみと続いた主役のポジションを、この『刑事貴族2』からは水谷 豊さんが引き継ぎます。

ちょうど舘ひろし編が放映されてた時期に、水谷さんはテレビ朝日系列の日曜夜8時枠で『ザ・刑事』に主演されており、その後番組が石原プロの『代表取締役刑事』ですから、結果的に日テレとテレ朝が主演俳優をトレードしたような形になりました。

『ザ・刑事』でレギュラーだった小西博之さんと中村繁之さんは後に平成復活版『太陽にほえろ!』=『七曲署捜査一係』のメンバーになるし、『刑事貴族』シリーズも『太陽~』の正統な後継番組ですから、日テレとテレ朝との間に何らかのコネクションがあったのかも知れません。だから主役の「トレード」っていうのも、それほど現実離れした話じゃないと思います。

さて『刑事貴族』ですが、郷ひろみシリーズは私にとってイマイチでした。『太陽にほえろ!』に例えると、郷さんにはスコッチ(沖 雅也)みたいにハードかつシャープな刑事像を期待したのに、実際はベリーソフトな殿下(小野寺昭)だった……って感じです。

だから、女性とのロマンス的なエピソードが多かったですね。郷さんだけじゃなく布施 博さんにまで、安永亜衣さんとの恋愛話が創られてました。女性視聴者には喜ばれたかも知れないけど、男……少なくとも私は、刑事ドラマにロマンスなんぞは一切求めません。

刑事ドラマの刑事は、走って殴って蹴って撃ってナンボです。だから、スッとした顔の若い男女が、オシャレな服着て謎解きばっかしてる昨今の刑事ドラマは本当につまんない。

『太陽にほえろ!』にも一時期、辛気臭いエピソードばっかりで「一体どうしちゃったの?」って言いたくなる低迷期がありました。ちょうど裏番組の『3年B組金八先生』がヒットしたせいもあり、視聴率まで急降下。

存続の危機まで囁かれた当時の『太陽~』でしたが、快活で型破りなキャラクターで(ベリーソフトな殿下と入れ替わりに)登場する、ドック刑事(神田正輝)が状況を一変させてくれました。

『刑事貴族』における水谷豊さんも、まさにそんな感じです。視聴率はどうだったか知らないけど、ひろみシリーズで何となく停滞してた番組の空気が、水谷さんによって一気に活性化したように、私の眼には映りました。

当時、すでに水谷さんは刑事役をかなりの数やっておられて、この番組における「本城慎太郎」はその集大成みたいなキャラクターだったように思います。

正義感が異常なほど強く、悪を懲らしめる為なら手段を選ばないハミダシ刑事で、犯人逮捕の際には必ずプロレス技を使うというw、水谷豊@刑事役の定番メニューのフルコース。

その役ごとにキャッチーな口癖を考案するのも水谷さんのお約束で、本城刑事は「あ~、お恥ずかしいったらありゃしない」とか「あ、ラッキーラッキー♪」等のフレーズがお馴染みになりました。

そんな水谷さんが加わった事で、予定調和に収まらない独特のリズムが生まれ、画面が弾んで見えるんですよね。すると脚本も共演俳優陣の芝居も、瞬時に感化されて弾み始める。『太陽にほえろ!』があの時から神田さん中心の世界観に変わって行ったのと同じような現象が、この『刑事貴族』シリーズにも起こってました。

だから、水谷豊という俳優さんが好きか否かで、以降の『刑事貴族』シリーズに対する評価はハッキリ岐れるかと思います。私は、この時点では好きでした。新鮮で面白かったです。

この時期の水谷さんって、何となく『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンを意識されてたように、私は当時から感じてたんだけど、如何なもんでしょうか?

ちなみに前シリーズ最終回でフッくんがあっけなく殉職(彼は最後までマヌケでした)、実質的に番組を引っ張ってた布施博さんも転属って形で降板されました。

代わって登場するのが『ジャングル』でデビューした生真面目&熱血キャラの田中 実と、体育会系イケメンの団 優太。奇しくもこのお二人、どちらも後に自殺という形で他界されてます。合掌。

そして番組中盤(19話)で高樹沙耶(現・益戸育江)と団優太が本庁への栄転って形で降板。代わりに寺脇康文と鳥越マリが新メンバーとして加わります。

さらに『刑事貴族3』の中盤には沙耶さんが復帰し、水谷・寺脇・高樹(益戸)という、後の『相棒』に繋がる水谷ファミリーが形成されて行きます。『相棒』も『ザ・刑事』と同じテレ朝の番組ですから、やっぱり日テレと何らかの繋がりがあるんでしょう。

そんなワケで、水谷さんが主役になった事により『刑事貴族』シリーズは、よりアクティブになったと同時に、コメディ色も強めて行く事になりました。

そこまでは私も大歓迎でした。舘さん編のハードボイルドな感じも良かったけど、基本的に私は明るい作風が好きなんです。『ジャングル』では見せ場が無くてブレイクし損ねた田中実さんが、ここでは準主役級でプッシュされてるのも嬉しかったです。

だけど、前にも書いた通り、回が進むにつれて若手キャスト全員が水谷さんのカラーに染まり、水谷さんのリズムに乗って、何となく一本調子な世界になって行っちゃったのが、個人的には残念でした。軽快なフック(アドリブ)の応酬みたいな掛け合いも、エスカレートすると舞台演劇みたいになって来ちゃいます。

ただ、そういうノリも私は決して嫌いじゃありません。例えば『俺たちは天使だ!』(もちろん昭和のオリジナル版)における、探偵たちの軽快すぎる掛け合いなんか大好きです。でもそれは、沖 雅也、渡辺篤史、柴田恭兵、神田正輝と、本当に芸達者な役者さんが揃っていればこそ楽しめる、かなりハードルの高い芝居なんですよね。

私の勝手な判定によれば『刑事貴族2』でそのレベルに達してたのは、水谷さんと寺脇さん、そして実さんの3人だけ。(さすがにベテランの松方弘樹さんと地井武男さんは水谷カラーに染まらなかったので例外とします)

宍戸開さんはキャラクターの良さで何とか見てられたけど、団優太さんはちょっとキツかった。女優陣にもあのノリは向いてないですよね。合わせるのがやっと、だったんじゃないでしょうか?

1人でもついて行けない人がいると、ああいうノリは崩れちゃいます。水谷さんが絡んでる場面ならうまくフォローしてもらえるけど、若手どうしだとキツいですよね。

それと、これも前に書きましたが、キャスト全員が同じ方向を見て進んでいくドラマを、私は面白いと感じられないんです。刑事どうしの対立は描かれてたけど、基本が仲良しだから予定調和にしかならないですよね。それは『太陽にほえろ!』にも言えた事で、だからこそスコッチみたいなカンフル剤的キャラクターが必要になる。

だけど『太陽~』のメンバーは全員、自分の世界ってものを確立してました。いくら番組のカラーがドック色に染まっても、あくまで山さんは山さんだし、ゴリさんはゴリさんのままでした。誰もドックのノリに合わせたりしませんからw

こういう比較論で番組を評価するのはアンフェアかも知れません。『太陽にほえろ!』は『太陽にほえろ!』、『刑事貴族』は『刑事貴族』で別モノなんだから。ただ私個人の好みとして、番組がだんだん「劇団・水谷豊」のミニシアターみたいになって行ったのが、ちょっと残念だったという事です。

なので『刑事貴族2』及び『3』は、飛び飛びにしか観てませんでした。イマイチ私は乗り切れなかったワケですね。
 

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『刑事貴族(郷ひろみ編)』1990~1991

2019-03-08 00:00:24 | 刑事ドラマ HISTORY







 
わずか16話で主役の舘ひろしとヒロインの黒木瞳が降板しちゃった『刑事貴族』ですが、新たに郷ひろみを主役に迎えて仕切り直す運びとなりました。(日本テレビ系列・金曜夜8時放映、’90年10月~’91年3月、全21話)

と同時に高樹沙耶(現・益戸育江)と宍戸 開もレギュラーに加わり、それまで舘ひろしの個性を前面に押し出すハードボイルド・タッチだった世界観を、やや明るめのトーンにシフトして行く事にもなりました。

さらに、一応ヒロミGo!を中心としながら、他のレギュラー刑事達も交代で主役を務める、より『太陽にほえろ!』に近いフォーマットへの先祖帰りも図られます。

しかも制作が『太陽~』と同じ日テレ&東宝でメインスタッフも同じですから、ストレートに『太陽~』の名エピソードをリメイクした回もいくつかありました。

(※『太陽~』の#32『ボスを殺しに来た女』が『貴族』の#26『宮本課長の災難』に、#36『危険な約束』が#31『刑事たちの忙しい夜』に、#402『島刑事よ、安らかに』が#36『殺人ビデオへの招待』に)

たぶん、ひろし編が好評だったのを受けて、番組を長期継続型のフォーマットにシフトする目的と、ひろしに比べてひろみは主役として弱いと判断しての、ある意味「テコ入れ」だったんじゃないでしょうか?

ひろみ推しの方には申し訳ないのですが、歌手としてはあんなに強いオーラを発するヒロミGo!なのに、役者としては……こと刑事物の主役としては、驚くほど凡庸で物足りないと私は感じてましたm(_ _)m

なぜ私は、ヒロミGo!を物足りなく感じたのか? 逆に、私の胸を踊らせてくれる刑事役アクターの条件って何なのか? 最近のCS放映を観ながら考えた結論として、2つのポイントが浮かび上がりました。

まず1つ目は「ユーモア」。私にとって、これはかなり重要なポイントです。『太陽にほえろ!』の中で私が特に好きだったゴリさん(竜 雷太)やボン(宮内 淳)、ドック(神田正輝)らに共通するのはこれなんですよね。二枚目一辺倒じゃ駄目なんです。

ヒロミGo!扮する風間刑事にユーモアが無かったワケじゃないけど、私を笑わせるには至りませんでした。(それにしても刑事ドラマの世界は、伊達とか風間って苗字がやたら多い)

ヒロミGo!はマジメ過ぎるんですね。近年はお笑いの人らにイジられる事で面白さを醸し出してますが、それは上手にツッコミを入れてくれる相手がいればこそで、ご本人にユーモアのセンスがあるワケじゃない。

2つ目の条件は「殺気」です。この刑事を怒らせるとヤバイ、下手したら殺されるかも?って感じさせる位の殺気が、ヒロミGo!には有りません。いわゆる肉食系ではなく草食系なんですね。だから拳銃も似合わない。

風間刑事はFBIからリターンして来た男って設定で、アメリカで何人も仲間を殺された経験から「撃たれる前に撃つ」が信条の、かなり『太陽~』のスコッチ(沖 雅也)に近いハードな人物として設定されてるのに、犯人をぶっ殺しそうなヤバいオーラが全然無いもんだから、見ててちっともハラハラしないんですよね。

要するに、迫力がない。ダンスは上手なクセにアクション(殺陣や銃さばき)にキレが無いから、ちっとも強そうに見えない。怒らせるとヤバイ感じが全然しないのが、私にはすこぶる物足りないです。沖さんのスコッチ(特に初期)は本当にヤバそうでしたからねw

前任の舘さんには殺気が、後任の水谷 豊さんにはユーモアが備わってたけど、郷さんはどっちも足りない。その分「華」があるから、女性視聴者にはアピールするのかも知れないけど、私には通じませんからw

萩原健一、松田優作、そしてクリント・イーストウッドやメル・ギブソンといったアクター達が演じた刑事キャラが伝説になったのは、いずれもユーモアと殺気を併せ持ってたからじゃないかと私は思ってます。『あぶない刑事』のコンビが魅力的なのも、舘ひろし=殺気、柴田恭兵=ユーモアの組み合わせだったからじゃないでしょうか。

もっと端的に言えば、ヒロミGo!には「毒」が足りない。笑いに毒は欠かせないし、殺気は毒そのものですから、毒というキーワードで繋がってるんですよね。健康食品だけじゃ物足りない、やっぱジャンキーな食べ物が欲しくなっちゃうワケです。

じゃあ、毒が足りない郷さんが主役の『刑事貴族』はつまんないかと言えば、決してそんな事はありません。なにせ『太陽にほえろ!』のスタッフによる作品ですから、クオリティーは高いんです。

だからこそ、もうちょい毒があればいいのになあって、欲が出ちゃうんですね。同じ『太陽~』でも優しい殿下(小野寺 昭)が主役の回より、怖いスコッチが主役の回の方が(私にとっては)数倍面白かったですから。

高樹沙耶さん扮する青木刑事も、男勝りのフェミニストっていうありがちなキャラで、刑事にあるまじきフェロモンが妙に新鮮だった黒木 瞳さんに比べると、やっぱ面白みに欠けるんですよね。

収穫だったのは宍戸 開くん(村木刑事)で、体育会系のキャラながら天然のトボケた味わい(父親譲り?)があって、ユーモアセンスの無いヒロミGo!を何気にカバーしてくれてました。

だけど一番目立ってたのは、やっぱり布施 博さん(泉刑事)じゃないでしょうか。ヒロミGo!のキャラが弱い分、若手のリーダーとして番組を背負う比重が大きくなるし、主役エピソードの数も他のメンバーより多かった印象があります。

フッくん(岩田刑事)は後輩が出来ても相変わらずでしたね。例によってマイコン刑事扱いでw、最終回に至っては序盤であっけなく爆死ですからね。それも、ちょっと失笑を誘いかねないマヌケな最期でした。

『太陽~』スタッフは裏番組だった『金八先生』シリーズに恨みがありますから、もしかすると仕返しの為にキャスティングしたのかも?w(フッくん@シブがき隊のデビューは『2年B組仙八先生』でした)

そんなワケで、郷ひろみ編のラストでフッくんが殉職、その仇を討った布施さんは転勤、ヒロミGo!も退職という形で番組を去り、『刑事貴族』第1シリーズは幕を下ろしたのでした。
 
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『代表取締役刑事』1990~1991

2019-03-07 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1990年10月から翌年9月まで1年間、全45話が放映されました。放映枠はテレビ朝日系列の日曜夜8時で『西部警察』シリーズから続く刑事ドラマ枠。

本作は日テレの『刑事貴族』から舘ひろしを強引に降板させて主演に引っ張り込んだと云われる、石原プロモーション制作の人情系刑事ドラマです。

当時の私は全く興味が沸かず、見向きもしませんでした。近年CATVでやってたのを何本か観ましたが、やっぱり惹かれるものが無かったですね。他局から主役を横取りしてまで創った番組がこれかよ?って、少々腹が立った位です。

まず、誰もが首を傾げずにいられない、意味不明なタイトル。Wikipediaによると「社会において市民を守る警察官は、企業において社員達を守る代表取締役みたいなもの」っていう意味があるらしいんだけど、無理がありませんか?w めっちゃ「後付け」臭いですよね。

本当にそういう発想から生まれたタイトルなんだとしても、説明されずに視聴者がそれを読み取る事は100%不可能でしょう。だから上記の意味付けはカモフラージュで、実は全然違う意図が隠されてるんじゃないかと私は思ってます。

その裏にある意図とは、石原プロの前作『ゴリラ/警視庁捜査第8班』における主役4人の内、今回は(そして次作『愛しの刑事』も)神田正輝さんだけレギュラーを外されてる事から察するに、当時の石原プロ社長だった渡 哲也さんが、次期社長は「正輝じゃなくて、ひろし。お前だぞ」っていう、社内人事を暗に予告した暗号じゃないでしょうか?w

それはつまり「正輝よ、辞表はいつでも受けとるぞ」っていうw、遠回しな辞職勧告にもなってたりするのかも?なんて、ゲスな勘ぐりを入れたくなるくらい不自然なタイトルです。

そんな事を渡さんが考えるとは思えない(思いたくない)んだけど、小林専務ならやりかねない。クレジットにも「企画=小林正彦」って、単独でドーンと名前を出してますからね。実質的に当時の石原プロを動かしてたのは、小林専務です。

石原プロを経営危機から救ったのは確かに小林専務かも知れないけど、ダメにしちゃったのも多分、小林専務。後に渡さん、舘さん、神田さんが重役を降りて石原まき子さんに全権を委ねたのは、モンスター化した小林専務を石原プロから追放する為の苦肉策だった、とも噂されてます。

その真偽はともかく、この時点じゃ神田さんをハブにして舘さんを次期社長に据えようと専務が目論んでたのは、まず間違いないだろうと思います。私がこのドラマに乗って行けないのは、そのせいもあるかも知れません。

だって神田さんは、’70年代半ばに石原裕次郎さんが自らスカウトし、石原プロ初のTVドラマ『大都会/闘いの日々』で芸能界デビューさせた、つまり手塩にかけた生粋の石原プロ俳優ですよ。

それが、ずっと後から入って来たミュージシャン上がりの舘ひろし(渡さん派である事を公言)を、裕次郎さん亡き後に引っ張り上げるのは、イヤな感じがしませんか? いくら弱肉強食の世界とは言え、やり方が汚いです。

『ゴリラ』が失敗に終わったのも、石原プロ内じゃ神田さんのせいにしてる節があります。『あぶない刑事』は成功したのに『ゴリラ』がダメだったのは「舘の相方になる俳優が違ったからだ」って。

確かに『あぶデカ』は柴田恭兵さんの存在なくしては成功しなかっただろうけど、だからこそ『ゴリラ』は企画そのものが間違ってたワケで、その責任は神田さんじゃなくて「企画=小林正彦」にあるんじゃないの?って、私は思うんですが。

『あぶデカ』が当たれば形だけコピーして、『はぐれ刑事純情派』が当たればコロッと人情路線にチェンジしちゃう。企画って、そんな安易な発想でやるもんじゃないでしょう?

まぁ、何もかも私の邪推に過ぎず、神田さんが外されたのも、実はご自身が「もう刑事役は飽きた。社長もやりたくない」って言われたからかも知れません。

だけど、社員のそんなワガママが絶対に許されないのが石原プロですよね? だからこそ舘さんも、お気に入りの『刑事貴族』から泣く泣く降りられたワケですから。

そもそも、かつて『大都会』シリーズを軌道に乗せてくれた日テレを裏切って、放映局をテレ朝に鞍替えした裏側には、相当どす黒いお金が動いたらしい、みたいな噂も流れてました。

それも真偽は知りようが無いけれど、火の無い所に煙は立ちません。少なくとも日テレ側が好き好んでヒット番組を手放すワケが無いですから、石原プロ側が裏切った図式は歴然としてます。

そんな強引かつダーティーなイメージを自ら世間に植え付けて来た石原プロが、今さら人情路線でイメチェンしようったって、そりゃどうにも無理がある。はっきり言って嘘臭い。なにせ暴力路線があまりにハマり過ぎてましたw

かと言って、被災地等でのボランティア活動に対して「偽善だ」などとケチをつけるつもりは毛頭なくて、ああいう事が出来る財力や行動力を持つ人達には、どんどんやって頂きたいと思ってます。

だけどTVドラマは、堂々と嘘がつける作り物の世界です。だからこそ、良い子ぶらずにダーティーなイメージを逆手にとって、暴力路線を突っ走るぐらいの潔さを見せて欲しかった。

ドラマとしてのクオリティーは、決して低くなかったと思います。メインライターに市川森一さんを迎え、多彩なゲスト俳優を起用して、今回は物量よりも中身で勝負しようっていう意気込みは伝わって来ます。

だけど、当時にして既に刑事物のジャンルはマンネリを極めてましたから、正攻法でやるならよっぽど魅力的なキャストを揃えないと、視聴者は食いつかないですよ。

係長(決して代表取締役ではない)役に昇進した舘さんはとりあえず置いといて、刑事を演じるメンバーが高松英郎、川野太郎、谷川 竜、池田政典、市川翔子(25話まで)、木之原賀子(25話より)、署長に安部譲二、そして課長に渡 哲也。

ほか、舘さんの元婚約者に根本りつ子、弟に沖田浩之、渡さんの娘に酒井法子、妻に阿木燿子といったセミレギュラー陣。

とにかくレギュラー刑事達に魅力が無さ過ぎます。華も無いし、ちゃんと芝居出来る人が高松さんと川野さん位しか見当たらない! 谷川竜さんは『ゴリラ』で1年間やって来た成果がまるで見られないし、安部譲二さんに至っては完全にド素人ですよ!w(安部さんは当時売れてたノンフィクション作家です)

そんな安部さんのチョー棒読み台詞がクセになっちゃう♪みたいな楽しみ方も出来なくはないけど、これはドラマであってバラエティー番組のコントとは違いますからね。

で、舘さんと渡さんは基本的に、演技よりもキャラクターで魅せる俳優さんです。ドンパチやってる分には格好良いけど、人情ドラマとなると「ああ、やっぱ演技力は無いんやなぁ……」って、あらためて気づかされちゃう。私は気づきたくなかったですよ。

ただ、舘さんや渡さんのファンの方なら、苦手な分野で悪戦苦闘してるお二人の姿に、かえって萌える事は出来るかも知れません。もはや私は、そういう視点でしか『代表取締役刑事』を楽しむ事が出来ませんでした。

それとレギュラーキャスト陣が地味な分、このドラマはゲスト俳優にメジャーな人をよく起用してくれてますから、その顔ぶれや組み合わせで楽しむ方法もあります。

特に三浦友和さんや神田正輝さん、西山浩司さん等、『太陽にほえろ!』や『西部警察』でレギュラー刑事役だった人達の登場は嬉しいですね。

神田さんは最終回のゲストって事で、いちおう花を持たせてもらった形でした。私は納得出来ませんけれど。谷川竜がずっと出てて、なんで神田さんがゲスト扱いなのか?って。

優秀なビジネスマンって、だいたいクリエイターには向いてないですよね。小林専務って人は、たぶん角川春樹さん等と同じタイプで、ドラマの内容にまで深く関わるべきじゃなかった。

経営に求められるセンスと、作品創りに求められるセンスとはまるで違う。野球やサッカーのチームを経営する人が、選手と一緒に試合に出てどうすんねん?って話です。

何から何まで小林専務のせいにしちゃいましたがw、とにかく『ゴリラ』以降における石原プロの迷走ぶりは、ちょっと痛々しく私の眼には映ってました。
 
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『ザ・刑事』1990

2019-03-05 12:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1990年の春から秋まで、テレビ朝日系列の日曜夜8時枠で全23話が放映された刑事ドラマ。東宝の制作で、メインライター(脚本監修)が小川 英さん、音楽が大野克夫さんと、テレ朝なのにやたら『太陽にほえろ!』(日テレ) 濃度が高い作品だったりします。

『太陽~』の後継番組『NEWジャングル』で新米刑事を演じた江口洋介さんがレギュラー(しかも第10話で殉職!)だし、その『NEWジャングル』で江口さんの先輩刑事だった(それ以前に『太陽~』でDJ刑事だった)西山浩司さんが第2話のゲストだったりもします。

更に、同じくレギュラーの中村繁之さんと、第11話から加入する小西博之さんが揃って後の『太陽~』平成復活版スペシャルで七曲署メンバーになるのも、たぶん偶然じゃないだろうと思います。もしかすると女性刑事が榊原郁恵さんなのも『太陽~』のラガー刑事=渡辺 徹さんと結婚されたのと無関係ではないかも?

とにかく、それら全てが偶然であったとしても『太陽』フリークとしては無視できない作品です。

なのに、本放映当時の私は完全スルーしてましたw まず『ザ・刑事』っていうタイトルが『走れ!熱血刑事』並みにダサいし、何よりVTR撮影による安っぽい映像が私にとっては致命的。(当時のアクションドラマはまだフィルム撮影が主流でした)

また、水谷さんと江口さん以外のメンバー達につきまとう「バラエティータレント」のイメージも影響したかと思います。水谷さんとW主演を張る片岡鶴太郎さんは、既に俳優として映画『異人たちとの夏』等で高評価を得ていたけど、私にとっては『オレたちひょうきん族』で激アツおでんを頬張る姿こそが鶴太郎さんですからw

あらためてレギュラーメンバーを列挙すると、六本木警察署・刑事課捜査一係の刑事・矢島慎吾(水谷 豊)、田中秀行(片岡鶴太郎)、藤田かおる(榊原郁恵)、坂上圭介(江口洋介)、津村 純(中村繁之)、土屋拓矢(吉村明宏)、坂上の後任=中西 剛(小西博之)、そして係長の篠丸(小林克也)、鑑識係の丹内(鶴見辰吾)、少年係の榎本(中村あずさ)、署長の寿(丹波哲郎)といった面々。

こうして振り返ると味わい深いキャスティングではあるけど、当時は「旬の過ぎたタレントの寄せ集め」みたいに感じちゃったんですよね。特に吉村明宏さんなど「和田アキ子の腰巾着」的なイメージしか無かったし。

そんなワケでほとんど無視してた番組だけど、今あらためて観ると「もし『太陽にほえろ!』がずっと続いてたら、こんな感じになったかも?」っていう印象です。

ニヒルな一匹狼キャラの矢島(水谷さん)は『太陽~』の山さんやスコッチの初期を彷彿させるし、そんな矢島といちいちぶつかる田中(鶴太郎さん)はゴリさんみたいだし、藤田(郁恵さん)は子持ちのマミーだし(容姿も長谷直美さんにちょっと似てる)、新米刑事(中村さん)の名前はジュンだし。その新米刑事の暴走が第1話で描かれたのもすこぶる『太陽』的です。

なにしろ脚本=小川さん、音楽=大野さんですから、創り手は明らかに新『太陽にほえろ!』テレ朝バージョンを狙っておられたのでしょう。『太陽~』最後の新人刑事が西山浩司さんだったことを思えば、バラエティー寄りのキャスティングも「さもありなん」って思えます。

アクション描写は大人しくてすこぶる物足りないんだけど、『太陽』末期もアクションは減少傾向にありましたから、あのまま続けばちょうどこれ位の案配になってたかも知れません。

そして、事件の内容よりも刑事の心情描写に重きを置いた作劇が何より『太陽』的で、私は観てて落ち着くんですよね。やっぱり、こういうのが本当の意味で「刑事ドラマ」なんだよなあって。もしかすると『ザ・刑事』っていうタイトルには、そういう意味がこめられてたのかも知れません。

そんなワケで、私みたいに『太陽にほえろ!』の残り香を少しでも嗅ぎたいマニアには、一見の価値ありのドラマかと思います。

また『熱中時代 刑事編』('79)で熱血新米刑事を演じた水谷さんが、日テレ金8刑事ドラマ『ハロー!グッバイ』('89)で一匹狼キャラを開拓し、後に『刑事貴族2~3』('91~'92) で水谷豊の刑事キャラ集大成「本城慎太郎」を演じるに至る、その橋渡し的な作品として観ても面白いかも知れません。

なお、水谷さんの『刑事貴族2』がスタートしたのと同じ年に、片岡鶴太郎さんはテレ朝の日曜夜8時枠で大映テレビ制作による刑事ドラマ『ララバイ刑事'91』に主演。こちらも後に続編『ララバイ刑事'93』が創られました。

女性上司の有森也実さんと鶴太郎さんの恋愛を描いた異色作だけど、署長役はまたしても丹波哲郎さんw 『'93』には中村あずささん、そして我らがゴリ=竜 雷太さんも課長役で登場されてます。
 

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